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第1回群馬県行政改革評価・推進委員会の概要
1 開催日時
平成22年9月24日(金曜日)13時55分~16時00分
2 場所
群馬県庁 第2特別会議室
3 出席者
7名(荒木委員、猪熊委員、桐谷委員、鴻上委員、佐藤委員、鈴木委員、間仁田委員)
(2名欠席)
4 議事概要
(1) 委員長及び副委員長の選任について
- 委員の互選により、佐藤委員を委員長に選任した。
- 委員長の指名により、鴻上委員を副委員長に選任した。
(2) 群馬県行政改革評価・推進委員会について
- 委員会の目的、付議事項、委員構成等、開催予定、設置要綱について事務局から説明後、討議。(資料1~4)
議事録の公開について
- 欠席委員の異論がなければ、発言委員名も公表することとした。
会議外での意見交換について
- 会議外での意見交換について、メールを活用した方法等の案を事務局で検討の上、委員に諮ることとした。
委員会の討議内容の公表について
- 委員会自体を原則公開で開催しており、討議内容を公表しても問題はないことを確認した。
(3) 現在の群馬県の行政改革の取組について
- 平成20年度から22年度までの計画である「県政運営の改革方針」の内容及び「同実施計画」の進捗状況について事務局から説明後、討議。(資料5~7)
事務局説明
「県政運営の改革方針」は3つの取組を掲げ、取組ごとに主な取組内容を挙げている。(各取組内容を説明。)さらにこの方針を受けて「実施計画」として193項目の具体的な取組事項を設定し、各項目を何年度に「検討」「試行」「実施」するとした計画を立てた。平成21年度末の計画達成率は97.4%であり、ほぼ計画に沿って進めてきている。計画よりも取組が遅れているのが6項目ある。
取組が遅れている項目について
鈴木委員
取組が遅れている項目のうち、「情報公開条例に基づく請求に対する開示をインターネットで行う」との項目について、21年度には「試行」する計画に対し、「検討」にとどまっているが、開示が難しい理由は何か。
事務局
インターネットによる開示を行っている自治体もあるが、所管課の検討では、システム上の課題等があると聞いている。
猪熊委員
既に実施している自治体があるとのことであり、運用やセキュリティーの問題ならば、実施可能ではないか。
佐藤委員長
具体的な検討状況について、所管課に確認してほしい。
(4) 新行政改革大綱骨子(案)について
- 新行政改革大綱骨子(案)について事務局から説明後、討議。(資料8、9)
事務局説明
厳しい財政状況を踏まえ、これまでに1,000人を超える人員削減(警察官、病院の人員増を除く)や歳出削減を行い、プライマリーバランスの黒字を維持してきた。一方で多様な課題やニーズは依然としてあり、職員の能力開発だけでなく、従来の仕事の仕方を変えなければ対応しきれない状況にまできていると考えている。こうした認識の中で、新たな行政改革の取組が必要と考えている。
現在の「県政運営の改革方針」は、新たな知事の下での県政の刷新という視点から、いわゆる行政改革だけでなく県政全般の課題への取組も広く含んでいるが、今回作成する新たな大綱では行政改革に関する課題に絞り込みたいと考えており、次の3つの目標を掲げた。
- 目標1 : より簡素で効率的・効果的な行財政体制を確立する。
- 目標2 : 「地方分権推進県・ぐんま」をつくる。
- 目標3 : 県民と協働して仕事の仕方を改革する。
新たな行政改革の取組が必要な理由について
荒木委員
「仕事の仕方を変えていかなければならない」という切実な話があったが、具体的に何が問題なのか。
佐藤委員長
案で示されている具体的な解決策の前提として、どんな問題があるのか。
事務局
例えば、一般行政部門ではこの5年間で560人を削減してきた(約4,500人→約4,000人)。多様な課題、ニーズに対応している中で、人を減らすのは限界にきていると感じている。また、厳しい財政状況の中で、事業を見直しスクラップアンドビルドしながら予算を縮減してきた。
