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日本の経済基盤を支え、近代国家の発展に大きく貢献した群馬の絹。
県内には、長い歴史の中で培われた絹に関わる文化や歴史遺産などが残っています。これらを活用して「絹の国ぐんま」の魅力を発信するとともに、養蚕、製糸、織物などの絹産業を創出・継承し、子どもたちに絹文化を伝えるための取り組みが行われています。
邑楽町立長柄小学校で行われた「上州座繰り体験」
本県は、養蚕農家戸数や繭・生糸生産量がいずれも全国一位の養蚕県です。
蚕を育て繭を作る養蚕、繭から生糸を作る製糸、生糸で布を織る織物など一連の絹産業が現在も営まれ、また多くの絹文化や歴史遺産が県内各地に残っています。これは他県には見られない本県の特徴です。
こうしたことを背景に、26年6月「富岡製糸場と絹産業遺産群」が、ユネスコ世界遺産に登録されました。また27年4月に、養蚕や製糸、織物で女性が活躍した歴史や特色ある文化・伝統などが、日本遺産「かかあ天下―ぐんまの絹物語―」として国に認定されました。
さらに、県は各地に残る絹に関わる建造物や民俗芸能など97件(29年3月現在)を群馬の宝として「ぐんま絹遺産」に登録しています。
県内の養蚕農家戸数と繭生産量の推移
県は養蚕業の多様な担い手の育成確保を図るため、28年度から、県蚕糸技術センターや養蚕農家で実践的な養蚕技術を学ぶ「ぐんま養蚕学校」を実施しています。
また全国一位の生糸生産量を誇る器械製糸場の碓氷製糸に対して、経営基盤強化やオリジナル絹製品のパッケージデザイン開発、場内の製糸体験コーナーの整備を支援しています。
さらに、県オリジナル蚕品種を開発したり、その生糸を使って作られた絹製品を「ぐんまシルク」として認定したりすることで、県産生糸・絹製品のブランド力と販売力の強化に取り組んでいます。
子どもたちが絹の歴史や産業・文化を学び、世界遺産の価値を理解できるよう、富岡製糸場世界遺産伝道師協会による「学校キャラバン『上州座繰り体験』」なども実施しています。
蚕から絹製品ができるまでの工程や具体的な取り組みについて紹介します。