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群馬県環境影響評価条例第27条第1項の基づく標記方法書に対する意見は、下記のとおりです。
記
(1)大気質の調査地点について、調査予定地は、造成地に対して風上側にあたる地点であり、また、国道17号上武道路の影響を受けると考えられることから、既存工場から排出される汚染物質や、造成工事にともなう大気質、化学物質をモニターできる調査地点を再度検討すること。
(2)騒音・振動、水質を含めて、当該事業は、進出企業が決定しているため、工場の施設計画等、最新の情報を収集して予測評価を行うこと。
(3)23頁 二酸化硫黄、26頁 光化学オキシダント及び、27頁 自動車排出ガスについて、環境基準を満たしているか判断できる資料を掲載すること。
地盤が軟弱な場所で造成を行った場合、低周波振動の問題が起こることがある。北側は住宅団地に隣接しているため、工場の配置にあたっては十分留意すること。
水質調査は、排水口の上下流の2カ所で、灌漑期と非灌漑期の2回計画している。環境基準を満たしていない早川に雨水を放流するにあたり、群馬県が早川橋と前島橋の2カ所で水質測定を行っているので、そのデータを加味して予測評価を行うこと。
(1)早川は、環境基準を満たしていない代表的な河川である。新たな開発により、環境に負荷がかかることを念頭に置き、早川における水生生物の調査の必要性を検討すること。
(2)水生生物の調査時期回数を、8月に1回としているが、注目種である「ホウネンエビ」は、田植え後1~2週間で発生し、田植え後1ヶ月以内の調査が望ましいとされる。現地の田植え時期を確認し、適期の調査となるよう、調査時期を再度検討すること。
工業団地を造成し、雨水を直接早川に放水すると、排水溝が接続している下流側では流況は大きく変わる。具体的には、水田としての遊水効果がなくなり、流出までの時間が短くなる。水象の変化を環境影響評価項目として選定するか再度検討すること。
(1)沖積層上にある当該地に、盛土をして工業団地を造成する計画であるが、地盤沈下が懸念される。また、太田市は強震帯にあり、地震による液状化も懸念されるため、盛土等の造成工事に当たっては十分留意すること。
(2)地形・地質の事前調査結果は、現地と合致していない。正確に記載すること。また、「注目すべき地形・地質は存在しない」と結論づけるのであれば、その基礎となる資料を掲載すること。
(1)当該事業地である新田下田中町は、合併前は新田町である。事前調査の資料は、旧太田市のものであり、旧新田町、隣接する伊勢崎市についても調査すること。
(2)植物の調査時期・回数について、5月に1回、10月に2回行うとあるが、季節により確認される植物が異なることから、夏季及び9月に行う調査の必要性を検討すること。
(3)「植栽の樹種、播種の種子は在来種を中心に選定し」とあるが在来種を用いることを原則とすること。
(4)植物について、現地調査で確認された植物リストを準備書に掲載すること。
(5)鳥類の調査について、6月と1月の2回行うとあるが、渡り鳥の通過時期の調査の必要性を検討すること。
(6)当該事業地周辺の鳥類に関する文献として、市町村別鳥類生息密度調査報告書(第9次鳥獣保護事業計画第五次報告)がある。平成18年度に実施された、鳥類の調査結果が報告されているので、調査方法の検討にあたり参考にすること。
(7)ほ乳類、昆虫類についてはそれぞれ1季、両生類については今後調査を実施しないとある。当該事業地及びその周辺の状況を把握するには不十分であると考えられるので、調査時期、調査回数を再度検討すること。
(1)早川をはさんだ対岸は、伊勢崎市である。隣接する伊勢崎市の文化財についても掲載すること。
(2)予測・評価の時期について再度検討すること。また、調査の手法、方法等についても再度検討すること。
(3)当該事業地周辺の一部は、国道17号上武道路事業、早川河川改修等に伴う発掘調査で埋蔵文化財の分布が明らかになっている。太田市教育委員会と協議のうえ、計画地内の埋蔵文化財の有無を調査し、遺跡の分布について正確に記載すること。
景観については、景観資源はない、眺望地点もないとして環境影響評価項目として選定されていないが、地域の住民から見れば景観が変化するのは間違いない。環境影響評価項目として選定するか再度検討すること。
(1)群馬県景観条例に基づく大規模行為の届出が必要と思われるので、自然環境課と協議すること。
(2)隣接農地の取水、及び、排水に支障のないよう注意するとともに、施設を管理する太田市及び関係土地改良区、水利組合等と協議すること。
早川については、第五種共同漁業権が設定されているので、漁業権対象魚種や漁場環境に影響を及ぼさないよう最大限配慮すること。