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バイオマス利用率 77%(平成27年度)
容器包装廃棄物は家庭から排出されるごみのうち容積比で約60%を占めると推定され、その中にはリサイクル可能な資源が多く含まれています。
これら廃棄物を適正処理し、資源の有効利用を図るため、平成9年4月に「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律」(容器包装リサイクル法) が完全施行されました。
当初、分別・収集等の対象は7品目でしたが、平成12年4月に「段ボール」、「その他プラスチック製容器包装」(その他プラスチック)、「その他紙製容器包装」(その他紙)が加わり、現在は10品目が対象となっています。
この法律では、消費者、市町村、事業者に次のような役割を定めています。
県内市町村における分別収集の状況については、「その他紙」や「白色トレイ」などの収集は一部の市町村のみですが、「茶色ガラス」や「ペットボトル」などは全市町村で収集されるなど、多くの品目で分別収集が行われています。
平成28年度の対象品目毎の分別収集量は、微増したもの・微減したものそれぞれありますが、全体として横ばい傾向でした。
また県では、平成29年3月に、平成29年度から33年度までの5年間を計画期間とする、「第8期群馬県容器包装廃棄物分別収集促進計画」を策定し、市町村と協力して容器包装廃棄物の分別収集の一層の促進を図っています。
家庭用として製造・販売されたテレビやエアコン等の適正処理及び資源の有効利用を目的に、平成13年4月に「特定家庭用機器再商品化法」(家電リサイクル法) が施行されました。
この法律では、消費者、小売業者、製造業者等に次のような役割を定めています。
当初、リサイクルの対象品目は、エアコン、ブラウン管式テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機の4品目でしたが、平成21年4月から液晶・プラズマ式テレビ、衣類乾燥機が対象品目に追加されました。
また、平成27年4月には、ブラウン管式テレビ以外の再商品化率が引き上げられ、更なるリサイクルの推進、廃棄物の減量と資源の有効利用が図られることになりました。
県内の廃家電の指定引取場所5か所における引取台数は、表2-5-2-1のとおりで(表は省略)、法施行後、廃家電の収集やリサイクルは概ね順調に行われています。
廃家電を処分する場合は、購入した小売店に持ち込むなど適正に処理する必要があります。一方で、不法投棄される廃家電もあります。
そのため、県や市町村では未然防止対策として、パトロールの実施や日本郵便株式会社等との不法投棄の情報提供に関する協定の締結、広報媒体を使った適正処理の周知等の取組を行っており、不法投棄台数は減少傾向にあります。
使用済小型電子機器等に含まれている、有用資源のリサイクル等を目的に、平成25年4月に「使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」(小型家電リサイクル法)が施行されました。
この法律では、消費者、小売業者、自治体等に次のような役割を定めています。
具体的な回収方法や対象品目は市町村により異なっていますが、県内の市町村における回収実施状況は表2-5-2-2のとおりで(表は省略)、回収を実施している市町村、人口割合とも年々増加しています。
家電リサイクル法の対象となる廃家電のうち小売業者が引取義務を負わないもの(義務外品)については、消費者の排出利便性を確保し、不法投棄や不適正処理を防ぐ観点から、市町村が、地域の実情に応じ、小売業者や一般廃棄物収集運搬業者と連携した回収体制を構築する必要があります。
国が定める廃棄物の減量その他その適正な処理に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るための基本的な方針(平成28年1月21日環境省告示第7号 廃棄物処理法に基づく国の基本方針)では、平成30年度までにすべての市町村において義務外品の回収体制を構築するとされています。
回収体制は、1市町村が回収する2協定等により小売業者が回収する3協定等により一般廃棄物収集運搬業者等が回収する、に大別されます。
