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「(仮称)高崎市総合卸売市場周辺造成事業 環境影響評価方法書」に対する意見について

更新日:2016年3月29日 印刷ページ表示

1 大気環境について

  1. 対象事業実施区域の西地区では南側のほぼ全域、同東地区では西側の一部が道路を挟んで住宅と近接していることから、工事中及び供用時の振動、騒音及び低周波音並びに悪臭に対して、効果的な緩衝緑地帯の整備や地区計画の策定等による適切な環境保全措置を講じること。
    なお、低周波については、住宅と工場等建築物との位置関係によっては、発動機や空調機を備えた工場等から発生する低周波音が増幅する可能性が高まることを考慮すること。
  2. 事業実施区域の振動及び騒音については、将来適用される工業系地域の規制基準ではなく、現在適用されている市街化調整区域の基準を参照し、現状からの環境影響という観点で評価を実施すること。
  3. 振動、騒音及び低周波音に対する環境保全措置のためのデータとして、車両走行に伴う地盤の振動計測について、国道354号バイパスに直交した軸上3箇所での同時計測を検討すること。
  4. 対象事業の企業誘致方針として、工業系施設及び流通業務施設の導入を想定しているが、準備書では、想定される業種の中で最大の騒音及び振動を発生する業務及び施設を明示すること。
    また、流通業務施設では、騒音源となる送風機が設置される可能性があるので、音源を設定すること。

2 水環境について

  1. 事業実施区域の南側を流れる粕川は、事業実施区域南東側で井野川に合流する。井野川の水質調査地点である境橋及び鎌倉橋におけるBOD測定結果はC類型の環境基準を満たしているものの、有機物汚濁の今後の動向に注視する必要がある地点であることから、準備書では、排水の処理及び排出方法等を明らかにしたうえで、河川環境への影響を的確に予測・評価して、環境保全措置の検討を行うこと。
  2. 事業実施区域内に河川・湖沼はないことから、環境影響要素として水循環について抽出していないが、専用排水管による粕川への放流や事業実施区域の東地区に通っている農業用水路の付け替え工事等が予定されているため、準備書では、河川管理者との協議及び調整のうえで、これらの構造等を明示するとともに、当該施設整備が環境へ影響を及ぼすおそれがある場合には、項目を追加すること。
    また、項目を追加しなかった場合にも、その検討経緯を準備書に記載すること。
  3. 環境影響評価項目の選定結果の表中、供用による影響においてpHが選定されていないが、pHは排水の水素イオン濃度を確認する指標となることから、項目の追加を検討すること。
  4. 水生生物の保全に係る環境保全措置を検討するにあたっては、実行可能な範囲で、自然環境の再生という視点も踏まえたうえでの考察を加えること。
    具体的には、付け替え工事によって整備される農業用水路を水生生物に配慮した構造にすることや粕川への合流部に魚道を設置するなどの生息環境の改善方策が考えられる。
  5. 水生生物調査地点について、環境の把握をより確実にするために水質調査地点とあわせた地点設定を検討すること。
  6. 進雄神社の東境界を流れる水路にシジミ類の貝殻とカワニナの這った跡が認められたため、これらの確認調査について、可能な範囲で実施すること。

3 生物環境について

  1. 緩衝緑地帯の樹種について、地域の原植生を踏まえて選定し、将来的に自然林に近い階層構造を持つ常緑広葉樹林になるよう環境保全措置を検討すること。
  2. 事業実施区域の西地区に隣接する進雄神社の社寺林は、渡り鳥の中継地として、また地域の生物の生息地として優れた環境を有していることから、現状を把握するための調査を実施すること。
  3. 事業実施区域を含めた周辺地域の水田は、内陸を渡るシギ・チドリの渡り中継地であり、その渡来時期は水田となって水辺環境が整う8~9月初旬であることから、ラインセンサス調査時期のうち「6月」について、調査に適した時期への変更を検討すること。
  4. 特記すべき種や疑問種は、標本作製や写真撮影を行い、適切な環境保全措置を講じるための検討資料とすること。

4 人と自然とのふれあいについて

  1. 事業実施区域の西地区の南側には、計画地からの比高が2メートル程度高い住宅地が存在しており、ここから事業実施区域を望む景観を把握する必要があると考えられるため、県道133号元島名倉賀野線にその調査地点を設定することとし、さらに調査では、眺望点の高さも勘案すること。
    一方、同東地区の西側には比高差がほとんどない住宅地が見受けられることから、それぞれの地区の状況に応じた調査、予測及び評価が必要であることに留意すること。
    なお、準備書に景観の調査結果を記載する際には、スケッチパースやフォトモンタージュ等により、緩衝緑地帯の計画内容等が視覚的に把握できるよう示すこと。
  2. 国道354号バイパスからの景観として、上り下りの観点から移動景観としての調査地点を追加すること。
  3. 事業実施区域は、「高崎市景観計画」において、田園景観や住環境と調和した市街地景観の形成を図る地域に位置付けられているため、環境保全措置については、本計画及びその他の関係基準を参照し、検討すること。
  4. 指定文化財と埋蔵文化財は区分したうえで整理し、指定文化財については、天然記念物の状況とのつながりを持たせた表記を検討すること。
  5. 事業実施区域は、埋蔵文化財包蔵地に係る出典資料の作成当時には把握されていなかった水田跡(古墳時代~平安時代の条里水田遺構等)の存在が推定される地域であることを、準備書において注記すること。
  6. 事業実施区域の西地区に隣接する進雄神社について、地域の文化財として準備書において記載すること。
  7. 現在、耕作地として利用されている事業実施区域に対し、「自然との触れ合いの場はない」としているが、居住地に隣接した水田地域は、周辺住民が身近な自然と触れ合う場となっているともいえることから、準備書では、この記載を見直すこと。

5 その他

 対象事業実施区域の選定理由として、環境についての視点を追記すること。また、対象事業の背景では、計画地が優良農地であることを踏まえた記載とするよう検討を加えること。

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