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平成30年第1回定例県議会の開会に当たり、提案説明に先立ち一言申し上げます。
はじめに、1月23日の本白根山の噴火により、亡くなられた方に対し、謹んで哀悼の意を表するとともに、被害に遭われた方々に、心からお見舞い申し上げます。
今回の噴火口は、従来、想定していた火口と異なり、事前の監視も十分でなかったことから、まずは、国に対し、早期の監視体制の強化を求めたところであります。また、地元経済への影響を最小限にとどめるため、2月7日付けで知事専決処分により補正予算を編成し、早急に風評被害対策を講じることとしました。
今後も、地元町村や関係機関との連絡を密にし、正確な情報の把握や提供に努めるなど、地元住民をはじめ、県民や観光客の安全・安心のため、必要な対応を図って参ります。
さて、第96回全国高等学校サッカー選手権大会において、本県代表の前橋育英高等学校が、幾多の強豪との激戦を勝ち抜き、群馬県勢として初の優勝を成し遂げました。
今回の優勝は、スポーツの域を超えて、県民に勇気と希望、そして大きな夢と感動を与えてくれました。群馬県民を代表して、お祝い申し上げるとともに、県民栄誉賞を授与し、今回の偉業を称えたいと考えております。
それでは、平成30年度当初予算案をはじめ、提出議案の大要について御説明申し上げますとともに、併せて、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べます。
今回の当初予算の編成に当たっては、総合計画における、3つの基本目標である、
の実現に向け、引き続き、13の政策を着実に推進することを基本方針といたしました。
こうした方針のもとに、人づくりや社会基盤づくりなど、未来への投資を着実に進め、群馬らしさを活かした豊かな社会の実現に向けた『ぐんまの未来創生予算2』を編成したところであります。
平成30年度の一般会計当初予算の総額は、7,329億8,000万円であり、平成29年度当初予算に比べ1.2%の増となっております。
当初予算の主な財源についてでありますが、まず、県税収入については、平成29年度は、企業業績の改善などから、当初予算額を上回る、2,420億円程度が確保できる見通しとなりました。こうした状況を踏まえ、平成30年度は、2,480億円と見込んだところでありますが、平成28年度決算の水準には届いていない状況にあります。
また、財政調整基金及び減債基金の残高は、年々減少しており、歳出面でも、社会保障関係費などが増加していることから、厳しい財源状況となりました。
このため、新たに、地域福祉基金からの取り崩しを行うこととし、また、本県の未来に向けた事業については、企業局からの繰出金を原資とした「ぐんま未来創生基金」の活用や、残高の抑制に努めつつ、必要な額の県債発行を行うことで、財源を確保したところであります。
なお、厳しい状況にあっても、財政調整基金については、当初予算編成後において10億円の残高を確保し、災害発生時などの緊急な財政出動に備えることとしました。
それでは、平成30年度に実施する重点施策について申し上げます。
まずは、「群馬コンベンションセンター『Gメッセ群馬』の整備の推進」であります。
産業経済部に「コンベンション推進局」を設置し、平成32年の開所に向け、施設整備を着実に進めるとともに、県内全域へのコンベンション誘致活動を強力に推進して参ります。これにより、県内産業の活性化を図り、若者や女性をはじめ、新たな雇用の場の創出につなげていきます。
次に、「八ッ場ダム建設に伴う生活再建の推進」であります。
平成31年度のダム完成にあわせ、地元住民の方々が安心して豊かな生活が送れるよう、道路や関連施設の整備をはじめ、ダム湖を中心とした生活再建関連事業にしっかりと取り組んで参ります。
続いて、総合計画の3つの基本目標に沿って、主な事業について申し上げます。
基本目標の1点目は、「人づくり」であります。
障害者施策については、就労をはじめとした支援策を充実させます。
本年4月に、藤岡、富岡、吾妻及び沼田の各地域に特別支援学校高等部を開校し、未設置地域を解消するとともに、鹿革加工や農業など、地域の特色を生かした作業学習を導入し、就労の促進につなげていきます。
また、医療的ケアを行う看護師の増員などを行うことで、県内すべての地域の特別支援学校や高等特別支援学校において、重複障害のある児童生徒の受け入れを図ります。
さらに、法定雇用率の引き上げを踏まえ、トップセミナーの回数を増やすなどし、障害者雇用に対する企業の理解を深めていきます。
将来を担う子どもたちのための施策も充実させます。
児童虐待の増加などに対応して、児童相談所の体制強化を図るため、手狭となった東部児童相談所の移転整備とあわせて、県内2カ所目となる一時保護所の整備を進めます。
