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環境GSガイドブック(目次~4申請の仕方)
目次
1 はじめに
地球温暖化の原因とされる二酸化炭素等の温室効果ガスは、社会経済活動のあらゆる所から排出されており、これを削減するためには、すべての方の協力が不可欠です。特に事業活動からは大量の温室効果ガスが排出されており、その削減は温暖化対策の重要な課題の一つとなっています。
地球温暖化対策を進めるための大切な考え方の一つに、「環境と経済の両立」があります。環境を良くするための活動が経済の発展にもつながり、経済の発展が更なる環境の保全につながる好循環をつくるという考え方です。地球温暖化対策は、事業活動にブレーキを掛けるものであってはなりません。温暖化対策に取り組むことが、経営面でもプラスに働くような仕組みをつくっていくことが大切です。
群馬県では、県内の事業者の皆様が、地球温暖化対策に資する事業活動を推進でき、また、そのことが社会的にも評価されるための仕組みとして、「群馬県環境GS(ぐんまスタンダード)認定制度」を制定いたしました。
この制度は、温室効果ガスの排出量が持続的に削減される事業活動の普及を目指すもので、事業所ごとの実情に即した取組をサポートするものです。
地球温暖化対策は短期間ではできません。長期的な視点に立って、社会の仕組みを変えていくことが求められています。その中で、事業活動も少しずつ、しかし着実に変わっていく必要があります。事業者の皆様の取組が、県内の地球温暖化対策を推進する大きな流れになりますよう、多くの皆様に本制度の活用をお願いいたします。
2 環境GS認定制度の目的
環境GS(ぐんまスタンダード)認定制度は、県内の事業者が、温室効果ガスを持続的に削減するための計画(Plan)を立て、実行(Do)、点検(Check)、見直し(Action)を行う体制、いわゆる「環境マネジメントシステム」を整備し、これを組織的に運用することを支援するものです。また、その取組を県が認定・公表することで、地球温暖化防止に配慮した事業活動の普及を図ることを目的とします。
環境マネジメントシステムの規格としては、国際標準化機構のISO14000シリーズや環境省のエコアクション21(EA21)があります。環境GS認定制度は、これらの制度とは異なるものですが、計画・実行・点検・見直し(PDCA)の考え方を取り入れ、事業活動を環境への負荷が少ないものに転換していくという基本的な考え方は共通しており、環境GS認定制度によって構築された体制を更に発展させ、ISO14000シリーズ等の取得につなげることも期待されます。
また、環境GS認定制度は、県内の地球温暖化対策を推進することを目的とするものであり、既にISO14000シリーズ等を取得している事業者も、その成果を活かし、環境GS認定制度に参加することが望まれます。
3 環境GS認定制度の概要
(1)対象事業者
環境GS認定制度は、県内に事業所を置く事業者を対象とします。
(2)環境GS認定制度の全体の流れ
- ア 環境GS認定制度は、群馬県環境GS申請書を県に提出することにより参加できます。
- イ 県は、事業者から提出された申請書(実行計画)を認定し、公表します。
- ウ 県は、環境GS認定事業者の取組を支援します。
- エ 事業者は、取組終了後、結果を評価し県に報告します。結果報告は、継続申請を兼ねるものとします。
- オ 県は、報告を整理し、公表します。
(3)事業者が行なう手続の概要
事業者が実施する手続は、次のとおりです。
計画(Plan)
- ア 環境GSマネージャー及びサブマネージャーを選任する。
- イ 環境基本方針を決定する。
- ウ 現状を把握する。
- エ 目標(短期・長期)を設定する。
- オ 取組内容を決定する。
- カ 群馬県環境GS申請書を県に提出する(電子申請も可)。
↓
実行(Do)
- ア 環境GSマネージャーを中心に組織的な取組を実行する。
- イ 取組の結果を記録する。
- 取組期間は、1年間(4月~翌年3月)を基本とする。
- 必要により、環境GS推進員の派遣を依頼する。
↓
点検(Check)
- ア 年度終了後、結果をチェックする。
- イ 取組結果を分析し、分かりやすい形に整理する。
↓
見直し(Action)
- ア 取組結果を評価し、改善点を検討する。
- イ 必要により、環境基本方針を見直す。
- ウ 新たな取組目標を設定する。
- エ 取組内容を決定する。
- オ 群馬県環境GS報告・継続申請書を県に提出する。
4 申請の仕方
環境GS認定制度への参加は、「群馬県環境GS(Gunma Standard)申請書」(様式1)を県に提出して行います。申請は、事業所単位とします。
(1)環境GSマネージャー及びサブマネージャーの選任
事業所ごとに環境GS認定制度を運用するための統括者として、環境GSマネージャーを1名、選任します。環境GSマネージャーは、全従業員を対象に組織的な取組を推進できる立場にある者から選任することが望ましいと言えます。
また、環境GSマネージャーを補佐するため、必要な場合は環境GSサブマネージャーを1名以上選任します。
(2)環境基本方針
地球温暖化対策の推進に関する、事業所の基本的な考え方、方針を記載します。
(3)暴力団員の不当な行為の防止等に関する法律に関するチェック
群馬県暴力団排除条例により、事業から暴力団等を排除するため、申請される方に暴力団関係者等でない旨の誓約(チェック)をお願いします。
(4)取組期間
取組期間は、年度単位(毎年4月から翌年3月まで)を基本とします。ただし、年度途中から取組をはじめた場合は、その年度が終了するまでの間を第1期取組期間とします。
(5)指標の設定
「指標」は、現状を数値で把握し、温暖化対策に係る取組の進行を管理するために設定します。なお、指標は、おおよその進行管理が可能であればよく、事業活動に伴って排出される温室効果ガスの総排出量を把握する必要はありません。
