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文教警察常任委員会(警察本部関係:平成29年度)平成29年3月14日(火曜日)
1.開催日時
平成29年3月14日(火曜日)9時59分開始 12時03分終了
2.開催場所
302委員会室
3.出席委員
委員長:清水真人、副委員長:山崎俊之
委員:腰塚誠、委員:織田沢俊幸、委員:角倉邦良、委員:井田泉、委員:臂泰雄、委員:藥丸潔、委員:加賀谷富士子
4.欠席委員
なし
5.主な質疑
(1)警察官の増員等について
織田沢委員
警察官の負担状況はどうか。また、本県の全国順位はどうか。
新倉警務部長
平成28年4月1日現在、本県の警察官1人当たりの負担人口は572人と、昨年より2人負担が軽減され、全国比較では負担の高さが15番目となる見込みである。平成13年度以降は、合計650人の増員があり、当時は全国で10番目であったが、順次、改善されていると認識している。
織田沢委員
本県の負担状況を県警察としてどう捉えているか。
新倉警務部長
平成12年の「警察刷新に関する緊急提言」で、当面、警察官1人当たりの負担人口が500人となる程度まで地方警察官の増員を行う必要があるとの提言を受け、順次、増員が行われ改善されたが、いまだ全国平均の489人を上回っており、更なる増員が必要だと認識している。
織田沢委員
今後も警察官の増員要求を行っていくのか。
新倉警務部長
ストーカー事案等の人身安全関連事案や特殊詐欺が依然として高水準で発生しているとともに、訪日外国人急増への対策や、サイバー空間の脅威への対処、国際テロ対策等の取り組むべき課題が山積しているため、引き続き増員が必要と考えており、警察庁等関係機関への要望を行っていきたい。
(2)県警ヘリコプターの運用状況について
井田(泉)委員
ヘリの維持管理費の内訳はどうなっているか。
須藤地域部長
維持用消耗品費に1,100万円、燃料費に1,340万円、修繕費に700万円、耐空検査等整備費に4,811万4千円を見込んでいる。なお、ヘリの運航には定期的整備が法律で義務づけられており、耐空検査等整備費は、この耐空検査を受けるために必要な外注整備費用である。
井田(泉)委員
ヘリの運用実績はどうか。
須藤地域部長
29年2月末現在の総飛行回数は10,424回、総飛行時間は11,538時間25分となっている。現在運用中の「あかぎ号」に限ると、本年2月末現在で3,276回、3,362時間45分である。
井田(泉)委員
ヘリの活動状況はどうか。
須藤地域部長
28年中の活動状況は、出動回数401回で、内訳は行方不明者や山岳遭難者の捜索救助活動88回、緊急配備や捜査支援活動54回、産業廃棄物不法投棄の調査等36回、警衛警備、交通量調査、訓練等223回となっている。
井田(泉)委員
ヘリの運航体制はどうか。
須藤地域部長
航空隊は、地域部地域課に属し、群馬ヘリポートを航空基地として、航空隊長、操縦士3人、整備士3人の7人体制で活動している。通常は、操縦士2人、整備士1人の3人体制での運航を基本としており、各自が連携しながら安全運航の確保に努めている。
井田(泉)委員
出動、訓練時の安全管理の状況はどうか。
須藤地域部長
平素から月に1回、航空隊長以下全隊員が出席する航空安全会議を開催し、安全管理に対する意識付けを反復して行っているほか、毎日の飛行前・飛行後点検をはじめ、飛行時間ごとの点検整備を確実に実施している。今後も継続して安全会議を開催し、幹部による運航上の判断・指示の徹底や過去事例の問題点を共有するなどして意思統一を図り、航空安全の確保に努めていく。
井田(泉)委員
ボイスレコーダー等の設置状況はどうか。
須藤地域部長
ボイスレコーダーや隊員に装着可能なカメラ等は配備していない。
(3)新たに配備を予定しているドローン及びウェアラブルカメラについて
山崎副委員長
両機材の主な用途について伺いたい。
前原警備部長
