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令和4年第1回定例県議会の開会に当たり、提案説明に先立ち、一言申し上げます。
現在、全国的にオミクロン株による第6波に見舞われています。群馬県においても、年明け以降の感染の急拡大を受け、1月21日からまん延防止等重点措置が適用されていますが、この度、3月6日までの延長が決定されました。
こうした措置は、県民の皆様、事業者の皆様に多大な御不便と御負担をおかけすることになり、知事として、苦渋の決断でした。
しかしながら、この直面する危機を乗り越えるためには、県民一人一人が力を合わせ、総力戦で臨んでいくしかありません。県としても、引き続き全力を尽くしてまいります。県民の皆様の御理解と御協力を重ねてお願い申し上げます。
それでは、令和4年度当初予算案をはじめ、提出議案の大要について御説明申し上げます。加えて、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べたいと思います。
県ではこれまで、医療提供体制の確保やワクチン接種の促進など、新型コロナ対策に全力で取り組んでまいりました。直近の新規感染者数は若干減少していますが、未だ先行きが見通せない、予断を許さない状況と捉えています。
まずは、直面する新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込み、県民の命と健康、そして暮らしを守ることが最優先課題です。
その上で、令和4年度は、「新・群馬県総合計画」を着実に進め、コロナ後を見据え、新たな展開を図る年にしたいと考えています。
こうした思いを込めて編成した予算であることから、『新型コロナ克服+新展開実現予算~困難を乗り越えて、飛躍を目指す!!~』と命名させていただきました。
令和4年度の一般会計当初予算の総額は、8,187億600万円です。
最優先課題である新型コロナウイルス感染症対策に863億円を計上したことなどにより、令和3年度当初予算と比較して536億円、7.0%の増となっています。
当初予算の主な財源について説明いたします。
まず、県税収入です。令和3年度は大幅な減収を見込んでいましたが、一部の好調な法人が牽引する形で法人関係税が増加するなど、決算では令和2年度を上回る見込みです。令和4年度当初予算においても、この傾向は継続すると見られることから、令和3年度当初予算に比べて235億円の増となる2,580億円と見込みました。
一方で、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた実質的な交付税については、税収の増加や地方財政対策における伸び率等から、344億円減の1,629億円と見込みました。
県債は、臨時財政対策債の大幅な減や財源対策のための県債の発行取りやめなどにより大幅に減少しています。
また、新型コロナウイルス感染症対策には国の交付金を積極的に活用するなど、財源確保に努めたところです。
それでは、令和4年度当初予算の重点施策について、3つの柱に沿って御説明申し上げます。
重点施策の一つ目は、「コロナの当面の危機を突破し、長期戦を戦い抜く」です。
現在、ワクチンの追加接種をはじめ、病床の確保、宿泊療養施設の機能強化、自宅療養体制の整備など、感染拡大防止や医療・検査体制の充実に取り組んでいます。これらの対策に万全を期すとともに、感染の急拡大など最悪の事態も想定し、より一層の医療提供体制の充実・確保に努めます。
また、経済活動の支援にも力を入れていきます。引き続き、制度融資により中小企業の資金繰りを支えるとともに、感染症対策にしっかりと取り組む事業者を支援します。
重点施策の二つ目は、「Next Leap 2022~飛躍への新たな一歩~」です。この「Next Leap」には「新たな展開に大きく踏み出していく」という意味を込めています。
まず、「デジタルトランスフォーメーションの推進」です。令和5年度までに「日本最先端クラスのデジタル県」になることを目指し、昨年11月に策定した「ぐんまDX加速化プログラム」に基づいた取組を推進します。仕事や生活など様々なシーンで、県民の皆様がデジタル化のメリットを身近に実感できるよう、各分野での取組を進めます。
次に、「グリーンイノベーションの推進」です。民間企業等によるビジネスモデルの事業化支援など、経済社会全体の変革を促す取組を、官民共創で進めていきます。さらに、EV導入の実証実験、MaaS(マース)の社会実装支援など、全庁を挙げて、グリーンイノベーションの推進に取り組みます。