例えば、指標としては、年間の電気やガス、重油等、主要なエネルギーの消費量を二酸化炭素の排出量に換算した数値が適当と言えます。また、電気の年間使用量や廃棄物の排出量等を指標として利用することも可能です。ただし、二酸化炭素排出量やエネルギー使用量、廃棄物排出量は、事業活動量に比例して増加する傾向があり、取組の効果を評価しにくいため、二酸化炭素排出量等を、取組年度の製造品出荷額等で除した「原単位」を指標として設定することが望ましいと言えます。
主な指標としては、次のものが考えられます。
指標 | 内容 | ||
---|---|---|---|
主要なエネルギーの消費量 | 事務所・工場の電気使用量、廃棄物の排出量、水の使用量、車両の燃料使用量など | ||
電力消費量原単位 (kWh/出荷額・年) |
年間の電力消費量を年出荷額で除したもの。 | ||
燃料消費量原単位 (kL又は立方メール/出荷額・年) |
年間の燃料(灯油、軽油、重油、ガソリン、LPG、都市ガス等)消費量を年出荷額で除したもの。 | ||
水道使用量原単位 (立方メール/出荷額・年) |
年間の水道使用量を年出荷額で除したもの。 | ||
廃棄物排出量原単位 (トン/出荷額・年) |
年間の廃棄物排出量(事業系一般廃棄物、産業廃棄物から、事業所内で分別し、リサイクル事業者に引き渡した紙類、金属類、ビン、缶、ペットボトルなどを除いた量)を年出荷額で除したもの。 | ||
二酸化炭素排出量原単位 (トン/出荷額・年) |
二酸化炭素排出量は、電力消費量原単位や燃料消費量原単位に各排出係数を乗じた値を合計したもの。 |
※kWh=キロワットアワー
※kL=キロリットル
- ※原単位の考え方:年間のエネルギー消費量等を[出荷額]で除すほか、[売上高]、[主要製品生産トン数]、[製品出荷台数]、[従業員数]、[床面積]等で除すことも考えられる。
- ※指標は、原単位によらずエネルギー消費量等の[総量]による場合も考えられる。
エネルギーの種類 | CO2(kg) |
---|---|
電力量(kWh) | 0.468kg(注1) |
灯油(リットル) | 2.49kg |
軽油(リットル) | 2.58kg |
A重油(リットル) | 2.71kg |
ガソリン(リットル) | 2.32kg |
LPG(kg) | 3.00kg |
都市ガス(立方メートル)(注2) | 2.21kg(注3) |
都市ガス(立方メートル)(注2) | 2.19kg(注4) |
都市ガス(Nm3)(注2) | 2.29kg(注5) |
※Nm3=ノーマル立方メートル
※kPa=キロパスカル
地球温暖化対策の推進に関する法律施行令第3条による。
- (注1)電力については、平成30年度の東京電力の排出係数。東京電力以外から購入している場合は、購入会社の排出係数による。
- (注2)都市ガスについては、東京ガスの排出係数。東京ガス以外から購入している場合は、購入会社の排出係数による。
- (注3)群馬地区における都市ガスの排出係数(使用実態に近い15度、ゲージ圧2kPa状態での値)
- (注4)群馬地区における都市ガスの排出係数(工場や商業ビルなど中圧供給の場合(15℃、ゲージ圧0.981kPa(100mmH2O)))
- (注5)群馬地区における都市ガスの排出係数(標準状態(0度、1気圧)での値)
(6)現状の把握
設定した指標により、現状を数値で把握します。
現状の数値化に当たっては、直近のデータを用いることが望ましいと言えます。直近のデータを用いることが適当でない場合は、基準年としてふさわしい年度のデータを用いるか、過去数年間の数値の平均を現状数値とします。
(7)目標の設定
設定した指標によって、現状数値を踏まえ削減目標を設定します。
目標は、長期目標と短期目標とします。長期目標は5年間程度を基本とし、短期目標は、長期目標の達成に向け、年度ごとに設定します。
取組の進行管理は、短期目標を基準として実施します。
なお、年度途中から取組をはじめたため、取組期間が1年間に満たない場合であっても、短期目標は年度単位で設定します。
この場合、取組期間が短く、十分な効果が現れないことが考えられますが、次年度は年度当初から取り組むようにしましょう。
取組期間が1年間に満たない場合の短期目標の定め方
一般の場合
取組期間が短い場合
(8)取組内容の決定
目標の達成に向け、取組の具体的な内容を決定します。
取組の内容は、次の表を参考に、各事業所ごとに、効果が高く継続して実行することが可能なものとします。
区分 | 取組内容 |
---|---|
省エネルギー(事務・管理) |
|
省エネルギー(生産工程等) |
|
廃棄物減量化(事務・管理) |
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廃棄物減量化(生産工程等) |
|
その他の行動(事務・管理) |
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その他の行動(生産工程等) |
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(9)提出期間
環境GS申請書は、随時提出が可能です。
※ただし、申請時期の如何に拘わらず、取組期間は、申請を行った年度の末日をもって第1期を終了するものとします。(申請を行った年の翌年の3月までの結果を取りまとめ、4月から6月の間に、報告・継続申請書を作成し県に提出します。)
(10)提出先・提出方法
ア 郵送等による場合
環境GS申請書は、県に郵送又は直接提出します。提出先は、次のとおりです。
提出先
〒371-8570 前橋市大手町1丁目1番1号
群馬県 環境森林部 環境政策課 環境政策係
イ 電子申請による場合
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