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今回、豚熱発生を踏まえた緊急対策の実施及び国の支援を活用して「愛郷ぐんまプロジェクト第2弾」を充実させるための補正予算案を早急に御審議いただくため、臨時県議会を招集させていただきました。審議日程の決定に際し、議員の皆様に御配慮いただきましたことを、心から感謝申し上げます。
新年度が始まった直後の4月2日、前橋市内の農場において、豚熱の患畜が確認されました。豚熱対策については、これまで、農場の防護柵、防鳥ネット整備への支援や、飼養衛生管理を徹底するための継続的な点検・指導を行ってきました。加えて、昨年11月からは、県内の獣医師の皆様の御協力をいただき、全国に先駆けて、月2回以上のワクチン接種体制を整えてきました。こうした対策を先手先手で実施してきたにもかかわらず、県内2例目となる豚熱が発生してしまったことは、知事としてまさに痛恨の極みです。
防疫措置は4月2日から開始し、殺処分や埋却のほか、発生農場周辺の消毒ポイントの設置など、予備費を活用して速やかに対応してきました。国、自衛隊、前橋市及び近隣5市、JAグループ、建設業協会、トラック協会、バス事業協同組合、民間防疫業者の方々に加え、他県からも獣医師の応援をいただき、総力戦で臨んだ結果、予定よりも早く、4月8日に殺処分を終えることができました。御協力いただいた関係の皆様には感謝申し上げます。
今後、豚熱を発生させないためには、今回の発生原因を究明、分析することが非常に重要です。先日、国と県の獣医師で構成する疫学調査チームにより、発生農場における飼養衛生管理の状況や感染経路の調査が行われました。この結果を踏まえながら、具体的な対策をしっかりと進めていきたいと考えています。
本県にとって、養豚業は農業産出額の2割近くを占める、非常に重要な産業です。この重要な養豚業を守るため、引き続き、全力を尽くして参ります。
さて、新型コロナウイルス感染症の感染状況ですが、4月5日から大阪、兵庫、宮城の3府県に、4月12日から東京、京都、沖縄の3都府県に、「まん延防止等重点措置」が適用されるなど、全国的に感染の再拡大が懸念されています。
本県でも、経済活動を再開していく上での目安としている「1日当たりの新規感染者数20人未満」を超える日もありますが、「病床稼働率2割台以下」は維持しており、現時点では、総合的に見て、地域経済を回していけるレベルを保っていると考えています。
3月26日からは、「愛郷ぐんまプロジェクト第2弾」を開始したところです。県民の皆様には、感染防止対策を取った上で、このキャンペーンをご利用いただきたいと考えています。
それでは、本日提出いたしました議案について、御説明申し上げます。
提出議案は、一般会計補正予算1件です。
補正予算額は、7億1,630万円であり、現計予算額と合算いたしますと、補正後の予算額は、7,670億4,185万円となります。
まず、豚熱発生を受けた緊急的な対策として、発生源となる野生イノシシの捕獲を強化するため、現在、一頭当たり4,000円の捕獲奨励金を8,000円に引き上げるとともに、野生イノシシの生息数や養豚農家の多い地域を緊急捕獲エリアとして設定して、集中的な捕獲を実施します。また、養豚農家が飼養衛生管理基準を自己点検するためのアプリの開発を行います。
次に、愛郷ぐんまプロジェクトについてです。これまで県では、国に対して地方が地域の実情に応じて取り組む経済対策への財政支援について、要望してきましたが、今般、国が新たに地域観光を支援する補助制度「地域観光事業支援」を創設しました。そこでこの事業を活用して、現在実施中の愛郷ぐんまプロジェクトの内容を充実させたいと考えています。
具体的には、まず、市町村が本事業と連携して発行する地域限定クーポンへの補助を行い、各市町村での積極的な取組を支援します。さらに、新たにニューノーマルを踏まえた日帰りツアーの割引支援を行います。加えて、県が実施する宿泊割引についても、当該補助制度を活用してしっかりと取り組んでいきます。これらの事業を組み合わせることにより、宿泊事業者のみならず、より幅広い事業者の方々への支援に繋げていきたいと考えています。
県としては、新型コロナウイルスの感染拡大を抑えながら、ぎりぎりまで経済を回していきたいと考えています。
全国の状況を見れば、本県においても一旦気を緩めれば、再び感染が拡大し、医療体制の逼迫を招く可能性があります。県としても、今後の感染状況を注視し、状況の変化に応じて、本事業の中断も含めた柔軟な対応を取って参ります。引き続き、気を引き締めて臨んでいきたいと思います。
以上、提出議案の大要について御説明申し上げました。
本件は、早期に執行する必要があることから、早急に御議決くださいますよう、お願い申し上げます。