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(群馬県公文書開示審査会)
第29条 第26条の規定による諮問に応じ審査請求について調査審議するため、群馬県公文書開示審査会(以下「審査会」という。)を置く。
2 審査会は、委員6人以内で組織し、委員は、知事が任命する。
3 委員は、非常勤とする。
4 委員の任期は、3年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 知事は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認めるとき、又は委員に職務上の義務違反その他委員たるに適しない非行があると認めるときは、その委員を罷免することができる。
6 審査会は、第1項に規定する調査審議をさせるため、その指名する委員3人以上をもって構成する部会を置くことができる。
7 審査会は、その定めるところにより、部会の議決をもって審査会の議決とすることができる。
8 この条に定めるもののほか、審査会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
本条は、審査請求の審査を行うための諮問機関として、群馬県公文書開示審査会を地方自治法第138条の4第3項による知事の附属機関として設置すること及び審査会の組織、任期、規則への委任について定めたものである。
(1)審査会は、知事の附属機関として設置されるものであるが、知事以外の実施機関からの諮問に対しても調査審議を行うものである。
(2)審査会は、実施機関の行った開示・不開示の決定又は開示請求に係る不作為に対する審査請求について、当事者である当該実施機関の自己評価のみに任せるのではなく、第三者的立場の判断を加味することによって、より客観的で合理的な解決を図ることを目的とする。
(3)審査会における審査及び判断には、公文書開示制度に関する専門的な知識が必要となることから委員の任期は3年とした。また、任期中に心身の故障等により委員としての職務を適正に果たすことが出来ない場合に備え、罷免に関する定めを設けている。
(4)群馬県公文書開示審査会規則第3条の規定により、審査会の会議は委員の互選により選ばれた会長が招集し、会長がその議長になる。審査会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決することができず、また、議事は、出席した委員の過半数を持って決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
(5)「部会の議決をもって審査会の議決とすることができる。」とあることから、第30条から第35条までにおける「審査会」には、原則として「部会」も含まれる。なお、群馬県公文書開示審査会規則第4条第2項の規定により、部会は、部会を構成する委員の過半数が出席しなければ、会議を開き、議決することができず、また、部会の議事は、出席した委員の過半数を持って決し、可否同数のときは、部会長の決するところによる。
(審査会の調査権限)
第30条 審査会は、必要があると認めるときは、諮問庁に対し、開示決定等に係る公文書の提示を求めることができる。この場合においては、何人も、審査会に対し、その提示された公文書の開示を求めることができない。
2 諮問庁は、審査会から前項の規定による求めがあったときは、これを拒んではならない。
3 審査会は、必要があると認めるときは、諮問庁に対し、開示決定等に係る公文書に記録されている情報の内容を審査会の指定する方法により分類又は整理した資料を作成し、審査会に提出するよう求めることができる。
4 第1項及び前項に定めるもののほか、審査会は、審査請求に係る事件に関し、審査請求人、参加人又は諮問庁(以下「審査請求人等」という。)に意見書又は資料の提出を求めること、適当と認める者にその知っている事実を陳述させ又は鑑定を求めることその他必要な調査をすることができる。
本条は、審査会が適切な判断を行えるようにするため、調査審議のために必要な資料の提出、意見の陳述等を求めることその他必要な調査を行うことができる権限を定めるものである。
(1)本項は、いわゆるインカメラ審理手続を定めるものである。
