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令和6年第1回定例県議会 知事提案説明

更新日:2024年2月15日 印刷ページ表示

 令和6年第1回定例県議会の開会に当たり、提案説明に先立ち、一言申し上げます。

 はじめに、この度の令和6年能登半島地震により犠牲になられた方々に対し、謹んで哀悼の意を表するとともに、被害を受けられた多くの方々に対し、心からお見舞い申し上げます。
 現在も多くの方々が避難生活を余儀なくされております。 被災地が一日も早く復興されますことをお祈り申し上げます。
 群馬県としても、緊急消防援助隊やDMATの派遣をはじめとした人的支援や、トレーラートイレ等の物的支援など、全力で被災地支援に取り組んでおります。今回の災害状況を踏まえ、群馬県で大規模災害が発生した場合の対応について、改めてシミュレーションを行い、更なる対策を進めてまいります。

 また、元日に群馬県内で今年度1例目となる、高病原性鳥インフルエンザが発生しました。
 発生後は、殺処分や埋却等のほか、発生農場周辺の消毒ポイント設置などの防疫措置を速やかに実施してきました。国、自衛隊、市町村に加え、JAグループ、建設業協会をはじめとした関係団体からも応援をいただきました。御協力いただいた関係の皆様には厚く感謝を申し上げます。
 県としては、農家の皆様が安心して養鶏業を営むことができるよう、国や市町村、関係機関としっかりと連携し、原因の究明、再発防止に全力で取り組んでまいります。
 養鶏農家の皆様には、これまで以上に、飼養衛生管理基準の遵守徹底をお願い申し上げます。

 それでは、令和6年度当初予算案をはじめ、提出議案の大要について御説明申し上げます。
 加えて、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べたいと思います。

〔当初予算編成の基本方針〕

 これまで新型コロナウイルス感染症対策のほか、様々な自然災害のリスクや貧困等の問題から、県民の生命と健康、暮らしを守ってきました。こうした取組は、山本県政が掲げる「県民幸福度の向上」を推進する上で、言うまでもなく最も重要なことだと考えています。
 それと同時に、群馬県の更なる発展のためには、「攻め」の姿勢も重要です。新群馬の創造に向けて、「リトリートの聖地」「クリエイティブの発信源」「レジリエンスの拠点」の3つの近未来構想を着実に進めていく必要があります。
 令和6年度予算は、まさしく「攻」と「守」のバランスを考えた予算となっています。加えて、1期目にまいた種がようやく芽を出し始めたことを踏まえ、「群馬モデル」という他県ではやっていない、世界最先端の地方行政モデルを数多く打ち出しました。この「群馬モデル」を発信していくことが、群馬県のダイナミックな未来を創造していくうえで不可欠だと考えています。
 令和6年度当初予算は、こうした思いを込めて、『幸福実感・新群馬実現予算 ~群馬モデルで未来を創る~』と命名させていただきました。

〔当初予算の規模〕

 令和6年度の一般会計当初予算の総額は、7,816億円です。
 令和5年度当初予算と比較して381億円減少していますが、新型コロナ対策関連予算を除くと、218億円の増加となります。これは、新たな施策にも積極的に取り組んでいくためです。

〔重点施策〕

 それでは、令和6年度当初予算の主な取組について、4つの重点施策に沿って御説明申し上げます。
 まず、重点施策の一つ目は、「県民の幸福度向上」です。
 私は、「誰一人取り残されない群馬」を築いていくうえで、未来を担う子どもたちへの教育が極めて重要であると考えています。
 そのため、群馬県では独自の特色ある教育として、非認知能力に着目した教育の実践に取り組みます。昨年11月、私がスコットランド教育庁を訪問した際に提案した共同研究など、具体的な取り組みを開始します。
 そして、障害のある子もない子も、同じ場所で共に学ぶ「インクルーシブ教育」について、モデル校設置に向けた調査研究に取り組みます。
 こどもまんなか政策としては、養育費不払いへの対策を強化するほか、ケアリーバーへのアフターケア拠点を充実させます。
 女性支援では、困難な問題を抱える女性を支援するため、ケアにあたる心理士を派遣するなど相談体制を強化します。
 多文化共生・共創としては、県立夜間中学「みらい共創中学校」を4月に開校し、群馬モデルと言えるような夜間中学を目指します。
 また、交通弱者にも配慮した未来の交通を実現するため、「GunMaaS」を、県内市町村へさらに拡大するための機能の拡充などを行います。
 さらに、幸福感の判断に大きく影響している、県民の健康面を支える「医療提供体制の拡充」にも取り組みます。
 新たな感染症はいつ発生するかわかりません。このため、次のパンデミックに備え、来年度から本格的に医療提供体制の整備や人材育成に着手します。
 また、在宅医療や災害医療などの対応拠点となる「群馬メディカルセンター」整備を支援するほか、デジタルを活用した周産期医療体制の充実や遠隔医療の整備に取り組みます。
 医師確保対策についても、引き続きしっかり取り組んでまいります。
 なお先日、小児医療センターを群馬大学医学部附属病院の隣接地に移転し、再整備することを決定しました。今後、関係者と調整しながら、一日でも早く開院できるよう、整備を進めていきます。
 福祉施策のさらなる充実も重要です。
 全国で最も手厚い制度である群馬県の「こども医療費無料化」を継続してまいります。
 また、高齢者と若い世代との交流を促進し、高齢者の孤立を防ぐモデル事業にも取り組みます。
 「健康寿命の延伸による幸福度向上」としては、県公式アプリ「G-WALK+(ジーウォークプラス)」の機能充実により、県民主体の健康づくりをさらに進めるほか、特定健診データを分析して効果的な施策を検討していきます。
 また、高齢者向けの「ぐんまちょい得シニアパスポート」をマイナンバーカードと連携させ利便性を高めます。

