本文
ミナミアオカメムシの発生を確認しました
ミナミアオカメムシの被害と防除
令和5年5月に群馬県における初発生を確認しました。
1 ミナミアオカメムシによる被害
ミナミアオカメムシは広食性で、水稲、ダイズのほか、野菜、果樹など、32科145種の植物を吸汁・加害することが知られています。
【水稲】
斑点米カメムシ類の中では大型で吸汁量が多いため、被害が大きくなる可能性があります。
【ダイズ】
主に莢内の子実を吸汁し被害粒を発生させます。莢への被害が大きい場合、成熟期になっても茎葉が緑色のままで落葉しない「青立ち」現象が発生し、コンバインで収穫する際に茎葉の水分が子実に付着して汚粒となる可能性があります。
【野菜、果実等】
吸汁のあとにくぼみ等が発生し奇形果となります。
2 ミナミアオカメムシの見分け方
ミナミアオカメムシ成虫の体長は12~16ミリメートルで(写真1、写真2)、アオクサカメムシ、ツヤアオカメムシとよく似ています(表1)。
3種の見分け方のポイントは表1のとおりで、主に翅の下の腹部背面の色で見分けます。また、小楯板上端の3つの白い斑点でツヤアオカメムシと識別できます(写真3)。
御自身で見分ける場合には、疑義のあるカメムシの成虫を捕獲し、ポリ袋等に入れ冷凍庫で1晩保管し、動けなくなってから、ピンセット等で翅をめくることで簡単に確認できます。
表1 カメムシ類の判別方法(写真提供:埼玉県病害虫防除所)
写真1 ミナミアオカメムシ成虫
写真2 ミナミアオカメムシ成虫(白色変異型)
写真3 ミナミアオカメムシ 小楯板上端の3つの白い斑点(〇囲みの中)
3 ミナミアオカメムシらしいカメムシを見つけたら
ミナミアオカメムシの発生状況を確認するため、本種の成虫と思われるカメムシを見つけた場合、ポリ袋等で保管し農業技術センターへ連絡をお願いします。御自身で同定された場合も虫体を壊さぬよう保管して農業技術センターへ連絡いただきたくお願いします。幼虫の場合(写真4)、成虫まで飼育した後同定するためエサとなる幼虫が発生した作物ごとポリ袋に入れ早めの連絡をお願いします。
なお、農業技術センターで識別することも可能ですので、御連絡ください。
写真4 ミナミアオカメムシ3齢幼虫
4 ミナミアオカメムシの防除方法
【耕種的防除】
発生を確認したほ場では、水稲の「ひこばえ」などの作物残渣が次作の増殖源となりますので、栽培終了後は速やかに片づけてください。
水稲では、他の斑点米カメムシと同様に、畦畔等のイネ科雑草の除草を水稲の出穂2~3週間前に行い、さらに出穂期頃にイネ科雑草の穂が出ていなければもう一度除草すると効果的です。水稲の出穂期以降に畦畔等の穂が出たイネ科雑草を除草すると、斑点米カメムシ類を水田内に追い込み、被害を大きくする場合がありますので注意してください。
【薬剤防除】
発生を確認したら、栽培している作物のカメムシ類に登録のある薬剤で防除を実施してください。