本文
第10回群馬県行政改革評価・推進委員会の概要
1 開催日時
平成25年6月27日(木曜日)9時45分~15時45分
2 場所
群馬県立歴史博物館
群馬県立自然史博物館
3 出席者
8名(佐藤委員長、青木委員、板橋委員、木下委員、木村委員、鴻上委員、忠永委員、田中委員)
(1名欠席)
4 議事概要
(1) あり方検討委員会の答申を受けた歴史博物館の取組状況について
- 施設概要説明
- 施設調査
- あり方検討委員会の答申内容
- 答申後の歴史博物館の取組状況
- 討議
1 施設概要説明
- 資料2 歴史博物館の概要(その1)により歴史博物館館長から説明。
館長
本館は昭和54年に開館し、33年が経過している。施設が老朽化しており、適宜修善をしているところである。
展示による外に向けたサービスだけではなく、群馬県の歴史と文化について調査、収集、研究、保管等にも力を注いでいる。現在、県内の約10万点の資料を保管するとともに、国からも重要文化財の埴輪等を預かっており、これを整理、調査し、研究等に活用している。
県民に対するサービスの基本として、学芸を中心とした展示のサービスと、主として小学校の子どもたちに対する体験学習を中心とした教育普及の2つを車の両輪と考えている。特に、本館の教育普及活動は、全国的に見てもトップレベルの授業を展開していると自負している。
平成23年の夏に水滴染み事故を起こし、文化庁から公開承認施設の承認取り消しを受けたところであるが、現在、復旧のための取組を強めている。
2 施設調査
- 考古資料収蔵庫
- 考古研究室
- 視聴覚室
- 企画展示室
- 第1、2、3展示室
- 中庭
- 第4、5展示室
- 学習室
3 あり方検討委員会の答申内容
- 資料1 あり方検討委員会答申(平成21年10月23日)抜粋により事務局から説明。
事務局
「(1) 施設の必要性について」は、本県の歴史文化に係る研究・社会教育の中心施設として、県内外の小学校による利用や体験学習にも力を入れるなど、数多くの県民等に利用されており、施設の設置目的は失われておらず、継続とすべきとの判断をいただいた。
また、当館は、群馬県博物館連絡協議会のとりまとめ役を担っていることから、県内における連携強化のほか、県外の博物館との連携についても検討するよう求められた。
「(2) 管理運営方法について」は、開館以来、基本レイアウトを変えていないことから、展示内容や展示方法について見直すとともに、子どもたちからの関心を高めるような工夫に努めるよう求められた。
また、職員が学校現場に積極的に出向くことや展示の解説にも対応できるようなボランティアの養成、群馬の森内の施設相互の連携方法等について検討するよう求められた。
「(3) 管理運営主体について」は、引き続き県直営による管理が適当ではあるが、民間のノウハウを活用する観点から、指定管理者制度について、他県での活用状況の情報収集に努めるよう求められた。
4 答申後の歴史博物館の取組状況
- 資料2 歴史博物館の取組状況(その1)により歴史博物館事務局から説明。
歴史博物館事務局
あり方検討委員会の答申を踏まえた取組状況
- 施設の必要性について
群馬県の歴史文化、社会教育施設として、県民の関心が高い国宝展等を開催し、観覧者の増加に努めている。平成22年度入館者が減少しているのは、21年度に開催した30周年記念展で多くの入館者があった反動である。また、23年度は展示品への水滴染み事故を起こしたことにより、特別展示が中止され、常設展示のみの公開となったことから、入館者数は減少した。
学校団体利用については、学校の要望を取り入れた学習プログラムや体験学習プログラム等を用意し、県内外の教育委員会に資料を配付するなど利用拡大に努めた結果、参加者が増加した。
親子向け体験プログラムについては、親子で歴史を楽しめる場として、「わくわく体験」などのプログラムを用意することで参加者の増加につなげた。
群馬県博物館連絡協議会の活動については、県内の博物館や美術館を紹介するハンドブックを発行するとともに、「博物館の日キャンペーン」などの実施により、博物館相互の連携強化に努めた。 - 管理運営方法について
