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地球温暖化・電力システム改革に関する特別委員会 平成29年3月7日(火曜日)
1.開催日時
平成29年3月7日(火曜日)9時59分開始 11時34分終了
2.開催場所
401委員会室
3.出席委員
委員長:新井雅博、副委員長:萩原渉
委員:腰塚誠、委員:久保田順一郎、委員:角倉邦良、委員:水野俊雄、委員:酒井宏明、委員:原和隆、委員:金子渡、委員:金井秀樹、委員:川野辺達也
4.欠席委員
委員:後藤克己
5.主な質疑
(1)企業局の東京電力との売電交渉について
角倉委員
この3月で2年間の契約が切れるということで、どのように東電との交渉が進んでいるのか。
松田企業局技監(発電課長)
平成29年度から2年間の電力受給契約について、現在、東京電力と交渉中であり、料金等の条件を盛り込んだ契約については、3月中に締結する予定である。
角倉委員
今よりも売電価格は高くなる見通しでよいか。
松田企業局技監(発電課長)
今までの契約の経緯も踏まえながら、発電原価や市場価格なども考慮して、より多くの売電収入を安定的に確保できるよう交渉している。
角倉委員
単価が1円上がるだけでも大変な額になる。相当な使命感を持って交渉していただきたいがどうか。
松田企業局技監(発電課長)
発電原価や市場価格の動向等を考慮して、多くの売電収入を、また、安定的に得られるよう交渉を行っている。
角倉委員
契約後に、対外的に明らかにしてもらえるということでよいか。
松田企業局技監(発電課長)
契約の内容については、契約締結後に議会等で説明させていただく。
(2)契約破棄した場合の違約金について
角倉委員
正式に契約破棄を申し込む前から違約金を明らかにするよう要望していたことに対し、東京電力も前向きに検討していただける件についてはどうなっているか。
松田企業局技監(発電課長)
電力受給基本契約を途中解約する場合の補償金、違約金について、昨年の12月時点で東京電力が推計した試算額が示された。
角倉委員
その額はいくらか。
松田企業局技監(発電課長)
東京電力の試算は国の示すガイドラインに則り、東京電力が代替の電力をほかの取引先から購入することで負担増となる代替調達コストが、推計で約224億になるとしている。
角倉委員
前の答弁では、150億円くらいということだったが、さらに70億円がプラスになった根拠はどのように東電から示されたのか。
松田企業局技監(発電課長)
基本的な考え方自体は、資源エネルギー庁のガイドラインに則って算定している。その中で、契約を解約した場合に、代わりの電力を調達する価格の見方の違いで、試算額が異なってくる。
角倉委員
代わりに調達する電力を東京電力が探さなくてはいけない義務があるかといえば、今の電力自由化の流れの中ではその義務が無くなってきていると思うが、その辺の認識はどうか。
松田企業局技監(発電課長)
あくまでも補償金については推計であり、東京電力の試算では、卸電力市場の長期間にわたっての平均取引価格を採用した場合には224億円になるとしている。実際に解約することになった場合は、東京電力は双方で協議して決めると言っており、県でもそのように認識している。
角倉委員
一番の理想は、群馬県が新たな売電をしていく会社を作ることであり、そのことによって利益が上がると思う。今後の売電の新たな方向性について、議論の方向はどうなっているのか。
松田企業局技監(発電課長)
企業局としては、より多くの売電収入を安定的に確保し、その成果を県民に還元していくことが県民福祉の向上につながると考えており、電力システム改革のメリットを活かして、少しでも増収につながるよう最適な売電先や売電方法について、東京電力との電力受給基本契約のあり方も含めて検討しているところである。電力システム改革のメリットを活かした最適な売電先や売電方法については、電力市場の動向とともに、非化石価値取引市場の創設や平成32年4月に予定されている発送電分離に向けての制度改正等の動向も注視し、さらには、群馬県内の再生可能エネルギーを利用した発電という地域性や環境的な価値も考慮した売電方法等を検討していきたい。また、いわゆる電力の地産地消についても、発電所の電気を自営線の敷設や自己託送により県有施設に供給する方法や、小売会社を作って県内の企業や家庭に供給する方法などについて、先進事例の調査を行うなどの取組をしてきているが、今後も実現の可能性について検討を続けていきたい。
(3)群馬県バイオマス活用推進計画(案)について
水野委員
群馬県バイオマス活用推進計画(案)について、各分野で取組がなされていて、推移をみると林地残材の成果が上がっていると感じた。この背景を簡単に教えてほしい。
土屋林政課森づくり主監
切り捨て間伐から、利用間伐へ政策転換するとともに、低質材もチップ等に加工することでバイオマス等への利用が可能となったことによるものである。
水野委員
家畜排せつ物について目標値を下げた理由は何か。
中田環境エネルギー課長
豚尿の浄化処理が進んだことにより、結果として、家畜排せつ物の資源量が減少しているという理由によるものである。
(4)ごみの減量化が温暖化対策に与える影響について
水野委員
温暖化対策について、ゴミの減量化は温暖化対策にどれくらい資するのか。
