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令和2年度ぐんま緑の県民基金市町村提案型事業の評価
更新日:2023年1月11日
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今年度は事業開始から3年目の箇所(令和2年度開始箇所)を第三者機関である「ぐんま緑の県民税評価検証委員会」に評価していただきました。
評価因子として、2つの視点(実績アンケートと効果アンケート)から補助事業者と市町村にアンケートを行いました。
アンケートについて
アンケートの種類について
1.実績アンケート
事業を実施した年度ごとに、補助事業者に対して行うアンケートで、事業が採択された計画どおりに実施されたかを尋ねています。
今回は、令和2年度に実施した箇所についてアンケートを実施しました。
2.効果アンケート(公共性と効果の可視化)
事業実施後から3年間行うアンケートで、市町村に対して行いました。
公共性の判断のために事業の効果が地域に対して利益があったかを尋ね、効果の可視化により事業の波及効果があったかを尋ねています。
アンケートの集約方法について
アンケートは点数評価の(5段階評価と3段階評価)合計により、A判定、B判定、C判定に分類すると共に、自由に記載できるコメント部分を設け、判定因子としています。
- A判定:取組が特に優れており、模範となり得る
- B判定:現状の取組が充分である
- C判定:現状の取組には課題があり、改善が必要
アンケート結果による判定結果
事業名 | 箇所数 | アンケート結果による判定 | 備考 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
内訳 | A | B | C | 判定不能 | |||
荒廃した里山・平地林 |
52箇所 |
箇所数 | 44箇所 | 8箇所 | - | - | |
構成比 | 85% | 15% | - | - | |||
荒廃した里山・平地林 【機器の購入】 |
1箇所 |
箇所数 | 1箇所 | - | - | - | |
構成比 | 100% | - | - | - | |||
貴重な自然環境の保護・保全 |
0箇所 |
箇所数 | - | - | - | - | |
構成比 | - | - | - | - | |||
森林環境教育・普及啓発 | 1箇所 | 箇所数 | 1箇所 | - | - | - | |
構成比 | 100% | - | - | - | |||
森林の公有林化 | 0箇所 | 箇所数 | - | - | - | - | |
構成比 | - | - | - | - | |||
独自提案事業 | 7箇所 | 箇所数 | 5箇所 | 2箇所 | - | - | |
構成比 | 71% | 29% | - | - | |||
合計 | 61箇所 | 箇所数 | 51箇所 | 10箇所 | - | - | |
構成比 | 84% | 16% | - | - |
評価結果
市町村提案型事業【総括評価】
- 評価方法の見直しを検討してもらいたい。
- 市町村への事業実績調査でも高評価が得られていることや、A評価の割合は前年度を上回っていることから事業効果は高いと認められる。
- 県民にとって身近に税が役立っていると実感できる事業であり、今後も各市町村での積極的な実施を期待する。
- 地域森林の持つ役割について、かつての森林利用と現在の森林利用では大きく様子が異なってきていることが現状としてある。経済成長とともに、森林資源のすべてを利活用するといった古来の里山の習慣は少なくなり、各地では高齢化や後継者不足により管理が行き届かなくなっているという声が多い。当事業では、そうした里山の再生を目指す市町村や、地域団体に広く補助を行うことで、獣害や自然災害を軽減させることが出来たものと評価できる。
- 事業評価アンケートの結果をみるとAが多く、地域住民の安全・安心な生活環境の整備や獣害対策など、身近な問題解決のためにぐんま緑の県民税を有効利用されていると評価できる。
- 「総括評価」C判定がなく、十分な取り組みが実施できたことは評価できる。
- 事業実施後の維持管理が高齢化により難しいという課題は変わらないが、気候変動による自然災害や温暖化に対する県民の意識が高まる中、森林に対する県民の意識も変化してきている。特に若い世代が森に触れるアプローチを増やす事で森林との多様な関わり方を作り出すことは可能ではないか。
- この基金を活用して、各市町村が事業に取り組んでいることに、ぐんま緑の県民税が活用されているものと評価する。
- 5つの補助メニューにより地域住民の活動を支援することは大切である。問題は担い手対策についてなので、環境教育に力を入れ未来の担い手対策が必要だと考える。
- 多くの事業の課題として「継続」が挙げられていたが、様々な分野で難しい問題となっている。一方で「成果」として、「会員数が多く事業を安定して行うことができた」、「事業実施により、地区全体の作業時以外にも積極的な作業が行われるようになった」、「地域住民が自発的に整備活動に取り組むようになった」などの報告もあるので、各市町村の成功事例を共有し、継続につながる仕組みが作れるとよい。
荒廃した里山・平地林の整備についての評価
- 植栽のあり方について、検討が必要であ。
- 地域住民にとって切実な問題を解消する事業として有効であった。身近で成果が目に見える事業であるため、税の役割、意義を理解していただくという点においても評価出来る。一方、事業終了後の管理が課題となっている市町村が多いため今後も検討が必要である。