子どもたちの関心を高めるような工夫として、「昭和の暮らしコーナー」や土器パズル等を設けるなどの工夫を行った。
学校利用については、県内の小学校に職員が出向き、歴史学習の一環として「歴史デリバリー教室」を実施するとともに、幼稚園・保育園へは、昔の生活や遊びを体験してもらう「お出かけ体験」を実施した。
解説員ボランティアの養成については、夏休み期間中、資料説明や体験補助として高校生の解説員ボランティアを配置した。
群馬の森、歴史博物館、近代美術館の三者による連携強化については、「群馬の森三者連携協議会」を発足させ、情報共有を図るとともに、連携して夏休みイベントを開催した。 - 管理運営主体について
平成24年度に全国の都道府県立の博物館・美術館・文学館等における指定管理者制度の導入状況について調査を行い、メリット・デメリットを比較検討した結果、歴史博物館は当面直営で運営することとしている。
5 討議
施設の必要性について
(青木委員)
事故により重要文化財が展示できなくなったとのことだが、もう少し説明してもらいたい。
(博物館事務局)
従前は、国の公開承認施設に認定されていたが、事故を契機に文化庁から取消しを受けたことで、重要文化財の展示ができなくなった。現在、改修の設計を進めており、早期に工事を行い、再び認定を受けたいと考えている。
(忠永委員)
資料は保管するだけでなく、写真に撮りデータベース化することで閲覧できないか。また、群馬県全域の古墳・歴史・博物館マップを作ってはどうか。
(博物館事務局)
現在、資料のデータ化を進めており、インターネットを通じて資料を検索できるようにしたいと考えている。
古墳等のマップについては、県で作成した東国文化副読本を活用し、県内の史跡を案内できるようなコーナーの設置も考えている。
(板橋委員)
ホームページを見たときは、貧弱である印象を受けたが、来てみたところ想像できないくらいに内容が豊富であった。しかし、もう一度来たくなるかというとそうでもないという点が気になる。
(博物館事務局)
ホームページの質については、職員はなかなか気付かない点である。
博物館は、一度つくると展示の全体的なレイアウトがなかなか変えられないという難点がある。今回の改修を機に、常に新しい展示が見られるという状況を作れるよう検討している。
(佐藤委員長)
データベース化については、どのくらいで実現できるのか。
(博物館事務局)
データベース化については3年前から行っている。現在のところ、6~7割が完了し、一部の資料については館内の端末で閲覧できる状況にある。
管理運営方法について
(木村委員)
常設展示について、自身がどの時代の展示室にいるのかわかりにくい。キャラクターを活用するなど、子どもにもわかりやすくしてはどうか。
学校との連携について、多くの学校が授業の一環として来館しているようだが、学校がカリキュラムを組むのに合わせて歴史博物館から情報提供を行っているのか。
(博物館事務局)
展示室ごとに時代を分けているが、時代の変化がわかりにくい状況にある。歴史年表を掲示することなどにより、わかりやすくする仕組みを考えている。
学校だけでなく教育委員会や社会科の教員の集まりなど、様々な集まりを利用し、不定期ではあるが情報提供している。また、博物館において教育普及を担当している職員の中には、学校現場から来た者もおり、学校の要望を聴きながら実情に合った情報提供を行っている。
(田中委員)
警備業務等の委託料が毎年増加しているがなぜか。
(博物館事務局)
警備委託については、積算価格の範囲内において、入札により最低価格の応札者と契約している。
清掃委託については、毎年仕様の見直しを行っており、企画展等の開催状況により、清掃の頻度が変わるため、委託料も上下する。
(田中委員)
警備の委託料について、積算価格も毎年増額しているのか。
(博物館事務局)
最低賃金の改定に合わせて賃金が増額すると、積算価格も増額する。
(田中委員)
人件費の増加が主要な要因ということか。
