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私たちの身近にある川は、治水や利水の目的だけでなく、潤いをもたらす水辺空間や多様な生物を育む環境の場でもあります。
このため、川づくりにあたっては「多自然川づくり」を進め、河川が本来有している生物の生息・生育環境の保全・再生に配慮するとともに、地域の暮らしや文化とも調和した川づくりを行います。
子ども達の学びの場、遊びの場となる「水辺の楽校」整備や、水生生物の生息環境を再生する「瀬と淵を取り戻す工事」等に取り組んでいます。
農業は、人間生活において必要不可欠な食料を安定的に供給するという重要な役割を果たす一方で、適切な農業生産活動が行われることにより、多くの環境保全機能を発揮しています。
農業農村の有する環境保全機能には、国土(県土)の保全、水資源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成等様々なものがあります。
しかし、これら環境保全機能が発揮されるためには、無秩序な土地利用による農地の減少や耕作放棄等による農地のかい廃を防ぎ、農業生産に必要な農地を生産活動に適した良好な状態で確保するとともに、農業の担い手による継続的な生産活動のため、利用集積等を通じた農地の有効活用を図ることが重要となっています。
本県の耕地面積は、宅地や工業用地へのかい廃や農業の担い手不足・高齢化による耕作放棄地の増加により減少を続け、平成22年7月15日現在の耕地面積は75,400ヘクタールとなっています。
耕作放棄地面積については、平成22年度の調査の結果、4,150ヘクタールとなっており、その発生防止と再生利用が大きな課題となっています。
適切な土地利用を進め、農地の遊休化を防止するとともに、耕作放棄地の再生利用を推進し、経営感覚に優れた担い手への農地の利用集積を促進して、活力ある農業生産を担う基盤づくりを進めています。
農村が持つ国土(県土)・環境の保全といった環境保全機能について、農地等の整備を通してその機能の維持・増進を図り、緑豊かな自然と調和した美しい農村景観を維持していくため、地域の取り組みを支援しています。
一般的に中山間地域等は平坦地と比べ、農業の生産条件が不利です。このため、中山間地域等における農業生産活動等の維持を通じて、耕作放棄の発生防止、環境保全機能の確保等を図るため、平成12年度から「中山間地域等直接支払制度」が開始されました。
本県の平成22年度の取組状況は、対象25市町村のうち、19市町村で222の協定(219集落協定、3個別協定)が締結されれ、1,533ヘクタールの農用地で制度に取り組んでいます。
県では、環境問題に対する住民意識の向上や資源循環型社会の地域モデルの育成を目的に、平成17年度から「菜の花エコプロジェクト推進モデル事業」を実施しています。
遊休農地などに菜の花を植え、菜種を収穫し、搾油を行い菜種油にします。菜種油は料理や学校給食に使い、搾油時に出た油かすは肥料や飼料として利用します。廃食油は回収し、石けんやバイオディーゼル燃料にリサイクルします。このように資源やエネルギーが地域の中で循環する事が、菜の花エコプロジェクトの仕組みです。さらに、菜の花の景観作物としての観光的な利用や養蜂業との連携、地域特産品の開発などによる農山村の活性化など、多面的な展開も期待されています。この試みは、家庭からの廃食用油による琵琶湖の水質汚染問題を抱えていた滋賀県から始まり、今では全国に広がっています。
平成22年度は「NPOしるく(高崎市)」、「榛東村第12区長寿会(榛東村)」、「南橘地区地域づくり推進協議会(前橋市)」、「赤城南面畑作プロジェクト(前橋市)」が継続して事業に取り組み、これらの団体をあわせ、これまでに10団体が県の事業に取り組みました。この事業では、菜の花を3作(4年間)栽培し、収穫・搾油を行う中で、地域で創意工夫をこらし、資源循環システムの構築を目指します。
取り組み団体では、搾油した菜種油を学校給食や家庭で利用し、その廃食油から石けんを作り地域で配布したり、バイオディーゼル燃料を製造し学校給食の配送車の燃料とするなど、様々な活動が進められています。