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一般環境大気測定局 | 二酸化硫黄 | 100% | 13/13局 |
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二酸化窒素 | 100% | 14/14局 | |
浮遊粒子状物質 | 100% | 16/16局 | |
一酸化炭素 | 100% | 1/1局 | |
光化学オキシダント | 0% | 0/17局 | |
自動車排出ガス測定局 | 二酸化窒素 | 100% | 8/8局 |
浮遊粒子状物質 | 100% | 7/7局 | |
一酸化炭素 | 100% | 8/8局 | |
騒音 | 騒音 | 83% | 117/141地点 |
自動車騒音 | 71% | 32/45地点 | |
道路交通騒音面的評価 | 100% | 1路線1区間の推定値 | |
高速道路 | 91% | 21/23地点 | |
新幹線 | 33% | 6/18地点 |
大気汚染の状況を正確に把握し、実態に即応した適切な防止対策を進めるため、県内各地に測定局を設置し、自動測定器による監視測定を行っています。
ア 一般環境大気
県では10市3町1村に16測定局を設置し、二酸化硫黄、窒素酸化物、浮遊粒子状物質、オキシダントなどの測定を実施しています。
その他、前橋市が2測定局、高崎市が3測定局で測定を実施しています。
イ 自動車排出ガス
県では6市に6測定局を設置し、一酸化炭素、窒素酸化物、非メタン炭化水素、浮遊粒子状物質などの測定を実施しています。
その他、環境省が1測定局、高崎市が1測定局で測定を実施しています。
一般環境大気測定結果は表2-3-3-1、自動車排出ガス測定結果は表2-3-3-2のとおりです。
測定局の適正配置や測定項目の再検討、固定局では調査できない大気汚染状況調査のために、平成14年度から大気汚染移動観測車による測定を行っています。
大気汚染監視測定の状況は、群馬県大気汚染常時監視システムホームページやテレホンサービスにてお知らせしています。
ア 硫黄酸化物
硫黄酸化物は、石炭、石油などの硫黄分を含む燃料を燃やすことに伴って発生します。二酸化硫黄と三酸化硫黄とがありますが、大部分は二酸化硫黄として排出されます。濃度の測定は二酸化硫黄で行い、環境基準も二酸化硫黄で設定されています。
平成23年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しており、年平均値の経年変化は、図2-3-3-1のとおりです。
イ 窒素酸化物
窒素酸化物は、一酸化窒素と二酸化窒素の総称で、発生源は工場、事業場及び自動車などがあり、燃料の燃焼過程において空気中の窒素と酸素の反応により生ずるものと、燃料中の窒素が酸化されて生ずるものがあります。大部分は一酸化窒素の形で排出され、大気中で二酸化窒素に変化します。
窒素酸化物は、それ自体が有害であるばかりでなく、光化学オキシダントや酸性雨の原因物質でもあります。
a 二酸化窒素
平成23年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しています。また、二酸化窒素の年平均値の経年変化は図2-3-3-2のとおりで、低下傾向にあります。
b 一酸化窒素
一酸化窒素については、環境基準は定められていません。平成23年度の測定結果は、年平均値0.001~0.005ピーピーエム(前年度年平均値0.001~0.006ピーピーエム)の範囲となっています。
ウ 浮遊粒子状物質
浮遊粒子状物質は、大気中に浮遊する粒子状物質のうち粒径10マイクロメートル以下のものです。大気中に比較的長時間滞留し、私たちの健康に影響を与えるといわれています。
平成23年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しています。浮遊粒子状物質の年平均値の経年変化は図2-3-3-3のとおりで、低下傾向にあります。
エ 一酸化炭素
一酸化炭素は有機物の不完全燃焼により発生し、大気汚染の原因として問題となるのは、主に自動車の排出ガスです。
平成23年度の測定結果によると、前橋局における年平均値が0.2ピーピーエム(前年度年平均値0.2ピーピーエム)となり、環境基準を達成しています。
オ 光化学オキシダント
光化学オキシダントは、工場や自動車から直接排出されるものではなく、大気中に存在する様々な物質が化学反応して生成します。こうした大気中で新たに生成する汚染物質を二次汚染物質といいます。
平成23年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成していません。これは全国的にも同様であり、二次汚染物質による大気汚染対策が困難であることを顕著に示しています。夏季を中心にその濃度が著しく上昇し、光化学オキシダント注意報が発令される場合もあります。光化学オキシダントの年平均値の経年変化は図2-3-3-4のとおりで、ほぼ横ばいです。
近年では大陸からの移流の影響も指摘されており、広域的な問題になっています。
カ 炭化水素
想定される濃度域では直接的な健康影響は認められないため、環境基準は定められていません。しかしながら、光化学オキシダントの原因物質(メタンを除く)の一つであるため、その低減が必要となっています。