(博物館事務局)
そのとおりである。
(田中委員)
清掃委託について、近代美術館と一緒に契約しており効率的であると思うが、費用の配分割合はどのようになっているか。
(博物館事務局)
博物館と美術館のそれぞれの個々の清掃業務の積み上げに基づき費用の配分をしている。
(田中委員)
教育普及活動の学校教育連携事業について、具体的にどのようなことを行い、経費が発生しているのか。
(博物館事務局)
博物館の教育プログラムを学校に提供しており、解説員がクラスを受け持ち学習指導要領に沿った学習をしているが、その際の学習教材や補助教材、展示物等に経費がかかっている。また、子どもたちにクリアファイルを配布し、博物館の様子が家庭にも伝わるようにしている。
(田中委員)
教材やクリアファイル等の作成費ということだが、クリアファイルではなく他にも違ったものが十分にあるのではないか。
(博物館事務局)
以前は館内マップを配っていたが、置いていく子どもがいたため、ファイルに当日の資料を挟んで、学校へ持って帰ってもらう補助用品として配布している。また、家庭に持ち帰ることで、後日、親子で来館してもらうきっかけとしている。
(田中委員)
管理運営費の内訳(資料2 歴史博物館の概要 その2)において、企画展を開催していないにもかかわらず、平成24年度と25年度の両年度に委託料が計上されているのはなぜか。また、両年度の委託料が大きく異なっているのはなぜか。
(博物館事務局)
平成24年度はパネルの修繕や作成を委託により行ったため、委託料が計上されている。また、25年度は企画展はないものの、企画展示室で館蔵品を使ったコレクション展示を行っており、その際の監視委託業務に約200万円を要した。
(田中委員)
監視員と解説員を兼ねることができるボランティアを養成してもらいたい。
(田中委員)
改修工事のめどはついているのか。
(博物館事務局)
平成25年度は実施設計を行い、26年度に改修工事を行いたいと考えている。
(木下委員)
かなり見応えはあるが、もう少しボリュームのある展示を期待して来た。
(佐藤委員長)
管理運営経費の削減について、どのように検討し、削減効果はどの程度あったのか。
夏休みのイベント開催があったが、これが住民サービス向上を図るための施設相互の連携に当たるのか。
(博物館事務局)
近代美術館と歴史博物館の総務係を統合し兼任させることで、2名の職員を削減した。
また、管理運営方法の見直しについては、警備体制を見直し警備員を3名から2名に削減した。
三者連携については、定例の協議会を開催し、イベント情報の共有や施設の安全性の確保に努めている。
また、三者共通のテーマを持ったイベントを開催し、三つの施設を効率よく回る親子ツアーなどを行っている。
(忠永委員)
一人の職員にも様々な業務があるが、それらの業務のうちボランティア等の代替戦力に移すことが可能なものを検証することで、職員の研究開発のウエイトを高めるなどの細かい館運営を検討したことがあるか。
(博物館事務局)
県として毎年定員の見直しを行っているところであるが、今後改修工事を行うにあたり、業務の見直しもを行い、再開する段階でどういう体制が望ましいのか検討していきたい。
ボランティアの活用については、利用者のサービス向上に重点を置いている。例えば、中庭等で行う体験学習は職員だけでは対応できないため、ボランティアにお願いし対応している。
管理運営主体について
(佐藤委員長)
指定管理者制度導入についての調査の結果、歴史博物館は当面直営で運営することとしているとのことであるが、これは歴史博物館職員の自己評価なのか、それとも県全体の意思決定なのか。
(博物館事務局)
県で主催する他の博物館や美術館等を含めた会議において、当面は直営で運営することとしており、県の見解でもあると考えているが、今後継続して他県の状況等を見極めながら検討していく。
(田中委員)
メリット・デメリットを比較したということだが、主要なメリット・デメリットとしてどんな意見が出たのか。
