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「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律」が平成15年度に成立し、平成17年度に「群馬県環境学習推進基本指針」
(以下「基本指針」という。)を策定しました。
平成23年度に本法が「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」として改正され、体験の機会の場などの新しい制度の創設とともに、行動計画の策定などが規定されました。
そこで、理念的である基本指針を引き継ぎ、具体的な環境学習の行動へつなげるための行動計画として、
『環境に興味を持ち「人と環境」の関係について総合的かつ科学的な理解を深め、環境に責任と誇りをもって、主体的に行動できる人を育てる学習』を具体化していくため、県の推進施策や具体的な取組、評価指標を用いた点検などを盛り込んだ「群馬県環境学習等推進行動計画」を策定しました(平成27年3月)。
この行動計画では、環境学習を推進するための各施策の評価指標を定めています。
県民をはじめとした各主体のその達成に向けた取組について、平成29年度に施策の進捗状況の点検を行いました。
エコムーブ号は、屋根に太陽光発電パネルを設置し、様々な環境学習機材を積んだ移動環境学習車です。燃料は天然ガスで、環境にもやさしい車です。
このエコムーブ号の実施する「動く環境教室」では、水、ごみ・リサイクル、大気、温暖化などのテーマについて環境学習サポーター(講師)が学校に出向いて、実験や体験活動を交えながらわかりやすく環境について学ぶことができます。
実験は、地球温暖化をはじめ、水の汚れ、大気の汚れなどを調べるものや、リサイクルに関するものを行います。この授業を子どもたちが受けることにより、自分たちの生活と環境問題のつながりを意識し、普段の生活から環境にやさしい行動をしていこうとする気持ちを育みます。
環境学習サポーターは主にエコムーブ号(「動く環境教室」)において講師を務めます。
この教室で学習する分野は幅広い知識を習得するための座学や、子どもたちの興味を引きつける話し方や学習の流れを踏まえた実験の仕方など、体験的な学習をより行動へ結びつけるための研修を行っています。
また、ぐんま環境学校(エコカレッジ)のカリキュラムに研修を組み込み、環境学習サポーターの育成を行っています。
環境学習や地域の環境活動に自ら進んで取り組むことができる人材を養成するため、環境問題に関連する幅広い分野のカリキュラムによる「ぐんま環境学校(エコカレッジ)」を実施しています。
平成29年度は、6月から12月にかけて講義やワークショップ、フィールドワーク等を実施しました。受講生は、環境保全や気候変動、環境学習、リサイクルなどに関する講義や、尾瀬ボランティア講座、育樹作業の体験、清掃センターでのリサイクル実習を通して、知識を深めるとともに今後の活動への意欲を新たにしました。
修了生は、群馬県環境アドバイザーに登録されるとともに、動く環境教室の環境学習サポーターとして活躍している方もいます。
平成30年度も事業を継続し、講師や受講生同士の交流の場を設け、横のつながりを築けるように配慮しながら、環境活動に自ら進んで実践できる人材を育成していきます。
環境保全活動の地域リーダーとして活躍する人材の育成・支援のため平成4年度から群馬県環境アドバイザー制度を設け、326名(平成29年度末現在)の環境アドバイザーが県に登録し活躍しています。
【環境アドバイザーの活動概要】
環境ボランティアとして、環境美化活動、地球温暖化対策、ごみの減量や自然エネルギー等、様々なテーマで活動しています。
平成11年度から環境ボランティアに委託している「地域環境学習推進事業」も、主に環境アドバイザーが企画・立案・実施をしています。
また、環境アドバイザー相互のネットワーク作りのため、平成9年度に「群馬県環境アドバイザー連絡協議会」を設置しました。役員会・幹事会を随時開催し、重点活動内容について協議するとともに、会報「グリーンニュース」の発行、専門部会・委員会(ごみ問題、温暖化・エネルギー、自然環境、広報委員会)の運営、地域ごとに活動する地域部会など「行動する環境アドバイザー」をスローガンに専門性を伸ばしながら、アドバイザー同士のつながりを意識した活動に取り組んでいます。さらに平成29年度には、群馬県と共催で5回目となる「みんなのごみ減量フォーラム」を開催しました。フォーラムでは食品ロスや生ごみの減量を主なテーマとして、基調講演やパネルディスカッションが行われ、真剣な討論が交わされました。