中田環境エネルギー課長
ごみの減量化は、直接、温室効果ガス削減につながるものではないが、減量化することで焼却処分する時に使用する燃料が減り、そこから発生する温室効果ガスを減らすことができる。さらには、燃焼時に発生する熱を再利用すれば、単に焼却するより更に温暖化対策に資することになる。
(5)地球温暖化防止活動推進センターの運営について
水野委員
地球温暖化防止活動推進センターの運営について、本会議の一般質問で近県のセンターとの職員数の比較があげられていた。群馬県の実態をどう捉えているか、もう一度確認したい。
中田環境エネルギー課長
センターとその運営母体は別であり、本県ではNPO法人をセンターに指定している。他県では財団法人や社団法人を指定しているところも多く、そういった所は運営も安定している。NPO法人の場合、一般的に経営基盤は脆弱であり、多くの人員を雇うわけにはいかないのが実状である。
水野委員
実りのある温暖化対策ができるよう、地球温暖化防止活動推進センターが活動できるようにするための県の取組、今後の考え方を示してほしい。
中田環境エネルギー課長
センターを運営していく上で、人材の育成・確保は大きな課題である。また運営基盤の強化も必要である。センターは本県の温暖化対策の中心となる組織であり、十分な機能が発揮されるよう、どのような解決策があるか検討していきたい。
(6)家庭における温暖化対策について
水野委員
今後、更に温暖化対策を進めるために県民を巻き込む運動に取り組んでいくべきだと思うがどうか。
中田環境エネルギー課長
家庭での温暖化対策を進めるためには、どのように家庭に啓発していくのか、そのアプローチ方法が難しい。まずは、今年度から県庁で取り組んでいる「県庁エコスタイル」を家庭版として普及することを考えている。具体的には地球温暖化防止活動推進員に、家庭でできる活動を「ぐんまエコスタイル」として地域で普及してもらうことを想定している。家庭での温暖化対策を県民運動として広げていきたい。
水野委員
地球温暖化防止活動推進員の公募を今回から始めたとのことだが、しっかり募集に応じる働き掛けも必要であろうと感じる。もう一度確認だが、県はセンターをしっかり支え、推進委員をしっかり育成するということでよいか。
中田環境エネルギー課長
センターの機能強化は必要だと考えているので何らかの検討はしていきたい。また、推進委員についても、公募を導入した目的は、やる気のある推進員を増やすことであり、そのような推進員に活躍してもらいたいと考えている。「ぐんまエコスタイル」を普及するため、何らかの活躍の場を設けることを考えている。
(7)木質バイオマス発電について
金子委員
今現在、県で把握している木質資源を使った発電所の稼働しているもの、これから推進していくものが県内にどれくらいあるか聞きたい。
山崎林業振興課長
県内で稼働・建設中の木質バイオマス発電施設は、吾妻バイオマスの1万3千キロワット、前橋バイオマスの6千7百キロワット、規模の小さいもので上野村の180キロワット、川場村の45キロワットがある。このほか計画されていたものとして、みなかみ町があった。他にも小規模なものを含め相談を受けているが、FITの申請や認定を受けても実施を取りやめるケースもあり、民間の動向は全てを把握できない状況である。
金子委員
今後、木質が注目される中で、果たして木質の供給、群馬の木が足りるのか心配な面もあるが、県の見解としてはどの程度までなら木を供給できるという認識はあるのか。
山崎林業振興課長
県内の森林資源は、森林蓄積9千万立方メートルで、年間成長量は120万立方メートルある。群馬県森林・林業基本計画では平成31年に素材生産量40万立方メートルを掲げ、そのうち11万立方メートルを発電等の木質バイオマス利用としているので、当面はその達成に向けて取り組んでいく。
(8)小水力発電有望地点調査について
金子委員
今年度、小水力発電有望地点調査を行ってきていると思うが、調査の状況はどうか
中田環境エネルギー課長
県内の砂防ダムを対象に、流量及び落差、立地や周辺環境、法規制などを踏まえ、机上での情報整理、現地調査を実施したところであり、現在は、これらを踏まえ有望地点の選定を行っている段階である。
金子委員
砂防ダムは県内に2千箇所以上あると聞いているが、これから調査に入って来年度公表するのか。
中田環境エネルギー課長
調査は終了しており、現在は施設整備の採算性がどうなるか、地点ごとの経済性について検討しているところである。
金子委員
砂防ダムでは、どのような発電設備になるのか。
中田環境エネルギー課長
水力発電には導水管を敷設するものがあるが、今回の調査では、砂防ダムの直下で発電する方式の発電設備について検討している。
金子委員
28年度は小水力の調査に対する自治体などへの補助があったが、新年度はどうか。
中田環境エネルギー課長
既存の補助事業を統合した支援事業も検討したが、来年度の予算化には至らず、支援事業は行わないこととなる。
(9)群馬県バイオマス活用推進計画(案)について
酒井委員
群馬県バイオマス活用推進計画(案)について、林地残材の目標を達成するための今後の課題は何か。
土屋林政課森づくり主監
森林資源を活用するには、搬出コストを引き下げることが重要であり、そのために、施業の集約化を進めている。