また、公募型の指定管理をした場合と非公募型の指定管理をした場合のメリット・デメリットはどのような整理をしているのか。
(博物館事務局)
メリットとして、対外的なPRや情報発信力は民間の方が強い部分があると考える。
一方で、本館は小中学校の入館は無料とするなど教育に力を入れるとともに、博物館の使命である、県民の共有財産を残していくための保存管理というコストのかかる部分をしっかり行っていかなくてはならず、その点では直営の方がメリットが高いと考える。
博物館に重要なことは、県民と博物館の信頼関係であり、直営で長年運営することで信頼関係が生まれ、そこから寄贈や寄託を受けることができている。指定管理者制度を導入することで、数年で代わる指定管理者と県民との信頼関係を維持できるのか危惧するところである。
ただし、民間の知恵はどんどん学ぶべきであり、積極的に取り入れていく必要があると考える。
取組全体及び今後の取組に向けて
(鴻上委員)
企画展は誰がどんな形で考え企画するのか。また、学校との連携において、学校のニーズを聴いてプログラムを作るとのことだが、学校からのニーズとはどんなものだったのか。
(博物館事務局)
企画展については、館の職員が中心となって企画しているが、いろいろな方の意見を踏まえて実施している。
学校のニーズについては、学校ごとに学習に取り入れたい内容に沿ったプログラムを採用するなどの対応をしている。
(鴻上委員)
群馬県の歴史にとって土器の時代は重要なので、重点を置くのはよいが、なぜ群馬県はこの土器が多いのかなどの視点で企画をしてほしい。
歴史の苦手な子どもたちに向け、建物の変化や洋服の変化など様々な切り口のプログラムにより、歴史の楽しさを表現してほしい。
人間がこれまでどう歩んできて、これからどういう生き方をしなければならないのかなど、未来につながる歴史を表現してほしい。
(忠永委員)
アンケートもいいが、小中学生から感想文や研究結果等の作文を募集するとよい。また、博物館に何かを書いてみよう、探してみようという仕掛けを作るとよい。
展示コーナーに、生活で使った道具や住まいというコーナーを設けて、古代と中世の食べ物の変化をわかるようにすれば、そのコーナーだけで勉強になる。
※ 以上で午前中の審議を終了し、自然史博物館へ移動。
(2) あり方検討委員会の答申を受けた自然史博物館の取組状況について
- 施設概要説明
- 施設調査
- あり方検討委員会の答申内容
- 答申後の自然史博物館の取組状況
- 討議
1 施設概要説明
- 資料3 自然史博物館の概要(その1)により自然史博物館事務局から説明。
館長
本館は、平成8年に開館し、今年で17年目である。博物館施設と附帯ホールがあり、附帯ホールについては、富岡市に指定管理者として管理を委託している。
博物館の展示物は、AコーナーからEコーナーまで5つのブロックに分けて、太古の地球から現在の環境問題まで約3,400点の標本を展示している。また、収蔵庫には約13万5千点を収蔵している。
展示物とは別に、バックヤードツアーなどのイベントや観察会等の教育普及事業を年間を通じて行っている。
自然の生い立ちや郷土の豊かな自然環境について、県民に理解を深めてもらうという博物館の設置目的を踏まえて、次の3つの使命に基づき博物館業務に取り組んでいる。
- 未来に伝える博物館として、群馬県の自然とそのなりたちに関する資料を集め、未来に伝える。
- 魅力を引き出す博物館として、群馬県の自然とそのなりたちを探り、その価値を明らかにし、群馬の魅力を引き出す。
- 知を広め高める博物館として、多様な学びの場を提供し、知を広め、高める。
2 施設調査
- 化学分析室
- 解剖室
- 岩石処理室
- 第2収蔵庫
- 第1収蔵庫
- 図書室
- 実験室
- 常設展示室
3 あり方検討委員会の答申内容
- 資料1 あり方検討委員会答申(平成21年10月23日)抜粋により事務局から説明。
事務局
「(1) 施設の必要性について」は、自然環境への理解を深め、自然に親しみ学習する施設として、時代ニーズにも合致しており、施設の設置目的は失われておらず、継続すべきとの判断をいただいた。
