本文
平成26年6月25日に「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界遺産に登録され、「群馬の宝」が「世界の宝」となりました。今後はこの4資産を守るとともに、県内それぞれの地域の身近な風景や自然などにも目を向け、それらを整備・保全する取組の輪を群馬県全体に広げて参ります。
富岡製糸場の建設には、「富岡製糸場と絹産業遺産群」では、世界遺産としての価値を守るため、この世界遺産を取り囲む範囲を「緩衝地帯」として設定し、法律や条約により開発を制限しています。
例えば、世界遺産を構成する荒船風穴では、その周辺の森林が緩衝地帯に設定されており、その大部分は保安林に指定され森林法に基づき、規制されています。これにより、荒船風穴周辺の自然環境が守られ、自然の冷気が吹き出す仕組み、岩の隙間から夏でも2度前後の冷風が吹き出る構造が保たれています。
富岡製糸場、田島弥平旧宅、高山社跡も同様に緩衝地帯が設けられており、世界遺産と同様にその周辺環境や景観も保全され、次世代に引き継がれていきます。
一方、県内にはそれぞれの地域に、景観や自然環境など「地域の宝」とも言えるすばらしい資産があります。改めて、それらを再認識し、地域で保全し、その価値を高め、地域の誇りとしていく取組を広げていくことが重要です。
富岡製糸場の建設には、ぐんまの豊かな自然環境が大きく関わっています。その一例が木材です。富岡製糸場の主要な建物は、木の骨組みに煉瓦を積む「木骨煉瓦造」という珍しい工法で建てられています。この材料として、県内の妙義山の杉の木や吾妻の松の木が使用され、創業時の富岡製糸場の建設に県産材が大きく貢献しました。140年以上経過した現在でも、当時のままの状態にあることは、県産材の品質が良いものである証しであり、これらを産出した群馬の自然の素晴らしさを改めて誇りに思うとともに、今後とも、本県の豊かな森林と自然環境を保全していきます。