本文
地球温暖化問題に対する県の姿勢を明らかにするとともに、県、事業者、県民の責務を明確にすることにより、事業者・県民の自主的かつ積極的な温暖化対策を促進して温室効果ガス排出抑制の実効を上げるため、平成21年10月に「群馬県地球温暖化防止条例」を制定し、平成22年4月1日から施行しました。
この条例では、一定規模以上の事業者に温室効果ガスの排出を抑制するための計画を毎年度提出することを義務付け、その結果を公表することとしています。平成24年度は「温室効果ガス排出削減計画」など3つの計画制度合計で約400の事業者(延べ数)から提出がありました(結果については現在集計中)。
また、計画の提出義務がある事業者のうち20事業者の事業所に対し立入調査を行い、温室効果ガス排出抑制に向けた取組状況の確認を行いました。
温室効果ガスの排出抑制は、東日本大震災の影響などにより、今後厳しい状況が続くと予想されますが、計画書の提出・公表制度などを通じ、条例の目的を達成できるよう取組を進めていきます。
群馬県地球温暖化防止条例に基づき、平成23年度以降の県内及び県庁内における温暖対策を計画的かつ総合的に推進するため、平成23年3月に「群馬県地球温暖化対策実行計画」を策定しました。
平成32年度(2020年度)における温室効果ガスの排出量を、平成19年度(2007年度)比で28%削減を目指します(うち森林吸収源対策により6%)。
本計画には、産業、業務、家庭、運輸などの各部門ごとの施策の方向性を記載していますが、次の7項目を重点施策として集中的に推進します。
「群馬県地球温暖化対策推進会議」(注)を本計画の推進組織とし、各構成員の連携による計画の普及・推進を図り、目標の達成を目指します。
各施策の実施状況については、PDCAサイクルを導入し、毎年度点検するとともに改善を行います。
また、必要に応じ計画の見直しを行うとともに、温室効果ガスの排出の状況を毎年度推計し、目標の達成状況を把握し、県ホームページで公表します。
平成22年度(2010年度:最新データ)の県内温室効果ガス排出量は1,722万5千トンとなり、平成21年度に比べ1.2%増加し、3年ぶりに増加に転じました。これは、平成20年度に発生したリーマンショック後の景気後退からの回復の中で、エネルギー起源二酸化炭素が増加したことが主な原因です。
なお、平成19年度(2007年度)との対比では、14.3%の減少となります。
県自らが、事業者として温室効果ガスの排出を抑制するため、2020年度(平成32年度)における県有施設の温室効果ガスの総排出量を、2007年度(平成19年度)比で26%削減することを目標としています。
本計画を運用し、省エネ法に基づくエネルギー管理推進体制を通じて全庁的な取組を推進します(図2-1-1-2)。
取組の実施状況については、PDCAサイクルを導入し、毎年度点検するとともに改善を行います。取組結果については公表します。
毎年各所属ごとにa:公用車使用に係るエネルギー使用量・走行距離実績、b:庁舎、施設・設備に係るエネルギー使用量・温室効果ガス排出活動量を報告、c:温室効果ガス排出削減のための行動計画を策定し、各所属で設定した削減目標に向けて温室効果ガス排出活動量の削減を目指しています。
平成23年度の温室効果ガス排出量実績は表2-1-1-2のとおりです。
新エネルギーは、再生可能エネルギーの中で、「経済性の面における制約から普及が十分でないものであって、促進することがその導入を図るために特に必要とされる」ものであり、新エネルギー特別措置法により規定されています。
県では、新エネルギーの普及促進を図るため、様々な事業を実施しています。また、東日本大震災を機に、新エネルギーへの期待が非常に高まってきたことを受けて、エネルギーの地産地消及び低炭素社会の構築に向けた以下の施策を実施しました。
小水力発電の導入に向けた流量調査や概略設計調査等について、市町村等に対し補助を実施しました(9件実施)。
モデル的な地中熱利用システムの導入事業について、導入企業に対し補助を実施しました。(3件実施)。
県では、平成18年1月から畜産バイオマス(家畜排せつ物)を低温でガス化することにより得られた水素やメタンなどの可燃ガスから発電する技術の研究開発に取り組んでいます。
本県は日照時間が長く、太陽光発電に向いていると言われています。また、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の開始により太陽光発電事業の採算性の向上が見込まれ、大規模な太陽光発電事業への投資が活発化しています。
