ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織からさがす > 健康福祉部 > 食肉衛生検査所 > 2と畜検査業務の概要>5輸出牛肉処理施設に係る業務

本文

2と畜検査業務の概要>5輸出牛肉処理施設に係る業務

更新日:2024年10月31日 印刷ページ表示

1)対米輸出の経緯

 牛肉の輸入自由化が昭和63年3月、日米・日豪間の協議を経て決着した直後、国内の生産者の一部から、米国への国産牛肉輸出の気運が高まり、国の「畜産振興審議会」で国産牛肉の輸出の推進を支援することが決定された。
 これを受けて「対米輸出牛肉処理施設」の認定を目指し、群馬県、鹿児島県及び宮崎県内の3施設が平成元年8月から施設改善工事に着手した。
 輸出条件等について日本政府と米国政府の間で協議が重ねられ、平成元年9月に米国農務省食品安全検査局の担当者により、日本のと畜場の施設及び衛生水準についての査察が行われ、<1>と畜、食肉処理部門の施設設備、<2>と畜、食肉処理のマニュアル、<3>検査システム、<4>残留物質モニタリングシステム等の改善事項について意見交換が行われた。
 平成2年5月には、厚生省より米国への輸出要件を規定した「対米輸出食肉を取り扱うと畜場等の認定要綱」(以下、認定要綱)が各都道府県に通知され、これに基づき上記3施設が最終的な施設及び処理方法の改善を行い、平成2年8月30日付けで認定をされた。
 平成8年7月、米国では同国内で多発する食中毒防止の観点から、米国連邦規程(Federal Register; Final Rule)が改訂された。このことから米国に食肉を輸出する全ての国にもこの「連邦規程と同等であること」が求められたことから、厚生省は平成9年1月27日付け(衛乳第21号)で、HACCPシステム導入を柱とした認定要綱の一部改正を行った。その後、施設及び衛生的な解体処理を維持するための6ヶ月間の運用期間を経て、平成11年1月25日にHACCPシステムによる管理が適用となった。
 令和2年1月、認定と畜場等及び食肉衛生検査所における病原微生物等に関しての改正が行われ、「対米輸出食肉を取り扱うと畜場等の認定要綱」が「対米輸出食肉の取扱要綱」(以下、要綱)と改められた。
 現在、月1回の厚生労働省(関東信越厚生局)の査察、年1回のアメリカ農務省(USDA)の査察が行われている。
 令和5年度までの輸出実績は、別表2のとおりであり、平成2年の認定当初500キログラム程度であった輸出量が、現在では、およそ年間150トン程に増加してきている。

2)県内の輸出牛肉処理施設

(1)名称

株式会社 群馬県食肉卸売市場

(2)所在地

群馬県佐波郡玉村町大字上福島1189番地
〒370-1104
 電話 0270-65-2011
 Fax 0270-65-1413

(3)施設の概要

 敷地総面積 60,208.09平方メートル
 建物延面積 16,162.46平方メートル
 許可頭数 大動物 150頭/日

(4)輸出認定状況

 平成2年8月 対米輸出認定
 平成19年3月 対カナダ輸出認定
 平成19年12月 対香港輸出認定
 平成21年5月 対シンガポール輸出認定
 平成22年2月 対タイ輸出認定
 平成22年10月 対マカオ輸出認定
 平成25年10月 対メキシコ輸出認定
 平成26年3月 対ベトナム輸出認定
 平成26年5月 対EU輸出認定
 令和5年11月 対台湾輸出認定

3)HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:危害分析・重要管理点)システムによる衛生管理

(1)輸出牛肉処理施設が行う管理

<1>重要管理点とその管理基準

 平成11年1月25日付け、改正認定要綱のHACCPシステムによる管理規定の適用に伴い、輸出牛肉処理施設(以下、G-1施設)では生体受入れから製品出荷までの全作業工程の確認及び危害分析を行い、それに基づいた「標準作業手順書」及び「HACCP計画」を作成し、その実施、検証等に努めている。

