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自然史博物館の取組の検証結果についての答申

更新日:2013年7月25日 印刷ページ表示

答申書

平成25年9月27日

群馬県知事 大澤 正明 殿

群馬県行政改革評価・推進委員会 委員長 佐藤 徹

群馬県公共施設のあり方検討委員会の答申を受けた自然史博物館の取組の検証結果について(答申)

 本委員会に諮問された標記の件について、別紙のとおり答申します。
 県におかれては、本答申を参考に、費用対効果をより高め、県民サービスの向上に努めてください。
 また、今後、改善の取組を行う際は、期限を区切って検証し、自律的かつ持続的に更なる改善が図られていくよう求めます。

答申書別紙

群馬県公共施設のあり方検討委員会の答申を受けた取組状況の評価及び提言(自然史博物館)

 公共施設のあり方検討委員会の答申において求められていた観光施設としての集客の促進については、対象地域を広げた県内外への積極的な広報活動、ググっとぐんま観光キャンペーン等との連携のほか、元日開館の試行など、積極的な取組が行われている。
 また、教育普及事業では「ミュージアム・スクール」や「サイエンスサタデー」などの参加体験型事業、団塊の世代向けの「チャレンジ講座」など、幅広い層を対象に各種の取組を実施している。
 さらに、「魅力ある博物館を語る会」の設置やその提言を踏まえた「自然史博物館の使命と事業方針」の策定、評価システムの構築や職員による自己評価の実施などにも取り組み、県民の意見を反映させるための館運営に努めている。
 こうした取組が、平成24年度には入館者数が開館以来2番目に多い人数となるなど大きな成果につながったといえる。
 今後も引き続き内容の充実を図るとともに、実施方法に工夫を重ね、博物館の重要性が高まるよう努められたい。その際には、以下の点について留意した上で、取り組んでいく必要がある。

  • 観光施設としての役割を一層発揮するため、民間施設との更なる連携や民間活力の活用を進めるとともに、評価システムにおいて、観光面の評価軸を設けるなど、意識的に取組を進めることが必要である。
  • 専門性の高い施設としての利点を更に活用するため、バックヤードでの作業状況などを積極的に情報提供し、自然科学に対する魅力を伝え、子どもたちの関心を引きつける工夫が必要である。
  • 調査研究における各研究員の活動状況や事業費執行状況の適切な把握、予算編成における直近の入館者の状況の反映など、管理運営面の一層の強化について検討する必要がある。
  • 指定管理者制度については、観光施設としての役割を強化する面でも有効であると考えられるので、既に制度を導入している博物館において、観光施設として効果的に管理運営されている事例を十分調査し、今後も検討されたい。

(参考1) 委員会での主な意見

  • 如何にリピーターを作るかが重要である。何度も来たいと思える、魅力ある企画展を開催してもらいたい。
  • また来場したくなるような施設にするためには、来場者が何を求めているのか声を聞く手段を検討することが大切である。来場者の意見に答えがある。
  • 動物の死骸を解剖し、骨組みを整えた上で、それが展示物となるという「動き」に興味を持った。小中学生にもこの「動き」に興味を持つ子どもがいるのではないかと思った。こういったことをヒントにし、誘客ができるのではないかと感じた。
  • 歳入予算については、直近の入館者の状況を反映できるように見直すべき。
  • 常設展示と企画展示の事業費の配分割合をルール化し、時系列で推移が比較できるような条件を整え、マネジメントに活用すべきである。
  • バックヤードでの状況を撮影し、映像化することで子どもたちの興味を醸し出すなど、言わば「ニーズの前にニーズをつくり出す」環境づくりが必要である。
  • 評価システムにおいて、観光に関する取組目標を定めるなどの評価軸を設け、観光面を意識した取組が必要であると感じる。
  • 民間施設も誘客方法を考えているはずであり、お互いが利益を共有し合い、トータルメリットを追求していく取組も必要である。
  • 各研究員の調査研究に係るマネジメントを強化し、効率的な業務運営やスペース利用につなげる必要がある。

