本文
新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、現在、在宅勤務やオンライン会議などICT(※注)の活用が急速に進展しています。教育現場においても、子どもの学びを止めない、教育格差を生じさせないためにICTを活用した教育の早期実現が不可欠であり、県と市町村が連携し、児童・生徒用に一人一台のパソコンなどの端末整備を進めています。
ICTで学校の学びはどのように変わるのでしょうか。ICTを活用した教育の取り組みについて紹介します。
※注 ICT…Information and Communication Technology(インフォメーション アンド コミュニケーション テクノロジー)の略で、パソコンやスマートフォン、タブレットなどを活用した情報処理や通信技術のこと
私たちはインターネットで調べ物をしたり、SNSでコミュニケーションを取ったりする時など、普段から生活の中でICTを活用しています。今後はICTを活用した情報収集だけでなく、情報を解析する人工知能(AI)などの先端技術を産業や社会生活に取り込むことで経済を発展させ、社会的課題を解決していく社会(Society5.0)(ソサエティ)が到来するといわれています。
未来を担う子どもたちに求められることは、ICTを使いこなし、たくましく生きていく資質・能力であり、その力を育むためにもICTを活用した教育が必要とされています。
県では今年度中に全ての県立高等学校・県立中等教育学校における生徒一人一台のパソコンなどの整備を進めており、県内の市町村立小・中学校でも順次同様の整備が進められています。またICT機器を最大限に活用した教育に取り組むため、ICTを活用した教育モデルの研究やオンライン教育の実施、特別支援学校の児童・生徒向けの機器の活用、教員研修など、さまざまな視点からICTを活用した教育を推進しています。
一人一台のパソコンなどのICT環境は令和の学びの「スタンダード」になるともいわれています。全国に先駆けて導入を決定した一人一台のパソコンなどの環境を生かし、小・中学校から高校までの切れ目ないICTを活用した教育で「群馬ならではの学び」を実践し、自分の頭で未来を考え、動き出し、生き抜くための力を身に付けた人材を育成します。
ICTの活用について研修を受ける教員
新型コロナウイルス感染症の影響による学校の臨時休業を受けて、在宅で学習できるオンラインサポート授業動画を作成し、YouTube(ユーチューブ)チャンネル「tsulunos(ツルノス)」で配信しています。詳しくは「tsulunos ポータル」<外部リンク>をご覧ください。
授業「ぐんまちゃんと一緒に心肺蘇生法について学ぼう」
授業「世界のさまざまな地域~地球の姿~」
県立高崎北高等学校 校長 丸橋 覚(まるばし さとる)さん
県では県立高等学校・県立中等教育学校の生徒に一人一台のパソコン整備を進めるなど、ICTを活用した教育を推進しています。
本校は県内のICTを活用した教育モデルを研究する指定校となっており、生徒の主体的・対話的で深い学びの実現のために、タブレットやプロジェクターなどの他、生徒のスマートフォンも活用した授業を行っています。
これまでの授業は教員が黒板を使って生徒に説明し、生徒は話を聞いたりノートを取ったりする受動的な授業が一般的でした。一方、ICTを活用した授業では、タブレットやスマートフォンなどを活用しながら情報を収集し、生徒が自ら考えたり、プロジェクターを使って自分の考えを生徒間で共有したりすることに重点を置いています。そのため主体的な授業が可能となり、情報活用能力を始め、自分の意見を発表することでプレゼンテーション力を、深く調べたり、互いの意見を共有したりすることで課題解決力を育てることができると考えます。
またインターネットにおいて正しい情報を選択すること、セキュリティなどの知識をしっかりと身に付けることも大切です。そのため、生徒自身が情報モラルの動画を作成するなど、ICTの使い方を学びながら情報倫理を身に付けられるよう学習を工夫しています。
現在の社会は情報にあふれ、科学技術の進歩や国際化など、急激なスピードで変化しています。将来の社会で生きる力を育てるためにも、高校生の頃からICTを活用した授業を実施し、このような能力を培っていくことはとても大切です。ICTを活用した教育の長所を最大限に生かすため、私たちも教員同士で研修を行ったり、先進事例を参考にしたりして授業を工夫しています。まだ手探りですが、生徒が社会で羽ばたけるよう、ICTを有効に活用しながら生徒の学びを支える場として学校も成長していきたいです。