こどもエコクラブは、幼児から高校生までなら誰でも参加できる環境活動のクラブです。2人以上の子どもと、子どもたちをサポートする1人以上の大人でクラブをつくることができ、県がこのクラブの活動を支援しています。
環境省のバックアップのもと全国で取り組まれており、全国大会も開催されています(平成23年度より日本環境協会が運営)。群馬県では平成8年からこどもエコクラブが結成されています。平成29年度の登録状況及び事業状況は次のとおりです。
県内のエコクラブが一堂に会し、合同体験学習交流会を行いました。
県内各クラブの1年間の活動の成果を発表し、相互の交流を図るため、交流会を行いました。
平成26年度から始まった「ぐんま緑の県民基金市町村提案型事業」では、児童生徒や、県民を対象とする森林環境教育や森林体験活動を支援するとともに、森林の機能や重要性について普及啓発を図る取組を実施しています。
平成29年度は、県内20市町村において39事業の自然観察会や間伐体験の開催を支援し、森林体験バスツアーなどの実施を通して、10,700人の方に森林の機能や重要性について学んでもらうことができました。
本県の森林や地球環境を社会全体で守り育てる意識を醸成するため、自然の解説者である「緑のインタープリター」を養成し、森林や緑とふれあう様々な自然体験活動を通じて人間生活や環境と森林の関係について理解を深め、緑豊かな郷土づくりを推進します。
養成した緑のインタープリターは、小・中学生を対象にしたフォレストリースクールや緑の少年団育成事業、ぐんま緑の県民基金事業の市町村提案型事業、森林観察会・自然講座などの森林環境教育事業の場で活動しています。
小・中学校での講義や体験活動等を通じて、森林や緑化の重要性を認識させ、森林保全や環境保護への意識啓発を図るため、県内各地で実施しました。近隣の里山の自然観察や林業体験、校庭の木々を生かしたネイチャーゲームやクラフト等を実施するために講師を派遣して、学校の授業を支援しました。
また、夏休み中に赤城ふれあいの森において、
「夏の森林教室」を実施し、児童と引率の教員に、自然観察や「ツリーイング」を体験してもらい、森林や林業について幅広く学ぶ場を提供しました。
緑の少年団は、緑と親しみ緑を守り育てるなどの活動を通して、自然を愛し人や社会を愛する心豊かな人間に育てることを目的に、県内の小学校を中心に組織された団体で、現在317団体、約6万人の子どもたちが活動しています。
学校林の整備や森林の学習会、地域の施設へのプランターの寄贈や清掃活動等、学校や地域の実態に応じて様々な活動が展開されています。県では広くこの活動を支援し、体験活動や学習機会を提供することを通じて森林環境教育を推進しました。
森林の持つ公益性や多面的機能に対する県民の関心、森林や環境を大切にする意識を高めるため、憩の森・森林学習センターにおいて、子どもから大人まで幅広い年代を対象にしたイベントやNPO法人等への活動フィールドの提供、指導者養成のための講習会などを年間を通して開催し、森林環境教育を推進しています。
県の総合的な緑化推進の拠点として、緑化思想の普及啓発、緑化技術の指導、森林環境教育等を実施するとともに、市町村及び緑化関係業界等に対し緑化情報の提供や技術支援を実施しています。
また、平野部にあることから、平地林保全対策の拠点として、近隣にある平地林を管理するとともに平地林に関する情報交換の場にもなっています。
平成29年度は、県民等を対象とした緑化講座を21回、小学生等を対象とした森林環境教育としての森林楽習講座を9回開催しました。
また、例年5月4日には、
「みどりの日」の趣旨を普及・啓発するため、みどりの集いを開催しています。
保健休養の場を提供するため樹木見本園、庭園見本園等を整備しており、年間およそ3万人の来園者があります。
今日、環境問題を解決し、持続可能な社会を構築していくためには国民の環境に対する意識を高め、一人一人が環境に配慮した行動をとることが重要であり、各学校では、その基盤となる環境教育・環境学習を推進することが重要であると考えます。
そのため、県教育委員会では、国が主催する環境教育に関わる研修等の紹介や、総合教育センターにおける研修講座の実施を通して、環境教育に関する専門的な知識と児童生徒への指導力を備えた教員を養成できるようにしています。