また、多くの県内外の小学校に利用され、教育普及や調査研究にも実績を上げていること、施設の展示内容も充実していることから、観光面からも本県を代表する施設になり得るとの考えが示された。
「(2) 管理運営方法について」は、観光施設としても明確に位置づけ、県内外における集客の新たな展開を図るべきとの考えが示されたほか、学校利用促進のため、出張授業の拡大や学校側のニーズを取り入れた運営等を推進すべきとされた。
また、調査研究の成果について、より一層の情報発信に努めるとともに、大学等との連携についての検討も求められた。
「(3) 管理運営主体について」は、数多くの施設が設置された市立の大規模な総合公園内にあることから、施設相互の連携方法等について富岡市とよく話し合う必要があるとされた。
また、引き続き県直営による管理が適当ではあるが、民間のノウハウを活用する観点から、指定管理者制度について、他県での活用状況の情報収集に努めるよう求められた。
4 答申を受けた自然史博物館の取組状況
- 資料3 自然史博物館の取組状況(その1)により自然史博物館事務局から説明。
自然史博物館事務局
あり方検討委員会の答申を踏まえた取組状況
- 施設の必要性について
県民の意見を館運営に反映させるため、「魅力のある博物館を語る会」を設置し、提言を踏まえ「自然史博物館の使命と事業方針」を策定するとともに、評価システムの構築に向けて、評価項目及び目標値を策定した。また、職員による自己評価を実施し、結果をホームページ上で公開した。
メリハリのある企画展の開催に努め、夏・秋の企画展を一本化した大型の企画展を開催した。また、入館者数の減少する冬期には、比較的経費が少ない写真展を開催し、閑散期における入館者の確保に努めている。
観光施設としては、地域からの要望も強いことから、試験的に元日からの開館を行っている。
これらのことから、入館者は増加し、平成24年度には開館以来2番目の入館者数となった。
教育普及事業では、学校現場との連携に努め、講師派遣、館内授業等の教育支援活動を実施するとともに、小中学校の児童生徒を対象に「ミュージアム・スクール」や「サイエンスサタデー」、「バックヤードツアー」等、様々な事業を実施した。
館外で行う事業については、団塊の世代向けの「チャレンジ講座」を導入したほか、「ミニミニ移動博」を開始するなど、メニューの充実と対象の拡大に努めている。 - 管理運営方法について
県外への誘客活動については、従来から東京都や埼玉県の教育委員会や旅行会社を訪れ、学校利用の拡大と誘客に努めてきたが、訪問範囲を広げ栃木県、長野県、千葉県等においても積極的なPR活動を展開した。
学校利用の促進については、従来は博物館に比較的近い前橋や西毛地区を中心に校長会や理科主任会を訪問してきたが、平成24年度からは東毛地区への訪問回数を増加した。
関係部局との連携については、県観光物産課主催による群馬デスティネーションキャンペーン、ググっとぐんま観光キャンペーン、富岡市主催によるスタンプラリーなど、観光事業に積極的に参加し、誘客に努めた。
教育支援については、小中学校や高等学校、大学や大学院の求めに応じて、講師派遣、館内での指導、博物館実習の受入れ等、施設や専門性をいかした教育支援活動を積極的に行った。 - 管理運営主体について
地域連携による誘客活動について、もみじ平総合公園内にある市立美術館とは、平成23年度から実施している正月開館や、周辺の観光施設と連携した誘客事業等で協力している。また、夏休みや冬休みに子ども向けの企画を行うよう働きかけ、家族向けの利用者増とサービス向上に努めている。
かぶら文化ホールや市立体育館との連携では、博物館の団体客に対する昼食場所の提供、ホールイベント開催時における控え室、大型バス駐車場の利用等、多様な協力を行っている。
指定管理者制度の導入については、資料の収集、保存と活用、調査研究等の取組について、事業の継続性が重要とされること等から、あり方検討委員会の答申で示されたとおり、県直営による管理運営を行っていく方針としている。