人も減る、予算も減るといった状況の中で、従前と同じ仕事の仕方ではサービスの質や量を維持できない。それなりの人数でやっていた仕事を、人が減った現在も同じやり方で行うのは難しいと考えている。
佐藤委員長
「過去と同じ仕事の仕方から脱却しなければいけない」と思いながらできないところに根深い問題がある。それは外部からはなかなか見えないし、行政内部でもはっきりとは認識できていないのかもしれないが、どういうところに問題があるのかが分かってくれば、対応案の妥当性も判断できる。個々の取組は断片的なものでしかないので、それが妥当かどうかは根本の問題が見えてこないと検証のしようがない。様々な問題が考えられると思う。
財政面からの行政改革の必要性について
猪熊委員
別の視点として、プライマリーバランスの黒字を維持しているのに、そこまでの危機感を持ってやっていかなければならないのはなぜか。群馬県の予算動向や財政状況を分析していないので他団体と比較しての話になってしまうが、全国的には赤字団体も出ている中で、なぜ群馬県がプライマリーバランスを黒字化できているのか。また、今後の予算的な見通しはどうか。
そうしたことが分かれば、「これからも削減、合理化していかなければならない」、「仕事の仕方を変えていかなければならない」というところに結びついてくると思うが、単純に考えれば、「黒字が出ているのならば、無理に人や予算を減らしたりせずに、逆に黒字を効果的な仕事に充ててサービス向上に使ったらよいではないか」という考え方もできる。
事務局
これまで削減をしてきたから黒字を維持してきているという面もある。また、県債で賄っている部分も大きく、県債残高も増えている。(通常県債分は減らしてきているが、臨時財政対策債分が増え、合計すると残高は増え続けている。)
鴻上委員
現状の収支はプラスだが、資金繰りや債務等の状況を考えると苦しいということか。
佐藤委員長
財政状況が分かる資料を用意してもらいたい。
現状の仕事の仕方について
鴻上委員
仕事のやり方という面で、職員の目標管理制度の現状はどうか。
事務局
昨年度下半期から導入しており、半年後までにどうするかについて具体的な目標等を立てている。個々の職員が自らの目標を作り係長に相談し、係長は係の目標を作成する。課長は課の目標を作成している。
鴻上委員
制度導入前はどうしていたのか。
事務局
既に平成15年度から内容的には同様のものを試行してきており、現在では各自が自分の業務を振り返りながら目標を設定することができるようになっている。
なお、昨年度の制度導入後は、勤勉手当にも反映させている。昨年度は課長級以上について、今年度からは次長級まで、業績評価の結果により手当に差を出している。
佐藤委員長
その差はどのくらいか。
事務局
全員の勤勉手当から一定率を割り引いて原資とした上で、上位30%の者に上乗せしており、半期のボーナスごとに1万6千円/人程度を増額している。
佐藤委員長
先ほどの目標の立て方を聞いていると、下からの積み上げ方式で目標を設定しているように聞こえたが、順序が逆ではないか。
事務局
トップダウン式に、組織目標に沿って個々が目標を設定する制度となっており、各部長が考え方を示し、それを踏まえ各課、個々人が目標を設定している。その際に上司と職員の間で何回かやりとりが行われるが、それを通じて各目標の詳細を見ながら上司がさらに目標を具体化して下ろしていく流れもあるということである。
佐藤委員長
「組織は戦略に従う」という言葉がある。県の総合計画や知事のマニフェストが上位にあり、それを具体化していくために各組織がある。下からの積み上げを見ながらでないと部長が部の目標を設定できないというところにも問題があるのではないか。
鈴木委員
企業ではあり得ない。例えば生産性を30%上げる(3割仕事をなくす)という目標を会社や部長が立てたとすれば、全体の3割削減につながるような個別の具体的な目標を末端までツリーのように作っていく。それを決めるのが部長の仕事であり、それができなければ部長の資格はない。
