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令和5年第3回前期定例県議会の開会に当たり、提案説明に先立ち、一言申し上げます。
私は、去る8月29日から31日にかけて韓国を訪問してまいりました。
まず、ウォン・ヒリョン国土交通部長官及びイ・サンミン行政安全部長官とお会いし、スマートシティやMaaS、そして地方創生の取組等について、意見を交わしました。
その後、韓国で最大規模の映像制作施設と、韓国のコンテンツ産業で中心的な役割を担うソウル映像委員会を訪問しました。最先端の技術に圧倒されるとともに、中長期の時間をかけ人材育成を行っている点などを知り、群馬県が目指す「クリエイティブの発信源」に向けた施策のヒントをもらいました。
また、済州島では、オ・ヨンフン知事と会談し、観光戦略をはじめ、観光客に長期滞在してもらうための取組などについて意見交換を行いました。
今回の訪問の結果を踏まえ、群馬県が掲げる「クリエイティブの発信源」や「リトリートの聖地」といった構想の実現に向け、具体的な取組に繋げていきたいと考えています。
なお、昨年9月のフィンランド訪問をきっかけとし、8月末に、探知犬研究の先進地であるヘルシンキ大学のビョークマン客員教授とニウロ会長のお二人を群馬県にお招きし、現在進めている2頭の探知犬の育成と、探知犬医学研究に対する助言指導をいただきました。引き続き、お二人にご助言をいただきながら、ペットとの共生社会に向けた取組を着実に進めてまいります。
また、9月9日には、インディアナ州のエリック・ホルコム知事に群馬県にお越しいただき、初めて、県庁でアメリカの州知事と群馬県知事との会談を実現することができました。
会談では、今後の群馬県とインディアナ州との連携強化等について話し合いました。その後、インディアナ州にゆかりのある県内企業にもご参加いただいた「GINGHAM」での交流会では、貴重な意見交換の場を創出することができました。
次いで、10日から都内で開催された日米中西部会にも参加し、知事として群馬県の魅力を最大限PRするとともに、EVやAI、半導体等についての意見交換を行い、アメリカ産業界の動向を確認することができました。アメリカ中西部は製造業中心の地域であり、群馬県と産業構造が似ていることから、今後の群馬県の成長のヒントが得られたと考えています。
さらに、12日にはインディアナ州主催の「フレンズ オブ インディアナ」にもお招きいただき、群馬県とインディアナ州の今後の連携の可能性について、ホルコム知事と重ねて話し合うことができました。
インディアナ州とは、昨年の訪問を契機として、群馬県立自然史博物館とインディアナポリスこども博物館との交流事業がスタートしています。こうした行政の交流にとどまらず、産業面や文化面など様々な分野においても交流を深め、連携を図ります。
今後も知事自らが先頭に立ち、自治体独自の地域外交を進めることで、群馬県の取組を世界に発信するとともに、群馬県の新たな飛躍につながるよう取り組んでまいります。
次に、山本県政2期目初となる組織改正について説明いたします。
群馬県では、県民幸福度の向上を図るため、「こども政策」を重要テーマに位置づけています。そのための全庁的な推進体制を早急に構築するため、9月12日付けで、新たに「こどもまんなか推進監」を設置いたしました。
誰一人取り残されない社会の実現に向け、部局横断的な施策の総合調整や新たな群馬モデルとなる政策の立案、こども・子育て施策の計画策定など、全庁におけるこども・子育て施策をリードしてもらいます。
それでは、本日提出いたしました議案の大要について、御説明申し上げます。
今回の提出議案は、予算関係5件、事件議案10件の合計15件です。
はじめに、予算関係について御説明いたします。
今回の補正予算案は、群馬県知事として、2期目初めての予算編成となります。1期目の4年間は、新型コロナや台風災害、豚熱、鳥インフルエンザなど、様々な危機管理に対応する、「守りの4年間」でした。
2期目となるこれからの4年間は、基本政策として掲げた「県民の幸福度の向上」と「新群馬の創造」の実現に向け、あらゆる分野で群馬の強みを活かした独自の「群馬モデル」を発案、実行していく、「攻めの4年間」にしていきたいと考えています。