ドローンは、カメラで人が近づけない場所を上空から把握することが可能なため、断崖での山岳遭難や火山噴火等の捜索・救助活動、湖沼等における行方不明者の捜索などに活用したい。また、ウェアラブルカメラはマラソン警備はもとより、警衛・警護、不特定多数の者が集まる各種イベント会場における不審者や不審物の捜索、山岳遭難救助等でも有効活用したい。
山崎副委員長
配備予定所属についてはどうか。
前原警備部長
ドローンは、災害現場出動の多い機動隊に配備し、ウェアラブルカメラは、警衛・警護警備等に対応する警備第二課で管理・運用を図りたい。
山崎副委員長
ドローンの操縦経験者の有無と訓練方法についてはどうか。
前原警備部長
配備予定の機動隊中に操縦経験者はいないが、映像担当者、タイムキーパー、操縦者の3人1組で民間事業者による講習や、受講者による他の隊員への伝達、飛行訓練を重ね、操縦技術等の向上に努めたうえで、各種現場での活用に万全を期したい。
山崎副委員長
ドローンを既に配備している都道府県警察はあるのか。
前原警備部長
近県では、災害等の用途により、警視庁のほか山梨、新潟、長野、埼玉県警等が導入していると承知している。
(4)刑法犯の減少要因について
織田沢委員
犯罪抑止面での要因についてはどうか。
金田生活安全部長
最大の要因は、県民の間に自主防犯意識が浸透し、官民一体となった犯罪防止対策が継続的に講じられてきたことにあると認識している。
織田沢委員
犯罪検挙面での要因についてはどうか。
高橋刑事部長
28年中の刑法犯の検挙件数は7,004件、検挙率は50.0%となっており、全国で11位、警視庁を除く関東管区内では1位である。刑法犯検挙人員全体に占める窃盗犯の割合は62.5%であり、主な事例として、本県や栃木県などの関東5県下で395件の窃盗等を行った犯人や、中之条町地内の若山牧水像等を盗んだ犯人の検挙等があるが、これらの被疑者検挙や防犯カメラ等の活用が刑法犯減少の要因の1つと思われる。
(5)詐欺被害について
織田沢委員
詐欺被害全般の現状についてはどうか。
高橋刑事部長
28年中の詐欺被害の現状は、認知件数685件(前年比109件増)となっており、このうち、特殊詐欺の認知件数は222件(前年比28件増)、それ以外の詐欺の認知件数は463件である。主要な手口は、無銭飲食、無銭宿泊、無賃乗車や、金融機関で口座開設し預貯金通帳やキャッシュカードをだまし取るもの、商品の売却を装って金をだまし取る売りつけ等がある。
織田沢委員
詐欺の防止方策についてはどうか。
金田生活安全部長
NO!詐欺コールセンターの電話指導で悪質商法に関する注意喚起を行っているほか、イベント等を通じたパンフレットの配布等の啓発発動を行っており、引き続き、犯行手口に沿った啓発活動を推進して県民の被害防止に取り組んでいきたい。
(6)少年非行について
臂委員
少年非行の現状と特徴はどうか。
金田生活安全部長
28年中、犯罪少年の検挙人員は373人と前年比179人減であり、内訳は、刑法犯少年が316人と前年比38.3%減であるが、特別法犯少年は57人と前年比42.5%増となっている。特徴は、再犯者率が34.8%と依然として高いことや、52%が中学生・高校生で、万引きや自転車盗等の初発型非行や街頭での犯罪が依然として多いこと、インターネット利用犯罪の浸透がうかがえることなどがある。
臂委員
県警察の取組状況はどうか。
金田生活安全部長
検挙・補導等に加え、関係機関・団体と連携し、少年の規範意識の向上、社会との絆を醸成し健全育成を図る少年の居場所づくり活動、学校における体験型万引き防止教室、非行防止教室等の開催、児童・生徒等を対象とした「情報モラル講習会」の開催などを行っている。
臂委員
学校等関係機関との連携状況はどうか。
金田生活安全部長
県教育委員会との人事交流や、平成16年から学校・警察児童生徒健全育成推進制度に関する協定を締結し、個別の情報交換等を行っている。
臂委員
