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平成23年2月定例県議会 知事提案説明

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

 2月定例県議会の開会に当たり、提案説明に先立ち一言申し上げます。

 今議会は、議員各位にとって、今期最後の定例県議会となります。この4年間、各般に亘り活発な議会活動を展開され、県政の推進に御協力いただきましたことに対し、心から敬意を表しますとともに、深く感謝を申し上げます。
 また、今期限りで引退をされる議員各位におかれては、長い間、県勢の発展、県民生活の向上に御苦労いただいたことに心から敬意を表します。
 そして、来る4月10日の次期県議選に臨まれる各位には、再びこの議会でお会いできることを切に期待をし、御健闘をお祈り申し上げます。

 さて、国においては、新年度予算案を中心に国会での審議が始まっています。「ねじれ国会」という難しい政治の局面ではありますが、だからこそ、国会は、広く、丁寧に国民の意見を審議に反映させ、また、政府としても、そういった国民の声、さらに、声なき声までも耳を澄ませて聴くという姿勢で臨んでいただきたいと切に期待します。国民の立場、地方の立場からすると、政府に意見を出しても聞き入れられない、約束していたことが実現されないという不安やもどかしさがうっ積しています。県政を預かる立場としては、国に対して、地方が真に信頼できる対応を強く望むとともに、一日も早く、確固とした基盤の上に国政の安定が図られるよう期待します。
 県政を推進するに当たり、私は、その基本は、県民の安心・安全をしっかりと確保することだと考えております。そのためには、県民の声をしっかりと聴き、市町村と十分に連携して、風通しのよい県政をつくることが不可欠であり、また、本県経済の活性化や、県の行財政改革を強く進めていく必要があります。これらがそろってはじめて、私の目指す県政が推進されるものと考えております。

 さて、先月下旬から、九州各地や愛知県などで、「高病原性鳥インフルエンザ」の発生が続いています。本県は、全国でも有数の畜産県であり、その影響・被害が県内の畜産業に及ぶことがないよう、最大限の努力を払って参りたいと考えております。現在、鳥を飼育する事業者だけでなく、県全体として防疫体制の再確認、防疫資材の備蓄、野鳥監視体制の強化など、万全の警戒体制を敷いているところです。
 そして、いよいよ3月19日、待望の「北関東自動車道」が全線開通いたします。高速道路の十字軸の完成により、群馬県のポテンシャルは一段と高まります。まさに、本県にとって、夢が広がる極めて大きな転換期となります。
 また、今年7月から9月には、「群馬デスティネーションキャンペーン」が本番を迎えます。県と、県内35の市町村、農業、商工業、観光業などの関係団体が一体となって、全国に向けて群馬の魅力をアピールし、群馬ならではのおもてなしの心でお客様をお迎えすることで、「観光立県ぐんま」に向けた大きな弾みとなるこの取り組みを、是非成功させたいと思っております。

 それでは、平成23年度当初予算案をはじめ、提出議案の大要について御説明申し上げますとともに、併せて、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べます。

経済の状況

 我が国の経済は、平成22年度の初め頃までに、一定の水準へと回復したところですが、その後、円高の影響などにより、景気は力強さを欠いたまま足踏み状態が続き、現在も、一部に持ち直しの動きが見られるものの、失業率が高水準にとどまるなど、依然として厳しい状況にあります。
 県内経済についても、個人消費の持ち直しや、一部の業種に回復の動きが見られる一方で、雇用情勢は依然厳しい状況にあり、県内の有効求人倍率は、0.7倍前後で一進一退となるなど、2年以上も1倍を下回っているほか、正社員の有効求人倍率は0.4倍前後と、さらに低い水準で推移している状況です。

当初予算の財源

 本県の財政状況は、厳しい経済状況を受け、平成21年度及び22年度の当初予算では、県税収入が約400億円ずつ減少しましたが、新年度予算編成では、県内経済に少しずつ明るさが見える状況となっていることから、県税収入を1,950億円、前年度と比較して140億円の増加と見込んでおります。
 地方交付税については、国において、1.2兆円が別枠加算されるなど、増額措置が講じられた結果、高崎市の中核市移行による減少分を勘案しても、本県への交付額を14億円増の1,352億円と見込んでいるほか、景気の回復を反映した地方譲与税の伸びや、経済危機対策関連の基金をはじめとする各種基金の取崩しを最大限活用することにより、後年度に負担をかける県債の発行は極力抑える方針で財源の確保を図ったところです。

当初予算編成の基本方針

 このような経済・財政状況を十分に踏まえた上で、平成23年度当初予算の編成に当たっては、まず、北関東自動車道の全線開通など、本県発展のための絶好の機会を十分に活かすこと、また、特に厳しい雇用状況に対する取り組みを強化すること、そして、医療、福祉、教育などの県民の暮らしの安心・安全の確保を一層推進すること、を基本方針として掲げ、基本政策である「はばたけ群馬構想」の更なる推進を図ることとしました。
 予算編成の3つの柱は、引き続き、基本政策の柱である「県政改革の一層の推進」、「県民生活の安心・安全の確保」、そして、「県内経済の活力向上」であります。