a 非メタン炭化水素
平成23年度の測定結果は、各測定局における年平均値が0.08~0.23ピーピーエムシー(前年度年平均値0.23~0.27ピーピーエムシー)の範囲でした。
非メタン炭化水素に係る光化学オキシダント生成防止のための指針には「午前6時から午前9時までの3時間平均値が0.20~0.31ピーピーエムシーの範囲」と定められています。
平成23年度の測定結果で、各測定局における3時間平均値が0.31ピーピーエムシーを超えた日数は、65~106日でした。
b メタン
平成23年度の測定結果は、各測定局における年平均値が1.91~1.99ピーピーエムシーの範囲でした。
キ 微小粒子状物質
平成21年度から新しく環境基準が設けらた項目です。平成22年度途中に、環境省の事業として前橋局に測定装置が設置され、平成23年度から本格稼働しています。平成23年度の測定値は年平均値で16.1マイクログラム/立方メートルとなり、環境基準(年平均値15マイクログラム/立方メートル)を超過しました。
環境省によると、平成22年度末現在で、全国に一般局は45局設置されており、環境基準達成率は32.4パーセントに止まっています。また、全国の平均値は15.1マイクログラム/立方メートルでした。
基準が設定されてから日が浅いこともあり、微小粒子状物質については不明な点がまだ多くある状況です。県では環境基準達成に向けて、この問題に取り組んでいきます。
自動車排ガス測定局(自排局)は一般大気測定局(一般局)と比較して、自動車の影響を受けやすいと考えられる交通量の多い道路沿道に設置されています。
自動車排ガスに含まれる下記の項目について、全体的に自排局は一般局より濃度が高くなっています。しかしながら、その程度はわずかであり、群馬県内で大気環境に及ぼす自動車の影響はそれほど大きくない状況です。
ア 窒素酸化物
a 二酸化窒素
平成23年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しています。また、各測定局における年平均値は0.008~0.021ピーピーエムの範囲となっています。
b 一酸化窒素
平成23年度の測定結果は、各測定局における年平均値が0.006~0.033ピーピーエムの範囲でした。
イ 浮遊粒子状物質
平成23年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しています。各測定局における年平均値は0.016~0.023ミリグラム/立方メートル0.016~0.023ミリグラム/立方メートルの範囲となっています。
ウ 一酸化炭素
平成23年度の測定結果によると、全測定局で環境基準を達成しています。また、各測定局における年平均値は0.3~0.5ピーピーエムの範囲となっています。
エ 炭化水素
a 非メタン炭化水素
平成23年度の測定結果は、各測定局における年平均値が0.13~0.29ピーピーエムシーの範囲でした。
また、各測定局における3時間平均値が0.31ピーピーエムシーを超えた日数は、1~138日でした。
b メタン
平成23年度の測定結果は、各測定局における年平均値が1.91~1.99ピーピーエムシーの範囲でした。
オ 微小粒子状物質
国設前橋局における年平均値は17.9マイクログラム/立方メートルで、環境基準を上回りました。ただし、測定機器が等価性が無いため、「参考値」です。
大気汚染防止法では、大気の汚染が著しくなり人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがある場合に、被害を防止するため、住民への周知、ばい煙排出者への排出量減少の協力要請等の措置を行うよう決められています。
このため、光化学オキシダント等の濃度が高くなった際に「群馬県大気汚染緊急時対策実施要綱」に基づき、注意報の発令などの措置を行っています。
平成23年度は、光化学オキシダントについて、表2-3-3-3のとおり、注意報を10回発令しました。しかしながら、9月8日の注意報発令時において、光化学オキシダントによると思われる健康被害が、県東南部地区で発生しました。症状を訴えたのは、千代田町内の中学生58名で、そのほとんどは注意報発令時に部活動等、校庭で運動をしていました。
県では光化学オキシダント注意報が発令されたら、1)戸外での激しい運動は避け、屋内運動に切り替える。2)日が当たる場所の窓のカーテンは閉める。3)目やのどに刺激を感じた時は、洗眼、うがいなどをする。等の対策を関係機関に再徹底し、再発防止に努めます。
従来、大気汚染事故(自然災害、事故災害によるものも含む)が発生した際は、群馬県地域防災計画に基づいて対応を行ってきましたが、小規模の大気汚染事故など規定対象外の事故についても迅速に対応を行うため「大気汚染事故対応要綱」を制定し、平成15年4月1日から施行しています。
この要綱において、環境保全課、環境森林事務所、環境事務所及び衛生環境研究所の対応や県関係機関相互の連絡対応について必要な事項を定め、当該事故による環境への影響を最小限にとどめるよう、より一層連携して対応していきます。
現在、大気汚染常時監視測定局を設置していない地域における大気汚染の実態を調査するため、移動観測車を用いて測定を行いました。
測定結果は表2-3-3-4のとおりです。どちらの地点においても、主に工場や自動車由来の二酸化窒素濃度は県内都市部よりも低い結果となりました。
