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足尾鉱山の坑廃水等による下流への影響監視として、昭和54年から県、桐生市及び太田市(県内三者)が共同で渡良瀬川の水質調査(降雨時・平水時)を実施していますが、近年、ゲリラ豪雨が頻発する傾向にあり、豪雨時に堆積場等からの重金属類が流出することに対する不安があります。
このような状況を踏まえ、県内三者では、足尾鉱山への対応として、渡良瀬川の水質監視体制を強化するため、平成26年6月に渡良瀬川上流部(沢入発電所取水堰)に自動採水器(オートサンプラー)を設置しました。
オートサンプラーでは、遠隔操作により自動的に河川水を採水することができます。1時間ごとに1リットルを採水できる性能があり、一度に連続24時間24リットル分の採水が可能です。
連続で採水することでより正確な水質調査を実施することができます。
台風等による降雨の影響を調べるため、6月7日、6月12日、10月6日、10月12日の降雨時調査と合わせ、沢入発電所取水堰地点(栃木県内)において、オートサンプラーによる採水を行いました。
その結果、坑廃水の公害防止協定値の超過はありませんでしたが、オートサンプラーによる採水地点では、河川流量の増加に伴って亜鉛、砒素及び鉛の濃度が上昇する傾向がみられました。
なお、草木ダムより下流部(群馬県内)への影響はありませんでした。
オートサンプラーによる調査結果と降雨時水質調査の調査結果を組み合わせることで、降雨時水質調査の精度を高め、その結果を公害防止協定に基づく山元対策につなげていきます。