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9月定例県議会の開会に当たり、提案説明に先立ち一言申し上げます。
3月11日に東日本大震災が発生してから、半年余りが経過いたしました。政府の復興計画は未だ不透明であり、遅々として進まない復興に、多くの国民が不安を抱いております。
本県においては、被災県に対し、職員を派遣するなど積極的な支援を行っており、一日も早い復興を願っているところであります。
そうした状況の中で、国政においては、去る9月2日に野田新内閣が発足いたしました。
我が国は、人口減少や高齢化、経済のグローバル化などにより、社会・経済構造が大きく変化し、将来に対する不安や閉塞感が漂う中で、東日本大震災が発生し、まさに様々な課題が山積している状況にあります。
加えて、現在の歴史的な円高は、経済活力や雇用に打撃を与え、産業の空洞化を引き起こし、地方自治体の財政状況を深刻化させることも懸念されます。
新内閣においては、原子力発電所事故の早期収束、震災からの復旧・復興はもちろん、経済を回復軌道に乗せ、国難とも言える今回の事態を乗り越え、我が国の再生を果たすよう、全力を尽くしていただきたいと思っております。
また、政策の決定、実施に当たっては、国民の声を真摯に受け止めるとともに、政策執行の現場である地方の声にも十分に耳を傾け、国と地方がしっかりと協議をした上で、協調して課題解決に取り組めるよう、強く望むものであります。
八ッ場ダムについては、9月13日に開催された「関係地方公共団体からなる検討の場」において、国土交通省関東地方整備局から、治水、利水の両面において、コストや実現性の総合的な評価としてダム建設が最も有利である、との報告案が提示されました。
これは、極めて妥当な判断であり、早急に検証を終わらせ、地元の皆さんが、これ以上、将来への不安や不便な生活に苦しむことがないよう、ダム本体の工事に速やかに着手するよう、強く求めるものであります。
さて、現在、本県においては、「群馬デスティネーションキャンペーン」を開催しております。
東日本大震災が発生した直後から、観光客の減少が見られましたが、群馬DCが始まった7月以降、多くの皆様に群馬県を訪れていただき、県内の主な観光地の入り込み客数や主要温泉地の宿泊者数は前年度を上回るなど、各観光地に活況が戻り、その効果が現れております。
こうした中、今月も引き続き、県内各地で食や鉄道などの誘客イベントが、多数企画されております。より多くの皆様に、群馬の魅力を知っていただき、心に「ググっと」くる感動体験を楽しんでいただきたいと考えております。
また、今回のDCを契機として広がった、おもてなしの心や観光振興への熱意、人と人とのネットワークを活かし、市町村と連携して、秋以降も引き続き群馬の魅力を全国に発信していきたいと考えております。
それでは、本日提出いたしました9月定例県議会の議案の大要について、御説明申し上げます。
今回の提出議案は予算関係3件、事件議案19件の合計22件であります。
まず、予算関係であります。
今回の補正予算は、総合計画「はばたけ群馬プラン」の目標実現に向けて必要な施策を着実に推進すること、東日本大震災への対応にも引き続き取り組むこと、の2点を基本方針とし、県として早急に取り組む必要がある事業を中心に編成いたしました。
一般会計補正予算の総額は、60億7,220万円となり、現在の予算額と合算いたしますと、6,852億5,156万円となります。
この財源としては、地方交付税のほか、基金からの繰入金、前年度からの繰越金などを計上しております。
補正予算の主な内容をご説明いたします。
まず、基本方針の一つ目である「はばたけ群馬プラン」の推進に関するものであります。
安全・安心な暮らしづくりとして、救急医療の充実を図るため、ドクターヘリの運航体制の強化に向けた調査研究を行うほか、がん対策を進めるため、県立がんセンターに緩和ケア病棟を整備するための基本構想策定に着手します。
また、信号機や交通標識などの交通安全施設の整備に取り組むとともに、道路・河川などの生活基盤の安全対策を進めるため、景気対策の意味も込めて、単独公共事業費を増額いたします。
さらに、緊急雇用創出基金などを活用し、障害者や中高年齢者、若者等の雇用創出に積極的に取り組むこととしております。
次に、産業活力の向上対策として、北関東自動車道の全線開通や自然災害の少なさなど、本県の特性を活かして、企業や行政のバックアップ機能誘致や、物流拠点の整備推進に取り組んでまいります。
また、群馬DCを一過性のもので終わらせないよう、これまでの成果を活かして秋以降の誘客対策に取り組むとともに、JR東日本と連携して来年度に実施する「ググっとぐんま観光キャンペーン」の準備も行い、引き続き観光誘客に努めて参ります。
次に、基本方針の二つ目である、東日本大震災への対応、に関するものであります。
震災への対応については、これまでも緊急の補正予算を編成するなど、重点的に取り組んで参りました。
今回の補正予算では、県民の最大の関心事である放射線について、空間放射線量を定点観測するためのモニタリングポストを増設し、よりきめ細かな測定体制に強化いたします。併せて、測定機器も増設し、食品や土壌等の検査にも万全を期して参ります。
また、牛肉や米・野菜など、群馬県産の農畜産物の安全性に対する不安を払拭し、消費を回復させるため、安全性や検査体制のPRを積極的に実施いたします。
さらに、被災者に支援金を支給するため、国と都道府県が共同設置している「被災者生活再建支援基金」に対し、本県の負担分を拠出するための予算も計上しております。
以上が補正予算の主な内容です。
今回の9月補正予算と当初予算及び4月、5月の補正予算を合わせ、可能な限りの早期執行を図り、「はばたけ群馬プラン」の目標実現と、震災対応も含めた県民の安全・安心の確保に、より一層、積極的に取り組んで参りたいと考えております。
次に事件議案のうち、主なものについて申し上げます。
第105号議案は、東日本大震災によって各種免許証等を紛失された被災者の方に、再発行する場合の手数料を免除する特例条例を制定しようとするものであります。
第108号議案は、パスポートの申請受付、発給事務を、みどり市など4市町村に移譲しようとするものであります。
第110号議案は、「森林県」から「林業県」への飛躍を目指すことなどを基本理念とする、「群馬県森林・林業基本計画」を策定しようとするものであります。
第122号議案は、公安委員会委員を選任しようとするものであります。
以上、提出議案の大要について御説明申し上げました。
何とぞ、慎重御審議の上、御議決くださいますようお願い申し上げます。
なお、第122号議案については、事案の性質上、早急に御議決くださいますよう、お願い申し上げます。