インカメラ審理とは、米国の情報自由法等により裁判制度において認められている制度で、判事室あるいは判事の私室などの公衆に開かれていない場所において行われる審理、審問等を指して用いられる言葉であるが、日本においても、相手方当事者にその内容を知らせない非公開審理の手続の意味で使われる。
審査会において、諮問庁の開示・不開示の判断が適法、妥当かどうか、部分開示の範囲が適切かなどについて、迅速かつ的確に判断できるようにするためには、審査会の委員が開示決定等に係る公文書を実際に見分することが有効であることから、インカメラ審理を行うことができることとした。
(2)「必要があると認めるとき」とは、開示決定等に係る公文書に記録されている情報の性質、当該事件の証拠関係などに照らし、審査会が当該文書を実際に見分しないことにより生ずる適切な判断の困難性等の不利益と、当該文書を審査会に提示することにより生ずる行政上の支障等の不利益とを比較衡量した結果、なお必要と認められる場合であることを意味する。
通常の場合には、審査会は、開示決定等に係る公文書を直接見分した上で判断することとなると考えられるが、係争の文書に記載されている情報には、その性質上、特定の最小限度の範囲の者にしか知らせるべきでないものや、情報源・情報交換の方法についてその情報交換の当事者以外には知らせるべきでないものなど、特別の配慮が必要になるものがあり得る。このような情報が問題となっている場合には、審査会は、諮問庁から必要な説明を聴き、当該文書を提示することによって生ずる支障の内容及び程度を的確に把握し、また、他に規定する方法による調査を十分に行った上で、当該文書の提示を求める必要性について判断することとなる。
(3)「開示決定等に係る公文書」とは、処分についての審査請求のみならず、不作為についての審査請求に係る開示請求に係る公文書も含まれる。
(4)「提示を求めることができる」とは、審査会は、開示決定等に係る公文書を直接見分できる権限を有していることをいうが、審査会に提出させて保管することまでの権限を与えるものではない。
(5)審査会に提示された係争文書は、まさにその開示の可否を適切に判断できるようにすることを目的として提示されたものであるから、当該文書の開示決定がなされて実際に開示されるものでなければ、委員以外の者がこれを閲覧することは不適当である。このため本項は、何人も、審査会に対して提示文書の開示を求めることができないことを明記したものである。
前述のように、開示決定等に係る公文書によっては、その提示を求めるか否かについて慎重に検討を行った上で判断しなければならない場合がある。しかし、その検討の結果、審査会が提示を求めることとしたのであれば、当該文書の見分は事件を適切に判断する上で不可欠であるということである。このため、諮問庁は、審査会が「必要であると認めるとき」には、開示決定等に係る文書の提示の求めを拒むことができないことを確認的に規定している。
(1)本項の「資料」とは、一般にヴォーン・インデックスと呼ばれるものを指す。
審査会の審議に当たって、特に文書量又は情報量が多く、複数の不開示情報の規定が複雑に関係するような事案にあっては、不開示の文書と不開示の理由とを一定の方式で分類・整理した書類(ヴォーン・インデックス)を諮問庁に作成させ、その説明を聴くことが、事案の概要と争点を明確にし、不開示(特に部分的な不開示)とすることの適否を迅速かつ適正に判断する上で有効である。
なお、本項は第1項と異なり、不開示情報を記録した資料の提出を求めることができる権限を審査会に与えるものではない。
(2)審査会の調査審議には、第1項により係争文書を直接見分して行う方法があり、新たに資料を作成・提出させることは諮問庁に負担を課すことにもなるため、必ずしも全ての事件においてヴォーン・インデックスが求めることとなるものではない。すなわちヴォーン・インデックスは、文書量などが多く複数の不開示情報の規定が複雑に関係するような事案や、インカメラ審理を行うことの適否を判断しがたい事案などの場合に求められることとなる。その際の「必要があると認めるとき」の意味については、本項は、開示決定等に係る文書自体を提示させるものではないので、第1項の場合のような厳格な判断は求められない。したがって、開示決定等に係る文書の提示の要否をにわかに判断しがたい場合には、ヴォーン・インデックスなどによる調査を十分に行った上で、なおインカメラ審理が必要か否かが判断されることとなる。