 続いて、重点施策の二つ目は、「新群馬の創造」です。
 来年度も、群馬県の温泉をはじめとした豊かな自然の魅力を最大限活用するため「リトリートの聖地」を目標に掲げ、長期滞在型の観光を進めていきます。農畜産物やアクティビティなど、高付加価値のサービス体験を組み合わせた、群馬県ならではの旅行スタイルを提案してまいります。また、それに向けた各観光地の受入環境整備を支援します。
 県立赤城公園については、民間活力を活用しながら、キャンピングフィールドやランドステーションを整備し、令和7年度のオープンを目指します。
 温泉文化のユネスコ無形文化遺産登録については、次回の国内候補選定を目指してまいります。
 「クリエイティブの発信源」に向け、国と連携して、Gメッセ群馬にデジタル人材育成拠点「TUMOセンター」を新設します。また、「tsukurun」をサテライト展開することで、デジタルクリエイティブ人材育成体制を強化します。
 加えて、Gメッセ群馬をクリエイティブの拠点とするための基本構想の策定や、スタジオ機能強化のための改修設計などを行います。
 また、映像産業や人材を集積させるため若手クリエーターの映像制作を支援するほか、新たに県内での映像制作費を補助し、大型作品の誘致に取り組みます。
 そして、「レジリエンスの拠点化」に向けては、民間と連携して「命のコンテナプロジェクト」に取り組むほか、新たな減災目標を定めるための地震被害想定調査を12年ぶりに実施します。
 また、災害対応力向上のため、県庁舎内の危機管理センターの拡張整備や県内医療機関の機能強化を行います。
 さらに、激甚化する災害から県民の命と財産を守るため、引き続き、水害対策や防災インフラの整備などにも取り組みます。

 重点施策の三つ目は、「群馬モデルの発信」です。
 群馬の強みを活かした独自の群馬モデルを追求し、国内外に発信するという流れを、来年度はより加速したいと考えています。
 特に、胸襟を開いて、多様な人材や考えを受け入れることで、群馬から新たなビジネスが次々と創出される。こうした「全県リビングラボ構想」の実現に向けて、実証フィールドの発掘や発信、共創プロジェクトの創出に取り組みます。
 農業の持続的かつ安定的な発展のため、畜産業が盛んな群馬県の特長を活かし、有機質肥料を普及させ、引き続き有機農業の普及、拡大を目指してまいります。
 ぐんまちゃんについては、活動30周年を記念した事業を実施するほか、海外向けのプロモーションを強化します。
 次に「県有施設の効果的な整備」です。群馬県では、県有施設についても、官民の知恵を結集し、予算をしっかり投入することで、質の高い、県民の誇りとなるような施設に造り上げていくこととしています。
 予算額を見ると巨額の投資に見えますが、老朽化した現行のままで維持するよりも、中長期的には財政負担を軽減することができ、尚且つ賑わいも創出できるようになります。まさにワイズスペンディングの発想です。
 フラワーパークについては、令和7年4月のリニューアルオープンに向け、改修工事や開園準備を進めます。
 また、敷島公園新水泳場については、民間のノウハウを活用するPFI方式で設計などに着手し、県産木材を活用した特徴ある施設をつくっていきます。
 さらに、令和7年4月の開校に向け、沼田高校・沼田女子高校を合わせた新高校の建設を進めます。
 また、群馬県では、デジタルの力で地域課題を解決するため、あらゆる分野でデジタルトランスフォーメーションを進めています。「ぐんまDXハイスクール事業」では、ICTを活用した文理横断的な学びを強化するため、公立高校に対して必要な環境整備を行います。群馬県が誇るtsukurunや今後設置予定のTUMOセンター等との連携を視野に、教育のDXを進めます。また、マイナ保険証を活用した電子処方箋の活用・普及促進に取り組んだり、市町村のDX化を支援するなど、DXの流れを加速化させます。
 グリーンイノベーションについては、脱炭素に取り組もうとする市町村と企業のマッチングを支援するとともに、太陽光発電設備や蓄電池の導入への補助を行います。