県では、関係団体への協力を求めるなど、県内すべての市町村が回収体制を構築できるよう支援しています。
使用済小型電子機器等(小型家電)の回収を行う市町村の割合は、廃棄物処理法に基づく国の基本方針において、平成30年度までに全国ベースで80% まで増大させるとされています。
また、小型家電の再資源化を実施すべき量は、国が定める使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する基本方針において、平成30年度までに全国ベースで14万トン/年、一人一年当たり約1kg を目標とするとされています。
市町村が小型家電を効果的に収集するためには、ボックス回収、ピックアップ回収、イベント回収等地域に適した回収方法を検討する必要があります。
県では、小型家電の回収未実施の市町村に対しては比較的取り組みやすい回収方法から開始する等の助言を、既に回収に取り組んでいる市町村に対しては回収品目の拡大・回収量の増加に向けて支援を行っています。
県では、産業廃棄物の再生利用を行う施設を整備しようとする事業者を対象とした融資制度(産業廃棄物処理施設整備資金)を設け、支援等を行っています。
平成28年度実績は0件でした。
資源を有効に活用し循環を基調とした社会を構築するためには、環境への負荷が少ないものを意識して購入する、いわゆる「グリーン購入」を推進し、需要面から環境物品等の市場拡大を促進することが必要です。
そのため、平成12年度に「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(グリーン購入法)が制定され、国や地方公共団体は、率先して環境物品等の調達に努める旨が規定されました。
県では、平成13年6月に「循環型社会県庁行動プラン-エコDo!-」を策定し、県庁の行政事務に必要な物品等の購入にあたって、グリーン購入達成率100%を目標に取り組んできました。平成23年度に策定した「地球温暖化防止実行計画(事務事業編)」においても、引き続きグリーン購入100%を目標に取り組んでいます。
自動車(関連機器含)及び作業用手袋は、必要な機能を備えかつ、グリーン購入基準を満たす製品がなかった、また予算の都合上、といった理由のため、購入実績が低くなっています。グリーン購入について更に周知を図るとともに、より環境に配慮されたものを選択していくことが、今後の課題となります。
農業の生産現場から排出されるプラスチック等の廃資材は、排出者である農業者の責任で適正に処理する必要があります。
廃資材は、可能な限り再資源化を図ることにより、循環型社会の構築に寄与するとともに、農村環境の保全を図ることとしており、マテリアルリサイクルやサーマルリサイクルによる処理を推進しています。
なお、それぞれの農業者から排出される廃資材は少量であるため、適正かつ効率的な処理をするための体制を整える必要があります。
農業用廃資材のリサイクルの推進や適正処理の啓発を行うとともに、農業用廃資材の回収体制を整備するため、地域協議会を設立し活動しています。
平成28年度末現在、県内には22の協議会が活動しています。
廃石膏ボードは産業廃棄物として、管理型の最終処分場で処分されています。しかし、処分場の数は少なく、その処分には、多額の費用がかかっています。
この廃石膏ボードを再資源化し、循環型社会構築を図るため、平成22年度から群馬大学との共同研究により、廃石膏ボードを焼成乾燥させることによって生成される「半水石膏」の公共工事への利用を進める取組を行っています。
バイオマスとは生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、動植物に由来する有機性資源(石油などの化石資源を除く)のことです。
バイオマスは、植物が成長過程で光合成により大気中の二酸化炭素を固定して作り出した有機物に由来するため、燃焼しても実質的には大気中の二酸化炭素を増加させることにはなりません。このように二酸化炭素の増減に影響を与えない性質のことを「カーボンニュートラル」といいます。そのため、バイオマスは、化石燃料に代替する再生可能エネルギーとして注目されています。
ア 策定の趣旨
平21年9月に「バイオマス活用推進基本法」が施行され、平成22年12月には、国の「バイオマス活用推進基本計画」が策定されました。
