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第2部第3章第4節 有害化学物質による環境リスクの低減

更新日:2012年10月1日 印刷ページ表示

環境基準達成率

ダイオキシン類
大気 100.0% 15/15地点
公共用水域(水質) 100.0% 12/12地点
公共用水域(底質) 100.0% 7/7地点
地下水質 100.0% 6/6地点
土壌 88.9% 8/9地点

敷地境界基準値の達成状況

アスベスト
大気 100.0% 5/5地点

第1項 有害化学物質対策

1 ダイオキシン類対策

(1)ダイオキシン類について

 ダイオキシン類対策特別措置法では、ダイオキシン類をポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)及びコプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナーPCB)の総称と定義しています。
 ダイオキシン類は、意図的に製造する物質ではなく、焼却の過程等で発生する副生成物です。環境中に広く存在していますが、その量は非常にわずかです。
 私たちは、1日平均で体重1キログラム当たり約0.85ピコグラムのダイオキシン類を摂取していると推定されており、その99パーセントは食品経由と言われています。この水準はダイオキシン類の耐容一日摂取量(TDI)(体重1キログラム当たり4ピコグラム)を下回っているため、健康への影響はないと考えられます。

(2)ダイオキシン類を出さないために

 本県では、ダイオキシン類による汚染の拡大を防止し、環境リスクの低減を図り、安全な生活環境を確保するため、国が推進する対策等を勘案しながら1)発生源対策、2)ごみ減量化・リサイクル、3)環境実態調査を総合的に推進しています。
 群馬県の生活環境を保全する条例では、野焼きや小型焼却炉での焼却に規制を設け、みだりに焼却をさせないよう指導しています。また、焼却炉等に係る国の排出基準も平成14年12月1日から強化されています。
 現在の日本におけるダイオキシン類の排出量のうち、特にPCDD及びPCDFについては、その約9割が身の回りのごみや産業廃棄物を焼却するときに出ると推定されています。つまり、ダイオキシン類が発生する原因は、日々の生活でごみを排出する私たち一人一人にもあるのです。
 ダイオキシン類を減らすためには、市町村の分別回収に協力するなど、ごみの再利用やリサイクルなどを推進することも大切です。

(3)環境中のダイオキシン類調査結果

 ダイオキシン類対策特別措置法により、大気、水質、水底の底質及び土壌の環境基準が定められています。平成23年度に、群馬県、県内市町村及び国(国土交通省)が実施した県内の調査結果は表2-3-4-1のとおりです。土壌1地点で環境基準超過が確認されました。すでに原因者は特定できており、対策を実施中です。それ以外の地点は環境基準以下でした。

(4)ダイオキシン類対策特別措置法の対象施設

 平成24年3月末日現在、本県における本法の届出状況は、大気基準適用施設が138施設、水質基準適用施設が12施設です(中核市である前橋市、高崎市分を除く)。特に、大気基準適用施設では、全体の約9割を廃棄物焼却炉が占めています。
 県では、対象施設が適法に運用されているか確認するため、随時、立入検査を実施しています。平成23年度は大気基準適用70施設・水質基準適用6施設に立入検査を行い、その結果、大気基準適用5施設に対して口頭で改善指示を行いました。

(5)施設設置者による測定結果

 施設設置者は、排出ガス、排出水及び燃え殻等のダイオキシン類による汚染状況について、年1回以上測定を行い、結果を県(前橋市、高崎市においてはそれぞれの市)に報告することが義務付けられています。平成23年度分の報告状況は表2-3-4-2のとおりです。未報告の施設については、報告するよう指導しています。なお、本県では県に報告された測定結果をウェブサイトを通して公表しています。