5 討議
施設概要について
特に意見なし
施設の必要性について
(青木委員)
いかにリピーターを作るかが重要だと感じた。2度目、3度目と来たい、魅力ある企画展を開催してもらいたい。
展示物は、館の財産であると思うが、それらを他の博物館と貸し借りしているのか。
(博物館事務局)
企画展を年に3回、写真展を1回行っているが、他の館からの借用により運営している。博物館同士は無料で借用できるが、運搬に多額の費用がかかるため、むやみには借用はできない。
(木村委員)
年間入場者数が24万人ということだが、このくらい人が集まると商売になると感じた。また、自然史博物館は「恐竜」というイメージがあるようだが、来てみるととても魅力があった。
(忠永委員)
歴史博物館が「静」だとすると、自然史博物館は「動」であると感じた。特にバックヤードを見たとき、動物の死骸を解剖し、骨組みを整えた上で、それが展示物となるという「動き」に興味を持った。小中学生にもこの「動き」に興味を持つ子どもがいるのではないかと思った。こういったことをヒントにし、誘客ができるのではないかと感じた。
管理運営方法について
(板橋委員)
施設調査の際、レプリカが高額で作れなかったため、実物を展示していると説明を受けたが、レプリカを作る予算があれば、レプリカを展示したいのか。実物は、保存上、あまりしたくないのか。
高校生学芸員を募集しているが、交通の便が悪い中で、どのくらい参加しているのか。
(博物館事務局)
できればレプリカも作っておきたかったということであり、できるだけ実物を展示したいと考えている。
富岡市内の高校生であれば、自転車で来る学生がいるが、車での送迎が多い。
(田中委員)
歳入について、平成24年度決算額に比べ、25年度予算額では大きく減少しているが、何か要因があるのか。
また、使用料及び賃借料が大きく減少し、委託料のその他が大きく増加しているのはなぜか。
さらに、事業費のうち常設展示の委託料が増加しているのはなぜか。
(博物館事務局)
歳入については、過去数年間の観覧者数から算出しているが、入館者数の多かった平成24年度と23年度の状況は反映していないため、24年度と比べると減少している。
使用料及び賃借料については、情報システムの契約期間が25年度で満了したが、引き続き契約を延長することになった結果、1年当たりの経費が減額となったものである。
委託料のその他については、様々な機材の保守点検費等の積み上げの結果である。
事業費については、予算を組む時点では企画展と常設展とのどちらで整理するかがはっきりしていないものがあるためである。
(田中委員)
担当者によって費目が変わると、統計としての意味をなさなくなるため、マニュアルなどを作成し、はっきり決めてもらいたい。
(博物館事務局)
担当者によって費目が変わるのではなく、同じ費目の中で企画展と常設展に配分している。
(田中委員)
配分の割合について決めておき、ある程度他の職員が予算を立てても同じような考え方を踏襲できるようにしなければ、資料上で年度の比較をしても意味がない。
歳入の予算の立て方については、直近2年間の傾向を反映しないのはどういうことなんだという気がする。
(佐藤委員長)
時系列で推移を見たときに比較ができるような条件を整えておく必要がある。
(田中委員)
これではマネジメントに使えない。
(忠永委員)
バックヤードでの状況を、写真等で撮影し、開示することによって、子どもたちの興味を醸し出すなど、ニーズの前にニーズをつくり出す環境づくりが必要であると考えるが、どのようにしているのか。
甲装着人骨を見に行ったが、博物館には現物があるだけである。なぜそこに住んでいたのかなどの情報を知りたいというニーズが子どもたちにあるかもしれない。ニーズをつくり出す環境設定が必要であるが、はたしてどういったニーズがあるのだろうか。
(佐藤委員長)
あり方検討委員会の答申には、学校利用促進のために、学校側のニーズを取り入れた運営をさらに推進すべきとあるが、これに対してどのような対応を行ったか。そもそも学校側のニーズをどのように把握したか。また、把握したニーズとはどのようなものだったのか。忠永委員はさらにこのニーズの前にある、ニーズの喚起としてどのような取組をしているかとのことである。
