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我が国は、気候変動枠組条約の京都議定書において、第1約束期間(2008~2012年)に温室効果ガスの6パーセントの削減が義務付けられています。そのうち、3.8パーセントを森林による二酸化炭素吸収で確保することとしており、森林吸収源対策を確実に進めることが必要となっています。
京都議定書で定める森林吸収源の対象となる森林は、1990年以降新たに造成された森林及び、既存の森林のうち間伐などの森林整備が行われた森林に限られています。
我が国では、すでに森林が国土の3分の2を占め、新たに森林にできる土地は少ないため、森林整備によって確保する必要があります。
国では、「京都議定書目標達成計画」に定める森林吸収量の確保に向け、森林整備、木材供給、木材の有効利用等の総合的な取組を進めています。特に、間伐については、2007年から2012年度までの6年間で330万ヘクタールを実施することを目標としています。
本県では、第2次群馬県地球温暖化対策推進計画(新コツコツプラン)を経て、現在は群馬県地球温暖化対策実行計画(2011~2020年)に基づき森林による二酸化炭素吸収源対策を推進しています。
森林吸収源の対象となる森林は、適切な管理・経営が行われている森林に限られています。私たちの暮らしを守るうえで特に重要な役割を果たしている森林を保安林に指定することにより、立木の伐採や土地の形質変更を制限し、適切に手を加えるなどして必要な管理を行っています。
この制度は、植栽や間伐などの森林づくり活動を、京都議定書の枠組みに準じて二酸化炭素吸収量として認証するものです。企業や自治体、ボランティア団体などが、森林所有者等との間で協定を結んで行う活動が、認証制度の対象となります。
この認証制度を通じて、より多くの方に森林づくり活動について関心を寄せていただき、企業等が行う森林づくり活動を広げ、環境貢献活動の一環として森林の保全・整備を推進することを目的としています。
この制度で認証するのは、手入れをした森林が一年間に生長する量から計算する二酸化炭素吸収量です。例えば、35年生のスギを1ヘクタール間伐した場合では1年間で11.7トンの二酸化炭素量に、また広葉樹を植栽した場合では1ヘクタールあたり4.4トンの二酸化炭素量に相当します。制度が発足した平成22年から平成23年度末までに11件の申請があり、合計2,180.5トンの二酸化炭素吸収量活動を認証しました。
認証制度では、吸収量を記載した認証書を発行しています。森林づくり活動への貢献度が目に見える形になり、企業のPRや取組の励みにもなると好評です。
企業や自治体、ボランティア団体の皆さんの活動により、これまで長い間放置されていた森林は光を取り戻して元気によみがえっています。今後も、二酸化炭素の吸収を促す森林づくり活動を、この制度を通じて広くお知らせしていきます。
高度経済成長の過程で、木材は鉄やプラスチックなどの素材に代わられ、また、外国の安い木材が輸入されるなど、国産の木材利用は減少を続けてきました。しかし、近年、環境や資源の問題が取り上げられる中で、再び木材の利用価値が見直されてきています。特に、住宅に地域の木材を利用したり、今まで使われずに林地に放置されていた不良材や、丸太を製材した後の端材バイオマスエネルギー等に利用したりしています。県産木材も新しい需要を開拓するため、合板、集成材、燃料利用など様々な用途開発を進めます。
かつて木材は、木炭や薪として、日常的なエネルギー源として多用されていましたが、昭和30年代後半の「エネルギー革命」を経て、主要なエネルギー源ではなくなりました。木材の燃焼により排出される二酸化炭素は、樹木の成長過程で大気中の二酸化炭素を蓄積したもので、化石燃料の代わりに、持続的に管理されている森林から伐採した木材をエネルギー源として利用することは、化石燃料に由来する二酸化炭素の排出を抑制することになります。
木質ペレットは、木材加工時に発生するおが粉等を圧縮形成した燃料で、形状が一定で取扱いやすい、エネルギー密度が高い、含水率が低く燃焼しやすい、運搬・貯蔵が安易であるなどの利点があります。最近では、公共施設や一般家庭におけるペレットボイラーやペレットストーブの導入が進められています。
本県は、県土面積の3分の2に相当する425千ヘクタールが森林である「関東一の森林県」で、木質バイオマスが豊富に存在していますが、間伐材の収集・運搬には費用がかかり、木材価格の低迷から間伐実施面積の約8割は伐採した木が搬出されずに林内に放置されています。また、木質バイオマス発電所では、せん定枝や廃木材などを破砕した木質チップを主燃料としており、今後、未利用間伐材等の活用を進めるためには、低コストで安定供給できる体制を確立することが不可欠です。