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解説!喫煙や受動喫煙による身体への影響について
1 たばこは有害
たばこの煙には、約5,300種類の化学物質があり、そのうち約200種類が有害物質です。有害物質には、約70種類の発がん性物質がふくまれています。
有害物質には、ペンキにふくまれるような危険な物質もあり、特に、ニコチン・タール・一酸化炭素は三大有害物質と呼ばれています。
三大有害物質
ニコチン
依存性のある有害物質です。血管を収縮させる作用があり、血液の流れを悪くします。
タール
多くの発がん性物質がふくまれています。肺をはじめ、全身のがんの発病危険性を高めます。
一酸化炭素
体の酸素を減らしてしまうため、頭がぼうっとしたり、体の成長がさまたげられたりします。
2 たばこはどうしてやめられないの?
たばこにふくまれるニコチンには、麻薬などと同じ依存性があります。たばこを吸うとニコチンが数秒で脳に入り、快感を生じさせるドーパミンという物質を放出させるため、たばこを吸った後は「気持ちよい」と感じます。
しかし、その作用は一時的で、しばらくするとニコチンが切れて嫌な気分になります。そして再びたばこを吸ってしまうという悪循環になってしまいます。これがニコチン依存症です。たばこを1本吸っただけでも、ニコチン依存症になってしまう可能性があります。
そのため、最初の1本に手を出さないことがとても大切です!
3 たばこを吸うと、体にはどんな影響が出るの?
たばこの煙は全身にじわじわと作用し、がんや心臓病など様々な病気を起こす原因となります。また、一酸化炭素により脳が酸素不足となり、集中力や考える力が低下して勉強にも影響が出ることがあります。さらに、たばこは美容の敵とも言われ、肌にはシミやシワができやすくなり、歯も黒ずみ、口臭、歯周病などの原因となります。
たばこを吸う人は吸わない人に比べて、平均10年寿命が短くなるとされており、喫煙(たばこを吸うこと)はゆっくりと自分自身を死に追いやる行為とも言えます。
4 なぜ20歳未満の若年者はたばこを吸ってはいけないの?
明治33年に、健全な青少年の育成を目的として「未成年者喫煙禁止法」(令和4年「20歳未満者喫煙禁止法」に改正)という法律が制定され、20歳未満の若年者の喫煙が禁止されました。
若年者は、体が発育段階にあるため、たばこにふくまれる有害物質の影響を受けやすくなります。また、喫煙開始年齢が若いほど、その後の喫煙本数が多くなり、がんや循環器の病気などによる死亡の危険が増加します。
さらに、喫煙は青年期の他の薬物使用の入口になりやすいとも言われています。健康な未来のためにも、喫煙は絶対にやめましょう。
5 たばこを吸おうよ、と誘われても断る勇気を!
自分の健康を守るのは自分です。友達からたばこをすすめられてもしっかり断りましょう。
自分なりの断り方を練習しておくことも重要です。また、誘われるような場所へ行かないことも大切です。
誘い方の例
- 1本くらい大丈夫。みんな吸ってるから。
- たばこは大人の仲間入りだよ。
- 友達だろう?いっしょに吸おう。
- 内緒で吸えばいいよ。バレなきゃ平気だよ。
- たばこを吸えばやせるから、吸おうよ。
断り方の例
- 嫌だ!1本も吸いたくない!しかも、みんな吸ってないよ!
- たばこを吸う大人にはなりたくない!
- そんな毒の缶詰をすすめてくるやつは友達じゃないよ!
- クサイからすぐにバレるよ!
- 肌が汚くなるし、きれいにやせないよ!
きっぱり断るのがむずかしい時は…
- その場からすぐにはなれよう(もう帰らなくちゃ、このあと塾があるから…など)
- たばこから話題を変えて、他の遊びに誘ってみよう
6 たばこの害は吸う人だけではないの?
