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平成28年第1回定例県議会の開会に当たり、提案説明に先立ち一言申し上げます。
昨年末から今年にかけて、スポーツ分野での群馬県勢、特に中学生・高校生の活躍は、誠に素晴らしいものがありました。全国中学校駅伝大会では、前橋市立富士見中学校男子が優勝、女子が3位、全国高等学校駅伝大会では常磐高等学校女子が準優勝に輝きました。このほか、全国高校サッカー選手権では、前橋育英高等学校がベスト8、全国都道府県対抗駅伝大会では、女子が3位、男子が7位とそろって入賞するなど、健闘が光りました。
群馬の未来を切り拓いていくには、無限の可能性を持つ若い世代の力が必要です。今後、さらに、若い世代が輝けるよう、活躍を応援する施策を実行して参ります。
さて、私は、去る2月15日から18日にかけて、県内の経済関係者とともにベトナム社会主義共和国を訪問して参りました。
高い経済成長率を誇るASEAN諸国は、県内企業による事業展開も増加傾向にあります。その中で、特にベトナムは、今後一層の成長が期待されている国であります。
今回の訪問においては、同国政府と経済交流に関する覚書を締結するとともに、国家主席及び国会副議長とお会いし、今後の経済交流について意見交換をいたしました。
さらに、タインホア省の主席をはじめ幹部の方々が遠方よりお越しになり、タインホア省への本県企業の進出を強く要望され、改めて日本企業に対しての期待の大きさを知らされました。
また、ハノイの県人会の方々を「海外ぐんまサポーターズ」に委嘱するとともに、既にベトナムに進出している県内企業関係者との意見交換を行い、人的ネットワークを強化して参りました。
今回の訪問により構築した、ベトナム政府との協力関係や、人的ネットワークを十分に活かして、本県経済の活性化につなげていきたいと考えております。
それでは、平成28年度当初予算案をはじめ、提出議案の大要について御説明申し上げますとともに、併せて、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べます。
平成28年度は、本定例県議会で御審議いただく、新総合計画及び群馬県版総合戦略のスタートの年となります。
今回の当初予算の編成に当たっては、新たな総合計画における、3つの基本目標である、「地域を支え、経済・社会活動を支える人づくり」、「誰もが安全で安心できる暮らしづくり」、「恵まれた立地条件を活かした産業活力の向上・社会基盤づくり」の実現に向け、13の政策を着実に推進することを基本方針といたしました。
回復基調にある県内経済をしっかりと支えるとともに、人口減少社会にあっても、県民の皆様が安心して豊かに暮らせる社会の実現に向けて、『ぐんま創生予算』といたしました。
平成28年度の一般会計当初予算の総額は、7,216億3,800万円であります。
平成27年度当初予算に比べて0.8%の増で、制度融資を特別会計に移管した平成20年度以降では、最大の予算規模となっております。
当初予算の主な財源についてでありますが、県税収入は、好調な企業業績や給与所得の増加により、法人の事業税や個人の県民税などの増収が見込まれること、税制改正による国の地方法人特別税の県税への振替の影響により、法人の事業税の増額が見込まれることから、27年度当初予算に比べ130億円多い、2,490億円を見込んでおります。
一方、地方譲与税、地方交付税及び臨時財政対策債が、国の税制改正や地方財政対策によって大幅に減額となることが見込まれるため、財政調整基金及び減債基金については、可能な限り取り崩すこととしました。
また、将来を見据えた投資的事業費の確保や退職手当総額の高止まりに対応するため、必要な県債の発行を行い、財源を確保したところであります。
一方で、通常債の残高は着実に減らしてきており、プライマリーバランスについても、16年連続で黒字を維持するなど、財政の健全性を確保した上で、予算を編成したところであります。
それでは、平成28年度に実施する重点施策について申し上げます。
まずは、「子どもたちの学習環境の整備」であります。
人口減少社会が進む中で、本県の未来を担う子どもたちのため、学習環境の整備を進めます。
すべての県立高等学校の空調が必要な教室に、空調設備を計画的に整備します。
特別支援学校高等部の未整備地域の解消に向けて、まずは、沼田特別支援学校高等部の整備に着手し、小中学部の教室不足も併せて解消するため、小中高一体の新校舎を建設します。
また、さくらプラン・わかばプランによる少人数学級や、県内すべての公立小中学校と県立高校へのスクールカウンセラー配置を継続して実施するなど、子どもたちが安心して学習できる環境整備に取り組んで参ります。
次に、「本県への移住・定住の促進」であります。