本項は第1項と異なり、審査会の要求に対する諮問庁の拒否が禁じられて(第2項)はいないが、このことは、直ちに諮問庁が要求を拒否できることを意味するものではない。諮問庁は、審査会が調査審議を迅速かつ適切に進めるために必要であると認める場合には、当然にこれに応じなければならない。
(3)ヴォーン・インデックスを求める時期、特に当該公文書を実際に見分することとの前後関係などについては、事案に即して判断されるものである。また、「審査会の指定する方法」については、公文書には種々のものがあることから、あらかじめ方式を指定するのではなく、個々の事案に即した最も適切な方式を審査会が指定するものである。
(1)調査審議に必要な情報を十分に入手できるよう、審査会は、インカメラ審理やヴォーン・インデックス提出要求のほか、審査請求人等に意見書や資料の提出を求めたり、適当と認める者に陳述や意見書などの鑑定を求めるなどの調査ができる。
(2)「適当と認める者」とは、行政不服審査法第34条の「参考人」に相当するものであり、当該事案の直接の利害関係人ではない第三者のことである(ただし、行政不服審査法では審査庁がこの第三者を選ぶのに対し、本項では、審査会が選ぶ点が異なっている。)。
「その知っている事実」とは、参考人自らが直接見分した事実であって、その者の持つ意見ではない。
「鑑定」とは、特別の学識経験によってのみ知り得る法則その他の専門的知識等、あるいは事案にその法則を当てはめて得た結論である。
なお、審査会は、提出された意見書又は資料について鑑定を求める場合には、提出した審査請求人等の考え方を正確に把握するため、原則として、その意見を聴くべきであると考えられる。
また、審査請求人等が提出又は提示した意見書又は資料の情報、行った説明の内容について、審査請求人等から特別の考慮を払う必要がある性質の情報が含まれていることを理由として、委員以外の者に知らせることが適当でない旨の意見があったときは、審査会は、当該意見に従う必要がないことが明らかである場合を除き、それらの情報や説明内容が委員以外の者の知るところとならないよう対応すべきである。
(3)「その他必要な調査」には、諮問庁に対する口頭での説明要求のほか、物件の提出要求(行政不服審査法第33条)、検証(同法第35条)、審理関係人への質問(同法第36条)がある。
(4)行政不服審査法第34条と異なり、参考人の意見陳述や鑑定を行うことについて、審査請求人等が申し立てることはできない。ただし、諮問庁は、必要と認めるときは同条に基づき自ら当該調査を行った上、その調査結果を審査会に提出することが可能であり、また、審査請求人及び参加人は、審査庁に対して当該調査の申立てを行うことができる。
(意見の陳述)
第31条 審査会は、審査請求人等から申立てがあったときは、当該審査請求人等に、口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、審査会がその必要がないと認めるときは、この限りでない。
2 前項本文の場合においては、審査請求人又は参加人は、審査会の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。
本条は、審査請求人等の口頭による意見陳述について定めるものである。
(1)審査会の調査審議は、その取り扱う事件の性質に照らし、また、簡易迅速な権利利益の救済を確保するため、職権に基づき、書面を中心に行うことを原則としている(第30条参照)。本条は、適正な判断を行うための資料が審査会に十分に集まるようにするとともに、審査請求人等に必要な主張立証の機会を与えるようにするため、書面審理の原則の例外として、審査請求人等が審査会に対して口頭意見陳述を求めることができることを規定したもので、行政不服審査法第31条第1項本文と同様の趣旨によるものである。
本項では、行政不服審査法第31条と異なり、審査請求人・参加人のみならず、諮問庁にも意見陳述の機会を与えることとしている(本条以降の規定においても、基本的に、諮問庁を審査請求人・参加人と同列に扱っている。)。
(2)審査会は、申立てがあったときは必ず意見陳述の機会を与える義務を負うものではなく、審査請求人等の意見を全面的に認めるときや、同一の公文書の開示・不開示の判断の先例が確立しているときなどは、事件の迅速な解決と審査会全体の調査審議の効率性の確保の観点から、改めて審査請求人等の意見を聴く必要はない。
(3)本条の規定は、行政不服審査法第31条第1項本文の規定による口頭意見陳述とは別に、審査請求人等に対し、審査会に対して口頭で意見を述べる機会を付与するものである。