表2-3-4-1 環境中のダイオキシン類調査結果
媒体   平成23年度 (参考)平成22年度
大気 調査地点数(総検体数) 15(31) 19(31)
平均値(pg-TEQ/立方メートル) 0.035 0.054
濃度範囲(pg-TEQ/立方メートル) 0.012~0.076 0.024~0.15
公共用水域
水質
調査地点数(総検体数) 12(12) 10(13)
平均値(pg-TEQ/リットル) 0.083 0.20
濃度範囲(pg-TEQ/リットル) 0.016~0.29 0.025~0.89
公共用水域
底質
調査地点数(総検体数) 7(7) 10(10)
平均値(pg-TEQ/リットル) 2.9 1.1
濃度範囲(pg-TEQ/リットル) 0.94~4.7 0.14~2.6
地下水質 調査地点数(総検体数) 6(6) 11(11)
平均値(pg-TEQ/リットル) 0.066 0.060
濃度範囲(pg-TEQ/リットル) 0.032~0.11 0.014~0.17
土壌 調査地点数(総検体数) 9(9) 13(13)
平均値(pg-TEQ/グラム) 328 3.9
濃度範囲(pg-TEQ/グラム) 0.0030~2900 0.0060~17

※注1 平成23年度分の測定実施主体は、群馬県、太田市、富岡市、甘楽町、玉村町、明和町、大泉町、国(国土交通省)
※注2 平成22年度分の測定実施主体は、群馬県、高崎市、太田市、富岡市、甘楽町、玉村町、明和町、大泉町、国(国土交通省)

2 シックハウス対策

 新築やリフォームした住宅に入居した人のシックハウス症候群が問題となりました。その原因は以下の点が上げられています。

  • 住宅に使用されている建材、家具、日用品などから様々な化学物質が発散
  • 住宅の気密性が高くなった
  • ライフスタイルが変化し換気が不足しがち

(1)国の対応

 国はその対策として、平成14年7月に建築基準法を改正し、平成15年7月に施行されました。その内容は、ホルムアルデヒドに関する建材、換気設備の規制とクロルピリホスの使用禁止です。具体的には1)内装仕上げの制限、2)換気設備設置の義務付け、3)天井裏などの制限です。
 また、全部で13種の特定の揮発性有機化合物について、室内濃度指針値を個別に設定しています。

(2)県の対応

 県では平成13年からホルムアルデヒド簡易測定器を12台購入し、県民への貸し出しを行ってきましたが、建築基準法による対策強化、貸出件数の減少により平成19年度に貸付業務を終了しました。現在は「ぐんま住まいの相談センター」で、シックハウス対策の周知、化学物質測定機関の紹介を行っています。

3 アスベスト対策

 アスベスト(石綿)は、天然の鉱物繊維であり、熱や摩耗に強く、酸やアルカリにも変化しにくいという特性と経済的に安価であったことから、高度経済成長期をピークとして建築材料や工業製品などに幅広く大量に使用されてきました。
 しかし、アスベストの極めて微細な繊維を吸い込むことにより、人体に深刻な影響を与えることが確認されたため、国では段階的にアスベストの使用等に関する規制を強化し、平成24年3月1日以降は全面的に使用が禁止されました。一方で、平成18年3月にはアスベストを原因とする健康被害者に対する救済制度が創設されました。
 アスベストを原因とする健康被害については、アスベストを吸い込んでから自覚症状等をきっかけとして発見されるまでの期間が非常に長い(例:中皮腫では30~50年)ため、今後も長期的な視野に立って被害者の早期発見及び救済を図っていく必要があります。
 また、環境保全の観点からは、今後、アスベストを使用した建築物の老朽化が進行し、立て替えの時期を迎えているため、解体時の飛散防止対策の徹底と解体に伴って大量発生が予測されるアスベスト廃棄物の処理能力の向上などが重要な課題となっています。
 大気汚染防止法上、アスベストは特定粉じんとして扱われ、これを発生する施設として9種類の施設が届出の対象となっています。しかし、現時点でこれに該当する施設は国内に存在しません。
 また、その他に、アスベストを含む建築物等の解体や補修の作業についても「特定粉じん排出等作業」として、大気汚染防止法で規制されています。

(1)国の対応

 国は、アスベストの使用や飛散防止措置等に関して、1970年代から労働安全衛生法や大気汚染防止法、廃棄物処理法などの関係法令による規制を段階的に強化しており、平成18年には労働安全衛生法施行令の改正により、一部用途を除いて全面的にアスベストの使用等が禁止されました。その後、禁止を猶予していた製品を順次縮小し、平成24年3月1日以降、全面的にアスベストの使用等が禁止されました。