(博物館事務局)
ホームページ上でバックヤードツアーの情報は公開しているが、まだまだ足りない部分があると感じている。
学校のニーズについては、校長会や理科主任会を訪問し、本館の紹介をするとともに、直接学校の教員に本館で行えるプログラムを案内している。
管理運営主体について
(鴻上委員)
入館者が増加した理由として、群馬デスティネーションキャンペーン(DC)やググっとぐんま観光キャンペーンにおける広報活動の影響とあるが、近隣施設にチラシを配布するPRを続けていても、やはりDCやググッとぐんまが終了すると入館者が減ってしまったのか。DCの影響による一般入館者のその後の動向はどうか。
学校への営業はこれまでどおり行っていると思われるが、平成25年度に入っても変わりはないのか。
(博物館事務局)
入館者については、減少傾向にある印象がある。本館の来館者の多くは、口コミやチラシであるため、口コミが広がるよう来館者の満足度を高める取組に力を入れていきたい。
以前よりも校長会等へ本館を紹介する機会は増えており、継続して営業活動は行っている。
(田中委員)
あり方検討委員会の答申に観光施設としての面もポイントとしておかれているが、観光施設面を更に強化するために、民間の力を活用しているのか。歴史博物館において、アミューズメント的な集客的な部分については、民間の力を利用することが有効であると聴いたが、調査・研究・展示主体としての取組と、観光主体としての取組について、今後をどう考えているか。
(博物館事務局)
対外的な組織的連携としては、県の西毛地域の観光活性化政策の一員として活動しており、あとは自治体や企業等と個別に意見交換を行っている。
(田中委員)
「魅力ある博物館を語る会」において様々な方針を策定し、評価システムを構築しているようだが、観光施設としての役割を求められている以上、そういった評価システムの評価軸や方針の中で、観光についても評価する仕組みや目標を定めた管理方法などの評価軸が必要である。難しい業務であると思うが、博物館として観光面の評価軸をある程度意識して掲げていく必要があると思う。
何人来てもらうとか、そこでいくら収入をというメッセージは、すでにあり方検討委員会から出ていると考えている。その部分について、目標を定めなければいけないということで、大変であると思うが、制度的にも、評価軸としても、予算としても、その部分を明確化しなければならないと考える。
(忠永委員)
民間施設側から連携の話はないのか。民間施設も誘客方法を考えているはずであり、お互いが利益を共有し合い、トータルメリットを追求していくことはないのか。
(博物館事務局)
東京の観光業者には、観光ツアーの中で本館を利用している例もある。
(田中委員)
調査研究について、毎年工程表があり、今回はこの調査をここまでするなどの管理を行っているのか。
また、研究するに当たり、現在のスペースが狭かったり、古かったりなど研究環境はどうなのか。
(博物館事務局)
館独自の調査研究として3年間のスパンで、県の他の施設がやっていない地域を調査研究している。また、それとは別に各研究員が独自に調査研究している。
これらの研究は、現在の収蔵量を検討しながら実施しているのではないため、結果的には収蔵する場所がなくなってしまっている。
(田中委員)
館としての研究をするとともに、各研究員全員が作業を行った場合に、スペースが足りなくなったとすると、優先順位についてどうしているのか。
それとも、各研究員が行いたい研究を取り組めるだけの時間と予算があるのか。また、研究の期限について管理しているのか。
(博物館事務局)
館としての研究がある一方で、県内の大学や研究機関とプロジェクトを立ち上げ研究を行うが、それについての予算はない。研究員独自の研究としては、例えば、文部科学省の科学研究費の対象に採択されれば、それを利用し研究を行うが、なかなか採択されることがない。