(4)審査会での口頭意見陳述にあたっては、行政不服審査法第31条第2項の規定と異なり、全ての審理関係人を招集するものではなく、また、同法第31条第5項の規定と異なり、申立人の質問を認めるものではない。
「補佐人」とは、行政不服審査法第31条第3項に規定する「補佐人」と同義であり、自然科学的・人文科学的な専門知識をもって審査請求人又は参加人を援助できる第三者である。補佐人は事実上の陳述に限らず法律上の陳述もすることができるが、その立場は審査請求人又は参加人の発言機関にすぎないと解される。
「審査会の許可」については、審査会の判断に任せられるが、審査請求人又は参加人の精神的・肉体的状況から判断して審理の進行上必要と認められる場合には、当然に許可されるべきである。
なお、諮問庁については、そもそも口頭意見陳述その他の行為を当該実施機関の職員に行わせることができるので、補佐人に関する規定を設けていない。
(意見書等の提出)
第32条 審査請求人等は、審査会に対し、意見書又は資料を提出することができる。ただし、審査会が意見書又は資料を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。
本条は、審査請求人等の審査会に対する意見書又は資料の提出権を定めるものである。
(1)本条は第31条と同様、適正な判断を行うための資料が審査会に十分に集まるようにするとともに、審査請求人等に必要な主張・立証の機会を与えるための規定であり、行政不服審査法第32条第1項及び第2項に相当する。
「意見書」は、事件についての審査請求人等の意見を記録した文書、「資料」は、口頭意見陳述又は意見書の内容を裏づける文書その他の物である。
(2)意見書又は資料の提出時期については、いつ提出してもよいということでは調査審議が遅れることになりかねないため、行政不服審査法と同様に、調査審議の遅延防止の観点から、審査会が意見書等の提出期限を定めたときは、その期限内に提出しなければならないとしている。当該期限を過ぎてから提出された意見書又は資料については、審査会はその受け取りを拒否することができる。
「相当の期間」とは、意見書等を提出するために社会通念上必要と考えられる期間である。
(提出資料の写しの送付等)
第33条 審査会は、第30条第3項若しくは第4項又は前条の規定による意見書又は資料の提出があったときは、当該意見書又は資料の写し(電磁的記録にあっては、当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面)を当該意見書又は資料を提出した審査請求人等以外の審査請求人等に送付するものとする。ただし、第三者の利益を害するおそれがあると認められるときその他正当な理由があるときは、この限りでない。
2 審査請求人等は、審査会に対し、審査会に提出された意見書又は資料の閲覧(電磁的記録にあっては、記録された事項を審査会が定める方法により表示したものの閲覧)を求めることができる。この場合において、審査会は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。
3 審査会は、第1項の規定による送付をし、又は前項の規定による閲覧をさせようとするときは、当該送付又は閲覧に係る意見書又は資料を提出した審査請求人等の意見を聴かなければならない。ただし、審査会が、その必要がないと認めるときは、この限りでない。
4 審査会は、第2項の規定による閲覧について、日時及び場所を指定することができる。
本条は、審査請求人等に対して、審査会に提出された意見書又は資料の写しの送付を定めるもの及び閲覧権を認めるものである。
1 本条は、審査請求の当事者が相手方の主張を知って反論を尽くすことができるようにすることを目的としており、行政不服審査法第38条にならい、職権主義の手続きの中に当事者主義的要素を導入したものである。
2 提出資料の写しの送付(第1項)
(1)「第30条第3項若しくは第4項又は前条の規定による意見書又は資料」とは、次のものを指す。
〔1〕第30条第3項の審査会が指定する方法により分類又は整理して提出された資料
〔2〕第30条第4項の提出要求等に応じて提出された意見書又は資料
〔3〕第32条の規定により審査請求人等が提出した意見書又は資料