積み上げないと目標が見えてこないというのは、行政ならではのことだと思う。多岐にわたる業務を非常に複雑な仕方で行っていたり、あるいは慣例があったりするので、そこまで入り込んでいかないと仕事の中身が見えてこないということではないか。現状の問題として、こうした仕事の仕方もあるのではないか。
荒木委員
行政改革を進めなければ立ち行かないとの危機意識は伝わるが、具体的な問題が伝わってこない。
佐藤委員長
何が問題なのかを明らかにすることが大事である。行政の場合は、「課題」という言葉でお茶を濁してしまうことが多いが、課題の前に「問題」があるはず。「問題が分かっているのになぜ対応しないのか」と指摘されることを懸念して問題を出したがらないのは分かるが、前提として何が問題なのかを洗い出していかないと、何を、どのように、どの程度で、いつまでに、だれが、幾らをかけてやるべきか、また、それが適切なのかが分からない。次回には具体的な実施方針の案が出てくるが、断片的なメニューの羅列だけでは判断のしようがない。
骨子案の内容について
鈴木委員
所用で中座しなければならないので、骨子案についての意見をまとめて述べたい。
改革の必要性について、「これまでも努力をして職員、予算を削減してきたが、今後、歳入が減っていく中で危機感を持って改革をする必要がある」との考え方は理解できる。
方向性についても非常によい。特に目標3「県民と協働して仕事の仕方を改革する」に掲げられている取組をやらない限り、行政改革は無理だと思う。
仕事の質を上げるためには二つの方法があると考える。
一つは職員の効率性を上げることであるが、人間であり限界がある。その限界を超えるには、技術的な要素、例えばIT等の技術的なシステムなどがない限りできない。そうしたことは、県でも既に工夫されていると思う。
もう一つは、すべてを県庁職員でやろうとすればパンクしてしまうので、仕事を外部の民間に出していくことである。ただし、欧米の例を見ても、本来、外部に出すべきでない仕事まで出してしまうと失敗する。その仕分けをしっかり行うことが必要である。
そうした仕分けをする際に考えてもらいたいことがある。例えば、リーマンショック後にある大企業で行われた業務見直しの簡単な取組の例であるが、職員全員の引き出しの文房具を会社全体で棚卸ししたら、ムダがたくさん出てきた事例がある。こうしたことが県庁でも部局を超えてできるだろうか。
この考え方は、仕事の仕分けでも同じである。1つの仕事を違う切り口で行っていて、本来1つでよい仕事を複数に分けてしまっていないだろうか。そういった確認を是非やってもらいたい。例えば、自分の仕事の関連で言えば、県の産業経済部、産業技術センター、産業支援機構で行われている様々な支援事業等でもオーバーラップしているものがあると感じる。様々な切り口が多くあることは、サービスを受ける県民の方からすればよいことではあるが、結果として人も金もかかり県民負担となっていることなので、本当に必要かどうかを1度洗い出していく必要がある。横の連携を密にして洗い出せば、大分スッキリするのではないか。
佐藤委員長
静岡県が10数年以上前から「業務棚卸し」と称して、そうした業務の洗い出しを行っている例がある。県の中の二重行政、三重行政は洗い出してみないと分からない。そうした観点は大事である。
本来は、施策評価や事務事業評価を行う中で、重複解消や業務再編の必要性も検討していくものと考える。群馬県でそこまでしているかは分からないが、今ある行政評価を活用して棚卸しを行うこともできる。
事務局・田中委員の意見を紹介
本日欠席の田中委員から事前に意見をもらっているので紹介したい。
[目標1(より簡素で効率的・効果的な行財政体制を確立する)について]
- PDCAの「C」(チェック)の部分で、外部委員と職員とが議論できる仕組みがあるとよい。
- 適正な定員管理の「適正」とは、また、財政基盤の強化の「基盤の強化」とは、それぞれ具体的に何を指すのかが不明確である。群馬県の採用している新公会計制度を総務省方式改訂モデルから基準モデルに移行すれば、民間と類似の正確な財政情報が開示されることになるので、組織や財政の「適正な」状態というレベルがはっきりするので、そのような情報をベースに議論するのが有効だと思われる。