<2>枝肉の大腸菌検査及びSTEC検査

 要綱の別添3「HACCP方式による衛生管理実施基準」の中に、施設側が実施しなければならない牛枝肉の大腸菌検査の方法及びSTEC検査の実施について規定されている。大腸菌検査については、検査頻度は週1回以上(1週間の処理頭数が300頭以下の場合は1検体を採取、300頭を超えるごとに1検体ずつ追加)となっている。G-1施設では、「ふきとり法」で検体を採取し、米国のサーべーランスに基づくベースラインによる工程管理の評価を行っている。またSTEC検査については、要綱に記載のとおり、検査頻度は一週間当たりの製造量により決定する。G-1施設では、少なくとも2ヶ月に1回検査を実施し、STEC高率発生期間(4~10月)においては、採取頻度を2倍以上に引き上げている。大腸菌検査及びSTEC検査の令和5年度の検査結果は全て基準値以下または陰性となっている。

(2)指名検査員が行う検証業務

 当所の検査員は要綱に基づき指名検査員としてG-1施設の衛生管理が適正に実施されていることを検証するために、以下のような業務を行なっている。

<1>衛生標準作業手順書(SSOP)の検証

 G-1施設が作成したSSOPについて、実施記録の点検、手順、モニタリング及び改善措置の監視、微生物学的検査等による衛生状態の評価等を行なっている。

<2>HACCPシステムの検証

 G-1施設のHACCPシステムが適正に実施されていることを検証するために、CCP記録等の点検、逸脱発生時の改善措置の評価、CCPモニタリングの監視等を行なっている。

<3>サルモネラ検査(病原微生物削減達成規格)

 施設のHACCP管理が適切に実施されているかを検証する手段として、指名検査員による牛枝肉のサルモネラ検査の実施が要綱に規定されている。G-1施設においては高温多湿の時期を含めた期間で連続82日間の検査を行なっている。令和5年度末時点でサルモネラは検出されておらず、病原微生物削減達成規格に適合していた。

<4>STEC検査

 指名検査員は施設のHACCP管理及びSSOPがSTECに対して十分に対応したものであることを検証することが要綱に規定され、「輸出食肉認定施設における検査実施要領」に基づく方法で実施している。検体採取頻度はG-1施設の製品製造量により決定し、G-1施設では1ヶ月に2回実施している。令和5年度末時点でSTECは検出されていない。

<5>ゼロトレランス(Zero Tolerance)基準の実施・検証

 平成16年5月18日付け施行の米国農務省食品安全検査局指令(FSIS DIRECTIVE 6420.2)により、施設側は「枝肉等が糞便、消化管内容物及び乳汁により汚染されない」ように管理し、検査員がその手順等を検証する旨の規範が示された。これを受け発行された認定要綱(6次改正)に基づき、枝肉検査員が全ての枝肉について、検証を担当する検査員が定められた頻度で枝肉に糞便等による汚染がないことを毎日確認している。

4)と畜検査・枝肉及び部分肉の再検査・残留物質モニタリング検査

 輸出認定施設でのと畜検査、枝肉及び部分肉の再検査、並びに残留物質モニタリングは「輸出食肉認定施設における検査実施要領」(厚生労働省医薬・生活衛生局食品監視安全課長通知 平成30年6月25日)等に基づき実施している。
 令和5年度における残留モニタリング検査の結果は別表1-1、別表1-2のとおりであった。

5)BSE対策

G-1施設では、BSE対策として次の管理事項を実施している。

  1. 施設に搬入される牛の月齢による区分および区分に応じた処理
  2. 起立不能牛及び歩行困難牛の搬入禁止(とさつ禁止)
  3. スタンニング後のピッシングの禁止
  4. 特定危険部位に接触する器具類の専用化
  5. 特定危険部位による枝肉等の汚染防止に留意した解体処理
  6. 脊髄吸引除去装置の導入
  7. 背割り時の脊髄切片の回収、特定危険部位に係る処理を行う作業者の手指・器具洗浄装置からの排水中の特定危険部位小片の回収
  8. 処理工程で分離・除去された特定危険部位の焼却処理

6)認定施設の査察

(1)査察回数

 アメリカ農務省 0回
 厚生労働省関東信越厚生局 12回

(2)指名検査員数

 34名(令和5年度)

7)輸出の実績(輸出量、輸出回数)

 平成2年度から令和5年度における輸出量及び輸出回数は別表2のとおりである。

別表2 G-1施設における輸出実績 (PDF:30KB)

「3 食鳥検査業務の概要」のページへ

令和6年度事業概要(令和5年度実績)目次へ戻る