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「(仮称)北部大規模開発事業に係る環境影響評価準備書」に対する知事意見

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

群馬県環境影響評価条例第32条第1項の規定に基づく標記準備書に対する意見は、下記のとおりです。

1 騒音・振動について

(1)要約書P17他 鳥山強戸線は、道路交通騒音が環境基準を満たしていない。供用後の道路交通騒音の対策に配慮すること。

(2)要約書P22他 予測値を基に『影響は軽微であると評価する』としているが、予測で軽微と結論づけることはできない。別の適切な表現を検討すること。

(3)騒音について、「主として住居の用に供する区域」の環境基準に基づいた予測評価の実施を検討すること。また、昼夜を問わず多点にわたった事後調査計画を検討すること。

(4)振動について、「第1種区域」の規制基準に基づいた予測評価の実施を検討すること。また、昼夜を問わず多点にわたった事後調査計画を検討すること。

(5)北東側アクセス道の交通量増加が懸念されるため、環境対策について配慮すること。

2 水質について

(1)『八瀬川の非灌漑期のBodの予測値は3.2mg/lで環境基準値(B類型;3mg/l)をわずかに超えるが,流入する石田川のBodに比べて値が低いから影響は軽微であると評価する』とある。しかし、太田市内を流れる諸河川は有機物汚濁が県内の諸河川に比較して顕著であり、水質汚濁に関してはできうる限り有効な対策を実施すること。

(2)雨水を集水した調整池からの排水と、上水道の水(5,000 m3/日)を使用した後、処理されて出る排水を有効に利用し、流入する八瀬川の良好な水環境の創出に努めること。

(3)八瀬川は蛇川にも流入する。蛇川への影響についても予測評価の対象とするか検討すること。

3 地盤環境について

 盛土部分については、地震時の液状化が懸念される。地質は、第三紀の凝灰岩が主体であり、凝灰岩は一度構造を崩すとかなり強度低下する。特殊土壌として取扱い、造成工事に当たっては十分留意すること。

4 生物環境について

(1)植栽木の樹種は、金山丘陵に連続した植物相の構成種としてふさわしいものを選定すること。

(2)P10他『法面緑化に用いる芝草類は、要注意外来生物リストに挙げられる種は極力用いない。』としているが、要注意外来生物 リストに挙げられる種は用いないとすべきであり、在来種で緑化を図ること。

(3)野生動植物については、注目すべき種が絶滅心配・希少種となった要因について整理し、その上で予測評価を行うこと。

(4)P26に、『植物への影響が及びうる範囲を、敷地境界から100m』と設定している。しかし、P228には『影響が周辺の植物に及ぶ範囲は、一般に敷地境界から数十m』として予測評価を行っている。植物への影響が及びうる範囲について再度確認し、予測評価を行うこと。

(5)植物の調査は、春季・秋季の2回しか行っていない。また、南側に隣接する金山や北側の八王子丘陵は、「群馬県の貴重な自然(植物編):群馬県(1990)」、「太田市の貴重な自然(植物)」に取り上げられているように、平野部では貴重となった里山としての生態系が良好な状態で残されている生物多様性の高い地域である。ついては、生物環境への影響を予測評価するにあたり、「貴重な自然とされる植物はない」、「金山の注目すべき種には影響は及ばない」等の表現は不適切であり、適切な表現に改めると共に、事後評価の対象とすべきか検討すること。

(6)鳥類の文献調査に、蛇川沿いの調査の他に、金山東側の調査結果についても、予測評価の資料とするか検討すること。

(7)開発の影響で、動植物の減少を予測するだけでなく、環境の変化で、侵入してくる生物も多いことに配慮すること。

5 景観について

(1)企業誘致の際に、建造物の高さに配慮を求めるなどして、周辺景観との調和に努めること。

(2)当該地は本県の東部の里山景観の代表的な地域であり、連なる里山の稜線美は貴重な景観資源である。工場団地を取り巻く周辺緑地は、建造物を視野から遮る高木植栽を検討し、地域全体のスカイラインの保全に配慮すること。

6 対象事業の実施に必要な許認可・協議等について

(1)開発予定地は、急傾斜地崩壊危険区域と隣接、又は含まれていると思われるため、範囲の確認を行うとともに、範囲内に係る場合は太田土木事務所と協議すること。また、開発予定地と急傾斜地崩壊危険区域の位置関係がわかる資料を提出すること。

(2)調整池の容量計算で使用する堆砂量は、林地開発許可基準に合致するものを使用すること。また、林地開発許可基準を満たした植栽計画にすること。

7 その他

(1)「技術」「地域」「自然」融合・交流という具体策の記載を検討すること。

(2)準備書に、絶滅心配種・希少種の確認地点が記載されているが、保全の観点からは望ましくないので、削除すること。