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令和6年度 病害虫情報 第5号(クロゲハナアザミウマ)
更新日:2024年10月18日
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令和6年度 病害虫情報 第5号(クロゲハナアザミウマ)(PDF:577KB)
県中部地域の露地コギク栽培ほ場で、クロゲハナアザミウマによる被害を確認しました
キクでは、近年、他県でミカンキイロアザミウマなどに代わり、クロゲハナアザミウマが優占種となり被害が確認されています。
被害様相が従来のアザミウマ類と異なるので注意しましょう
クロゲハナアザミウマによる被害様相は、ハダニ類によるかすれ症状と似ているため、加害する害虫に注意して防除しましょう。
1 クロゲハナアザミウマとは
- 雌成虫の体長は1.2~1.3ミリメートルで、体色は黄色です。胸部背板に黒褐色の斑模様があることが特徴的です(図1)。
- 成虫で越冬します。施設内では冬季も発生します。
- 広食性でキク類のほか、ナス科類やウリ科類、トルコギキョウ、バラなどを加害します。
- 国内全域に分布しています。
図1 クロゲハナアザミウマの雌成虫
2 クロゲハナアザミウマが確認された経緯
- 令和6年9月に、県中部地域の露地栽培のコギクでクロゲハナアザミウマによる加害と思われる被害葉が観察されました(図2)。
- 他県ではキクの栽培でクロゲハナアザミウマが優占種となり加害している事例が報告されています。
- 本県でも同様のことが考えられたため、農業技術センターで被害葉が観察されたコギクからアザミウマ類を採集し、農林水産省横浜植物防疫所に同定を依頼しました。その結果、令和6年10月11日にクロゲハナアザミウマであることが判明しました。
3 被害の特徴
- キクでは成虫・幼虫とも葉及び花を加害します。
- キクへの加害は4~6月の生育初期に多いです。
- 被害様相は、ミカンキイロアザミウマ(図3)と異なりハダニ類による被害と似たかすれ状の小白斑を生じます(図2)。
- 上位葉や花弁を加害するため品質低下を招きます。
- なお、クロゲハナアザミウマによる病原体の媒介は確認されていません。
4 防除対策
- 被害様相がハダニ類と似ているため、加害する害虫を確認し、適用のある薬剤を使用しましょう。
- 青色粘着板等を用いて発生状況を確認するなど、早期発見・早期防除に努めてください。
- クロゲハナアザミウマは葉裏に多く寄生していますので、薬剤散布を行う場合は、葉裏まで薬液が十分にかかるよう丁寧に行ってください。
- 雑草にも寄生するため、ほ場周辺の除草に努めてください。
- 薬剤抵抗性の発達を防ぐため、同一系統薬剤の連続散布は避けてください。
図2 クロゲハナアザミウマによる被害葉【かすれ状の小白斑が特徴】
図3 ミカンキイロアザミウマによる被害葉【葉のひきつれやケロイド状の傷】