そのため、県では、発電候補地を求める発電事業者と、未利用の土地等を有効活用したい所有者の出会いの場であるマッチング会を開催しました。(2回開催)
平成24年3月に設定した本県の新エネルギーの導入目標値について、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の開始など社会情勢の変化を踏まえて見直しを行い、大幅に上方修正しました。
新エネルギーの導入をさらに強力に進めるため、平成25年1月に「電源群馬プロジェクト」を立ち上げ、全庁的な取組体制を整えました。
平成25年度は、上記c畜産バイオマス利用については実証試験の規模を拡大し、技術の実用化・事業化を図ります。また、上記e導入目標値の達成に向けて、上記f電源群馬プロジェクトを推進し、a小水力発電導入に係る調査支援事業、b地中熱利用システム導入モデル支援事業、dマッチング事業などについて引き続き実施しています。
住宅用太陽光発電設備は、各住宅において発電した電力を自家消費することにより家庭部門から排出される温室効果ガスのより一層の抑制に寄与するものです。さらに、余剰の電力を電力会社に売電することにより再生可能エネルギーとして活用されます。
県では、住宅用太陽光発電設備の普及推進のため平成21年度から補助事業を実施しています。平成24年度においては、対象となる「住宅用太陽光発電設備」は、太陽電池の最大出力の合計値が10キロワット未満のもので、補助対象経費が1キロワット当たり55万円以下(税別)のものに対し、補助額は太陽電池の最大出力の値1キロワット当たり2万4千円(上限8万円)でした。24年度の補助実績は6,863件、また別に前年度繰越分の補助実績は883件でした。
国及び一部を除く市町村においても補助事業を行っており、年々普及が進んでいます。県内の住宅における設置件数は、表2−1−1−4のとおりです(国の資料による)。
県企業局は、地域における再生可能エネルギーの普及拡大を図るため、市町村等が取り組む小水力発電に対して技術的支援や相談を行っています。
県庁内に設置している「新エネルギー研究会」において、群馬県における今後の新エネルギー施策のあり方を総合的・部局横断的に検討しています。
また、新エネルギーの普及啓発のため研修会等を実施しました。
平成23年度に実施した新エネルギー導入可能性調査等の結果報告や、小学生を対象とした新エネルギー教室、木質ペレットストーブの燃焼展示やぐんま環境フェスティバルにおける新エネルギー導入事例の紹介など、様々な機会を通じて子どもから大人まで幅広い世代を対象に新エネルギーの普及啓発を行いました。また、県企業局では、水力・風力・太陽光発電の理解を深めるため、県営発電施設の見学案内を行っています。
平成25年度も引き続き、研修会等を実施し、新エネルギーの普及啓発に努めます。
県企業局は、水力発電の導入促進として、平成27年度の運転開始を目指し、平成24年度から桐生市黒保根町を流れる小黒川に出力2,000キロワットの田沢発電所の建設を進めています。
また、太陽光発電の導入促進として、邑楽郡板倉町に出力2,268キロワットの板倉ニュータウン太陽光発電所を建設し、平成25年7月に運転を開始しました。
県自らが率先して二酸化炭素などの温室効果ガスの排出削減を進めるため、大規模施設に対するESCO事業(注1)の導入や庁舎照明設備の高効率化などの省エネ改修を推進するとともに、管理標準(注2)に基づくエネルギーの適正管理や行動計画による職員の省エネ行動の徹底を図っています。
また、東日本大震災以降は、電力不足に対する夏の節電対策として、使用最大電力の削減に取り組んでいます。
平成20年度及び平成21年度に、一定規模の県有施設9施設に対してESCO事業導入可能性調査を実施し、その中から総合交通センターと生涯学習センターにESCO事業を導入しました。
平成25年度は自然史博物館にESCO事業を導入します。
県有施設へのデマンド監視装置(注)の導入のほか、照明の高効率化や窓の遮熱フィルム貼り付けといった夏の節電対策に重点を置いた対策を実施しています。
平成22年度から各県有施設ごとの管理標準を整備するとともに、エネルギー原単位(注)削減の5か年の中期目標と単年度目標を設定しています。
また作成した管理標準の遵守状況を毎年チェック、評価することでエネルギーの適正管理を図っています。
毎年、各所属ごとに省エネルギーの取組に関する行動計画を作成しています。
各職員の取組状況を年2回(9月と3月)にチェックし、省エネ行動の徹底を図っています。