酒井委員
出口対策として渋川県産材センター等でのB、C材の活用が必要と思われるがどうか。
山崎林業振興課長
渋川県産材センターはA材からC材までを定額で買い取っており、B材やC材の利用を促進することができた。今後、さらに燃料利用を中心に低質材利用を進めていきたい。
酒井委員
前橋バイオマス発電所について、現地住民の不安の声に答えるのも県行政の役割だと思うが、進捗状況と事業者との話合いがあれば伺いたい。また、放射能測定や浸出液の処理、焼却灰の処理等について県としてしっかり指導していく必要があると思うがどうか。
山崎林業振興課長
前橋バイオマス発電所は工事中で、チップの供給施設は年度内完成に向け整備を進めている。発電所は当初6月稼働を見込んでいたが、若干遅れる見込みと聞いている。環境基準の遵守については事業者が取り組むべきもの考えている。周辺環境への影響については、施設が稼働した段階で前橋市とも相談しながらしっかりとやっていきたい。
(10)畜産バイオマスについて
萩原副委員長
畜産バイオマスについて、家畜排せつ物についてはコンポスト化が進んで、バイオマス発電等の展開は難しいと聞いているがどうか。
中田環境エネルギー課長
家畜排せつ物の利用は、ほぼ全てが堆肥化による利用である。ただ、堆肥の生産が需要を上回り余っている状況もあることから、エネルギー利用も進めていきたい。企画部では、家畜排せつ物の利用について畜産関係者などを集めて検討しているので、エネルギー利用の可能性についても研究していきたい。
萩原副委員長
以前の委員会で話した神戸の弓削牧場における小型バイオマスユニットについて、その後の検討はどうか。
中田環境エネルギー課長
事例については調べたところであるが、直ちに群馬県で実施することは難しい。引き続き事例などの情報収集を行い、畜産バイオマスについて研究していきたい。
(11)木質バイオマスについて
萩原副委員長
木質バイオマスについて、みなかみ町の木質バイオマス発電所の建設見込みはどうか。
山崎林業振興課長
みなかみ町で計画されていた木質バイオマスガス化発電所に対して、沼田地区の素材生産業者等が会社を作って総事業費8億円の燃料用チップ供給施設を整備する予定であった。先行事例として、同じ技術を用いたガス化発電所の整備計画が石川県にあり、同県でも国庫事業によるチップ供給施設の整備が進められていたことから、本県でも実施可能として予算に計上した。その後、福岡県で同じガス化技術を使った事業所で事故が発生して中止になったことや、石川県でも発電所が稼働できないなど、同技術によるガス化発電所稼働の見通しが立っていない状況が明らかになった。県から、ガス化発電所稼働の見込みが明確になった段階で事業化することが適当である旨を事業者に伝え、中止としたものである。
(12)「ふなばし森のシティ」について
萩原副委員長
先日、視察を行った「ふなばし森のシティ」について、都市整備や都市デザインとして大変いいモデルプロジェクトができていると思う。是非、今後の都市整備の参考にしていただきたい。スマートシティとしてICTなどでシステムができていることと、パッシブデザインで自然の光や風や熱を活用しているということと、もう一つ大事なことはコミュニティだと思う。どんどん希薄になっていくコミュニティをまちづくりでソフトの部分の充実を図ったという、この三点が非常に注目されることだと思う。同行した住宅政策課長の感想を聞きたい。
白鳥住宅政策課次長
課長が他の特別委員会に出席しているため、代わりに答える。先ほど、環境エネルギー課長からの説明を受けた内容について感想を述べる。HEMSなどデマンドコントロールを駆使し、エネルギーを適切に配分するという非常に素晴らしい取組だと考える。ソフトの取組については、住宅政策課においても、住教育や住宅相談の窓口の設置、省エネリフォームの観点で技術者の育成等行っているところである。こうした取組を合わせながら省エネ対策を推進して参りたい。
(13)スマートシティについて
萩原副委員長
スマートシティについて、一般質問では、県有地も含め未利用地の利用、省エネルギー、子育て支援、県産材の利用などの観点から総合的に検討して群馬県でモデルプランをつくってはどうかという話をさせてもらったが、「ふなばし森のシティ」はまさにこれらを実現した理想的な形であると思う。群馬県もこういうプロジェクトに取り組んでもらいたいと思うが、今後の方針について部長の考え方を聞きたい。
井田環境森林部長
エネルギーの賢い利用方法はこれから非常に重要となってくると考えている。エネルギーは簡単に手に入るものと思われてきたが、エネルギーと引き替えに環境に負荷を与えているということが世界的に認識されるようになってきた。温暖化対策としても省エネルギーをしっかり進める必要があり、今日議論のあった住宅政策に関しても、エネルギー無しには考えられない状況となっている。省エネ住宅、NZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)などの住宅政策、エネルギーとしてのバイオマスの利用、県産材を使った需要の拡大を総合的に達成するにはどのようなことを行っていくか、関係部局で横断的に知恵を集めて対応していくことが必要と考えている。