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平成20年2月定例県議会 知事提案説明

更新日:2011年3月1日 印刷ページ表示

 2月定例県議会の開会に当たり、平成20年度当初予算案をはじめ、提出議案の大要について御説明申し上げますとともに、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べ、県議会と県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと思います。

知事就任後初めての当初予算編成

 私は、昨年夏の知事就任以来、停滞した県政の一日も早い立て直しと、県民生活重視の行政への転換を進めながら、「羽ばたけ群馬構想」の実現を目指して、全力で県政の舵取りを行って参りました。

 特に、県議会や市町村との対話と協調を推し進め、現場主義をモットーに、群馬県の潜在力や可能性を引き出すため、積極的に取り組んで来たところであります。

 この間、地球環境問題をはじめ、原油・食糧などの価格高騰やサブプライムローン問題などにより世界経済が不安定になっており、国内でも、格差社会の是正、社会保障制度の維持、活力ある経済社会の構築等が課題となっております。

 こうした情勢の中で、知事就任後の初めての本格的な予算編成に臨みました。

当初予算編成の基本方針

 県の財政は、大変に厳しい状況にあります。県税収入については、前年度並みを確保できるものの、地方消費税清算金及び地方交付税ともに減額となる見込であります。また、財政調整基金などからの繰入金も、基金残高が減少していることから減額とならざるを得ない状況にあります。県債については、地方再生対策費の創設に伴い、臨時財政対策債が50億円の増額となるほか、退職手当債は必要額を当初から計上することとしたことなどから、県債発行額は62億円の増額となっております。しかし、プライマリーバランスにも留意し、通常債は38億円減額しております。

 こうした厳しい財政状況ではありますが、新年度の予算編成に当たっては、「県政の刷新」、「暮らしに安心・安全を」、「県経済に活力を」という三つの柱をたて、マニフェストの実現に向け、県民の声を聞き、県民の目線で見て考えた予算とするため、緊張感を持って、様々な議論を重ねながら、予算編成に取り組んで来たところであります。

当初予算の規模

 平成20年度当初予算の総額は、中小企業向け制度融資を特別会計に移管した結果、6,537億3,100万円となります。制度融資を除く前年度の予算額に比べ0.1%の増加となりました。

県政の刷新

 それでは、予算の三つの柱に沿って重点施策について御説明申し上げます。

 第一「県政の刷新」であります。

 まずはじめに、県政の執行体制の強化を図るため、県庁及び県民局の組織改正を行います。県庁の組織については、知事部局に生活文化部を新設し、県民生活を重視した行政、文化や伝統などを核とした群馬づくりを推進するとともに、企画部の機能強化を図ります。また、ぐんま総合情報センターを東京に設置するほか、企業誘致、医師確保、危機管理などの新たな諸課題に対応する組織も設けます。

 県民局の組織については、部や政策室を廃止し、簡素で効率的な組織とするとともに、県の合同庁舎単位の調整担当として「副局長」を設置します。また、県庁組織全体でグループ制を係制に見直し、県民にわかりやすく効率的な組織に改めます。

 次に、予算編成における査定方式の復活であります。良い予算、良い政策にするためには、十分な議論が必要であります。今回の予算編成では、知事査定にしっかりと時間をかけ、県民の声や財政状況を踏まえて、各部局と議論を重ねて予算を編成して参りました。

 次に、中小企業向けの制度融資については、特別会計へ移管することとしました。制度融資予算が一般会計予算の総額に占める割合は約2割にまで達し、他県に比べて本県が突出して高い状況となっておりました。その結果、本県の予算規模が実力以上に大きくなり、対前年伸び率も高くなっておりました。制度融資予算を切り離すことで、一般会計が実力に応じた県民にわかりやすい予算になるものと考えております。

 更に、県庁でのイベントについては、必要性や開催場所などの観点から見直し、必要なものは継続し、県庁ではなく県内各地で実施する方が良いものは各地域で実施することとしました。また、県単独補助金や少人数を優遇した事業についても十分に見直しを行いました。

 こうした議論を通じて、「ぐんま少年の船」などを中止し、新たに群馬の小・中学生を対象とする「尾瀬学校」に取り組むことといたしました。これは、昨年8月に尾瀬国立公園が誕生したことを契機に、群馬の小・中学生が一度は尾瀬を訪れ、貴重な自然の中で環境学習を行えるようにしようとするものであります。

 また、収入確保対策として、未利用地の売却を積極的に進めるほか、新たに広告収入の確保や県有施設命名権の売却などにも取り組むことといたしました。

暮らしに安心・安全を

 第二「暮らしに安心・安全を」であります。

 まずはじめに、子育て支援についてであります。子どもの医療費補助の対象を、入院はこれまでの5歳未満から中学校卒業までに、通院は、3歳未満から就学前までに、大幅に拡大することとし、県内どこに住んでいても安心して子どもを産みやすく、育てやすい環境づくりに努めます。更に、新たに3歳児の保育士配置を充実するため、県単独の補助制度を設けるほか、いきいき子育てサポートプランの着実な推進を図るなど、子育て環境づくりに努めます。また、私立の高等学校や幼稚園への補助単価を維持するほか、ぐんま国際アカデミーへの補助単価を他の私立学校並みに引き上げることといたしました。

 次に、医療の確保・福祉の充実であります。小児科・産婦人科などの医師確保対策費を十分に確保するほか、新たに医師確保対策室を設置し、医師確保に全力で取り組みます。更に、ドクターヘリを導入するとともに、重粒子線治療施設の整備も継続して進めます。また、新たにインターフェロン治療費の助成を始めるとともに、老人福祉施設対策や介護職員などの確保対策に取り組むほか、障害者自立支援緊急対策なども引き続き実施して参ります。