当初予算の規模

 以上の考え方に基づき、予算編成を行った結果、平成23年度当初予算の総額は、6,702億1,100万円となり、平成22年度当初予算に比べ1.8%の増と、地方財政計画の伸び率0.5%を大きく上回るかたちとなりました。
 なお、制度融資を除いた当初予算額が6,700億円を超えるのは、平成16年度以来、7年振りのことです。

県政改革の一層の推進

 それでは、予算編成の3つの柱に沿って、重点施策を申し上げます。
 まず、「県政改革の一層の推進」であります。
 現在、10年先の本県の姿を見据え、今後5年間に、県が、県民とともに、連携・協働しながら取り組むべき施策の目標や方向を定める、新たな総合計画の策定を進めております。平成23年度は、その計画の初年度となる年であり、しっかりと新たな総合計画に定めた方向に県政が進むよう舵取りをして参ります。
 特に、県の行政運営に当たって、市町村との協調と連携、更なる市町村への権限移譲はもちろんのこと、「新たな公」の担い手となるNPO等の活動基盤や自立的な活動を支援することにより、地域課題の解決に向けた取り組みを一層推進します。
 また、行財政改革の推進では、今後3年間の重点的な取り組み事項を定めた、新たな「行政改革大綱」に基づいて、一層の行政改革を推進するほか、「事業評価」や「事業仕分け」による事務・事業の見直し、自主財源の確保など、歳入歳出両面からの財源確保に向けた取り組みを一層強化して参ります。
 さらに、新年度に向けた、政策課題に適確に対応した組織の見直しとして、厳しい雇用情勢の中、県が実施する雇用対策を統括し、実効性のある施策を総合的、かつ、できるだけ早期に実現を図るため、産業経済部に、雇用戦略担当の副部長を新設します。
 また、急速に進展する経済・社会のグローバル化を踏まえ、本県の国際施策を一元的に見直す観点から、企画部副部長に国際戦略を担当させるとともに、総合政策室に「国際戦略係」を設置し、本県経済の活性化にとって、今後欠かせない要素となる国際施策を、総合的かつ戦略的に推進することとします。

県民生活の安心・安全の確保

 二つ目の柱は、「県民生活の安心・安全の確保」であります。
 まず、県内の医療の充実に関して、救急医療対策では、ドクターヘリの近県連携の実現や、救命救急センターの運営・設備整備支援など、引き続き、救急・災害医療体制の整備・充実に努めます。
 医師・看護師の確保については、群馬大学医学部の地域医療枠の定員が6名増加されるほか、医師・看護師を県内に誘導・定着させるための修学・研究資金貸与の拡充、看護師養成所の施設整備への補助などを行い、積極的に医療人材の確保を図ります。
 死亡原因の圧倒的な第一位であり、県民全体の健康・生活に係る問題でもあるがん対策では、11月議会での「県がん対策推進条例」の制定も踏まえて、がん診療連携推進病院の指定拡大や、県立がんセンターでの緩和ケア体制の充実などにより、「がんに強いぐんま」づくりを推進します。
 福祉の充実では、まず、子育てに対する支援について、中学校卒業までの、子ども医療費の無料化を継続するほか、小児救急医療に関する電話相談の受付時間を延長するなど、きめ細かな対策の充実を図ります。また、児童相談所の相談体制や里親支援の強化、一時保護所の拡張整備などにより児童虐待防止対策も充実させます。
 高齢者や障害者に対する福祉の充実では、必要な施設整備の推進に加えて、耐震化やスプリンクラー設置の推進、介護人材の確保・質の向上にも積極的に取り組みます。また、これから、ますます増える元気な高齢者たちが、意欲をもってボランティア活動などに取り組み、社会で活躍できるような新たな仕組みづくりを検討します。
 また、暮らし・生活対策としては、県内の年間自殺者数が500人を超える現状で、重要な課題である自殺予防対策の充実のほか、市町村と連携した「買い物弱者対策」に取り組みます。また、女性相談所の相談部門について、保護部門との一元化を図ります。
 教育面では、中学校1年生における特定科目の少人数指導プログラムであった「わかばプラン」を大幅に拡充して、学習面や生活面でのきめ細かな指導を一層充実させるため、常勤教員の配置による、中学校1年生の35人学級編制を実施します。また、学校におけるいじめや不登校対策の充実として、児童・生徒の心の問題に対応するため、「スクールカウンセラー」を増員します。
 その他、環境対策では、住宅用の太陽光発電設備補助を継続するほか、電気自動車の普及促進を図ります。治安や暮らしの安心では、警察官の10人増員のほか、110番通報に即応するための「通信指令システム」の更新、県内での大規模地震の発生に備えた被害想定調査などを行います。
 なお、子ども手当に係る県費負担分については、これまでも、国において、平成23年度以降は全額国庫で実施するとの方針を繰り返し表明していたことなどを踏まえて、現時点では、その財源について、全額国庫金として計上したところです。

