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生涯学習センターの取組の検証結果についての答申
答申書
平成26年10月27日
群馬県知事 大澤 正明 殿
群馬県教育委員会教育長 吉野 勉 殿
群馬県行政改革評価・推進委員会 委員長 佐藤 徹
群馬県公共施設のあり方検討委員会の答申を受けた生涯学習センターの取組の検証結果について(答申)
本委員会に諮問された標記の件について、別紙のとおり答申します。
県におかれては、本答申を参考に、費用対効果をより高め、県民サービスの向上に努めてください。
また、今後、改善の取組を行う際は、期限を区切って検証し、自律的かつ持続的に更なる改善が図られていくよう求めます。
答申書別紙
群馬県公共施設のあり方検討委員会の答申を受けた取組状況の評価及び提言(生涯学習センター)
1 公共施設のあり方検討委員会の答申において求められていた市町村等への支援や高度で専門的な知識を有する指導者の養成の強化、少年科学教育の更なる推進について、以下のとおり努力や成果がみられており、評価できる。
(1)市町村等への支援や指導者養成の強化
市町村職員・各種団体の指導者を対象として、ワークショップ形式の研修を取り入れたほか、出張型研修として県内各地域において社会教育推進セミナー(行政機関等の生涯学習・社会教育担当者を対象とした基礎的・専門的な研修)の開催、さらに、経験年数が少ない市町村職員のための社会教育実践研修など講座内容を充実させ、人材育成の強化に積極的に取り組んでいる。
また、地域の課題を解決するための人材育成等を目的とした実践的な学習プログラムを研究開発し、調査研究機能の強化を図っているほか、現代的・社会的な課題解決の支援を目的とした学習プログラムの開発研究や会議・講座への大学教員の招聘など、県内の大学(群馬大学、高崎経済大学等)との連携強化を図っている。
(2)少年科学教育の更なる推進
県有施設(ぐんま天文台、ぐんま昆虫の森、自然史博物館等)との連携を強化し、子どもたちが科学に親しめる実験や工作等を行える場の充実や展示ブースを連携機関ごとに出展するなど、連携事業の拡大を図っているほか、複数の指導者が協力して支援し合える指導体制の充実や魅力ある教材を毎年度開発するなど、少年科学館におけるおもしろ科学教室の充実を図っている。
2 今後も引き続き上記の点をはじめ、施設の有効活用や事業内容の充実に向けて取り組んでいくことが求められるが、その際には、以下の点に留意する必要がある。
(1)より多くの県民による利用の促進
センターが実施した利用者アンケート結果によれば、施設を利用した経緯として、会員、友人・知人からの紹介による者が70%以上と最も多く、利用者の範囲が限られている状況にある。また、貸館事業は、自ずと、その地域に住んでいる人の利用が中心となりがちである。こうしたことから、施設のPRや講座の開催状況等、広報のあり方について検討し、県立施設として、より多くの県民に利用してもらうための工夫が必要である。また、貸館事業については、公共施設のあり方検討委員会の答申で示された意見も踏まえ、県と市町村の役割分担の観点から、引き続き必要性等について検討していくことが必要である。
(2)生涯学習の拠点施設としての機能の強化
当初はレクリエーションとして余暇をどう過ごすかという観点で様々な教室がつくられ、県内をリードするための一定の役割は果たしてきたが、同様の取組は市町村にも波及し、民間を含めれば、文化教室や通信講座などの普及も見られる。
今後は、人材育成に重点を置くこととされているが、指導者等の育成については、養成した後も登録制にして活用できるようにしたり、市町村の職員についても、専門家を育成する視点から対象者を重点化したりするなど、できる限り事業効果の向上を図っていくことが必要である。また、講座のテーマや内容についても、県としてどこまでをカバーするのかを明確にした上で取り組んでいく必要がある。
(3)指定管理者制度導入の検討
指定管理者制度については、貸館事業の部分的な導入も含め、経費削減や民間の知恵を取り入れるメリットもあると考えられるため、他県で既に導入している生涯学習センターにおいて効果的に管理運営されている事例を十分調査し、今後も検討されたい。
(参考1)委員会での主な意見
- 時代の流れで設置当初は必要であった設備も現在はあまり需要がない設備もでてきてしまうため、設備の中身を変えていく必要がある。
- 貸館事業はその地域に住んでいる人しか利用できないため、県として貸館事業を行う役割は終わりつつある。
