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第3回前期定例県議会の開会に当たり、提案説明に先立ち、一言申し上げます。
8月末から9月にかけ、台風が相次いで日本列島に上陸し、各地で大きな被害が発生しました。こうした中、本県においても、9月7日未明からの断続的な大雨により、避難時に1名の方が負傷し、建物についても、半壊や床上浸水などの被害が生じたところであります。一連の大雨により、被害に遭われた方々と避難された方々に、心からお見舞い申し上げます。
県として、一日も早い復旧に向けて、国や市町村と連携しながら、対策に万全を期すとともに、今後、災害に強い県土づくり、森林づくりに、より一層力を入れて取り組んで参ります。
8月に開催されたリオデジャネイロオリンピックでは、日本選手が史上最多となる41個のメダルを獲得し、その後行われたパラリンピックでも、多くの選手が活躍いたしました。
本県関係選手では、オリンピックにおいて、福岡堅樹(ふくおかけんき)選手が男子7人制ラグビーで4位入賞、見延和靖(みのべかずやす)選手がフェンシング男子エペ個人で6位入賞、内田美希(うちだみき)選手が競泳女子400メートルリレーで8位入賞を果たしました。
このような選手の皆さんの活躍は、県民の誇りであり、4年後の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、子どもたちに夢と希望を与えてくれました。ここに改めて、県民とともに選手の皆さんの健闘を称え、心から感謝を申し上げます。
さて、我が国経済については、雇用や所得環境の改善が続く中、緩やかな回復に向かうことが期待されております。一方で、英国のEU離脱問題などによる海外経済の不確実性の高まりなどが懸念されております。
このような中、8月に、国は、働き方改革に取り組むとともに、デフレから完全に脱却し、しっかりと成長していく道筋をつけるため、「未来への投資を実現する経済対策」を策定し、子育て・介護の環境整備や若者の支援・女性の活躍、21世紀型のインフラ整備などを内容とする、第2次補正予算を閣議決定いたしました。
本県では、このうち、まずは、配分が見込まれる社会資本整備総合交付金を活用していち早い対応を図ることとし、今回の補正予算で、公共事業費を増額したところであります。その他の事業についても、情報の収集に努め、今後、予算化を図ることにより、本県の未来創生に向け、人づくり、安全で安心な暮らしづくり、産業活力の向上・社会基盤づくりに、引き続き、取り組んで参ります。
それでは、本日提出いたしました、議案の大要について、御説明申し上げます。
今回の提出議案は、予算関係2件、事件議案19件の合計21件であります。
はじめに、予算関係であります。
今回の補正予算の編成にあたっては、まずは、「ぐんま創生予算」として、回復基調にある県内経済を支えつつ、人口減少社会にあっても、すべての県民が豊かに暮らせる社会づくりに向けて編成した、平成28年度当初予算の執行に全力をあげて取り組み、その上で、「はばたけ群馬プラン2」及び「群馬県版総合戦略」に掲げた目標の実現に向け、国の地方創生関連の交付金や補正予算も活用しながら、早急に対応が必要なものについて、予算措置を行うこととしました。
その結果、一般会計の補正予算額は、130億3,219万円となり、現計予算額と合算いたしますと、補正後の予算額は、7,392億8,541万円となります。
主な内容でありますが、1点目は「人づくり」であります。
地域包括ケア体制の構築に向け、在宅医療を推進するため、訪問看護事業所に対し、看護師を特定行為研修に派遣するための費用を補助するほか、来年度、6次産業化を支える人材の育成を目的に農林大学校に設置する、「農と食のビジネスコース」の実習に必要な施設改修を行います。
2点目は、「安全で安心できる暮らしづくり」であります。
様々な悩みにより追い込まれ、自ら命を絶つ人が後を絶たないことから、9月10日の世界自殺予防デーにあわせ、自らの思いをメッセージとして、県民の皆様にお伝えしたところであります。悩みを抱え、支援を必要としている方に必要な情報が届けられるよう、相談窓口に関する広報を強化し、さらなる周知を図って参ります。
このほか、関係市町村が、浅間山の大噴火も想定した避難計画を円滑に策定できるよう、長野県と協力して、ハザードマップの作成に取り組むとともに、国から内示のあった国庫補助金を活用して、前橋赤十字病院建設事業への補助を増額いたします。
3点目は、「産業活力の向上・社会基盤づくり」であります。
コンベンション施設について、平成32年度の開所に向けて、実施設計に着手するほか、群馬県コンベンションビューローの活動を通じ、県内へのコンベンションの誘致や関連事業者のネットワーク化などに取り組みます。
地方創生の関連では、ものづくり産業や農業へのIoTの導入を進めるとともに、中小企業の自動運転車関連技術の開発に向けた取り組みを支援して参ります。また、来年7月の歴史博物館のグランドオープンに向け、甲着装人骨等の復顔やレプリカ作成、PR映像の制作に取り組み、本県の東国文化の魅力を広く発信して参ります。
社会基盤づくりでは、国の補正予算も活用しながら、河川等の防災対策や、成長基盤となる7つの交通軸整備などをさらに進めて参ります。
債務負担行為については、来年度以降にわたる契約の締結が必要な事業の追加に伴い、補正しようとするものであります。
次に、事件議案のうち、主なものについて申し上げます。
第141号議案は、平成30年度からの国民健康保険制度の新制度移行に向けて必要となる、運営方針等の審議を行う協議会を設置しようとするものであります。
第147号議案は、通院治療を希望する患者の増加に対応するため、がんセンターの病床数を変更しようとするものであります。
第148号議案は、八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更についてであります。
このたび、国土交通大臣から、総事業費の増額を内容とする基本計画の変更を行いたいとして、意見を求められたところであります。
県では、これまで、地元の皆様が、これ以上将来の不安や不便な生活に苦しむことがないよう、一日も早いダムの完成を国に求め、生活再建事業にしっかりと取り組んで参りました。
既に、ダム湖を前提とした生活再建対策は終盤を迎えております。また、近年の台風や局地的豪雨などによる被害から、県民の生命や財産を守っていく必要があります。関係都県と協力して内容を精査した上で、熟慮に熟慮を重ねた結果、ダムの完成をこれ以上決して遅れさせてはならないと考え、総事業費の増額はやむを得ない、との判断に至ったところであります。
このため、ダムの一日も早い完成や生活再建事業の早期完了などの意見を付して、同意しようとするものであります。
以上、提出議案の大要について御説明申し上げました。
何とぞ、慎重御審議の上、御議決くださいますよう、お願い申し上げます。