 環境問題への取り組みとしては、地球温暖化防止に向けた意識向上を図るための条例や森林環境税の検討をはじめ、県民アクションプランの策定・普及、県庁におけるエコカーの導入を推進して参ります。

 次に、防災対策として、新たに危機管理室を設置するほか、昨年県内に大きな被害をもたらした台風9号災害関連事業として、災害復旧などの治山、河川改修、砂防事業などに取り組みます。

 安全・安心の確保については、県警察の車両捜査支援システムの整備や伊勢崎警察署の移転整備を進めるなど治安の確保に努めるとともに、交通安全施設を整備するほか、輸入加工食品の安全検査など食の安全・安心の確保の取り組みを進めます。

 次に、教育の振興についてであります。心身ともに健康な子どもを育てるために、教育改革を一層進めます。さくらプランについては、小学校1・2年において非常勤講師を常勤化し、全ての小学校で30人以下学級を実現することとしました。更に、いじめ・不登校対策を充実するほか非行防止にも努めます。

 また、県立女子大学に新学科・新研究科を設置することとし準備を進めます。

県経済に活力を

 第三「県経済に活力を」であります。

 群馬県の恵まれた立地条件を活かし、本県の潜在力を引き出して、もっとはばたかせるために、県の魅力を総合的にPRします。

 本年6月末を目途に東京の銀座に「ぐんま総合情報センター」をオープンさせます。群馬県からの情報発信、情報収集の拠点として積極的な活用を図って参ります。また、世界遺産暫定リストに掲載された「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録に向けた取り組みにも努めて参ります。

 今年は全国規模のイベントが数多く開催されます。3月29日からは、いよいよ「全国都市緑化ぐんまフェア」が開催されます。県民参加による全県的な展開を図り、100万人の来場者を呼び込みたいと考えております。続いて、6月には食育推進全国大会が、8月には全国高等学校総合文化祭が開催され、全国から沢山の方々が本県を訪れることになります。この機会に、本県の魅力を大いに全国にPRして参りたいと考えております。

 次に、企業誘致でありますが、まずはじめに企業誘致推進室を設置し体制を整備します。また、企業誘致推進補助金を創設するほか、新たな工業団地の造成にも着手し、攻めの姿勢で企業誘致を進めて参ります。

 また、「観光立県ぐんま」の取り組みを推進します。4年間で県外からの観光客10%アップを目標に、優れた観光資源や観光地ぐんまをアピールして参ります。

 更に、中小企業振興資金特別会計を新たに設置し、中小企業者を資金面からしっかりとサポートして参ります。また、県内3カ所の若者就職支援センター(ジョブカフェ)の運営を継続するほか、新たに団塊の世代など中高年を対象とした、シニア就業支援センターを県社会福祉総合センター内に開設いたします。

 農業の振興については、きゅうり、いちご、ナスなどの重点野菜8品目を中心に「野菜王国・ぐんま」の強化を図るため総合的な支援を行うとともに、ぐんまブランド推進室を新設し、群馬の農産物のブランド化を推進します。また、食肉卸売市場の整備に対する補助や畦(あぜ)ぬき工法による簡易ほ場整備モデル事業を実施するほか、有害鳥獣対策も拡充して参ります。

 林業の振興については、森林吸収源対策推進資金の創設などで間伐を促進するほか、造林の推進など森林整備に努めるとともに、集成材加工施設整備や流通モデル事業に補助し、県産材の市場規模拡大に努めます。

 次に、幹線道路などの社会資本の整備促進であります。

 企業誘致を進めるためには、物流が大きなポイントとなります。そこで、地方財政計画の水準である対前年度マイナス3%を大きく上回り、また、平成19年度の事業費をも上回る公共事業費を確保することとしました。東毛広域幹線道路や上信自動車道、椎坂バイパスの整備や伊勢崎駅付近連続立体交差事業などに重点的に取り組みます。

 また、テレビ放送のデジタル化に対応するため、難視聴地域における共聴施設を改修する市町村に新たに補助するとともに、群馬テレビのデジタル中継局整備にも引き続き補助して参ります。

平成20年度関係その他の議案

 このほか、特別会計予算案13件、企業会計予算案6件及び事件議案20件を提出しております。

平成19年度関係議案

 平成19年度関係につきましては、予算関係10件、事件議案17件について御審議をお願いしております。

 一般会計補正予算案の主な内容としては、国の補正予算による災害関連の補助公共事業や原油価格高騰対策など、必要な補正措置を講ずることにしております。

 次に、事件議案のうち主なものについて申し上げます。第65号議案は、八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更についてであります。工期の延長などを内容とする計画の変更について、国土交通大臣から意見を求められたので、同意するに当たり議会の議決を求めるものであります。

力の結集

 以上、重点的な施策について御説明申し上げましたが、行政の力だけでは目標を達成することはできません。群馬県を大きくはばたかせるためには、県民一人ひとりの力の結集が必要であります。県政の刷新は始まったばかりです。これからも群馬県の発展と県民生活の向上のため、全力で県政の舵取りをして参ります。

 県議会及び県民の皆様の御協力を心からお願い申し上げます。

 県議会の開会に当たり、県政推進に当たっての所信の一端を申し述べるとともに、議案の大要について御説明申し上げました。

 何とぞ、慎重御審議の上、御議決くださいますようお願い申し上げます。