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【平成28年10月13日付け】金井下新田遺跡に関する報道提供資料

更新日:2017年3月28日 印刷ページ表示

金井下新田遺跡出土の小型倭製(わせい)鏡について

1 出土遺跡の概要

  1. 遺跡名:金井下新田(かないしもしんでん)遺跡
  2. 調査要因:国道353号金井バイパス(上信自動車道)単独7軸道路整備推進事業に伴う発掘調査
  3. 委託者:渋川土木事務所
  4. 調査主体:公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団
  5. 調査期間:平成28年4月1日から平成29年3月31日(予定)

2 内容

  1. 金井下新田遺跡5区では、古墳時代の政治・祭祀の拠点と考えられる囲い状遺構が確認されています。その囲い状遺構の南西コーナー内側で、小型の倭製鏡1面が出土しました。
  2. 鏡は、剣形石製模造品2点とともに直径約10センチメートル、深さ約12センチメートルの小さな穴から出土しました。出土した状態から、まず剣形石製模造品2点を穴に埋め、その上に、鏡面を下にした鏡を水平に置き、土をかぶせて埋納したものと考えられます。
  3. 鏡の埋納は、網代垣を設置した後に行われたものと判断されます。
  4. 出土した鏡は、面径約6.3センチメートルの小型の青銅製の鏡です。日本国内で製作された鏡(倭製鏡)であり、文様の特徴から「捩文鏡(ねじもんきょう)」の可能性が高いことが判明しました。鏡の一部には赤色顔料が付着しており、鈕(ちゅう、つまみ状の部分)には樹皮のようなものが残っています。
  5. 鏡は、権威の象徴であるとともに、祭祀の重要な道具の一つと考えられています。鏡が地域首長の拠点遺構とみられる囲い状遺構の南西コーナーに埋納されていることから考えると、この鏡の性格は、
    ア 鏡がもつ祭祀的な力による囲い状遺構の守護を目的とした埋納
    イ 囲い状遺構でおこなわれた祭祀に直接かかわる埋納
    ウ 囲い状遺構の解体後も継続される祭祀行為として埋納
    などが推定できます。

3 要点

  1. 捩文鏡が古墳以外の遺構から出土するのは、県内初のことです。
  2. この鏡は、囲い状遺構に接して丁寧に埋納されており、囲い状遺構と強い関連があるものと考えられます。囲い状遺構の性格を考える上で、また、古墳時代の鏡の使用法を考える上で貴重な発見です。

4 鏡の一般公開(終了しました)

  1. 場所:群馬県埋蔵文化財調査センター発掘情報館(土曜日・祝日休館)
    住所:渋川市北橘町下箱田784-2 電話:0279-52-2513
  2. 期間:平成28年10月17日(月曜日)~平成28年10月21日(金曜日)・23日(日曜日)
    ※平成28年10月22日(土曜日)は休館日のため閉館

5 問い合わせ先

 公益財団法人群馬県埋蔵文化財調査事業団 電話:0279-52-2511

補足説明

  1. 捩文鏡は、主要な文様に捩り紐(ねじりひも)状の文様がある倭製鏡です。この捩り紐状の文様は、鏡の文様として古くから使われてきた獣形の文様の一部が祖型となっていると考えられています。また、倭製鏡の大きさには大中小がありますが、捩文鏡は小型品のみとされています。
  2. 捩文鏡は全国で約210面が確認されており、群馬県内では下記の5例の出土例があります。いずれも前期から中期の古墳で、高崎市本郷所在古墳を除き、古墳埋葬主体部から出土しています。
    • 高崎市長瀞西古墳
    • 高崎市本郷に所在した古墳(採集品)
    • 藤岡市稲荷塚(とうかづか)古墳(耕作時出土)
    • 前橋市前橋天神山古墳、
    • 太田市鍾馗塚(しょうきづか)古墳
  3. 金井東裏遺跡3号祭祀遺構の最下層からも、鏡面を下にして、小型倭製鏡(乳文鏡)が出土しています。
  4. 囲い状遺構の内部施設である大型竪穴遺構、掘立柱建物などは上屋が撤去された状態で榛名山噴火火山灰に覆われていたことから、解体もしくは解体途中と判断されます。

小型倭製鏡 出土位置の画像
小型倭製鏡 出土位置

出土した小型倭製鏡の画像
出土した小型倭製鏡

鏡の出土状況(北西から撮影) 囲い状遺構の南西コーナーのすぐ内側で出土した。の画像
鏡の出土状況(北西から撮影) 囲い状遺構の南西コーナーのすぐ内側で出土した。

鏡の出土状況(南から撮影) 火山灰の下の黒色土の下から鏡面を下にして出土した。の画像
鏡の出土状況(南から撮影) 火山灰の下の黒色土の下から鏡面を下にして出土した。

鏡の下から見つかった小穴の土層断面の画像
鏡の下から見つかった小穴の土層断面

鏡の出土状況(模式図)の画像
鏡の出土状況(模式図)

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