本文
本県は日照時間が長く、豊富な水資源や県土の3分の2を占める森林など、多くの再生可能エネルギー資源に恵まれています。これらの資源を活用した再生可能エネルギーの計画的な普及を推進するため、平成28年3月に「群馬県再生可能エネルギー推進計画」を策定しました。
再生可能エネルギーの資源量や特性を踏まえ、太陽光発電を中心に、小水力発電、木質バイオマス利用の重点的な導入を促進し、他の再生可能エネルギーについても導入可能性を検討することとしています。
また、消費地の近くでエネルギーを創る自立分散型エネルギーの推進や、蓄電池等を備えたエネルギー自立型住宅の普及を進めるなど、再生可能エネルギーの効率的な利用を図ることとしています。
大規模水力発電(出力1,000kW超)を除く再生可能エネルギー発電の導入量は、平成27年度末時点で、設備容量にして108万8千kW、発電量は年間14億kWhと推計され、大規模水力の発電量31億kWhと合わせると、再生可能エネルギー全体では45億kWhになります。
計画の終期である平成31年度までに、大規模水力を除く再生可能エネルギーの発電量を21億kWhに伸ばし、大規模水力と合わせた再生可能エネルギー全体の発電量を52億kWhにすることを目標としています。
本県は年間の日照時間の長さが全国上位で、太陽光発電に適した地域です。
県では、引き続き太陽光発電の導入を促進するため、住宅用太陽光発電設備等を設置する個人を対象とした低利の融資制度を開始しました。この制度では、創った電気を自分で使うという「自家消費」目的による導入を積極的に支援するため、太陽光発電設備と合わせて蓄電池を設置する場合も融資の対象としています。平成28年度は63件の融資認定を行い、導入を支援しました。
利根川の水源を持ち、首都圏の水がめとして豊富な水資源に恵まれていること、山間部には急峻な地形が広がっていることなどを背景に、本県では古くから水力発電所が数多く作られてきました。
小水力発電は、周辺への環境負荷が小さく、低落差、少水量でも発電が可能なことから、今後は山間部の小河川や平地の農業用水路などへの導入が期待されています。
小水力発電を導入するためには、発電に適した場所の選定と設置費に見合った発電量が見込めるかどうかの判断が重要です。
県では、民間企業等による事業化検討の一助となるよう、県内に多数ある砂防堰堤の落差を利用した小水力発電の可能性について平成28年度に調査を行いました。13地点における小水力発電モデルを仮想して、発電電力量や売電収入、発電事業の経済性(投資回収年)の見込みを試算するとともに、関係する法規制や協議先となる機関を確認しました。今後は、この調査結果を活用して事業者に対する相談や情報提供を行います。
小水力発電を導入しようとする市町村や非営利団体に対して、事前調査費を補助しました。平成28年度は1件を採択し、中之条町内での調査を支援しました。
県企業局は、地域における再生可能エネルギーの普及拡大を図るため、市町村等が取り組む小水力発電等に対して、技術的内容及び事務手続き等について助言や相談に応じるなどの協力や支援を行っています。
平成29年2月には、環境エネルギー課が主催した「群馬県再生可能エネルギーセミナー」において、企業局の技術支援の内容について説明を実施しました。
県企業局は、水力発電の導入促進として、国の建設する八ッ場ダム直下流左岸に最大出力11,700kWの八ッ場発電所の建設を進め、平成32年度の運転開始を目指しています。
また、水力発電の事業化調査として、候補地の現地調査や河川の流量観測を継続し、条件が整ったものがあれば開発を行います。
戦後に植林されたスギ、ヒノキなどは住宅の柱などの建築用材として育てられましたが、曲がり等の低質材は用途が少なく、また運び出すコストもかかるため、利用されませんでした。
しかし最近は、再生可能エネルギーの普及・拡大が進む中で、低質材や製材端材等は木質バイオマスとして発電や熱への利用が期待されています。
森林に捨て置かれ、利用されなかった低質材等が、木質バイオマスとして利用されることで、森林整備の推進や森林資源の活用が進み、林業や山村地域の活性化につながることから、燃料用チップや木質ペレット等の生産施設や利用設備の整備に対し支援を行っています。平成28年度は川場村やみどり市の木質バイオマス利活用施設の整備などを行いました。
木質バイオマスの利活用には、燃料となる低質材等を安定的に供給することが必要となりますが、価格面で既存の化石燃料等と競合します。
このため、森林内に散在する価格の安い低質材を効率的に集めたり、運搬のコストを削減することが重要になります。
一般的に木材の利用には、伐採・搬出するための作業道の整備や、伐採地に近い場所で材を集荷、選別し、大型車両に積み替えるための土場が必要となります。
その中でも低質材は良質材に比べて空隙が増え、集荷・運搬コストの縮減が重要となることから、その集荷体制の整備を進めています。
地中熱利用は、年間を通して一定している地中の熱をヒートポンプ空調などに利用するもので、建物や施設の省エネルギーに寄与します。
県内では設置事例が少ないことから、平成24年度から平成28年度にかけて、市町村や企業・団体等が行うモデル事業に対して補助を行い、導入事例の創出を図りました。平成28年度は、民間事業所における導入事業について1件を採択しました。
本県における小型風力発電の導入可能性について検討するため、ぐんまフラワーパークと奥利根水質浄化センターの2地点を選定し、平成26年12月から風況調査を行っています。
県企業局では、水力・風力・太陽光発電の理解を深めるため、県営発電施設の見学案内を行っています。