(2)「電磁的記録にあっては、当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面」とは、電磁的記録を当該電磁的記録に応じた所定のアプリケーションを用いて用紙に出力したものをいう。
(3)「第三者の利益を害するおそれがあると認められるときその他正当な理由があるとき」とは、当該意見書又は資料に不開示情報に該当する情報が記録されていると認められる場合や、正当な防御権の行使ではなく権利の濫用にわたる場合などが考えられる。ただし、前者の場合、写しの送付先が審査請求人等に限定されていることから、審査請求人の個人名等必ずしも不開示にする必要のないものもあり、第14条の不開示情報の範囲と完全には一致しない。
また、意見書又は資料に提出者以外の第三者の情報が含まれていても、写しの送付により当該第三者の利益を害するおそれはないと判断される場合があり得るが、この場合には写しの送付に先立ち当該第三者に意見書提出の機会を与えるなど、第21条に準じた運用を行うものである。
3 提出資料の閲覧(第2項)
(1)「審査会に提出された意見書又は資料」とは、第1項に規定する「意見書又は資料」を指すものである。なお、仮に開示決定等に係る公文書が提出されていても、当該文書はその開示の是非が争われているのであり、審査会の調査審議手続において当該文書の閲覧を求めることは当然できない(第30条第1項後段)。
(2)本項の閲覧請求権は、審査会の調査審議手続における主張立証の便宜のために認められているものであるから、審査会の答申後は閲覧を求めることはできない。
(3)本項は、審査請求人等が十分な主張立証をすることができるようにするための規定であるので、閲覧の求めがあったときは、原則として、当該意見書又は資料を閲覧に供しなければならないこととしている。しかしながら、閲覧に供することにより第三者の利益を害するおそれがあると認められるとき、その他正当な理由があるときは、審査会は閲覧請求を拒否できる。
(4)「第三者の利益を害するおそれがあると認められるときその他正当な理由があるとき」としては、当該意見書又は資料に不開示情報に該当する情報が記録されていると認められる場合や、正当な防御権の行使ではなく権利の濫用にわたる場合などが考えられる。ただし、前者の場合、閲覧を求める者が審査請求人等に限定されていることから、審査請求人の個人名等必ずしも不開示にする必要のないものもあり、第14条の不開示情報の範囲と完全には一致しない。また、本項に基づく閲覧は意見陳述や意見書作成等に資するものであるが、調査審議がほぼ終結した段階で意見陳述や意見書の提出がなされて最初から議論をやり直すことは、審査会全体の業務運営に支障をきたし、他の事件にも影響を及ぼすおそれがある。したがって、調査審議の終結段階に至った場合には、本規定による閲覧の申出は「正当な理由があるとき」として拒否できるものとする。
また、意見書又は資料に提出者以外の第三者の情報が含まれていても、閲覧により当該第三者の利益を害するおそれはないと判断される場合があり得るが、この場合には閲覧に先立ち当該第三者に意見書提出の機会を与えるなど、第21条に準じた運用を行うものである。
(5)「電磁的記録にあっては、記録された事項を審査会が定める方法により表示したもの」の具体的な方法については、審査会の裁量に委ねられることとなるが、例えば、電磁的記録を当該電磁的記録に応じた所定のアプリケーションを用いて端末の画面に表示し、又は用紙に出力し、その画面又は出力した書面を閲覧させることが想定される。
4 提出人への意見聴取(第3項)
本条例においては、通常の処分に係る不服審査手続と異なり、文書の開示・不開示が問題となっていることから、第1項による写しの送付又は第2項による閲覧を認めることにより不開示情報が開示されることとならないように留意する必要がある。このため審査会は、第1項による写しの送付又は第2項による閲覧の求めがあった場合は、原則として、当該意見書又は資料を提出した審査請求人等の意見を聴き、写しを送付しない又は閲覧を拒むべき合理的な理由があれば(意見書又は資料の存否を答えること自体が不開示情報を明らかにすることとなる場合を含む。)、当該写しを送付しない又は当該閲覧請求を拒否することとなる。なお、この意見聴取は、あくまで、写しを送付しない又は閲覧を拒む正当な理由があるか否かについて、審査会が適切に判断できるようにするために行うものであり、審査会は、判断に際して提出者の意見に拘束されるものではない。
