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労働力確保及び働き方改革の推進に関する提言 労働力確保・働き方改革に関する特別委員会(平成30年3月15日)

 日本は、人口減少社会に突入し、多種多様な産業において労働力不足となっており、特に輸送業や建設業、介護や保育の現場(分野)では人材の確保が難しくなっている。また、大学生や高校生が卒業後の就労先を都市部に求める傾向が続いており、県内企業への就職の推進をどのように支援していくかや、高齢者雇用対策や障害者雇用対策において安定して働ける環境をどう確保するかが課題となっている。
 一方で、長時間労働による過労死や、いわゆるブラック企業による労働環境の悪化が社会問題となり、「ワークライフバランスの実現」が叫ばれている。
 本県においても、雇用戦略本部等において、さまざまな業種における労働力確保や働き方改革への対応を図っているが、このような状況にあって、県内企業等による労働力確保や働き方改革について、積極的に推進していくことが求められている。
 ついては、県議会と県当局が連携を一層密にして施策を行うため、県当局においては、次の事項について取り組むように強く要請するものである。

県内企業等における労働力の確保に関すること

  1. 若者や女性にとって魅力ある雇用の場を確保するため、本県の主力産業であるものづくり産業を始め、ロボット産業や医療・ヘルスケア産業等の次世代産業の育成や、観光及びサービス産業を中心とするコンベンション関連産業の創出・育成に全力で取り組むこと。
  2. 看護、介護、保育等の有資格者の潜在的労働力を活用するためのマッチングを推進すること。

県内企業等における外国人材の活用の支援に関すること

  1. 県内の技能実習生が増加していることを踏まえて、中小企業に対する支援として、県が作成する冊子や資料に外国人材の活用についての説明を加えること。
  2. 技能実習法施行により、日本側の監理団体についても許可制となるなど、技能実習制度は大きな転換点を迎えていることから、県としても技能実習法に規定された制度について監理団体や企業に積極的に周知・広報すること。
  3. 技能実習制度の対象職種に介護が追加されたことや、在留資格「介護」の創設に伴い、今後、介護分野への外国人の参入が進んでいくことが見込まれることから、外国人介護職員の受入れが円滑に進むよう、受入事業所に対する支援を検討すること。

大学生及び高校生の県内企業等への就職の推進及びその支援に関すること

  1. 高校生のインターンシップについては、県総合計画において「高校3年間でインターンシップに参加したことがある生徒の割合」を平成31年度までに50%とすることを目標としているので、普通科高校におけるインターンシップを、更に推進すること。
  2. 大学生、短大生、専門学校生、専修学校生等に早い段階から県内企業に関心を持ってもらうため、1、2年生の段階からGターンシップの周知を強化するとともに、県内高校卒業時に登録した進学者に対して県内就職情報等を発信している「Gターン通信」の拡充に努めること。
  3. 県外へ就職した卒業生が将来的に県内に戻る機会が増えるように、卒業後も県内企業の情報を受け取れるような体制を整備すること。

長寿社会における高齢者の働き方に関すること

  1. 少子高齢化の進展に伴い、市部では高齢者に対して働き手としてのニーズが高まっており、シルバー人材センターの市町村を越えた広域連携については、群馬県シルバー人材センター連合会が労働者派遣事業を実施している。県は、国や市町村とも連携を図って、労働者派遣事業を積極的に推進するとともに、市部だけでなく、町村部でのシルバー人材の活用が拡がるように支援を行うこと。

誰もが働きやすいハンデを持つ労働者の労働環境整備に関すること

  1. 障害者(発達障害者を含む。)に企業において活躍してもらうためにも、各企業に働きかけて障害者雇用を進めること。特に障害者の受入れ体制の整備等が困難な状況にある中小企業については、障害者就労開拓支援事業の活用を勧め、ハローワークと連携して企業訪問や具体的な助言を行うこと。
  2. がん患者の就労支援については、県が作成しているリーフレットなどを活用し、関係機関との連携により、支援を必要とする多くの県民に情報が届くように努めること。
  3. 女性の活躍を推進するとともに、高齢化社会の進展により、家族等の介護をする人の増加も見込まれるため、引き続き、子育てや介護と仕事の両立支援について関係各機関と連携して行うこと。

働き方改革の推進に関すること

  1. 県内の中小・小規模事業者が、人手不足の中で働き方改革を進めるには、様々な課題があるため、県内中小企業等の現状を把握し、周知啓発や取組支援など、国や経済団体、労働団体等の関係機関とも緊密に連携して取り組むこと。
  2. 経営者や管理職の意識改革を促すセミナーや、従業員のワークライフバランス等を推進する事業所を応援する「いきいきGカンパニー認証制度」の普及等により県内事業所等における働き方改革を促進すること。
  3. 県は、行政改革大綱で、「仕事の仕方」の改革の一環として、サテライトオフィス勤務の導入を進めているため、試行結果を踏まえ、全ての振興局等でサテライトオフィス勤務を実施できるよう努めること。
  4. 建設業の担い手を確保するためにも、現在実施されている「週休2日制現場」の試行結果を受発注者間で検証し、業界団体とも協議しながら、建設業の「週休2日制の定着」に向けた環境整備に努めること。
  5. 県民の利便性向上と職員の業務負荷の軽減につながることから、「ぐんま電子申請受付システム」と「群馬県域公共施設予約システム」について、県民の利用拡大に向けて、広報や県職員への研修等を行うこと。

以上、提言する。

平成30年3月15日

群馬県議会労働力確保・働き方改革に関する特別委員会

群馬県知事 大澤 正明 様


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