一方で、光化学オキシダントについては、下仁田町と神流町で結果に差が出ました。下仁田町については、近隣の市(富岡市)とほぼ同等で、環境基準値を大きく超過しており、光化学オキシダント注意報発令の目安となる0.120ピーピーエムを超過した日も認められました。それに対し神流町においては、近隣の市(富岡市)と比較すると濃度は低い値で推移しており、0.120ピーピーエムを超過する可能性も低いことが調査データから得られました。
調査結果を受けて、下仁田町については今後、光化学オキシダント注意報発令対象地域(県西部地域)に組み込むことを検討しています。
調査地点 | 二酸化硫黄(ppm) | 二酸化窒素(ppm) | 浮遊粒子状物質(ミリグラム/立方メートル) | 光化学オキシダント(ppm) | ||||
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日平均値の最高値 | 1時間値の最高値 | 日平均値の最高値 | 1時間値の最高値 | 日平均値の最高値 | 1時間値の最高値 | 日平均値の最高値 | 1時間値の最高値 | |
甘楽郡下仁田町 (5月中旬~7月下旬) |
0.003 | 0.005 | 0.015 | 0.031 | 0.033 | 0.078 | 0.067 | 0.121 |
多野郡神流町 (7月下旬~8月下旬) |
0.005 | 0.006 | 0.004 | 0.008 | 0.041 | 0.094 | 0.024 | 0.061 |
環境基準 | 0.04 | 0.10 | 0.06 | 0.10 | 0.20 | 0.06 |
(注)環境基準が設定されていない箇所を空欄で表示しています。
高速自動車道沿道での自動車排出ガスによる大気汚染の状況調査を平成15~22年度(19、21年度を除く)に実施したところ、関越自動車道・上信越自動車道・北関東自動車道においてそれぞれ環境基準を達成していました。
平成23年度は、北関東自動車道が全線開通したことに伴い、交通量の増加が見込まれたため、その影響をみるための調査を行いました。測定結果は表2-3-3-5のとおりです。測定した全ての項目について環境基準は達成していました。
二酸化窒素濃度に着目すると、全線開通後の濃度が開通前と比べて微増していました。しかしながら、太田市内の別の場所で測定している二酸化窒素の濃度も同様な動向を示していました。このことから、全線開通による大気環境の悪化は明確には認められませんでした。
調査地点 | 二酸化硫黄(ppm) | 二酸化窒素(ppm) | 浮遊粒子状物質(ミリグラム/立方メートル) | 光化学オキシダント(ppm) | |||||
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日平均値の最高値 | 1時間値の最高値 | 日平均値の最高値 | 1時間値の最高値 | 日平均値の最高値 | 1時間値の最高値 | 日平均値の最高値 | 1時間値の最高値 | ||
太田市菅塩町 | 【開通前】 (平成22年度) |
0.002 | 0.004 | 0.028 | 0.047 | 0.015 | 0.033 | 0.043 | |
【開通後】 (平成23年度) |
0.003 | 0.006 | 0.030 | 0.050 | 0.020 | 0.044 | 0.031 | 0.039 | |
環境基準 | 0.04 | 0.10 | 0.06 | 0.10 | 0.20 | 0.06 |
※注 環境基準が設定されていない箇所を空欄で表示しています。
有害大気汚染物質とは、継続的に摂取されると人の健康に影響を与えるおそれのある物質のことで、現在該当する可能性があるとされている物質は248物質あります。県では、その中で優先的に対策に取り組まなければならない21物質のうち19物質について、県内5地点(伊勢崎市、沼田市、渋川市、安中市、太田市)で調査しました。その結果は表2-3-3-6のとおりです。ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンの4物質は環境基準値が、アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、水銀及びその化合物、ニッケル及びその化合物、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、1,3-ブタジエン、ヒ素及びその化合物の8物質については、健康リスク低減のための指針値が設定されてます。
これらすべての物質において、調査した5地点ともにそれらの値を下回っていました。
測定対象物質/測定場所 | 伊勢崎市立茂呂小学校 | 沼田市立沼田小学校 | 渋川市低区配水所 | 安中市野殿地区 | 太田市立中央小学校 | 環境基準値 (年平均値) |
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アクリロニトリル | 0.089 | 0.062 | 0.10 | 0.10 | 0.087 | 2 (指針値) |
アセトアルデヒド | 1.5 | 1.1 | 1.1 | 1.3 | 1.6 | |
塩化ビニルモノマー | 0.014 | 0.011 | 0.014 | 0.016 | 0.020 | 10 (指針値) |