自分ではたばこを吸わなくても、たばこを吸う人の近くで煙を吸わされてしまうことがあります。これを受動喫煙と言います。
家族や周りの人に受動喫煙をさせないように、屋外や換気扇のそばでたばこを吸う人がいます。しかし、ベランダや玄関先の煙は、屋内へ入ってきますし、換気扇でたばこの煙を屋外に追い出しても、喫煙後30~45分間は有害物質が喫煙者より吐き出されることが報告されています。
また、吸い終わった後には衣服や髪、カーペットや壁等に、ニオイだけでなく有害物質がくっついて残ります。この有害物質を吸い込むことを三次喫煙と言います。
(自分でたばこを吸うことを「一次喫煙」、受動喫煙を「二次喫煙」と言います。)
7 受動喫煙の煙は有害物質が多い
たばこの煙には、たばこを吸う人が直接吸い込む主流煙と、火をつけたところから立ちのぼる副流煙、たばこを吸ったあとに吐き出される呼出煙があります。有害物質は、主流煙より副流煙の方に多くふくまれています。
副流煙にふくまれる有害物質(主流煙と比べて)
一酸化炭素 3.4 ~ 21.4倍
ニコチン 2.8 ~ 19.6倍
タール 1.2 ~ 10.1倍
ホルムアルデヒド 6.2 ~ 121.4倍
アセトン 2.5 ~ 11.5倍
アンモニア 294.2 ~ 2565.5倍
ベンゼン 8.2 ~ 42.0倍
トルエン 10.9 ~ 68.8倍
たばこは生まれてくる赤ちゃんにも影響がある
妊婦がたばこを吸うと、早産や低出生体重児の原因になることがあります。受動喫煙によっても同様に危険が高くなるとされています。
また、子どもがたばこの煙を吸うことによって、ぜんそくや乳幼児突然死症候群を起こす危険が高くなるとされています。
8 たばこ規制枠組み条約(FCTC)と健康増進法
世界保健機関(WHO)によるたばこ規制枠組み条約(FCTC:Framework Convention on Tobacco Control )は、たばこの消費及び受動喫煙が、健康・社会・環境・経済に及ぼす破壊的な影響から、世界中の人々を守ることを目的として、世界の国々が協力してたばこ規制を行うことを定めた保健分野で最初の条約です。
受動喫煙からの保護、禁煙支援の提供、警告表示等を用いたたばこの危険性に関する知識の普及、たばこの広告・販売の禁止要請、たばこ税引き上げ等の対策を求めています。
健康増進法では、望まない受動喫煙を防止することが定められています。飲食店などでたばこが吸えるエリアには、表示がされていて20歳未満は、立入禁止です。
たばことCOPD
COPD(Chronic Obstructive Pulmonary Disease:慢性閉塞性肺疾患)は、別名たばこ病ともいわれる喫煙者に多い病気で、肺の生活習慣病とも言われています。たばこの煙にふくまれる有害物質を長い間吸い込む(受動喫煙をふくむ)ことで、肺がスカスカになったり気管支が狭くなって、呼吸がしづらくなります。
風邪をひいていないのに咳や痰が何年も続き、少し動いただけでも息切れがします。重症の場合には、日常生活に酸素ボンベなどが必要になります。死亡率の全国順位では、群馬県は第15位(2022年)となっています。
9 加熱式たばこも危険?
加熱式たばこは、たばこ葉やたばこ葉を用いた加工品を燃焼させず、専用機器を用いて電気で加熱することで煙を発生させるもので、主流煙に健康影響を与える有害物質がふくまれていることは明らかです。次々と新しい製品が開発され、日本だけでなく世界各国で使用者が増えてきています。
加熱式たばこは、紙巻きたばこに比べて有害物質や発がん性物質が少ないと広告・宣伝されることがありますが、実際にどのくらいふくまれているか、どのような健康被害を引き起こすかについては、まだ十分に研究が進んでいません。もし、有害物質や発がん性物質が少なかったとしても、たばこの煙や成分にさらされることについては、安全なレベルというものはありません。
また、喫煙場所以外で吸うことは、禁止されています。
保護者の皆様へ
子どもの喫煙を防ぐには、発育段階に応じた内容で継続的に喫煙についての正しい知識と規範意識を持ち、子どもたちが健康の大切さを認識し、自らの健康を管理できる力を身につけることが大切です。
喫煙は青年期の他の薬物使用の前に起こることが多く、「ゲートウェイドラッグ(Gateway Drug)」と呼ばれることがあります。子どもが喫煙を始めるきっかけは、友達からの誘いや保護者や兄弟姉妹等身近な人が喫煙していることなど、たばこを手に入れやすい環境などが強く影響しています。そのため、喫煙習慣のある保護者の皆様は子どもの前で喫煙をやめ、手の届くところにたばこを置くことも控えてください。また、御自身と周囲の方の健康のためにも、禁煙にチャレンジしてみませんか。
※20歳未満者喫煙禁止法には、20歳未満の喫煙の禁止とともに保護者や販売者の対する罰則も規定されています。