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「高崎市スマートインターチェンジ周辺工業団地(仮称)造成事業に係る環境影響評価方法書」に対する意見について
1 大気環境について
- 方法書26頁 表3.2-2及び図3.2-1において、平成22年における月別の気象状況が示されているが、1月の合計降水量が0.0ミリメートルという特殊な事例であるため、過去10年間の月別平均データや極値等を用いて、当該地域の気象状況を整理し直すこと。
- 低周波音については、当事業による発生はないとして環境影響評価項目に選定していないが、供用後におけるモニタリング調査の基礎資料として現況把握は必要と思われるため、低周波音について現況調査の実施を検討すること。
- 微小粒子状物質(ピーエム2.5)については、平成21年9月に環境基準が設定されているが、全国的にもデータが少なく予測・評価を行うのは困難と思われる。しかし、供用後におけるモニタリング調査の基礎資料として現況把握は必要と思われるため、微小粒子状物質について現況調査の実施を検討すること。
- 臭気指数及び特定悪臭物質について、当事業による発生はないとして環境影響評価項目に選定していないが、供用後におけるモニタリング調査の基礎資料として現況把握は必要と思われるため、臭気指数及び特定悪臭物質について現況調査の実施を検討すること。
- 事業区域の北側及び南側には住宅地が隣接するほか、北側には養護学校・小学校・保育所、南側には病院・特養老人ホームがある。そのため、事業実施に際しては、低騒音・低振動の施工方法の選択や遮音施設の設置など騒音・振動の発生をできる限り低減させるような対策を講じること。また、供用後における工場等からの騒音・振動の低減対策として、緩衝緑地帯の設置や敷地境界から工場敷地までの距離を十分確保するなど、適正な土地利用計画を検討すること。
2 水環境について
- 全窒素及び全リンについては、富栄養化の影響が懸念される湖沼等の閉鎖的水域は存在しないとして、環境影響評価項目に選定していないが、当工業団地は食品加工関連業種を中心に誘致を考えていることから、供用後におけるモニタリング調査の基礎資料として現況把握は必要と思われるため、全窒素及び全リンについて現況調査の実施を検討すること。
- 水生生物調査地点は、井野川の上流の天神大橋付近及び下流の鎌倉橋付近の2箇所を計画しているが、雨水、工場排水箇所を考慮して、東毛広域幹線道路橋梁付近において、新たな調査地点の追加を検討すること。また、水生生物調査箇所に合わせて、水質調査箇所も同様に追加を検討すること。
- 水生生物の予測・評価の手法として、絶滅危惧種の保全を判断基準としているが、希少種のみに注目するのではなく、生息する水生生物全体の保全を考慮し予測・評価を行うこと。
- 当事業では、井野川の河川区域内は原則として改変しないとしているが、詳細設計の結果により、橋台基礎の保護として護岸工が必要となる場合が考えられる。そのため、その旨を準備書に記載するとともに、護岸工が必要になった場合は、できる限り水生生物等に影響が小さい工法を検討すること。また、事業の実施により井野川の水生生物等への影響が懸念される場合は、適切な保全対策を講じること。
3 地盤環境について
- 土壌環境は、分譲後の緑地保全に重要な要素であるため、緑地帯の造成にあたっては、例えば、現状の良質な表土を保管し、それを覆土に利用するなど、植物の生育に適した良質な土壌の使用を検討すること。
4 生物環境について
- 事業区域内の水田、休耕田、水路、畑地等は、ほぼ全域が改変されるため、植生や植物相、動物相への影響が大きいことが予想される。そのため、現況調査において貴重な動植物が確認された場合は、十分な保全対策を検討すること。また、事業区域内に、当事業により影響を受ける動植物が生息・生育するのにふさわしい水辺環境の整備を検討すること。
- 井野川では、過去にサギ類の繁殖地が確認されているため、井野川周辺の現地調査を実施する際は十分留意すること。また、現地調査の結果、当計画地と「群馬の森」との関連が確認された場合については、「群馬の森」を調査対象地域に含めること。
- 井野川との境界や調整池周辺については、生物多様性を考慮し、できるだけ広い緑地帯の造成を検討するとともに、その具体的な位置、構造等を準備書に記載すること。また、緑地帯に植栽する樹木等の選定にあたっては、計画地周辺の現存植生や潜在自然植生に配慮すること。
- 井野川河川敷や赤城神社周辺には、まとまった草地、樹林が存在することや、水際植生が豊富であり、これら植生等の保全に十分配慮するとしているが、具体的な保全方法を準備書に記載すること。
- 「群馬県の絶滅のおそれのある野生生物(県レッドデータブック)」については、植物編の改訂版が平成24年4月に発刊されており、また、動物編の改訂版も年内に刊行予定である。準備書における動植物の予測・評価にあたっては、改訂版を参考にすること。
- 計画地は、盛土造成区域が大部分を占め、大量の土砂を地区外から搬入することから、外来生物の拡散を招かぬよう適正な対策を検討すること。また、工業団地造成後から企業進出までの間、モニタリング調査を実施し、外来生物分布の消長を確認して、必要に応じて外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)に則った上で防除等の対策を講じること。
5 人と自然とのふれあいについて
- 群馬県工場立地適正化条例では、造成地に対する緑地面積の縛りが昨年撤廃されたが、地域景観との調和を図るため、進出企業と緑化協定や環境保全に関する地域協定などの締結を検討すること。
- 計画地の境界や縁辺部の法面や擁壁面については、できるだけ植物による緑化を検討すること。また、計画地内の道路緑化、特に街路樹の植栽枡は、生育に十分なスペースを確保するように配慮すること。
- 計画地に隣接する「群馬の森」一帯は、国が造った火薬製造所の旧跡であり、現在は公園等に整備され緑豊かな平地林となっている。計画地とこれらがバランスの良い樹林を形成し、良好な景観を創造できるように事業計画の策定にあたっては十分配慮すること。また、「群馬の森」の中にある美術館・博物館は文化的に大きな役割を果たしているため、これらの文化的評価について、準備書に記載すること。
- 井野川は、本来の自然な川の姿を残した貴重な景観を形成しているため、なるべく現在の状態のまま残して、その川岸、橋梁との良好な景観を創造できるように事業計画の策定にあたっては十分配慮すること。
- 景観環境については、観音山古墳、住宅地・保育園及び井野川サイクリングロードの3箇所を調査地点に設定し、眺望景観及び囲繞景観への影響を予測・評価を行うとしているが、東毛広域幹線道路などの主要幹線道路は、不特定多数の人が利用する主要な眺望地点と考えられるため、主要幹線道路についても、調査地点として追加を検討すること。
6 その他
- 事業の客観性・透明性を確保し、周辺住民の当事業に対する理解を促進するため、当事業区域の選定経緯について準備書で記載すること。
- 計画地内の井野川右岸の低地部は井野川低地帯と呼ばれ、高崎市ハザードマップで1から5メートルの浸水が想定されている地域である。そのため、事業計画の策定にあたっては、当地域における過去の降雨強度又は冠水事例等を調査し、リスクの想定を行ったうえで、適切な浸水対策を検討すること。
- 計画地内の道路計画については、産業用地の配置方針及び将来の発生集中交通量等を考慮して、適切な規格・構造となるように検討すること。
- 計画区域内で発生する工場排水・生活排水について、下水処理施設を設け、高次処理した後、専用汚水管にて井野川へ直接放流するとしているが、農業用水の良好な水質の確保の観点から、計画区域内の排水が農業用水に流入しないよう適切な排水計画の検討すること。
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