平成24年度は各県有施設ごとに夏期の省エネ・節電行動計画を作成し、行政庁舎においては使用最大電力の25%削減(平成22年度比)に取り組みました。
平成25年度も率先実行の観点から同様の対策を実施します。
標準的な庁舎における主な取組内容は次のとおりです。
平成24年度末で県内の電気自動車(EV)の登録数は727台、プラグインハイブリッド車(PHV)は350台となり、次世代自動車は着実にその数を増やしています。
平成24年度は、「群馬県電気自動車等普及推進連絡協議会」において情報交換・協議を行うほか、EV等の試乗会(4回)を実施し、また県内の充電インフラの位置情報等を広く提供するため充電マップを5,000部作成し、EV等の周知を図りました。また、三県知事会(群馬・埼玉・新潟)の取組として、平成24年4月に新潟県朱鷺メッセにおいて、「EV・PHVサミット」を開催しました。
平成25年度は、「次世代自動車充電インフラ整備促進事業」(国の緊急経済対策)が制定されたことに伴い、県内の充電インフラ整備を加速するために「群馬県次世代自動車充電インフラ整備ビジョン」を策定し、次世代自動車の一層の普及促進と利便性向上を図っていきます。
温室効果ガスの排出を抑制するため、群馬県地球温暖化防止条例により、一定規模以上の駐車場(500平方メートル以上)の設置管理者には、看板の掲示などにより、アイドリングストップの周知義務が定められています。また、エコドライブ・アイドリングストップの推進を努めるようとされています。
さらに、環境に配慮した運転であるエコドライブの普及を図るため「群馬県エコドライブ普及推進協議会」により、運輸団体、経済団体、自動車関連団体、行政等が連携して取り組んでいます。
取組内容としては、エコドライブの普及・啓発活動(エコドライブ講習会、エコフェスティバルの開催)を行います。
本県の運輸部門全体からの二酸化炭素排出量は、平成14年度から22年度までの8年間で約16%減少していますが、二酸化炭素排出量のうち、運輸部門の占める割合は約31%(平成22年度)と全国平均の約19%(同年度)と比較して高い水準となっています。
京都議定書に基づく二酸化炭素排出量の削減目標を達成するためには、一人ひとりの行動を「過度に自動車に頼る暮らし」から「適度に多様な交通手段を利用する暮らし」へと転換することが不可欠です。
そのためには、交通サービスを提供する交通事業者が、更なるサービス向上に取り組むとともに、企業や各家庭の一人ひとりが自動車から公共交通へと自発的に利用を転換することを、多様な交通施策を通じ促すことが重要です。
県民や来県者の移動手段を確保するため、赤字の乗合バス路線を運行しているバス事業者や市町村に対して、運行費や車両購入費等の一部を補助しました。
県民の日常生活に必要な交通手段を確保するため、県内の中小私鉄等(上毛電気鉄道・上信電鉄・わたらせ渓谷鐵道)に対して、沿線市町村とともに、安全対策等のための設備整備費用や鉄道基盤設備の維持費用を補助しました。
鉄道利用の利便性向上を図るため、鉄道事業者が行う駅施設の整備を支援しました。
県では、バイパス整備や拡幅等を行うことで渋滞を解消する施策を行っています。渋滞の解消により、道路交通がスムーズになり、安全性も向上するほか、自動車からの排気ガスが削減されることで地球温暖化防止に貢献することができます。平成24年度に実施した施策は表2−1−1−5のとおりです。
自転車は、排気ガスを出さず、クリーンかつエネルギー効率の高い交通手段として認識されています。
そこで、本県では自動車から自転車への交通手段の転換を促進するため、自転車の通行環境を整備するとともに、サイクリングロードマップを作成・配布するなど自転車の魅力についての情報発信を行っています。また、利用者の視点で自転車利用の促進を図るため、平成17年4月に「サイクルツアー応援隊」(県民ボランティア)を発足し、協働して様々な取組を進めています。
LED式の信号灯器は、電球式に比べて4分の1以上の電力消費量であり、省エネルギー対策に寄与します。また、視認性の向上及び疑似点灯の防止に加えて、長寿命化を期待でき、最終的には地球温暖化の防止につながります。
県では全信号機3,970基(平成25年3月末現在)をLED化することを目標に、平成18年度から積極的に導入を推進しており、平成24年度は177か所の信号機でLED化を実施しました(整備率約41.4%)。
地球温暖化防止のためには、一人一人が温暖化の現状や仕組みについて理解し、実際の行動につなげていくことが必要です。