東京から100km圏という、本県の恵まれた立地条件や優れた拠点性を活かし、移住や定住を支援する取組を加速させます。
まず、東京の「ぐんま暮らし支援センター」において、現在行っている移住相談に加えて、就職相談にも対応できるよう相談員を増員いたします。
また、移住希望者にとって、子どもの教育環境も重要な判断材料になるため、県内高校の情報を提供できるよう「ぐんまの高校ガイド」を作成いたします。
さらに、若者のU・Iターン就職を支援する「Gターン全力応援」にも引き続き取り組み、本県で働く意欲を持っている県内外の大学生等の希望を実現し、本県への定着を促進します。
こうした東京における取組を充実し、相互に連携させながら推進することで、群馬に人を呼び込める新しい人の流れをつくって参ります。
次に、「誰もが活躍できる雇用の場の創出と就労の支援」であります。
若者や女性、障害者など、誰もが活躍できるよう、雇用の場の確保と就労支援に取り組んで参ります。
若者・女性などの雇用の場を創出するコンベンション施設の整備を進めるほか、中小企業の新たな産業分野への参入支援、農畜産物等の輸出促進など、新たな雇用創出に取り組みます。
また、障害者の生きがいづくりや生活の安定、就労の定着を図るために、新たに県立特別支援学校を拠点として、週末活動を支援するなど、誰もが活躍できる社会の実現に取り組みます。
次に、「群馬の強みや魅力を活かしたイメージアップ」であります。
豊かな自然や文化、温泉など、本県の優れた資源を活かして、群馬のイメージアップを進めます。昨年5月にラムサール条約湿地に登録された「芳ヶ平湿地群」へのアクセス歩道の再整備を行うとともに、上信越県境の約100kmの稜線トレイルの整備や活用に向けて、関係機関との検討や、PRに取り組みます。
上野三碑については、平成29年の世界記憶遺産登録に万全を期するため、全県的な機運醸成や、中国や韓国から登録についての支持を得るための取組を実施します。
平成27年度にフルマラソンを導入した「ぐんまマラソン」については、県外からのより多くの参加を促進します。
また、商工団体、農林漁業者なども含め、関係者が一体となった、観光地づくりを進めるため、日本版DMOを設立します。
このほか、県民の安全・安心を確保するための施策にも引き続き、しっかりと取り組んで参ります。
局地的豪雨や台風による災害の未然防止と被害軽減を図るため、道路防災や治水対策、土砂災害対策を実施するなど、災害に強い県土づくりを推進して参ります。
また、県内全域の高度救命救急を担う前橋赤十字病院の新築移転を支援するなど、医療先進県ぐんまの推進に取り組んで参ります。
このほか、特別会計については、母子父子寡婦福祉資金貸付金会計など11件を、企業会計については電気事業会計など7件を提出しております。
事件議案は、62件を提出しております。
第17号議案は、小規模企業振興の基本理念や施策の基本となる事項を定めようとするものです。
第21号議案は、結婚から出産、子育て、青少年施策をさらに強力に推進するため、子ども施策の司令塔的な役割を担う「こども未来部」を設置しようとするものです。
第53号議案から第68号議案及び第79号議案は、第15次群馬県総合計画の策定をはじめ、「群馬県行政に係る基本計画の議決等に関する条例」に基づき、各行政分野における基本計画等の策定及び変更に当たり、議会の議決を得ようとするものです。
続いて、平成27年度関係についてでありますが、予算関係では14件を提出しております。
このうち、一般会計補正予算案については、国の補正予算に伴う、地方創生関連の交付金事業や公共事業費の増額など、所要の補正を行うものであります。
事件議案としては、国民健康保険財政安定化基金の設置や、職員給与制度の総合的見直し及び給与改定を行おうとするもの、群馬県版総合戦略の策定に当たり、議会の議決を得ようとするものなど、29件を提出しております。
時代の大きな潮流の中で、県政の最重要課題は人口減少対策であります。この人口減少対策を土台として、先人が遺してくれた可能性を活かして、人・モノ・情報を呼び込むという新たな発想で、群馬の未来を創生し、次の世代に引き継いでいかなければなりません。
「ぐんま創生予算」を効果的に執行することにより、人口減少を克服し、群馬で暮らし始め、住み続け、家族を増やしたくなるような「魅力あふれる群馬」の実現に向け、引き続き、全力で取り組んで参ります。
県議会、県民の皆様の御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。
以上、県議会の開会に当たり、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べるとともに、提出議案の大要について御説明申し上げました。
何とぞ、慎重御審議の上、御議決くださいますよう、お願い申し上げます。