- 新公会計制度については、総務省方式会計モデルではなく基準モデルに移行すべきである。
[目標2(「地方分権推進県・ぐんま」をつくる)について]
- 県民から見れば県は遠い存在であり、市町村ごとに移譲された権限が虫食い状態になっている現状は、早急に解消すべきである。
- できるだけ移譲を進めるべきと考えるが、一方で、小さな町村については、人、財源が十分であるか配慮も必要である。ただし、この場合でもトータルのコストが権限移譲前を上回ることがないように心がけるべきであることは言うまでもない。
[目標3(県民と協働して仕事の仕方を改革する)について]
- 具体的な取組例として挙げられているのは、民間活力の活用に関することであり、「県民との協働」という表題はニュアンスが異なるのではないか。(佐藤委員長から「私もそう思う。」との発言あり。)
- 本来は市町村が行った方が効果的なのに、県という単位があるから実施する、あるいは、県が所管しているからとの理由だけで県が行っている事業、イベント等は減らしてゆくべきである。
- 新公会計制度を基準モデルにすれば、財政状態についての情報開示の内容が格段に向上し議論のベースとして使用するレベルになるので、財政に関して民間からも意見が出しやすくなるし、財政に関して民間からも意見が出しやすくなり、議会のチェックも容易になる。そのことが仕事のやり方を変える契機になると考える。
猪熊委員
「県」という用語の使い方が気になる。世間一般で「群馬県」と言えば、群馬県という地域を指す語として使っている。骨子案では、行政組織としての「県」の意味で使っており、「県のみでなしうるものではなく、・・・県民との協働により・・・」といった形で「県」と「県民」とを区別しているが、「群馬県」には我々「県民」は含まれないのかといった違和感がある。「県民と協働して仕事の仕方を改革する」との目標もあるが、県の行政改革を進めるに当たってのスタンスにもかかわってくることではないか。
事務局
「県行政」といった表現が考えられるか検討してみる。
猪熊委員
「4 目標実現のための「具体的な取組」」の「(1)「具体的な取組」設定の視点」について、「[3]「社会や時代の変化に迅速に対応する」という視点」と「[6]「スピード感」の視点」は、同じようなことを言っている。趣旨をくめば、[3]は変化に対する「柔軟性」に関することだと思う。
事務局
[6]は個々の業務ですぐに対応すること、[3]はより広く、県として社会情勢に対応することを想定してのものであり、まさに[3]は「柔軟に対応する」の意味である。
間仁田委員
市町村への権限移譲について、他県でモデルケースとなるような事例はあるか。
事務局
本県の現在の「権限移譲推進プラン」では、他県が既に市町村に移譲している事務については少なくとも進められないかということで、そうした事務をリストアップして市町村に提示した上で、市町村からの「手挙げ方式」で移譲を進めている。
他県では、県と特定の市町村とが一緒になって、街づくりや福祉等、関連のある事務を一定の固まりにしてその市町村に対し移譲する計画を作って積極的に進めているところもあり、参考にしたいと考えている。
その他
佐藤委員長
予定していた時間がきたので、十分に議論を尽くせていないが、本日の討議は終了としたい。
事務局には早急に、各委員に意見を出し合ってもらう方法の案を示してもらいたい。次の委員会まで期間があくので、委員間でしっかり情報共有した上で検討を進めたい。
また、委員会の場で十分な議論を行うために、委員会資料は事前にできるだけ早く各委員に送付してほしい。
(5) その他
- 次回日程は11月中旬とし、別途日程調整を行うことについて事務局から説明した。
佐藤委員長
委員会の場以外での意見交換の方法が決まる前でも、まずはどんな形式でもよいので、本日の議題に関する意見等があれば、事務局に出してもらいたい。