各学校で環境教育の充実を図るためには、各教科、道徳、総合的な学習の時間及び特別活動等それぞれの特質に応じて、児童生徒、学校、地域の実態を踏まえながら環境に関する学習が行われるようにすることが重要です。
そこで県教育委員会では、特に小・中学校において、系統的な取組ができるよう、環境教育全体計画の作成、見直しをお願いしています。
また、県内の環境教育の特色ある取組を広く紹介するため、環境教育実践事例集「みんなの環境わたしたちの実践」を毎年2月に作成し、県総合教育センターのWebページに掲載しています。この実践事例集では、小、中、高等学校の優れた取組を1校ずつ紹介しています。
県では、各学校で環境教育を効果的に推進できる教員を養成するため、全校種の教員を対象に「実際に見る・触れる・体験する環境教育研修講座」を実施しています。平成29年度は、8月にエコムーブ号の利用体験を実施し、県環境政策課が実施している環境教育の取組を学びました。11月には、気象観測装置や緊急地震速報の仕組みについて、最先端の研究に触れる研修を通じ児童生徒に対する効果的な指導方法を学びました。こうした研修を通して、児童生徒に実体験を伴った環境学習を実践するための指導力の向上を図っています。また、広い視点で環境教育を捉えるため、体験・分析・見学という形でバランスよく展開しています。参加者は延べ16名でした。
衛生環境研究所では感染症・食中毒などの衛生・医療及び水・大気などの環境保全に関する調査研究を実施しています。
環境分野では、従来の自然科学を重視した調査・研究に加え、環境教育分野にも力を入れ、研究を進めています。平成29年度に実施した主な調査研究のテーマは、表2-6-1-12のとおり(表は省略)です。これらの一部は文部科学省の競争的研究資金を獲得し、実施した研究です。
小中学校や地域などにおける環境学習や環境活動を総合的に支援するため、平成15年度に環境サポートセンターを開設しました。
センターでは、環境学習や活動に関する質問や相談の受付、情報提供・発信、エコムーブ号の運営、環境アドバイザーやこどもエコクラブの活動支援などを行っています。
森林環境問題への関心が高まるなか、多くの方に森林にふれることの楽しみと森林整備の重要性を知ってもらうため、県民参加による森づくりを進めています。
県では森林ボランティア活動を推進し一体的な支援を行う拠点として、平成26年10月に「森林ボランティア支援センター」を開設し、作業時の安全対策・器具の取扱い講習会等の開催、森林整備作業器具の貸出しなどを行っています。
また、企業ボランティアでは、平成29年度末時点で、「企業参加の森林づくり」で29団体(31協定)、「県有林パートナー事業」で8団体が森林整備に取り組んでいます。
県では森林の整備・保全を社会全体で支える県民意識を醸成するため、憩の森・森林学習センターに森林ボランティアの活動拠点として「森林ボランティア支援センター」を設置し、ヘルメットやノコギリなどの森林整備作業器具の貸出しや安全講習会の開催(10回開催、合計152人参加)、専用ホームページ「モリノワ」による情報の収集・発信、「森林ボランティア体験会」の開催(3回開催、合計48人参加)、「森林ボランティア交流会」の開催(1回開催、77人参加)など、森林ボランティア活動の一体的なサポートを行っています。
本県の豊かな自然環境を守り、確実に次代に引き継いでいくためには、次代を担う子どもたちへの環境学習が重要であることから、平成16年度から環境白書の普及版として、こども環境白書を作成し、県内小中学校などの教育機関を中心に配布を行っています。
平成29年度に作成した最新版では、群馬県の環境などをデータやイラストを使ってわかりやすく整理するとともに、学校での環境学習の副読本として活用してもらうため、主に小学校4年生から6年生の学習指導要領との整合に配慮した内容となっています。
県では、環境に対する理解を深めてもらうことを目的に、平成24年3月から群馬県環境情報ホームページ「ECOぐんま」を開設し、県内の環境に関する情報を発信しています。ホームページ内では、環境についてのイベント情報や、家庭でのCO2排出量診断、EV充電マップ等の様々なコンテンツを見ることができます。
「ECOぐんま」ホームページアドレス<外部リンク>http://www.ecogunma.jp/
(1)掲載コンテンツとホームページ閲覧数
平成29年度は、環境に関する活動を実施している団体の紹介、県主催のイベントの告知、平成29年度版こども環境白書や環境学習資料の掲載などを行いました。