また、その一方で、光熱費や物価の高騰などにより、県民や事業者の皆様にとって大変厳しい状況が続いています。そのため、県民生活を支える必要な対策についてもしっかり取り組んでまいります。
今回の補正予算案は、このような思いを込めて、「新群馬に向け攻める! ~県民幸福度&魅力度加速化予算~」といたしました。
総合計画の加速化に向けた未来への投資につながる事業とともに、県民の暮らしを守るために必要な対策にもバランスをとった予算案になったと考えています。
一般会計の補正予算額は、323億6,776万円であり、現計予算額と合算いたしますと、補正後の予算額は8,587億4,794万円となります。
主な内容ですが、まず、「県民幸福度向上」として、多様な価値観を反映した施策を打ち出すため、「高校生リバースメンター」からの提言実現に向けた経費を計上します。
また、「クリエイティブシティ推進」として、劣化版東京に陥らず、先進的な投資になるよう、MaaS などの新たな移動サービスに対応した道路や街並みとするため構想デザインを策定します。
さらに、保育所等において感染症の拡大防止と保護者や保育士の負担軽減を図るため、使用済みおむつの保管用ゴミ箱の購入経費を支援します。
次に、「新群馬の創造」として、3つの観点から事業を実施します。
1つ目は、「リトリートの聖地」で、景観の保全と魅力の向上を図るため、赤城山の景観ガイドラインを策定するほか、リトリートの価値向上に向け有機農業の推進を図っていきます。
2つ目は、「クリエイティブの発信源」で、本県のデジタルクリエイティブ人材育成のレベルアップを図るため、国際的に評価の高いアルメニアのTUMOセンターの人材育成プログラム導入に向けた基本構想を策定します。
3つ目は、「レジリエンスの拠点」で、埼玉県との協議が整ったことから、利根川新橋に係る測量調査に着手します。
また、県内で発生した橋りょうの床版(しょうばん)抜け落ち事故も踏まえ、デジタル新技術を活用した劣化調査を行います。これを効果的なメンテナンスに繋げ、インフラ・メンテナンスの産業化に向けた第一歩とします。
このほか、補助公共事業や通学路の安全対策としての除草費用などを増額し、県土整備プランを着実に推進してまいります。
物価高騰対策については、5月補正予算で計上した事業にしっかりと取り組むとともに、国の地方創生臨時交付金を活用し、輸入飼料の価格高騰等の影響を受けている酪農家に対し継続して支援するほか、新たに製糸工場へ光熱費高騰分と設備の省エネ化にかかる経費の補助を行います。
また、財政の健全化に向け、令和4年度決算剰余金の一部である244億円を財政調整基金に積み立てます。
これにより、令和5年度の9月補正後の残高は511億円となり、新型コロナ関連の事業費確定に伴い国に返還する178億円を除き、333億円を確保することができました。昨年の同時期と比較すると56億円増加したことになります。
山本県政では、既存の事業を見直しながら、新規事業にはできるだけ国の財源を活用するなど、ワイズスペンディングを心掛けてきました。こうした取組の積み重ねが基金残高の増加に繋がってきています。
まだ決して十分とは言えませんが、このように土台が固まりつつあることから、「新群馬に向け攻める!」ための事業に取り組むことが出来ると考えております。引き続き県庁一丸となり、基本政策の実現と、総合計画の推進に向けしっかりと取り組んでまいります。
なお、企業会計については、団地造成事業会計において、企業誘致の受け皿となる北毛地区での新規産業団地整備などを実施します。
次に、事件議案のうち、主なものについて申し上げます。
第103号議案は、特定都市河川浸水被害対策法に基づく雨水貯留浸透施設等の標識の設置に関し必要な事項を定めようとするものです。
第104号議案は、故・矢島稔ぐんま昆虫の森名誉園長からの遺贈金を原資として、群馬県立ぐんま昆虫の森整備基金を設置しようとするものです。
以上、提出議案の大要について御説明申し上げました。
何とぞ、慎重御審議の上、御議決くださいますよう、お願い申し上げます。
なお、第112号議案の公安委員会委員の選任につきましては、事案の性質上、早急に御議決くださいますよう、お願い申し上げます。