(田中委員)
研究員各自の調査研究について、予算はないかもしれないが、十分な場所は与えられているのか。また、いつまでに何をするという工程管理やマネジメントシステムは構築されているか。
(博物館事務局)
それは構築されていない。できない状態にある。なぜかというと、博物館としてやらなければならない問題がたくさんあり、例えば、1つの企画展には約2年を費やし、現在、4つの企画展を分担して行っている。そのため、事業費が出る研究については、その事業の範囲内で結果を出しているが、独自研究の進捗は研究員に任せている。
(田中委員)
自主的な調査研究はなかなか余裕がないため、企画展や予算がついた調査研究に手一杯ということか。
(博物館事務局)
本館の研究員は、館の運営をしながら、館としての研究に取り組んでおり、これについてはコントロール下にあるが、研究員としての独自の研究は、いつまでに明らかにするというものではなく、答えが出るまでは研究を続けている。
(3) あり方検討委員会の答申を受けた施設の取組状況に対する意見(案)について
群馬県立土屋文明記念文学館について
- 資料4 あり方検討委員会の答申を受けた取組状況の評価及び提言(案)により事務局から説明。
説明
(事務局)
前回の委員会における議論及びその後書面でいただいた意見に基づき、案のとおり委員会の意見としてとりまとめた。
- 施設の必要性について
専門的な視点と県民の視点からの意見に対応した取組等により入館者数の回復や増加が見られるという点で一定の評価を加えた上で、県民の意見を聞く会から求められている本県文学の中心施設としての役割を果たすための具体的な方針を示した上で、継続した取組が必要であるとした。
また、費用対効果の面については、管理運営費の更なる削減や施設の機能等について検討するとともに、館名については、総合的な文学館であることが利用者に理解されるよう、検討スケジュールを明示した上で、検討していくべきとした。 - 管理運営方法について
企画展示については、子どもとともに来館できるテーマ選定や様々なジャンルに目を向けるなどの工夫に努めるとともに、館外活動にも取り組んでいることについて評価を加えた上で、今後は、文学の楽しさを体感できる工夫を行うなど県民ニーズを的確に捉えた取組が必要であるとした。
また、文学に精通した人材の活用や充実度や満足度などを指標化した取組みを検討するなど、更に効率的・効果的な運営に向けた努力が必要であるとした。 - 管理運営主体について
高崎市や近隣施設等との連携の効果はまだ十分に発揮されているとは言えないことから、地元自治会や他施設との連携を今後も積極的に推進すべきであるとした。特に他の教育施設や観光施設等との連携を深めるとともに、共通の企画展の開催など、相乗効果を高める施策が期待されるとした。
また、指定管理者制度については、課題も踏まえつつ、他館の事例を十分調査し、引き続き検討が必要とした。
討議
特に意見なし
(佐藤委員長)
欠席委員の意見を確認した上で、案のとおり答申したい。
(4) その他
次回委員会は8月1日(木曜日)の午後に開催予定。議題は、新行政改革大綱の平成24年度評価について御意見をいただくことを予定している。
(参考)第6回委員会資料
- 次第(PDFファイル:60KB)
- 資料1 あり方検討委員会答申(平成21年10月23日)抜粋(PDFファイル:127KB)
- 資料2 歴史博物館の概要(その1)(PDFファイル:63KB)
- 資料2 歴史博物館の概要(その2)(PDFファイル:67KB)
- 資料2 歴史博物館の取組状況(その1)(PDFファイル:213KB)
- 資料2 歴史博物館の取組状況(その2)(PDFファイル:112KB)
- 資料3 自然史博物館の概要(その1)(PDFファイル:63KB)
- 資料3 自然史博物館の概要(その2)(PDFファイル:59KB)
- 資料3 自然史博物館の取組状況(その1)(PDFファイル:523KB)
- 資料3 自然史博物館の取組状況(その2)(PDFファイル:442KB)