- 設置当初と社会は変わってきているため、施設の中心的な機能を考えていかなければいけない。
- 市町村の職員は異動があるため、育成する対象をある程度絞った方がよい。
- 講座において、科学・防災・安全などのテーマは、県としてどこまでを対象とするか決めておかないと範囲が広がってしまい、センターとしての機能があいまいになってしまう。
- 人材を育成するだけでなく、育成した人がその後きちんと県民に教えていかなければいけない。
- 利用者アンケートにおいて、施設を利用した経緯が、会員、友人・知人による紹介が70%以上であるため、広く県民に知ってもらうために今後の広報のあり方を検討する必要がある。
- 通りすがりの人でも寄っていってもらえるような工夫(看板の設置や電光掲示板による表示など)をすべきである。
- 施設のユーザは学校の先生であると感じるため、この施設で得たことを教育現場で生かさなければいけない。
- アンケート調査について、施設の利用者だけでなく、広く県民にアンケートを行う必要がある。
(参考2)公共施設のあり方検討委員会答申後の生涯学習センターの取組状況
- 情報公開
歳入歳出決算状況・主催事業の実施状況・アンケート結果等をホームページで公開。 - 外部の声の把握・反映
施設利用者等にアンケート調査を行うとともに、アンケート結果を分析し、施設運営の改善を実施。
改善例:アンケート調査を基に、ワークショップ形式の講座を開催等 - 経費削減
消耗品の再利用や警備委託等の内容見直しを行い館運営費の削減を行うとともに、光熱水費の削減のため、平成24年4月からエスコ事業を開始。 - ボランティアの確保と質の向上
子育て支援ボランティアや少年科学館ボランティアを積極的に活用するとともに、ボランティアの資質向上のため研修会や交流会を開催。 - 視聴覚センターのあり方
利用者の増加を図るため、教材・機材の貸出、メディア交換、記憶媒体へのコピーなどのサービスの充実に努めた。 - 市町村支援及び指導者養成
市町村職員や各種団体の指導者を対象として、ワークショップ形式の研修を取り入れたほか、出張型研修として県内各地域において社会教育推進セミナーや市町村職員のための実践研修を実施するなど講座内容を充実させた。
調査研究機能の強化として、地域の課題を解決するための人材育成等を目的とした実践的な学習プログラムを研究開発。
県内の高度な学習ニーズに応えるため、県内の大学(群馬大学、高崎経済大学等)と連携し、現代的・社会的な課題解決の支援を目的とした学習プログラムの開発研究や大学の教員を招聘した講座の開催。 - 主催事業参加者の増加策
講座定員数を増やすとともに、各講座が意図する対象者への広報活動を実施。
主催講座の定員:605人(平成21年度) → 690人(平成25年度) - センター独自の取組
現代的、社会的な課題に対応した学習機会の提供と課題解決を担う人材育成を目的として、課題解決支援講座を企画、開催。(課題解決支援講座の学習内容:次世代育成、ICT活用による地域活動、男女共同参画、安全安心な地域づくり、コミュニティビジネス、消費者教育、ESD推進) - 県有施設との更なる連携
ぐんま天文台、ぐんま昆虫の森、自然史博物館等と連携し、子どもたちが科学に親しめる実験や工作等を行える場の充実や展示ブースを連携機関ごとに出展。 - おもしろ科学教室の充実
サイエンスインストラクターの会と連携し、複数の指導者が協力して支援し合える指導体制や魅力ある教材を毎年度作成。
(参考3)公共施設のあり方に関する最終報告書における答申内容(平成21年10月23日)
(1)施設の必要性について
本県の生涯学習の拠点施設として、学習情報提供、指導者養成等、市町村や各種団体等に対する指導的な役割を担うべき施設であり、施設の設置目的は失われておらず、継続とすべき。
ただし、貸館事業については、市町村の役割である公民館的な要素が強いため、県と市町村の役割分担の観点から、県の施設としての必要性について検討する必要がある。
(2)管理運営方法について
貸館事業において、開館時間の見直しも含めて、職員体制の分析、見直しの検討が必要である。
また、施設の有効活用を図るべく、管理運営の徹底した見直しと利用者増加の積極的な努力に努められたい。
(3)管理運営主体について
引き続き県直営による管理が適当ではあるが、民間のノウハウを活用する観点から、指定管理者制度について、他県での活用状況の情報収集に努められたい。
また、貸館事業の必要性の検討を踏まえた上で、部分的な指定管理者制度の導入について検討されたい。