- 竹林整備の事業量が多いのが特徴であるが、原因となる放棄竹林が各地域で獣害の原因となっていることがうかがえた。多くの地域には他にも未整備竹林があるが、管理団体の能力ではこれ以上の管理は困難であるといった声が多く見られた。その後の利活用について市町村が仲介し、他の住民に活用いただけるようなマッチングの仕組みを作ることも重要であると考えられる。需要も多くあることから、今後も広く利用していただき、地域の森林環境の改善につなげていただきたい。
- 景観の維持や鳥獣害の減少、日照の改善など様々な効果があがっており評価できる。一方、整備後の現状を保つための継続的な管理が課題であり、検証すべき点である。
- ぐんま緑の県民税により高齢化が進む地域で管理できずに荒廃していく里山や平地林の整備が行われ、住民生活の安全・安心な環境づくりや鳥獣害対策になっていることは大いに評価できる。管理団体の高齢化によって維持管理が難しくなるという課題解決には、住民参加による世代交代を進める必要がある。荒廃した里山・平地林の整備は地域住民から好評を得ている地域も多いので、各地の事業実施を通じて「ぐんま緑の県民税」の普及啓発につながることを期待する。
- 総じて、AまたはB判定結果となっており、十分に取り組まれているものと評価する。B判定となっている箇所の主な課題は事業の維持・継続の担い手の問題が理由であると考えられる。人材育成については、森林環境教育・普及啓発を引き続き尽力されたい。
- 地域住民の生活環境の保全のための使途なので、問題ないと判断する。
- みなかみ町はユネスコエコパークに認定されているが、自然を厳格に保護する世界遺産とは違い、豊かな生態系を守りながらも、自然資源を活用し、持続可能な経済活動を目指すという考え方であるが、この考え方は里山・平地林の整備にも必要であると考える。
- 竹林や森林の整備は景観保全や鳥獣害対策など、地域の安心・安全な生活環境づくりにつながることから、継続的な取り組みで更なる改善が期待できると思う。
- 課題をきちんととらえている点については、評価できる。
森林環境教育・普及啓発についての評価
- 森林環境教育・普及啓発については、さらに事業数を増やせるよう、県のサポートが必要である。
- コロナ終息を見据え、県民の森林への理解が深まるよう森林環境教育・普及啓発を進めていく必要がある。
- 認知度が低い事が原因なのか、市町村の森林環境教育・普及啓発に対する積極性の違いなのか、県民からみれば在住する市町村によって森林環境教育への参加機会に差があるのは不公平になるのではないか。
- 民間提案型の事業展開も必要である。
- 将来の林業担い手を増やすことや、森林整備の必要性について教示する場も提供しており、多くの県民が関心を寄せることが出来たものと思われる。
- 子供たちを対象とした自然体験学習において、自然や山林に直接触れることで身近な森林に関心を高め、森林の役割について理解を高めることにつながったものと評価できる。
- 多くの関心を集めている中で、今後もより多くの県民に対して森林と触れ合う場を提供いただきたい。
- 森林の空間を利用した事業が、森林との新しい関わりを生むことに期待したい。様々な方法で森林と県民の関わりを増やすことが森林環境教育・普及啓発になると思う。
- 健康維持・増進に係る森林効果を体験する事業として評価できる。また、森林の多面的機能を理解していただけたと思う。
- 森林の中で活動することで、森林への関心を高め、理解を深める良い機会になったと思う。
- ヨガ、フィットネスの他、森林セラピーなどと教育や普及啓発を組み合わせることは効果的であると思う。
- 人が集まるのが困難な中ではあったが、よく計画が実行されたと思う。教育も啓発を続けることでより成果が出るものなので、さらに森林環境教育を進められるとよいと思う。
独自提案事業についての評価
- 各市町村が積極的にぐんま緑の県民基金を活用し、様々な事業に取り組むようになっている。また、実施した事業に対する評価と今後の課題について、きちんと調査されている点もよいと思う。
- 独自提案型事業の評価方法ついては、他事業とは異なる視点も必要である。
- 竹林、森林整備は目に見える効果があったと評価する。
- 学校林については独自的であり、生徒たちが地域住民の支援を受けながら身近に森林や木材等に関心を持てる事業展開を期待する。
- 学校の隣接地の公有林化により、生徒の森林環境教育の場となっていることは評価できる。「ぐんま緑の県民税」をアピールする場としても有効である。
- 竹の粉砕機購入について、利用率向上を図ることができれば、評価は更に上昇すると期待する。
- 市町村独自の事業に対する補助は、継続性が期待できるため、高く評価する。
- 継続実施しているクビアカツヤカミキリの防除対応では、東毛地区において足並みを揃えた防除事業が展開されていることが評価できる。また、地域がかかえる森林環境問題は多岐にわたるため、他のメニューに該当しない内容の場合は、当独自提案事業の活用を検討していただきたい。
- 東毛地区での基金活用はクビアカツヤカミキリ被害が主であるが、県民全体から税負担をしていただいていることからすると、森林の多い北毛だけでなく、市街地でも事業として対応できるこの取り組みは評価できる。
- クビアカツヤカミキリ対策は一定の効果が認められたので、継続した事業推進をお願いしたい。
- クビアカツヤカミキリにおける被害拡大防止に一定の効果があったとあるが、被害の拡大はつづいている現実があるため、この課題を伊勢崎地区の対策に活かしてもらいたい。
- クビアカツヤカミキリ対策として、植栽を含めた補助ができるとよい。
その他意見
- ぐんま緑の県民税の認知度向上のためには、広報戦略が不可欠だと感じる。専門的なアドバイスや、行政目線ではない企画を民間企業もいれて考えていけたらいいのではないか。
- ぐんま緑の県民基金が有効に活用され、他県のモデルとなるような事業となるとよい。
- 地域での取り組みを通じて、環境保全に興味を持ち理解を深めていければと思う。