(2)県の対応

 県は、関係課や地域機関において、一般県民等からのアスベストに関する健康被害や環境保全、住宅建材などの相談や質問に対応するとともに、保健予防課と各保健福祉事務所において国が創設したアスベスト健康被害者に対する救済制度の申請受付を行っています。
 また、アスベストの飛散を防止し、アスベスト廃棄物の適正な処理が行われるよう、大気汚染防止法や廃棄物処理法などの法律に基づく監視・指導を行うとともに、県の各分野が連携して総合的にアスベスト対策を推進するため、「群馬県アスベスト対策連絡会議」を設置しています。

(3)県内のアスベスト解体工事

 吹付け等飛散性アスベストが使用された建築物を解体・改造・補修する場合は、事前に大気汚染防止法上の届出の必要があります。県では、この届出のあった全ての現場に立ち入り、適正に作業が行われているかを確認しています。
 なお、平成23年度は40件の届出がありました(政令市である前橋市及び高崎市への届出11件分を含む)。

(4)大気中のアスベスト濃度

 県内の大気環境中のアスベスト調査に係る総繊維数濃度について一般環境2地点、飛散性アスベスト(特定粉じん)排出等作業現場3現場(18地点)で測定を行った結果、全ての地点でアスベスト使用施設の敷地境界基準値(10本/リットル)を下回っていました。飛散性アスベスト作業現場でも、一般環境より著しく濃度が高いことはありませんでした。(表2-3-4-3)

表2-3-4-3 平成23年度 大気環境中のアスベスト調査に係る総繊維数調査結果
測定区分 調査地点 特定建築材料 使用面積(平方メートル) 測定結果(本/リットル)
一般環境 一般環境 前橋市上沖町     (夏期)0.60本/リットル
(冬期)0.53本/リットル
一般環境
(沿道)
前橋市元総社町     (夏期)0.59本/リットル
(冬期)0.44
特定粉じん排出等作業 改造・補修作業 桐生市天神町 吹き付け 316.2平方メートル 0.58本/リットル
解体・除去 長野原川原湯 吹き付け 983.5平方メートル 0.85本/リットル
改造・補修作業 館林市上三林 吹き付け 678.2平方メートル 0.94本/リットル

※注 空気中1リットル中に繊維が何本あるかを示しており、総繊維数>アスベスト繊維数となります。
    アスベスト繊維に係る基準は、工場内などでは空気1リットルあたり150本以下、工場の敷地境界線では空気1リットルあたり10本以下と規定されています。

4 食品の安全性の確保

 食品の中には、食物連鎖を通じて蓄積されたもの、環境に由来して食品に残留したもの、本来、その食品を組成するものなど様々な化学物質などが含まれる可能性があります。
 こうした化学物質などの中には、一定量を超えて摂取し続けると人の健康に危害をもたらすものがあり、これを防ぐために、食品衛生法により様々な基準が設けられています。

(1)食品安全試買検査の実施

 県内で販売・消費されている食品を消費者(食品表示ウォッチャー)の視点から買い上げを行い、その食品の残留農薬、重金属等の検査を実施することにより、安全性の確認を行い、検査結果は、速やかに情報提供しています。平成23年度は残留農薬検査53検体、重金属検査14検体の試買検査を実施し、すべての検体で食品衛生法の基準に違反するものはありませんでした。
 

第2項 有害化学物質の適正管理の推進

1 PRTR法に基づく情報の収集・公開

(1)PRTR制度の背景

 現在の私たちの生活は、多種多様な化学物質を利用することで成り立っています。
 しかし、同時に多種多様な化学物質が、人や生態系に悪影響を及ぼすおそれがあります。したがって、一つ一つの物質に個別の基準を設けるなどして規制するには限界があります。そのため、平成11年に「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」が公布され、PRTR制度が導入されました。