また、忙しい日常から離れ、心身共に疲れた心とカラダをリセットする「リトリート」の聖地を目指し、国内外からの誘客を促進します。そのため、群馬のキラーコンテンツである温泉についてエビデンスに基づく調査を行い、コンテンツやPRを強化します。さらに、群馬の農畜産物や加工品等を提供する「食」のイベント開催や、地域が一体的・面的に行うリトリート環境の整備を支援します。
教育関係では、引き続き「教育イノベーション」を推進し、群馬県を牽引していく「始動人」を輩出するための取組を進めます。STEAM教育や学校現場におけるICT活用など、これまでの取組を充実させます。さらに、デジタル関連部活動等への支援や、今年3月に運営を開始する「tsukurun(ツクルン)」を拠点に、デジタルスキルとクリエイティブマインドを持った人材を育成していきます。また、「誰一人取り残さない学び」を確保するため、小中学校の全学年での少人数学級編制を継続します。
「災害レジリエンスNO.1(ナンバーワン)」の実現に向けて、引き続き、ハード・ソフトが一体となった防災・減災対策を進めます。また、災害発生時への対応として、災害派遣用トレーラートイレの導入や、防災におけるDX推進など、新たな事業にも積極的に取り組みます。
「新たな富や価値の創出」として、引き続き、ぐんまちゃんのブランド力強化を通じて、群馬県の認知度向上、県民プライドの向上を図ってまいります。昨年のテレビアニメ放送による成果を維持・拡大するため、アニメの続編を制作・放送します。
また、情報発信媒体が多様化する中で、より効果的な情報発信を行うため、新しい手法を取り入れます。人気YouTuberやタレント等のインフルエンサーを活用し、県内外への情報発信をさらに強化します。
重点施策の最後は、「財政の健全性の確保」です。
県民の安全・安心を守るとともに、ビジョンで描いた20年後の未来を実現するためには、財政の健全性を確保する必要があります。これは、知事就任以来、最も重視してきたテーマの1つです。令和4年度当初予算におけるポイントは、「基金残高の確保」、「県債発行額の抑制」、「県債残高の縮減」の3つです。
まず財政調整基金の残高については、前年度を大幅に上回る185億円を確保しました。かつては、ほぼ全額を取り崩して当初予算を編成していた時期もありましたが、災害等への備えとして、一定規模の基金を確保できたと考えています。
県債については、臨時財政対策債の減少や財源対策的な県債の発行を取りやめることなどにより、発行額を529億円減の590億円としました。県債発行の当初予算額が600億円を下回るのは、平成5年度以来、29年ぶりとなります。
また、県債の発行抑制により、県債残高は令和3年度決算見込と比べて、338億円減少させることができました。県債残高が減少するのは、平成18年度決算以来、16年ぶりとなります。
このように、令和4年度当初予算では、県債の発行を大幅に抑制し、県債残高も減少させながら、基金を確保することができました。しかし、依然として、財政は厳しい状況にあります。引き続き、財政の健全化を進めてまいります。
続いて、特別会計についてですが、母子父子寡婦福祉資金貸付金会計など11件を、企業会計については、流域下水道事業会計など7件を提出しております。
事件議案は、34件を提出しております。
第17号議案は、知事戦略部にグリーンイノベーション推進監等を設置することに伴い、部の分掌事務の改正を行おうとするものです。
続いて、令和3年度関係について、予算関係で13件を提出しています。
このうち、一般会計補正予算案については、国の補正予算に伴う新型コロナウイルス感染症対策事業等の増額のほか、税収等の増加に伴う財政調整基金の積立などの補正を行うものです。
事件議案としては、災害に強く、持続可能な社会の構築に向けて、県、事業者、県民の取組を規定する「二千五十年に向けた『ぐんま5つのゼロ宣言』実現条例」の制定など、19件を提出しております。
以上、重点的な施策について申し上げました。
オミクロン株による感染拡大が続く中で、県民の命と健康、暮らしが脅かされています。この直面する危機を克服するため、全力を尽くしてまいります。
一方で、こうした状況にあっても、飛躍のための一歩を踏み出さなければ、新・総合計画のビジョンで描いた20年後の未来は実現できません。群馬県をより一層輝かせるため、私自身が先頭に立って、未来を拓く一歩を踏み出していきたいと考えています。
直面する困難を乗り越えて、群馬県の飛躍を目指すため、引き続き、県議会をはじめ県民皆様方の御支援と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
県議会の開会に当たり、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べるとともに、議案の大要について御説明申し上げました。
何とぞ、慎重御審議の上、御議決くださいますようお願い申し上げます。