県内経済の活力向上

 第三の柱は、「県内経済の活力向上」であります。
 北関東自動車道が全線開通することにより、経済面における、本県の物流環境は、一段と向上します。また、この全線開通は、同時に、人の交流についても、大きな変化をもたらします。物流環境の向上が、県内事業者の営業範囲を広げ、生産コストの低下を可能にするように、人の交流が進むことで、広範囲からの観光誘客、地域間交流、日常生活での二地域居住なども可能になります。
 こうした高速交通網がもたらすメリットを、県内のあらゆる地域、あらゆる産業が享受できるようにするためには、高速道路へのアクセスとなる地域の基幹道路である「7つの交通軸」を早期に整備することが県として重要な施策となります。そのため、新年度予算では、国による補助公共事業が2年続けて大きく削減される中、単独公共事業費を大幅に増額し、特に「純単独公共事業」については、前年度比110%まで伸ばして、必要な社会基盤の整備を進めて参ります。
 一方、高速交通網の完成により、本県が通過県となってしまう、いわゆる「ストロー現象」の発生を懸念する指摘もありますが、これに対しては、群馬が確実に発展できるよう、県と市町村と関係団体がしっかりと連携して対応策を講じ、乗り越えていきたいと考えております。
 また、道路以外の分野では、水源県としての環境保全・向上のため、単独浄化槽から合併浄化槽への転換を集中的に促進する「エコ補助金」を新たに創設し、汚水処理人口普及率の引き上げを図ります。
 次に、基本方針に掲げた、雇用への取り組みについては、担当の副部長を新たに設置したうえで、引き続き、雇用基金の活用や、県設置の「ジョブカフェぐんま」、「シニア就業支援センター」の体制強化を図るほか、さらに、未就職のまま卒業せざるをえない若者の再チャレンジの場を、なるべく早く、数多く提供する観点から、幅広い県内企業と連携して、まずは有期雇用から始め、その後正規雇用へと転換する仕組みを、積極的に支援して参ります。
 その他の景気・経済対策では、企業誘致推進補助金の対象の拡大、中小企業を中心として、次世代産業への参入を戦略的に支援するための研究開発費補助の拡充などを実施します。
 農林業の振興では、有害鳥獣による農林業被害を軽減するため、被害防止柵の設置費に対する支援を大幅に拡充するほか、「ぐんまの木で家づくり支援」を継続して、県産木材の利用拡大をさらに進めて、林業振興を図り、「森林県ぐんま」から「林業県ぐんま」の確立を目指します。
 群馬DCを契機とした取り組みとしては、歴史・文化資産の更なる掘り起こしに対する支援や、二次交通対策を含む観光地整備を支援する千客万来支援などのほか、キャンペーンの開始時期に合わせ、東京の赤坂サカス広場においてメディアを活用した大型の観光イベントを開催致します。また、DCとタイアップした「ぐんまのイメージアップ」をさらに推進するほか、群馬DCを一過性のものとしないためにも、その後の取り組みとなるアフターDCについて準備を進めます。
 最後に、八ッ場ダムについては、ダムの基本計画に基づいて事業が進められるよう、ダム関連負担金とダム関連事業の必要額を計上いたしました。長野原草津口駅の駅舎改築など、現地生活再建に向けた基幹施設や産業基盤などの整備促進、住民の生活安定に、しっかりと取り組んで参ります。

平成23年度関係その他の議案

 このほか、平成23年度の特別会計については、事務の合理化のため2会計を廃止し、母子寡婦福祉資金貸付金会計など10件を、企業会計については電気事業会計など6件を提出しております。
 事件議案は、34件を提出しております。このうち、第16号及び第17号議案は、知事等特別職並びに管理職職員の給料を引き続き減額しようとするものであります。
 第36号議案は、平成23年度から27年度を計画期間とする、群馬県の新しい総合計画を策定しようとするものであります。

平成22年度関係議案

 続いて、平成22年度関係についてでありますが、予算関係では16件を提出しております。
 このうち、一般会計補正予算案については、国の補正予算に伴って基金の積み立てを行うなど、所要の補正を行うものであります。
 事件議案としては、新たな基金の設置や債権の放棄、早急な処理を要するため専決処分したものについての御承認をお願いするものなど、19件を提出しております。

おわりに

 群馬は、さらに大きくはばたく力を持っています。豊かな自然に恵まれ、東京から高速交通で1時間という位置にも恵まれています。大きくはばたくということを、私は、県民が、それぞれの将来の夢を現実にすることだと思っております。
 今年は、そのための絶好のチャンスであります。チャンスを最大限に活かし、経済の発展、文化の交流、県民それぞれが思い描く夢を現実に近づけるため、群馬をさらに大きくはばたかせるため、全力を尽くして参ります。
 県議会、県民の皆様の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。

 以上、県議会の開会に当たり、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べるとともに、議案の大要について御説明申し上げました。
 何とぞ、慎重御審議の上、御議決くださいますようお願い申し上げます。