塩化メチル | 1.8 | 1.2 | 1.2 | 4.6 | 1.7 | |
クロム及びその化合物 | 6.8 | 2.3 | 6.0 | 1.9 | 6.6 | |
クロロホルム | 0.13 | 0.12 | 0.13 | 0.13 | 0.14 | 18 (指針値) |
酸化エチレン | 0.15 | 0.12 | 0.12 | 0.13 | 0.14 | |
1,2-ジクロロエタン | 0.19 | 0.17 | 0.17 | 0.17 | 0.18 | 1.6 (指針値) |
ジクロロメタン | 1.6 | 0.76 | 0.80 | 0.96 | 2.5 | 150 |
水銀及びその化合物 | 0.0023 | 0.0022 | 0.0020 | 0.0026 | 0.0024 | 0.04(※注1) (指針値) |
テトラクロロエチレン | 0.17 | 0.099 | 0.12 | 0.13 | 0.17 | 200 |
トリクロロエチレン | 0.98 | 0.32 | 0.37 | 0.55 | 1.9 | 200 |
トルエン | 8.0 | 3.1 | 4.9 | 5.6 | 10 | |
ニッケル化合物 | 0.0060 | 0.0016 | 0.0033 | 0.0016 | 0.0049 | 0.025(※注2) (指針値) |
ヒ素及びその化合物 | 0.0016 | 0.0012 | 0.0011 | 0.0014 | 0.0015 | 0.006(※注3) (指針値) |
1,3-ブタジエン | 0.094 | 0.052 | 0.044 | 0.083 | 0.12 | 2.5 (指針値) |
ベリリウム及びその化合物 | 0.000073 | 0.000013 | 0.000013 | 0.000014 | 0.000034 | |
ベンゼン | 1.3 | 0.65 | 0.64 | 0.92 | 1.4 | 3 |
ベンゾ〔a〕ピレン | 0.00026 | 0.00021 | 0.00017 | 0.00027 | 0.00026 | |
ホルムアルデヒド | 2.7 | 2.4 | 2.2 | 2.6 | 3.0 | |
マンガン及びその化合物 | 0.057 | 0.017 | 0.019 | 0.019 | 0.047 |
(注)測定方法は環境省の「有害大気汚染物質測定法マニュアル」による。
※注1 水銀としての濃度
※注2 ニッケルとしての濃度
※注3 ヒ素としての濃度
平成3年度から降水のpHなどを把握するため、前橋市郊外で酸性雨調査を実施しています。
平成23年度の降水について通年観測したところ、pHは4.6~5.9の範囲で、平均値は5.2でした。最近10年のpH年平均値の経年変化は図2-3-3-5のとおりで、やや上昇(改善)傾向にあります。
また、山岳部に発生する酸性霧について、その性状を長期的に把握するため、衛生環境研究所が赤城山で酸性霧調査を実施しています。平成23年度の酸性霧について観測したところ、pHは3.3~6.5の範囲で、平均値は4.0でした。経年変化は図2-3-3-5のとおりです。
なお、同地点で環境省が酸性雨の調査を実施しており、その結果は、pH4.2~7.2で、平均pHは4.9でした。
このように、同じ場所で採取してもほとんどの場合、雨と霧では霧の方がpHが低くなります。これは、霧の方がより大気汚染物質を取り込みやすいためです。
一方、同じ雨でも前橋と赤城山では赤城山の方が若干pHが低くなっています。しかしこれは、赤城山の雨の方が汚染されているという意味ではなく、アンモニアのような中和成分が前橋よりも少ないためと考えられます。
ア 大気汚染防止法による規制
大気汚染防止法では、下記の施設を対象として規制しています。この他に、特定粉じん(アスベスト)についても規制していますが、これについては次節に記述します。
ばい煙 発生施設 |
32種類 ボイラー、金属加熱炉など |
---|---|
揮発性有機化 合物発生施設 |
9種類 塗装施設、乾燥施設など |
一般粉じん 発生施設 |
5種類 堆積場、破砕機など |
それぞれの施設ごとに、ばい煙発生施設および揮発性有機化合物発生施設については排出基準が、一般粉じん発生施設については管理基準が定められています。
イ 群馬県の生活環境を保全する条例による規制
群馬県の生活環境を保全する条例では、下記の施設を対象として規制しています。
ばい煙特定施設 | 9種類 電気分解槽など |
---|---|
粉じん特定施設 | 5種類 こんにゃく製粉機など |
ばい煙発生施設等の届出状況は以下の通りです(中核市の前橋市、高崎市所管分を除く)。
なお、平成24年度からは一般粉じん発生施設および粉じん特定施設についての事務が伊勢崎市および太田市に移管されます。
事業所数 | 施設数 | |
---|---|---|
ばい煙発生施設 (大防法) |
1,064事業所 | 3,028施設 |
ばい煙特定施設 (保全条例) |
120事業所 | 586施設 |
粉じん発生施設 (大防法) |
112事業所 | 464施設 |
粉じん特定施設 (保全条例) |
567事業所 | 1,711施設 |
(平成24年3月末時点)
規制対象となるばい煙・粉じん発生施設および揮発性有機化合物排出設備を設置している工場・事業場等に対して立入検査を実施しました。