 重点施策の最後は、「財政の健全性の確保」です。攻めの予算を編成する中でも、知事就任以来重視してきた「財政の健全化」に留意いたしました。
 令和6年度当初予算では、「基金残高の確保」「県債発行額の抑制」「県債残高の縮減」の3点について、前年度からさらに改善することができました。
 まず財政調整基金の残高については、前年度を上回る269億円を確保しました。これは、平成10年以降で最高額となっています。かつては、ほぼ全額を取り崩して当初予算を編成していました。緊急事態への備えが不十分だったと言わざるを得ない状況でしたが、令和6年度当初予算においては、さらに改善することができました。
 県債の新規発行額については、臨時財政対策債の大幅な減により、発行額を475億円に抑えました。これは過去30年間で最も少ない発行額となります。
 これにより、県債残高は令和5年度決算見込と比べて、438億円減少させることができました。県債残高の減少は3年連続となり、ピークであった令和3年度と比較すると、984億円減少したことになります。
 これまで山本県政では、県有施設のあり方や様々な事業についての見直し作業を積み重ねてきました。加えて、少ない投資で大きな成果を生む事業の工夫や新規事業にはできるだけ国の財源を活用するなどワイズスペンディングを実践してきました。そして知事によるトップセールスでも、県の取組を政府に後押ししてもらえるよう、働きかけてまいりました。
 令和6年度当初予算編成においても、限られた人的資源と財源を有効に活用するため、引き続き、1.ワイズスペンディングの視点による費用対効果の高い事業への事業見直しや、2.民間リソース等の積極的活用、3.自ら「稼ぐ」施策、4.デジタル化による事務の効率化を強力に進めることにより、事業の見直しを進めました。
 こうした取組の結果、令和6年度当初予算では、県債の発行を大幅に抑制し、県債残高も減少させながら、前年度を上回る基金を確保することができたと考えています。今後も引き続き、財政の健全化に努めてまいります。

〔令和6年度関係その他の議案〕

 続いて、特別会計についてですが、母子父子寡婦福祉資金貸付金会計など11件を、企業会計については、流域下水道事業会計など7件を提出しております。
 事件議案は、55件を提出しております。
 第14号、第15号及び第16号議案は、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の制定に伴い、現行の条例を廃止し、女性相談支援センター及び女性自立支援施設の設置や運営基準等を定める条例を制定しようとするものです。
 第42号議案は、人と動物の共生社会の実現に向け、犬又は猫の飼い主の遵守事項等を定める改正を行おうとするものです。

〔令和5年度関係議案〕

 続いて、令和5年度関係について、予算関係で14件を提出しています。
 このうち、一般会計補正予算案については、国の補正予算に伴い、新たに福祉・介護職員の処遇改善に必要な経費を計上するほか、不用額の減額などの補正を行うものです。
 事件議案としては、「ぐんまちゃんこども支援プロジェクト」の参加企業からの寄附金を活用した「ぐんまちゃんこども支援基金」の新設など20件を提出しております。

〔おわりに〕

 以上、重点的な施策について申し上げました。
 新型コロナウイルスとの闘いに一区切りがつき、今まさに新しい世界に突入しました。
 今回の予算は、群馬モデルとワイズスペンディングの2つのコンセプトにより、攻めの姿勢で新しい事業を進め、時代の最先端をいくような群馬県にしていきたいという思いを込めて作り上げました。
 これこそが、山本県政の最大の目標である「県民幸福度の向上」に繋がるものと信じ、全力を尽くしてまいります。
 そのためには、引き続き、県議会をはじめ県民皆様方の御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。

 県議会の開会に当たり、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べるとともに、議案の大要について御説明申し上げました。
 何とぞ、慎重御審議の上、御議決くださいますようお願い申し上げます。