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今日、環境問題を解決し、持続可能な社会を構築していくためには国民の環境に対する意識を高め、一人一人が環境に配慮した行動をとることが重要であり、その基盤となる環境教育・環境学習を推進することが重要であると考えます。
そのため、県教育委員会では、各学校・地域で中核となる教員を国が主催する環境教育研修へ派遣し、環境問題に関する専門的な知識と児童生徒への指導力を備えた教員の養成に努めています。
環境教育研修講座
小学校・中学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校の教員(23人)
(1)エネルギー分野
(2)自然体験分野
(3)生物分野
(1)尾瀬自然体験研修
県では、自ら主体的なボランティア活動に取り組む意欲のある方を育成するため、平成24年度から「ぐんま環境学校(エコカレッジ)」を実施しています。
平成25年度は、8月から10月にかけて講義やワークショップ、フィールドワーク等を7日間開講しました。18名の受講生は、地球温暖化、自然環境、廃棄物・リサイクルなどに関する講義や育樹作業の体験、尾瀬でのフィールドワーク、清掃センターでのリサイクル実習を通して、幅広い分野の知識を深めるとともに今後の活動への意欲を新たにしました。
平成26年度も事業を継続し、講師や受講生同士の交流の場を設け、横のつながりを築けるような環境づくりに配慮しながら、地域の環境学習や環境活動に自ら主体的に実施できる人材を育成していきます。
県民に身近な地域での環境学習の機会をより多く提供するため、県が平成11年度から民間で活躍する環境ボランティアの群馬県環境アドバイザー、環境カウンセラー、NPO法人に委託し、環境教育事業を行っています。身近な環境問題のテーマの環境学習会をより多く行うことで、県民の環境問題に対る関心を高め、環境保全活動への参加促進を図ります。
地球温暖化問題から自然観察会、川の生き物調べ、ごみ減量策など、毎年多くの企画が寄せられ、県事業として適当であると認められた企画を採用して県と実施主体との委託契約で実施しています。
平成25年度までの15年間で、延べ355団体に委託して1,125回の講座を開催し、約5万5千人の県民の方に参加していただきました。
今後も県内各地で様々な事業が実施され、多くの県民が地域での環境学習へ参加することが期待されます。
エコムーブ号は、屋根に太陽光発電パネルを設置し、様々な環境学習機材を積んだ移動環境学習車です。燃料は天然ガスで、環境にもやさしい車です。
地球温暖化をはじめ、水の汚れ、大気の汚れなどを調べる実験やごみのリサイクル、水生生物の観察などの器具もそろっています。
動く環境教室として、水、ごみ、大気、温暖化などのテーマについて環境学習サポーター(講師)が学校に出向いて、実験や体験活動を交えながらわかりやすく教えてくれます。
こどもエコクラブは、幼児から高校生までなら誰でも参加できる環境活動のクラブです。2人以上の子どもと、子どもたちをサポートする1人以上の大人でクラブをつくることができ、県がこのクラブの活動を支援しています。
環境省のバックアップのもと全国で取り組まれており、全国大会も開催されています(平成23年度より日本環境協会が運営)。群馬県では平成8年からこどもエコクラブが結成されています。平成25年度の登録状況及び事業状況は次のとおりです。
県内のエコクラブが一堂に会し、合同体験学習交流会を行いました。平成25年度は高山村で開催しました。
県内各クラブの1年間の活動の成果を発表し、相互の交流を図るため、交流会を行いました。
県では、平成18年3月に「群馬県環境学習推進基本指針」を策定しました。
これは、「群馬県環境基本条例」や「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律」等に基づき、県内における環境教育・環境学習が、関係者の連携、協力により、一層体系的かつ総合的に推進できるよう指針を定めたものです。
環境に関心をもち、「人と環境」の関係について総合的かつ科学的な理解を深め、環境に責任と誇りをもって、主体的に行動できる人を育てる。
環境学習の推進にあたっては、関係者が、共通の認識に立って、連携、協力して取り組んでいくことが大切です。
なお、「環境の保全のための意欲の増進及び環境教育の推進に関する法律」が、平成23年6月に改正(改正後の題名「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」)され、環境保全活動等の推進のための行動計画作成について考え方が示されました。
このことから、県では「群馬県環境学習等推進行動計画(仮称)検討委員会を設置し、「群馬県環境学習推進基本指針」の見直しを進めています。
緑の少年団は、緑と親しみ緑を守り育てるなどの活動を通して、自然を愛し人や社会を愛する心豊かな人間に育てることを目的に、県内の小学校を中心に組織された団体であり、現在333団体、約6万人の子どもたちが活動しています。
学校林の整備や森林の学習会、地域の施設へのプランターの寄贈や清掃活動等、学校や地域の実態に応じて様々な活動が展開されています。県では広くこの活動を支援し、体験活動や学習機会を提供することを通じて森林環境教育を推進しました。
小・中学校での講義や体験活動等を通じて、森林や緑化の重要性を認識させ、森林保全や環境保護への意識啓発を図るため、県内各地で実施しました。近隣の里山の自然観察や林業体験、校庭の木々を生かしたネイチャーゲームやクラフト等を実施するために講師を派遣して、学校の授業を支援しました。(参加校数36校、参加生徒数2,809人)
また、夏季休業中に憩の森・森林学習センターにおいて、「夏の森林教室」を実施し、児童と引率の教員に対して、間伐や「ツリーイング」を体験してもらい、森林や林業について幅広く学ぶ場を設定しました。
各学校で環境教育の充実を図るには、各教科、道徳、特別活動及び総合的な学習の時間それぞれの特質に応じて、環境に関する学習が行われるようにすることが必要です。
そこで県教育委員会では、特に小・中学校において、発達段階に応じた系統的な取組ができるよう、各学校に環境教育全体計画の作成、見直しをお願いしています。
また、県内の環境教育の特色ある取組を広く紹介するため、環境教育実践事例集「みんなの環境わたしたちの実践」を毎年2月に作成し、県総合教育センターのWebページに掲載しています。この実践事例集では、小学校、中学校及び高等学校の優れた取組を1校ずつ紹介しています。