平成23年度は、ばい煙発生施設等を設置する383事業所等に対して立入検査を実施し、排出ガス中のばい煙量、ばい煙濃度の測定、施設の維持管理及び自主分析の確認などについての確認・指導を行いました。
また、ばい煙等濃度の測定を22事業所、22施設で行ったところ、1事業所、1施設が排出基準に不適合でした。排出基準不適合事業所に対しては、文書による改善指導を行いました。
騒音・振動公害は、発生源の周辺地域に限られ、大気汚染や水質汚濁のように広域的に影響を及ぼす恐れがありません。そのため、生活実態のない地域等について規制する必要がないことから、騒音規制法及び振動規制法では、地域指定制を採用しています。この指定地域には、工場騒音・振動の規制、建設作業騒音・振動の規制、自動車騒音・振動測定に基づく要請等が適用され、本県では全市町村について地域指定しています(ただし、全域ではありません)。
群馬県の生活環境を保全する条例においては、飲食店営業等から深夜発生する騒音や航空機による商業宣伝放送について規制しています。また、騒音規制法の規制対象外である3施設(コンクリートブロックマシン、製瓶機、ダイカストマシン)を、振動規制法の規制対象外である5施設(圧延機械、送風機、シェイクアウトマシン、オシレイティングコンベア、ダイカストマシン)及び1作業(空気圧縮機を使用する作業)を規制対象としています。
騒音・振動については、市町村長に事務が委任されており(航空機による商業宣伝放送を除く)、騒音規制法、振動規制法及び群馬県の生活環境を保全する条例に基づき、規制基準の遵守及び施設設置届出が適正に行われるよう指導しています。
市町村で実施した騒音・振動特定工場等調査の結果は表2-3-3-10のとおりです。
根拠法令 | 調査数 | 適合(%) |
---|---|---|
騒音規制法 | 71件 | 49%(69%) |
振動規制法 | 46件 | 44%(96%) |
条例 | 7件 | 7%(100%) |
平成23年度は2回実施されました。宣伝内容は、自動車販売関係が100パーセントを占め、1回あたりの実施時間は120分でした。
各高速自動車道における環境基準の達成及びその維持については、県内の沿線市町村から遮音壁設置要望をまとめ、平成23年8、9月に東日本高速道路株式会社高崎・宇都宮管理事務所に要望を行いました。
また、平成23年10月には関係県で構成する「東北上越・北陸新幹線、高速自動車道公害対策10県協議会」を通じて東日本高速道路株式会社に要望を行いました。
上越・北陸新幹線における環境基準の達成及びその維持については、平成23年10月に関係都県で構成する「東北・上越・北陸新幹線、高速自動車道公害対策10県協議会」を通じて東日本旅客鉄道株式会社本社及び独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構に要望を行いました。
また、測定の結果、環境基準未達成地域があることから、平成24年3月にJR東日本高崎支社に発生源から出る騒音の防止対策をより一層強化するよう強く要望しました。
現在、騒音に係る環境基準は等価騒音レベルをもって評価しています。各市町村が平成23年度に行った環境騷音測定結果に基づく環境基準の達成状況は、表2-3-3-11に示すとおりです。
時間帯別では、夜間の環境基準達成率が低くなっています。
区分 | 地域 | 測定地点総数 | 昼 | 夜 | 全時間帯での達成 | ||||
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内訳 | 類型 | 区分 | 環境基準 | 環境基準 | |||||
地点数 | 比率(%) | 地点数 | 比率(%) | 地点数(率) | |||||
市部 | 総数 | 131地点 | 123地点 | 94% | 114地点 | 87% | 112地点(85%) | ||
内訳 | A類型 | 一般地域 | 24地点 | 24地点 | 100% | 23地点 | 96% | 23地点(96%) | |
道路に面する地域 | 0 | ||||||||
特例区域 | 1地点 | 1地点 | 100% | 1地点 | 100% | 1地点(100%) | |||
B類型 | 一般地域 | 35地点 | 34地点 | 97% | 30地点 | 86% | 29地点(83%) | ||
道路に面する地域 | 3地点 | 3地点 | 100% | 3地点 | 100% | 3地点(100%) | |||
特例区域 | 24地点 | 19地点 | 79% | 19地点 | 79% | 18地点(75%) | |||
C類型 | 一般地域 | 16地点 | 16地点 | 100% | 14地点 | 88% | 14地点(88%) | ||
道路に面する地域 | 4地点 | 4地点 | 100% | 4地点 | 100% | 4地点(100%) | |||
特定区域 | 23地点 | 22地点 | 92% | 20地点 | 83% | 20地点(83%) | |||
町村部 | 総数 | 10地点 | 6地点 | 60% | 5地点 | 50% | 5地点(50%) | ||
内訳 | A類型 | 一般地域 | 1地点 | 1地点 | 100% | 1地点 | 100% | 1地点(100%) | |
道路に面する地域 | 0 | ||||||||
