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ゲートキーパーとは、周りにいる人の悩みや困り事に気付き、声を掛け、話を聴いて、相談・医療機関など必要な支援につなぐ人のことです。一人でも多くの人がゲートキーパーとしての意識を持ち、それぞれの立場で行動を起こすことが自殺対策につながります。ゲートキーパーについて詳しくは、県こころの健康センター(電話 027-263-1166)にお問い合わせ下さい。
「死にたい」と打ち明けられた時は「後で相談しよう」などと後回しにせず、その場で話を聴きます。つらい気持ちを理解して、共感やねぎらい、感謝の気持ちを伝えます。安易な励ましや価値観を押し付けるメッセージは避けます。
「誰にも言わないで」と言われたら「私はあなたの命を守りたい。一緒に相談に行こう」と伝えます。一人で抱え込まないことが大切です。
※参考文献:ゲートキーパー養成研修用テキスト(厚生労働省)、こころといのちのゲートキーパー「養成講座テキスト」(日本ゲートキーパー協会)
民間団体の立場でゲートキーパーの養成と普及に取り組む、日本ゲートキーパー協会の大小原理事長に伺いました。
大小原利信さん
「人間は誰でも、良くなりたいという気持ちを持っていると思います。ゲートキーパーが丁寧に話を聴くことで、相談者は今まで気付かなかった自分の内面に目を向け、自分自身で問題を解決しようとします。
ゲートキーパーは、相談者の自ら成長する力を信じて『味方になりきって』寄り添い続けることが大切です。
私は今までたくさんの人の相談に応じてきました。その経験の中で、話を聴く時に感謝の気持ちを伝えることが大切だと気付きました。
自殺を考えてしまうほど落ち込んでいる人が誰かに相談するのは、エネルギーが必要なことです。そのような状況の中で、つらい気持ちを話してくれたことに対して『ありがとう』と伝えることで、相談者は安心して話ができます。
当協会で実施したゲートキーパー養成講座を受講した人が、身近な人の自殺を防ぐことができたという話をいくつも聞いています。中には、中学生が友達の自殺を防ぐことができた事例もあります。
自殺の危機に直面している人に出会った時、声掛けの言葉や話を聴く態度などを正しく知っておくことで、誰でもゲートキーパーになれます。そして、ゲートキーパーとして何より大切なのは、その人を思う気持ちです」
「友達のAちゃんからLINE(ライン)で『友達にいじめられている。もう消えてしまいたい』とメッセージが送られてきました。
私は、講座のことを思い出して『私に話してくれてありがとう。どんなことがあったのか詳しく教えて』と送りました。
Aちゃんから詳しく話を聴いた後『みんなからの言葉で苦しくなっちゃったんだね。でも、私はAちゃんが大切です。また明日塾で会おうね』と送りました。
するとAちゃんから『聴いてくれてありがとう』とメッセージが届き、塾で会うことができました。
講座で習った『避けたいメッセージ』を使わないように、何度もメッセージを書き直してAちゃんの気持ちに寄り添いました。Aちゃんは、今も学校生活を続けることができています」