また、地域で子どもの居場所づくりに携わる人材の育成に取り組むほか、児童養護施設を退所する若者に対する相談事業を開始します。
職業人材の育成については、看護職員修学資金の返還免除対象となる施設に、介護老人福祉施設を追加し、介護分野への看護師の就労を促進するほか、介護福祉士修学資金の貸与月額を、これまでの3万6千円から5万円に引き上げるとともに、保証人要件を緩和することで、介護人材の確保を図って参ります。
基本目標の2点目は、「安全で安心な暮らしづくり」であります。
地域包括ケアを推進するため、地域で開催される「自立支援型地域ケア会議」に、理学療法士などを派遣することで、市町村による、高齢者の自立に向けたケアプランの作成を促すほか、市町村が実施する認知症サポーター養成講座に講師を派遣するなど、認知症施策にも力を入れて参ります。
また、県民の皆様が生涯にわたり健康な生活が送れるよう、「元気に“動こう・歩こう”プロジェクト」等を実施し、運動習慣や食習慣の改善を支援していきます。
有害鳥獣対策については、農林業被害を減らし、市街地への出没による事故を防止するため、鳥獣保護区内での捕獲強化や、有害鳥獣の移動経路となっている河川の集中的な伐木、刈り払い等を行います。
さらに、局地的豪雨や台風による災害を防止するとともに、被害の軽減を図るため、道路防災や治水対策、土砂災害対策にも、引き続きしっかりと取り組んで参ります。
基本目標の3点目は、「産業活力の向上・社会基盤づくり」であります。
移転後のぐんま総合情報センター「ぐんまちゃん家」において、これまでの物産販売などに加えて、季節ごとの「群馬の食」を提供し、食を通じた群馬の魅力をPRしていきます。
また、世界遺産に関する情報発信や解説、調査研究を行う「世界遺産センター」の整備を進めるとともに、県産シルクの需要を喚起するため、魅力ある製品開発の支援などに取り組みます。
農業関係では、ジェトロと連携し、バイヤーを招いた商談会を開催することなどにより、県産農畜産物等の輸出拡大に取り組むほか、林業関係では、製材工場への原木の安定供給や流通コストの削減につなげるため、協定取引による直送販売の取り組みを支援します。
また、商工団体や金融機関等と連携し、事業承継診断等を実施し、中小事業者の円滑な事業承継を支援するほか、観光面では、県域DMOである県観光物産国際協会等と連携しながら、教育旅行や海外からの誘客を進めます。
高速交通網の効果を最大限に活かすため、7つの交通軸の整備を計画的に進めるほか、自動車以外の移動手段も選択できる社会への転換を目指して、路線バスの乗り換え案内サービスの充実や、東毛広域幹線道路へのバス高速輸送システムの導入可能性について検討します。
このほか、特別会計については、新たに設置する国民健康保険特別会計など12件を、企業会計については、電気事業会計など7件を提出しております。
事件議案は、70件を提出しております。
第18号議案は、公立大学法人の設立に伴い、関係条例の廃止及び改正を行おうとするものであります。
第68号議案から第75号議案及び第90号議案は、「基本計画の議決等に関する条例」に基づき、文化振興指針などの計画策定に当たり、議会の議決を得ようとするものであります。
第87号議案及び第88号議案は、吉岡風力発電所の廃止及び、ウエストパーク1000の高崎市への譲渡に伴い、所要の条例改正等を行うものであります。
続いて、平成29年度関係についてでありますが、予算関係では15件を提出しております。
このうち、一般会計補正予算については、国の補正予算を活用し、公共事業費や試験研究機関等の整備費を追加するほか、群馬コンベンションセンターの建設工事費の前倒し計上など、所要の補正を行うものであります。
事件議案としては、群馬コンベンションセンターの立体駐車場建築工事請負契約の締結や、回収の見込めない債権の放棄など、18件を提出しております。
平成30年度は、県総合計画及び県版総合戦略の3年目を迎え、本県の人口減少対策の要となる、群馬コンベンションセンターの建設を本格化させます。
県民生活を取り巻く環境が大きく変化する中、総合計画に位置付けた13の政策を更に推し進め、人・モノ・情報を呼び込むという新たな発想で、本県の未来を創生し、県民の皆様が、安心して幸せを実感でき、将来にわたって住み続けたくなるような「魅力あふれる群馬」の実現を目指して、平成30年度当初予算の効果的な執行に全力を挙げて参ります。
県議会、県民の皆様の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。
以上、県議会の開会に当たり、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べるとともに、提出議案の大要について御説明申し上げました。
何とぞ、慎重御審議の上、御議決くださいますよう、お願い申し上げます。