特例区域 | 1地点 | 1地点 | 100% | 1地点 | 100% | 1地点(100%) | |||
B類型 | 一般地域 | 2地点 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0(0) | ||
道路に面する地域 | 0 | ||||||||
特例区域 | 4地点 | 3地点 | 75% | 3地点 | 75% | 3地点(75%) | |||
C類型 | 一般地域 | 1地点 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0(0) | ||
道路に面する地域 | 0 | ||||||||
特例区域 | 1地点 | 1地点 | 100% | 0 | 0 | 0(0) | |||
総計 | 総数 | 141地点 | 129地点 | 91% | 119地点 | 84% | 117地点(83%) | ||
内訳 | A類型 | 一般地域 | 25地点 | 25地点 | 100% | 24地点 | 96% | 24地点(96%) | |
道路に面する地域 | 0 | ||||||||
特例区域 | 2地点 | 2地点 | 100% | 2地点 | 100% | 2地点(100%) | |||
B類型 | 一般地域 | 37地点 | 34地点 | 92% | 30地点 | 81% | 29地点(78%) | ||
道路に面する地域 | 3地点 | 3地点 | 100% | 3地点 | 100% | 3地点(100%) | |||
特例区域 | 28地点 | 22地点 | 79% | 22地点 | 79% | 21地点(75%) | |||
C類型 | 一般地域 | 17地点 | 16地点 | 94% | 14地点 | 82% | 14地点(82%) | ||
道路に面する地域 | 4地点 | 4地点 | 100% | 4地点 | 100% | 4地点(100%) | |||
特例区域 | 25地点 | 23地点 | 92% | 20地点 | 80% | 20地点(80%) |
(注)特例区間:県告示において幹線交通を担う道路に指定された道路のうち2車線以下は道路端から15メートル、2車線を超えるものは20メートルの範囲で、この区間は特例基準が適用されます。
ア 一般道路
平成23年度は、県内主要道路沿線の45地点で、市町村により自動車騷音の測定が行われました。
環境基準の達成状況及び要請限度の超過状況は表2-3-3-12のとおりです。
測定地点のうち32地点(71パーセント)が昼間及び夜間の時間帯で環境基準を達成しました。
また、自動車騒音の要請限度(公安委員会に対する要請及び道路管理者に意見を述べる際に自動車騒音の大きさを判定する基準)では、3地点(7パーセント)で要請限度を超えました。
区域の区分 | 車線数 | 測定地点数 | 環境基準達成地点数 | 要請限度超過地点数 | 環境基準達成地点数 | 要請限度超過地点数 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
昼 | 夜 | 昼 | 夜 | |||||
b区域 | 2車線 4車線 |
12地点 4地点 |
10地点 3地点 |
0 0 |
11地点 3地点 |
11地点 3地点 |
0 0 |
0 0 |
c区域 | 2車線 4車線 6車線 |
21地点 7地点 1地点 |
14地点 4地点 1地点 |
2地点 1地点 0 |
17地点 5地点 1地点 |
14地点 4地点 1地点 |
0 0 0 |
2地点 1地点 0 |
計 | 45地点 | 32地点 (71%) |
3地点 (7%) |
37地点 (82%) |
33地点 (73%) |
0 (0) |
3地点 (7%) |
(注)計の( )は比率(パーセント)を表しています。
イ 高速道路
東北縦貫自動車道、関越自動車道新潟線、関越自動車道上越線(上信越自動車道)及び北関東自動車道における沿線地域の騒音の状況を把握するため、沿線市町村により自動車騒音測定を行いました。その結果は、表2-3-3-13のとおりです。
路線名 | 調査地域 | 地域の類型 | 測定地点数 | 環境基準達成 | |
---|---|---|---|---|---|
地点数 | 比率(%) | ||||
東北縦貫自動車道 | 館林市・板倉町 | B類型 | 2地点 | 1地点 | 50% |
小計 | 2地点 | 1地点 | 50% | ||
関越自動車道新潟線 | 前橋市 | A類型 | 1地点 | 1地点 | 100% |
高崎市・沼田市・渋川市・みなかみ町・玉村町 | B類型 | 10地点 | 9地点 | 90% | |
渋川市・みなかみ町 | C類型 | 2地点 | 2地点 | 100% | |
小計 | 13地点 | 12地点 | 92% | ||
関越自動車道上越線 | 高崎市・富岡市 | B類型 | 3地点 | 3地点 | 100% |
藤岡市・富岡市 | C類型 | 4地点 | 4地点 | 100% | |
小計 | 7地点 | 7地点 | 100% | ||
北関東自動車道 | 前橋市 | B類型 | 1地点 | 1地点 | 100% |
小計 | 1地点 | 1地点 | 100% | ||
総合計 | 23地点 | 21地点 | 91% |
