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バイオマスとは生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、再生可能な生物由来の有機性資源(石油などの化石資源を除く)のことです。
バイオマスの性質として、植物の成長過程で光合成により二酸化炭素を固定するため、燃焼しても実質的には大気中の二酸化炭素を増加させることにはなりません。このように二酸化炭素の増減に影響を与えない性質のことを「カーボンニュートラル」といいます。そのため、バイオマスは、化石燃料に代替する再生可能エネルギーとして注目されています。
平成21年9月に「バイオマス活用推進基本法」が施行され、平成22年12月には、国の「バイオマス活用推進基本計画」が策定されました。
これを受け、県では、県の取組方針、バイオマスの種類ごとの利用量及び利用率の目標を定めた「群馬県バイオマス活用推進計画」を平成24年3月に策定しました。
当計画では、2010年度のバイオマス全体の利用率71%(炭素換算)を2021年度(平成33年度)には、81%まで高めることを基本目標としています。
また、豊富に存在するバイオマスを有効活用した地域循環型システムを構築し、新たな技術の開発と産業の育成により、環境負荷の少ない低炭素・循環型社会を実現する『バイオマス先進県ぐんま』を目指すことを基本理念としています。
本県は畜産業が盛んなため畜産バイオマスが豊富に存在しています。しかしながら、そのほとんどが肥料として利用されているため供給過剰となり地域内での消費が困難になっています。
また、本県は県土面積の3分の2を森林が占める「関東一の森林県」であり、木質バイオマスが豊富に存在していますが、間伐材等の林地残材はほとんど利用されていません。
以上のことから、本県の更なるバイオマスの活用推進を図るため、「畜産資源のエネルギー利用の推進」及び「林地残材利用の推進」について、重点的に取り組みます。
本県では、バイオマス活用推進計画の基本理念・基本目標の達成を目指して、学識経験者・市民活動団体・NPO・事業者・行政から構成される「群馬県バイオマス活用推進委員会」を中心に、県庁各部局で構成される「群馬県バイオマス利活用推進連絡会議」と協力・連携し、持続可能な低炭素・循環型社会の実現に向けた取組を総合的・計画的に推進します。
県では、大学、企業、試験研究機関が結集して「環境に調和した地域産業創出プロジェクト」(平成18年1月から平成22年12月)に取り組み、家畜排せつ物をエネルギーに変換して有効利用するとともに、環境への負荷を低減する技術等の開発を行いました。
また、平成23年12月には、環境調和型畜産振興特区として総合特別区域の指定を受け、家畜排せつ物を低温でガス化することにより効率良くエネルギーに変換する技術の研究開発に取り組んでいます。
今後は、実証試験の規模を拡大し、技術の実用化・事業化を図ります。