(2)PRTR制度の目的と特徴

 PRTR制度の主な目的は、PRTR法において、次の2点とされています。

  • 事業者による化学物質の「自主的な管理」の改善を促進する。
  • 環境保全上の支障を未然に防止する。

 この法律は、従来からの手法である「規制」は最低限とし、あくまで事業者の「自主的」な取組によって化学物質による環境リスクの低減を図る点が特徴となっています。

(3)PRTR制度の仕組み

 対象となる化学物質を製造又は使用等している事業者は、大気、公共用水域、土壌及び事業所内埋立など環境中に排出した量及び廃棄物として処理するために事業所外へ移動させた量を自ら把握し、都道府県(高崎市内の事業者にあっては高崎市)を経由して国に毎年届け出ます。
 国は事業所からの届出データを整理・集計する他、届出要件に該当しない事業者や届出対象となっていない家庭や農地、自動車などから排出されている対象の化学物質量を推計し、両データを併せて公表します。
 公表されたデータは、次のホームページから入手することができます。
環境省<外部リンク>][経済産業省<外部リンク>

(4)排出量・移動量の集計結果

 平成24年3月に第10回目(平成22年度分)の排出量等のデータが公表されました。

ア 届出データ
  届出事業所数
 県内の届出事業所数は前年度より12件少ない790件となり、全国の36,491件の約2.2パーセントを占めています。そのうち約4割をガソリンスタンド等の燃料小売業が占めていました(全国と同傾向)。
  届出排出量・移動量
 県内の届出排出量は約4.5千トンで、全国の約2.5パーセントを占め、排出量順で18番目でした。
 全国及び県内の排出量・移動量は、表2-3-4-4に示すとおりです。大気への排出量の割合が高く、群馬県の場合は排出量全体の約97パーセントを占めています。排出量の多い物質は、上からトルエン、キシレン、エチルベンゼンとなっています。

イ 届出外(推計)排出量データ
 県内の届出外排出量は、届出排出量の約1.6倍となっています(表2-3-4-5)。
 また、県内の届出外排出物質の上位3物質は、クロロピクリン、トルエン、キシレンの順となっています。
 PRTR制度により得られたデータは県が行う化学物質調査の基礎として活用されています。また、リスクコミュニケーションへの活用も図っていきます。

表2-3-4-4 平成22年度把握分 届出による排出量及び移動量 (単位:トン/年)
  排出量 移動量 排出・移動量
合計
大気 水域 土壌 埋立 合計 廃棄物 下水道 合計
全国 165,820トン/年 8,749トン/年 118トン/年 8,045トン/年 182,732トン/年 196,386トン/年 1,713トン/年 198,099トン/年 380,831トン/年
群馬県 4,405トン/年 116トン/年 0.09トン/年 0 4,520トン/年 3,830トン/年 90トン/年 3,920トン/年 8,440トン/年
表2-3-4-5 平成22年度把握分 届出外(推計)排出量 (単位:トン/年)
  届出排出量 届出外排出量
対象業種(※注1) 非対象業種 家庭 移動体(※注2) 合計
全国 182,732トン/年 46,562トン/年 89,839トン/年 58,827トン/年 75,041トン/年 270,269トン/年
群馬県 4,520トン/年 983トン/年 3,271トン/年 1,400トン/年 1,720トン/年 7,374トン/年

※注1 届出対象業種に属する事業者からの排出量であるが、従業員数、取扱量等の要件を満たさないため届出対象とならないもの
※注2 自動車など

(5)化学物質大気環境調査

 PRTR制度による届出データの集計結果に基づき、環境への影響を調査するため、排出量の多かった地域で夏季及び冬季の年2回、大気環境調査を行いました。調査対象は、排出量の上位5物質(トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジクロロメタン、トリクロロエチレン)で、平成23年度の調査結果(年2回の調査結果における平均値)は表2-3-4-6のとおりです。
 また、ニッケルおよびクロムの排出が予想される対象事業所の周辺で、それらの測定を行いました。結果は表2-3-4-7に示すとおりです。
 いずれの物質も環境基準値あるいは指針値を大きく下回っており、これらの物質による直接的な影響は認められませんでした。