これを受け、県ではバイオマス活用施策を効果的に推進するため、平成24年3月に「群馬県バイオマス活用推進計画」を策定しました。
これまで計画の進捗状況について点検・評価を行ってきましたが、計画の策定から5年が経過したことから、バイオマスを取り巻く状況の変化や計画の進捗状況等を踏まえ、平成29年3月に計画を改定しました。
イ 基本理念
豊富に存在するバイオマスを有効活用した地域循環型システムを構築し、新たな技術の開発と産業の育成により、環境負荷の少ない低炭素・循環型社会を実現する『バイオマス先進県ぐんま』を目指すことを基本理念としています。
ウ バイオマス利用の現状と目標
バイオマスの種類ごとに平成33年度の利用率の目標値を定めています。
計画策定時(平成22年度)と比べ、約半数のバイオマスで利用率が上昇しています。
「群馬県バイオマス活用推進計画」の基本理念・目標の達成を目指して、学識経験者・市民活動団体・NPO・事業者・行政から構成される「群馬県バイオマス活用推進委員会」を中心に、県庁各部局で構成される「群馬県バイオマス利活用推進連絡会議」と協力・連携し、持続可能な低炭素・循環型社会の実現に向けた取組を総合的・計画的に推進します。
生ごみは、家庭から排出される可燃ごみの3割以上を占めています。生ごみの主なバイオマス利用の現状は、焼却施設での熱回収です。
現在、家庭から排出される生ごみを活用して堆肥等にリサイクルしている自治体もあります。今後は、堆肥化に加え飼料化やバイオマスエネルギー利用など、多様で質の高いバイオマス利活用が期待されます。平成27年度の家庭から排出される生ごみのバイオマス利用率(炭素換算)は79%でした。
木質バイオマスの利用は、森林資源の有効活用や木材需要の拡大だけでなく、高齢化や労働人口流出等の課題を抱える山村地域にとって、新たな雇用創出や産業振興にもつながることが期待されています。
特に、地域資源である地元の森林から産出される未利用な低質材を、木質バイオマスエネルギーとして地元で発電や熱に利活用する「地産地消」の取組は、持続可能な森林資源を活用した循環型社会づくりにつながることから、それらの取組を支援します。
平成13年5月に施行された「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」(食品リサイクル法)では、食品製造等で生じる加工残さ、売れ残りや食べ残し等の「発生抑制」を行い、発生した食品廃棄物等については、飼料や肥料として「再生利用」に取り組む事で、廃棄処分を減らすとともに、環境負荷の少ない循環型社会の構築を目指しています。
平成24年4月からは食品関連事業者を16の業種に設定し、各業種ごとに食品廃棄物等の発生量の目標値を設定しました。
これを契機にフードチェーン全体における「発生抑制」の取組の更なる推進が期待されています。
食品廃棄物の再生利用を促進していくために、国は地域における食品廃棄物等のリサイクルの実践、リサイクル技術の普及等の取組に対しての支援を行うほか、年間100トン以上の食品廃棄物を発生させている食品関連事業者に対しては定期報告義務を設け、再生利用等の取組を確保するためその把握に努めています。
また県では、企業に対して認定制度や補助制度の紹介を行うなど国と連携して、食品リサイクルの普及促進を図っています。
公共事業で発生する木くず(建設発生木材)について、再資源化を図り、有効利用することを促進します。
「建設発生木材」のチップ化による、木質ボード、堆肥等の原材料として利用、また、これらのチップ化による利用が、技術的に困難な場合や環境への負荷の程度等から適切で無い場合には、燃料として利用を促進します。
一般廃棄物の処理実態等について県民に正しく認識してもらうとともに、ごみの分別排出等を適切に進めるため、「ぐんま3R宣言」や「みんなのごみ減量フォーラム」を活用した普及・啓発等を行っています。平成28年度は、139ページ掲載の「みんなのごみ減量フォーラム」のごみ削減事例発表会において、「再生資源事業者から~紙のリサイクル事例」と題し、リサイクル事業の現場から、リサイクルできない紙(禁忌品)の昇華転写紙(アイロンプリント紙)などについて説明いただき、紙ごみの分別の重要性について、啓発を行いました。