(参考2) 公共施設のあり方検討委員会答申後の自然史博物館の取組状況

1 「魅力ある博物館を語る会」と評価システム

 平成22年度には、県民意見を館運営に反映させるため、民間の有識者等をメンバーとする「魅力ある博物館を語る会」を設置し検討を行い、提言を受けた。
 提言内容:「博物館の基本となる運営方針の策定」、「客観的な評価システムの構築」等
 平成23年度には、これを踏まえ「自然史博物館の使命と事業方針」を策定するとともに、評価システムの構築に向け、評価項目及び目標値を策定。
 平成24年度には、職員による自己評価を実施し、結果をホームページ上で公開。館林美術館運営懇談会(21年)。
 県立美術館として、美術館機能の強化、施設の有効活用や地域開放等の地域に根ざした機能の発揮、地元市町村、住民等の運営への参画推進を図る。

2 企画展

 平成22年度から、メリハリのある企画展の開催に努め、夏・秋の企画展を一本化した大型の企画展を開催。
 入館者数 22年度実績 148,697人→24年度実績 182,038人に増加。

3 閑散期の入館者確保

 入館者が落ち込む冬期に、入館者増と新規顧客の開拓を目的に、平成22年度から比較的経費が少ない写真展を開催。

4 正月開館

 観光施設としても大きな期待が寄せられており、地域からの要望も強いことから、平成23年度から試験的に正月元旦からの開館を実施。

5 教育普及事業

 館内事業として、平成23年度から親子向け「紙芝居」を上演するとともに、「スポット」解説を一般向けに追加したほか、24年度からは「バックヤードツアー」を毎月開催。
 館外事業として、平成22年度から団塊の世代向け「チャレンジ講座」を導入したほか、23年度からは「ミニミニ移動博」を開始するなど、メニューの充実と対象の拡大に努めた。
 教育普及事業参加者数 22年度実績 42,533人→24年度実績 58,984人に増加。

6 県内外への誘客活動

 県外からの一層の利用者増を図るため、教育委員会や旅行会社の訪問範囲を広げ、積極的なPR活動を展開

7 学校利用の促進

 県内の学校利用を促進するため、従来どおり前橋や西毛地区を中心とする校長会や理科主任会へ訪問するとともに、東毛地区への訪問回数を増加。

8 関係部局との連携

 県や近隣市町村、商工団体等が主催する観光事業等に積極的に参加し、誘客に努めた。

9 教育支援

 教育施設の求めに応じ、講師派遣、館内指導、博物館実習の受入等、博物館の施設や専門性を生かした教育支援活動を実施。

支援の状況
区分 22年度 23年度 24年度 内容
大学・高等学校への支援 11校 15校 17校 講師派遣及び館内講義
小中学校への支援 18件 14件 31件 講師派遣等
館内授業 79校 68校 81校 小中学校館内授業
10 地域連携による誘客活動

 平成23年度から夏期の企画展開催期間中に周辺観光施設連携による誘客活動(優待券の相互配布によるPR等)等で協力しており、周辺施設相互の利用者増に努めた。

11 指定管理制度導入の検討

平成24年度に都道府県立の博物館・美術館・文学館等における指定管理制度の導入状況について全国調査を実施。

全国調査結果(24年度)
区分 直営施設 指定管理者制度導入施設 備考
公募 非公募
調査143施設 102施設
(71.3%)
31施設
(21.7%)
10施設
(7.0%)
(指定管理者制度導入施設の運営団体別内訳)
民間18、公益財団法人等23

(参考3) 公共施設のあり方に関する中間報告書における答申内容(平成20年10月20日)

1 施設の必要性について

 自然環境への理解を深め、自然に親しみ学習する施設として、時代ニーズにも合致しており、施設の設置目的は失われておらず、継続すべき。
 また、多くの県内外の小学校に利用され、教育普及や調査研究にも実績を上げていること、施設の展示内容も充実していることから、観光面からも本県を代表する施設になり得る。

2 管理運営方法について

 観光施設としても明確に位置づけ、県内外における集客の新たな展開を図るとともに、学校利用促進のため、出張授業の拡大や学校側のニーズを取り入れた運営等を推進すべき。
 また、調査研究の成果について、より一層の情報発信に努めるとともに、大学等との連携についての検討をされたい。

3 管理運営主体について

 数多くの施設が設置された市立の大規模な総合公園内にあることから、施設相互の連携方法等について富岡市とよく話し合う必要がある。
 また、引き続き県直営による管理が適当ではあるが、民間のノウハウを活用する観点から、指定管理者制度について、他県での活用状況の情報収集に努められたい。

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