また、意見書又は資料に第三者の情報が含まれていても、写しの送付又は閲覧により当該第三者の利益を害するおそれはないと判断される場合があり得るが、この場合には写しの送付又は閲覧の許可に先立ち当該第三者に意見書提出の機会を与えるなど、第21条に準じた運用を行うものである。
5 日時及び場所の指定(第4項)
閲覧についての日時及び場所の指定については、社会通念上、合理的な日時及び場所が指定されるべきであり、具体的な事案に応じて審査会が判断することになる。
(調査審議手続の非公開)
第34条 審査会の行う調査審議の手続は、公開しない。
本条は、審査会の調査審議手続を非公開とすることを定めるものである。
審査会の調査審議は、公文書の開示・不開示の適否に関して行われるものであり、特にその手段としてインカメラ審理手続も採用されている。このような調査審議の手続は、公開すると不開示情報が公になるおそれがあり適当ではないため、非公開とすることとした。また、このような理由から、審査会の調査審議は、審査請求人、諮問庁等の当事者の出席の下に審議を進める公開の対審ではなく、書面審理を中心として行うこととしている。
なお、審査会の説明責任は、答申の内容の公表を通じて担保されるものである。
(答申書の送付等)
第35条 審査会は、諮問に対する答申をしたときは、答申書の写しを審査請求人及び参加人に送付するとともに、答申の内容を公表するものとする。
本条は、審査会が答申をしたときには、審査請求人と参加人に答申書の写しを送付するとともに、答申の内容を一般に公表することを定めるものである。
(1)本条により、審査会は、審査請求人及び参加人に対しては答申書の写しを送付することを、また、一般に対しては答申の内容を公表することを、それぞれ義務づけられる。なお、答申は諮問庁に対してなされるものであり、答申書は当然に諮問庁に送付される。
(2)審査会の手続が非公開であることをかんがみると、「答申の内容」の公開は審査会の手続の透明性を確保する役割を担い、また、審査会の答申が尊重される担保ともなり得る。
公表の対象を答申書自体ではなく「答申の内容」としたのは、答申の中に、審査請求人や参加人の氏名・住所など、公表することが不適当なものが含まれているからである。
(3)答申書等の送付、答申の内容の公表の時期については本条には明記されていないが、第三者的な審査請求機関としての審査会の性格や、審査請求人が諮問庁の裁決の日まで答申の存在を知らなかったということがないようにすべきこと、処分又は裁決を不服とする訴訟提起のための資料の提供等の点を考えると、答申日若しくは答申日から遅滞なく行われることが望ましい。
(公文書の管理)
第36条 実施機関は、この条例の適正かつ円滑な運用に資するため、公文書を適正に管理するものとする。
本条は、本条例の適正かつ円滑な運用に不可欠である公文書の適正な管理を確保するため、実施機関の責務を定めたものである。
(1)実施機関は、その保有する公文書が県民の共有財産であるとの観点から、文書管理事務の重要性を深く認識し、規程等を遵守し、保有する公文書を適正に整理保管しなければならない。
(2)公文書の管理に当たっては、特に、次の点に留意する。
〔1〕利用する人にとって分かりやすい、正確、平易かつ簡潔な文書の作成に努めること。
〔2〕検索しやすい体系的な分類を行うこと。
〔3〕文書の種類、性質等に応じた適正な保存年限を設定すること。
〔4〕廃棄に関しては適正な手続に基づき行うこと。
(3)実施機関における具体的な文書等の管理は、知事部局における文書管理規程等、それぞれの実施機関が定める文書等の管理に関する規程等の定めるところにより行われるものである。
(公文書の目録等)
第37条 実施機関は、公文書の目録等公文書を検索するための資料を作成し、一般の利用に供するものとする。
本条は、情報公開制度を県民が利用しやすいものとするとともに、より実効あるものとするため、公文書を検索するための目録等を作成し、閲覧に供することについて定めたものである。
(1)「公文書の目録等公文書を検索するための資料」とは、公文書検索目録(群馬県公文書開示事務取扱要綱様式第6号)とする。
(2)検索するための資料については、本条においてその作成と一般の閲覧に供することが義務づけられているため、実施機関が当該資料を作成した場合次のとおり備え置き、一般の閲覧に供するものとする。
〔1〕県民センター
各実施機関に係る公文書検索目録
〔2〕各課室及び各地域機関等
当該各課室及び当該各地域機関等に係る公文書検索目録