県では、身近で、成果が実感しやすい温暖化防止に向けた行動をまとめたリーフレット「ストップ温暖化!県民アクション~地球おんだんか防止隊隊員募集~」を作成・配付し、一人一人が防止隊員として取り組んでいくことを広く呼びかけました。
平成24年7月中旬から平成25年2月28日まで
a 報告者数 12,029名
b CO2削減量 26,108キログラム=約26,1トン
地球温暖化防止に向けた事業者の自主的な取組を促進するため、自社の環境マネジメントシステム~計画(Plan)、実行(Do)、点検(Check)、見直し(Action)~を整備し、これを組織的に運用する事業者を群馬県が「環境GS事業者」として認定し、支援する制度です。
平成18年度から認定を開始し、1,946の事業者を認定しています。
年間随時
全ての事業者が、環境への取組を効果的、効率的に行うことを目的に、環境に取り組む仕組みを作り、取組を行い、それらを継続的に改善し、結果を公表するための方法について、環境省が策定したエコアクション21ガイドラインに基づき取組を行う事業者を、審査し、認証・登録する制度が、エコアクション21認証・登録制度です。
全国で7,841件、群馬県では、212件(平成25年7月1日現在)の認証・登録があります。【エコアクション21中央事務局ホームページより】
平成23年度から環境GS認定事業者を対象として、県とエコアクション21地域事務局が協力して「無料集合コンサルティング」を実施し、エコアクション21認証・登録を目指す事業者を支援しています。
平成23年度は22事業者が、平成24年度は5事業者が参加しました。
森林破壊、酸性雨、オゾン層破壊、地球温暖化、海洋汚染など地球環境問題への対応が大きな課題となり、企業の環境問題への取組についても大きな関心が寄せられています。
こうした中で、環境マネジメントシステムである国際規格ISO14001は、国際競争上、重要となり、大企業を中心に認証取得が進んでいます。
また、中小企業においても、内外の取引先を開拓していく上で、認証取得が非常に重要となってきています。
平成8年に規格が発行し、我が国の審査登録件数は、平成25年7月9日現在で20,682件となりました。(群馬県:386件)
産業分野別の状況では、サービス業が約30.8%、以下建設12.9%、基礎金属・加工金属製品12.8%と続きます。最近の動向としては、特定業種だけでなく、自治体、商社、病院、銀行等、サービス業をはじめとした幅広い業種に広がりを見せています。【(公財)日本適合性認定協会調べ】
中小企業においては資金面や人材面が十分とはいえず、ISO14001認証取得への取組は遅れている状況にあります。
このため、県では、中小企業パワーアップ資金などの制度融資により資金面での支援を行うとともに、(公財)群馬県産業支援機構では、経営総合相談窓口において専門のマネージャーによる相談や、登録専門家によるコンサルティングなどの支援を行っています。
地球温暖化防止活動推進センターは、「地球温暖化対策の推進に関する法律」第24条に基づき、地球温暖化の現状に関する情報提供や、温暖化対策の普及啓発を行う拠点として平成17年5月に設置されました。
群馬県では、「NPO法人地球温暖化防止ぐんま県民会議」が、県知事によってセンターに指定されています。
センターでは、次の業務等を行っています。
平成25年度は、地球温暖化防止活動推進員や環境GS認定事業者への支援、節電・省エネプロジェクトにおける出前講座等を、県と協働して実施してまいります。
〒371-0016
前橋市城東町2丁目3-8(市営城東パーキング1階)
電話:027-237-1103
Fax:027-232-1104
E-mail:info@gccca.jp
URL:http://www.gccca.jp/
小中学校や地域などにおける環境学習や環境活動を総合的に支援するため、平成15年度に環境サポ−トセンタ−を開設しました。
センタ−では、環境学習や活動に関する質問や相談の受付、情報提供・発信、エコム−ブ号の運営、環境アドバイザ−やこどもエコクラブの活動支援、住宅用太陽光発電設備補助金の受付・審査等の業務を行っています。
地球温暖化防止活動推進員は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づき県知事が委嘱します。地域において、地球温暖化の現状や地球温暖化対策の重要性などの普及啓発を草の根的に推進するため、県や市町村と協働して地球温暖化防止に関する情報提供等の活動を行っています。