上越新幹線(昭和57年11月15日開業)、北陸新幹線(平成9年10月1日開業)における沿線地域の騒音・振動の状況を把握するため、新幹線騒音・振動測定を行いましたが、結果は次のとおりです。
ア 上越新幹線
騒音環境基準の達成状況については、表2-3-3-14に示すとおりでした。なお、表2-3-3-15は、平成23年度に実施した新幹線鉄道騒音・振動の調査結果です。
それによると、線路に近い25メートル地点を中心に新幹線鉄道騒音に係る環境基準を超過した地点がありました。
また、振動については、環境保全上緊急を要する新幹線鉄道振動対策に示されている勧告指針値(70デシベル)を各測定地点とも下回っていました。
イ 北陸新幹線
騒音環境基準の達成状況については、表2-3-3-16に示すとおりでした。なお、表2-3-3-17は、平成23年度に実施した新幹線鉄道騒音・振動の調査結果です。
それによると、線路に近い25メートル地点に新幹線鉄道騒音に係る環境基準を超過した地点がありました。
また、振動については、環境保全上緊急を要する新幹線鉄道振動対策に示されている勧告指針値(70デシベル)を各測定地点とも下回っていました。
本県では、平成23年度に道路交通騒音の面的評価を沼田市における1路線で行いました。この評価は、環境省から示されている「騒音に係る環境基準の評価マニュアル・地域評価編(道路に面する地域)」に基づき実施したものです。
なお、達成率は、道路端から両側50メートルの範囲内にある住居等について推計した騒音レベルを基に、その範囲内の住居総戸数のうち環境基準を達成している数の割合を算出した結果です。
表2-3-3-18 道路交通騒音面的評価結果(平成23年度)
市町村 | 路線名 | 評価区間延長 | 車線数 | 評価区間始点 | 評価区間終点 | 全時間帯 達成率 |
---|---|---|---|---|---|---|
沼田市 | 国道120号 | 2.3km | 2車線 | 消防署入口交差点 | 下之町公園入口交差点 | 100% |
評価対象住居棟総戸数 | 昼間・夜間とも基準値以下 | 昼間のみ基準値以下 | 夜間のみ基準値以下 | 昼間・夜間とも基準値超過 |
---|---|---|---|---|
484戸 | 484戸 | 0 | 0 | 0 |
評価対象住居等総戸数 | 昼間・夜間とも基準値以下 | 昼間のみ基準値以下 | 夜間のみ基準値以下 | 昼間・夜間とも基準値超過 |
---|---|---|---|---|
192戸 | 192戸 | 0 | 0 | 0 |
※近接空間
2車線を超える車線を有する幹線交通を担う道路の場合、道路端から20メートルまでの範囲
2車線以下の車線を有する幹線交通を担う道路の場合、道路端から15メートルまでの範囲
評価対象住居等総戸数 | 昼間・夜間とも基準値以下 | 昼間のみ基準値以下 | 夜間のみ基準値以下 | 昼間・夜間とも基準値超過 |
---|---|---|---|---|
292戸 | 292戸 | 0 | 0 | 0 |
※非近接空間
評価範囲のうち近接空間以外の場所
悪臭防止法では、事業活動に伴って発生する悪臭について必要な規制を行うことによって、生活環境を保全し、県民の健康の保護を目的としています。規制の方法として、アンモニア等の特定の22物質を対象とした物質濃度規制と、複合臭や未規制物質にも対応できる臭気指数規制の2種類があり、いずれかにより、悪臭の排出等が規制されています。それぞれの規制値は、地域の実情を考慮して地域ごとに定められています。
悪臭に関する苦情は、物質濃度規制では解決できない事例や、規制地域外での事例が多い状況です。
そのため、本県では県内全市町村で臭気指数による規制を行うことを基本方針に、市町村と調整を行ってきました。
平成24年4月1日現在、前橋市、高崎市、桐生市、伊勢崎市、太田市、沼田市、館林市、渋川市、藤岡市、富岡市、安中市、みどり市、榛東村、吉岡町、上野村、神流町、下仁田町、南牧村、甘楽町、中之条町、嬬恋村、草津町、高山村、東吾妻町、片品村、川場村、昭和村、みなかみ町、玉村町、板倉町、明和町、千代田町、大泉町、邑楽町の12市14町8村全域が臭気指数規制地域として指定されています。
今後とも、県内全市町村、全区域への臭気指数規制導入を目指し、調整を行っていきます。
また、臭気指数規制を導入した際に必要となる実務知識の取得のため、市町村職員を対象に、平成16年度より「嗅覚測定法研修会」を開催するなど、実際に規制の運用にあたる市町村の支援に努めています。
さらに、規制地域内の事業者に対しては、説明会の実施等によって制度の普及啓発に努めるとともに、今後も地域の実情を十分に考慮しながら、悪臭防止対策を推進していきます。
畜産経営に関する公害苦情の発生状況は、表2-3-3-19に示すとおりでした。県内の畜産経営に起因する苦情の約7割が悪臭関連であり、畜産業の健全発展のためには悪臭防止対策が重要です。
ア 家畜排せつ物臭気対策モデル事業
本県で開発した脱臭装置を21年度に11基設置し、25年度まで実証データを収集し、その効果を確認するとともに、地域と調和した畜産経営を確立するため、普及を図ってきました。
イ 家畜排せつ物臭気対策事業
本県で開発した脱臭装置等の導入費を補助し、畜産臭気の問題を抱えている地域の生活環境を改善する事業を22年度から開始し、利根沼田地域に脱臭装置を2基設置しました。23年度には4基の導入要望がありましたが、時期が遅かったので24年度に実施することになりました。