表2-3-4-6 平成23年度 化学物質大気環境調査結果 (単位:マイクログラム/立方メートル)
測定場所 トルエン キシレン エチルベンゼン ジクロロメタン トリクロロエチレン
伊勢崎市(八斗島町周辺) 10マイクログラム/立方メートル 2.4マイクログラム/立方メートル 2.1マイクログラム/立方メートル 6.4マイクログラム/立方メートル 1.7マイクログラム/立方メートル
太田市(東本町周辺) 7.3マイクログラム/立方メートル 2.5マイクログラム/立方メートル 2.1マイクログラム/立方メートル 1.8マイクログラム/立方メートル 1.2マイクログラム/立方メートル
東吾妻町(大字川戸周辺) 13マイクログラム/立方メートル 0.6マイクログラム/立方メートル 0.4マイクログラム/立方メートル 0.5マイクログラム/立方メートル 0.2マイクログラム/立方メートル
沼田市(町田町周辺) 19マイクログラム/立方メートル 0.5マイクログラム/立方メートル 0.3マイクログラム/立方メートル 0.5マイクログラム/立方メートル 0.2マイクログラム/立方メートル
環境基準値 260マイクログラム/立方メートル
(指針値)
870マイクログラム/立方メートル
(指針値)
3800マイクログラム/立方メートル
(指針値)
150マイクログラム/立方メートル 200マイクログラム/立方メートル

※注1 網掛けについては、測定場所付近に当該物質を多量に排出する発生源(工場)があります。
※注2 トルエン・キシレン・エチルベンゼンについては環境基準値は定められていませんが、室内濃度指針値(厚生労働省)が定められています。

表2-3-4-7 平成23年度 化学物質大気環境調査結果 (単位:マイクログラム/立方メートル)
測定場所 ニッケル化合物 クロム及びその化合物
渋川市(半田周辺1) 0.0068マイクログラム/立方メートル 0.0090マイクログラム/立方メートル
渋川市(半田周辺2) 0.0025マイクログラム/立方メートル 0.0042マイクログラム/立方メートル
指針値 0.025マイクログラム/立方メートル(※注2)  

※注1 網掛けについては、測定場所付近に当該物質を多量に排出する発生源(工場)があります。
※注2 ニッケル化合物の指針値については、ニッケルとしての濃度を意味しています。

2 リスクコミュニケーションの推進

(1)リスクコミュニケーションとは

 現代社会においては、事業活動等に伴って様々なリスクが発生します。例えば、化学物質を使用する場合、その化学物質が環境中へ排出されることで生態系や私たちの健康に悪影響を与える可能性(リスク)がどうしても発生してしまいます。このようなリスクのことを特に「環境リスク」と言いますが、このリスクを地域全体で減らすためには、住民・事業者・行政が情報を共有し、取組を進めることが重要です。このように、様々な立場から意見交換を行い、意思疎通と相互理解を図りながら環境リスクを減らすための取組を「リスクコミュニケーション」と言います。

(2)群馬県の取組

 群馬県では、住民・事業者・行政が一体となって環境負荷を減らすこと等を目指して、リスクコミュニケーションを推進しています。
 県内事業者がリスクコミュニケーションを実施しやすい環境を造るため、平成23年度に「事業者のためのリスクコミュニケーションセミナー」を開催し、次のとおり2講演を行いました。

  1. 県内事業場の環境推進担当者を講師として招き、その事業場が取り組んでいる環境保全活動を参加者に伝えることで、その普及・啓発を行いました。
  2. 高崎経済大学の飯島明宏准教授を講師として招き、リスク管理の重要性や、リスクコミュニケーションを始めるに当たっての基礎的な知識の解説などがなされました。

 このセミナーには、県内事業場等から55名の参加がありました。参加者に対し、リスクコミュニケーションに関するアンケート調査を行ったところ、回答者の9割以上がリスクコミュニケーションに前向きであることが判明しました。しかしながら、「実施するには障害がある」という回答が多く、特に知識・スキル不足を理由とした回答が多数を占め、興味や必要性はあるが、実施するにはハードルが高いという現状がありました。
 今回のアンケート結果を基に、今後、リスクコミュニケーションの実施を希望する事業者に対して、ハードルを下げるべく、必要なサポートをしていきたいと考えています。

リスクコミュニケーションに関する情報は、次のホームページから入手することができます。
[群馬県]「事業者のためのリスクコミュニケーションセミナー」
環境省<外部リンク>
[経済産業省(外部リンク)]
[独立行政法人製品評価技術基盤機構(外部リンク)]

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