地域の環境保全を図るため、畜産経営に関する苦情の実態調査及び巡回指導等を実施しました。
また、堆肥流通を促進するため、堆肥施用による実証展示ほを県内3地域に設置し、地域の特徴を活かした資源循環型農業の推進を図りました。
悪臭防止法や水質汚濁防止法に対応するため、臭気指数測定や尿汚水浄化処理施設の維持管理研修会を開催するとともに、排水の水質検査等を実施し、施設の管理指導を行いました。
地域/種類 | 水質汚濁 | 悪臭発生 | 害虫発生 | 水質汚濁と悪臭発生 | 水質汚濁と害虫発生 | 悪臭発生と害虫発生 | 水質汚濁と悪臭発生と害虫発生 | その他 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
中部地域 | 1件 | 25件 | 5件 | 3件 | 0 | 13件 | 0 | 10件 | 57件 |
西部地域 | 5件 | 17件 | 1件 | 1件 | 0 | 3件 | 2件 | 1件 | 30件 |
吾妻地域 | 5件 | 1件 | 1件 | 1件 | 0 | 0 | 0 | 1件 | 4件 |
利根沼田地域 | 0 | 3件 | 1件 | 1件 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5件 |
東部地域 | 1件 | 16件 | 2件 | 1件 | 0 | 3件 | 0 | 5件 | 28件 |
計 | 7件 | 62件 | 10件 | 7件 | 0 | 19件 | 2件 | 17件 | 124件 |
畜舎臭気の主な原因は、家畜が排せつするふん尿です。家畜の種類によってえさや消化生理が異なるため、発生する臭気も異なります。牛ふんの主な臭気はアンモニアですが、豚ぷんでは酪酸やプロピオン酸など低級脂肪酸も含まれます。鶏ふんではアンモニアの他にアミン類も含まれます。
臭気成分のうち、アンモニアは100万分の1濃度(ピーピーエム)で悪臭として感じられます。低級脂肪酸ではアンモニアの1,000分の1でも悪臭として感じられるため、臭気を低減させるのは大変難しくなります。また、畜舎はそのほとんどが開放型となっているため、畜舎全面から臭気は拡散していきます。また、気象条件により臭気の発生や広がり方も異なるため、対策はさらに難しくなります。
畜産試験場では、低コストな臭気低減技術や装置について検討していますので、その概要について紹介します。
ア 軽石脱臭装置による臭気低減技術
家畜ふんを発酵させ堆肥にする時には、高濃度の臭気が発生します。この高濃度の臭気を脱臭するため、軽石を用いた脱臭装置を開発しました。この装置は、ふん発酵施設から発生したアンモニアを、水を散布した軽石脱臭槽に送り込み、アンモニアを捕集するとともに軽石に生息させたアンモニア酸化細菌により硝酸に変化させ、継続的にアンモニアを脱臭する装置です。アンモニア濃度400ピーピーエムの臭気を90パーセント以上除去できます。
この装置はふん発酵施設からの高濃度の臭気の他、畜舎から発生する低濃度の臭気除去も可能です。
イ 樹木を利用した臭気低減技術
畜舎から発生する臭気が周辺に拡散することを防止するため、樹木を用いた臭気低減技術について検討しました。
樹木には、アンモニアなどを吸着・吸収することにより臭気を除去する効果があります。10ピーピーエム以下の低濃度のアンモニアに対しては、畜舎周囲に生垣状に樹木を植えることにより、周辺への臭気拡散が抑制できます。特に葉の表面積が多い針葉樹などは高い除去効果を示しますが、20ピーピーエム以上の高濃度のアンモニアには対応できません。
密閉できるふん発酵施設や畜舎の脱臭については、脱臭装置を設置し、畜舎内の臭気を装置へ送りこむことで脱臭できます。しかし、ほとんどの畜舎や堆肥舎は開放型であるため、脱臭装置による脱臭はできません。そこで、畜舎や堆肥舎にネットを張ることにより脱臭する方法を検討しています。
ビニールハウスを利用した脱臭効果測定実験棟での小規模試験の結果では、ネットの網目が1.0センチメートル×1.0センチメートルを使用したところ、約20ピーピーエムのアンモニアを約半分にすることができました。また、ネットに水や酸性溶液を浸潤させることにより、アンモニア除去能力が上がることが確認されています。現在は安定して75パーセントの臭気除去を確保するため、ネットの選定や液の浸潤方法等の改良を実施しています。
畜産試験場が開発した「軽石を利用した脱臭装置」は、ある程度規模の大きい畜産農家を対象としているため、施設設置費用が大きくなります。そこで、中小規模の畜産農家が導入しやすい低コストな脱臭装置を開発しています。
脱臭槽に充填する資材として、軽石の代わりに安価で手に入りやすいモミガラを利用し、汚水の浄化処理施設の活性汚泥を加え、アンモニア酸化細菌を利用して脱臭する装置を開発しました。
屋外での小規模試験の結果、堆肥処理施設から排出される約20ピーピーエムのアンモニアを90パーセント以上除去することができましたが、水温が低下する冬期は脱臭能力が低下しました。現在は、冬期にも安定した除去能力が得られるよう対策を検討しています。
また、畜舎で悪臭が発生しやすいバーンクリナー(畜舎内の家畜ふんを集めトラックまで搬出する装置)の搬出部にモミガラ脱臭装置を設置し、脱臭効果について検証しています。