インターネットの被害防止に向けた取組についてはどうか。
金田生活安全部長
サイバー犯罪対策課の担当者が学校を回り、各学年に合わせ、DVDを活用するなど被害を視覚的にも分かりやすく説明している。昨年は210回、39,011人に対して実施しており、今後も継続実施して犯罪と被害の防止を図っていきたい。
臂委員
ボランティア団体との連携についてはどうか。
金田生活安全部長
少年補導員が各警察署単位で活動しており、少年非行防止に取り組んでいただいていることから、今後も引き続き連携して少年の健全育成に取り組んでいきたい。
臂委員
ボランティアとの連携を深めるための取組についてはどうか。
金田生活安全部長
ボランティア団体に対し、タイムリーな少年非行情勢の情報提供を行い、情勢に合った活動をしてもらえるよう努めている。
(7)信号機のLED化について
藥丸委員
LED化の現状はどうか。
上原交通部長
本年2月末現在、県内4,170基の信号機中、2,212基の信号機の一部又は全部の灯器にLED式灯器を使用している。灯器別では、車両用灯器25,125中10,099灯器、歩行者用灯器20,886灯器中9,956灯器、矢印灯器2,480灯器中1,947灯器となっている。なお、電球式灯器は、19年に製造が打ち切られており、以降は車両用も歩行者用も全てLED式灯器が使用されている。
藥丸委員
今後のLED化の予定はどうか。
上原交通部長
現在、老朽化した信号柱及び信号制御機の更新整備を優先的に進めているが、LED式灯器は事故防止効果も高く経費節減にもつながることから、要望を踏まえて整備率を高めていきたいと考えている。なお、来年度は410灯の電球式車両用灯器及び9,500灯の歩行者用灯器のLED化をすべく、当初予算案に経費計上している。
(8)防犯カメラについて
角倉委員
防犯カメラの設置状況はどうか。
金田生活安全部長
県内の街頭防犯カメラ設置状況は、本年2月末現在629か所、1,791台を把握しており、年々増加傾向にある。
角倉委員
被疑者特定につながった件数はどうか。
金田生活安全部長
28年中の刑法犯検挙件数中、余罪を除く本件事件は3,881件であるが、うち防犯カメラの画像が被疑者特定の端緒となったものは154件である。
角倉委員
プライバシーの保護、人権確保に関する認識についてはどうか。
金田生活安全部長
警察が管理・運用するものは、公安委員会規則等に基づき適正運用を図っている。また、自治体や商店会等が設置したものは、県が定めた「防犯カメラの設置及び運用に関するガイドライン」に基づき適正運用が図られており、警察からも必要なアドバイスに努めている。
角倉委員
最も配慮している点は何か。
金田生活安全部長
カメラ画像の漏洩防止と設置の必要性だと認識している。
(9)Nシステム(自動車ナンバー自動読取装置)について
角倉委員
運用台数や今後の増設予定はどうか。
高橋刑事部長
整備数を明らかにすることは、犯罪者に設置場所等を推測する手がかりを与えてしまう可能性があり、システムの効力を失するおそれがあることから答弁は差し控えたい。なお、同システムの増設については、道路状況の変更等に応じて適切に対応していく。
角倉委員
Nシステムの設置時期及び費用についてはどうか。
高橋刑事部長
全国的には平成6年ころから設置されていると聞いている。なお、費用等については、答弁は差し控えたい。
角倉委員
Nシステムの導入効果はどうか。
高橋刑事部長
システムを活用することで、自動車利用犯罪の早期解決が図られているほか、凶悪犯や連続犯などの重要事件捜査で、従来の捜査手法では解決が困難だった事件に関しても犯人検挙や犯行の裏付けに多大な成果を上げている。
角倉委員
来年度の増設予定はどうか。
高橋刑事部長
現在のところ増設予定はない。今後の道路新設状況や交通量等を勘案し、適宜適切に判断したい。
(10)迷惑電話チェッカーについて
角倉委員
迷惑電話チェッカーの利用状況はどうか。
金田生活安全部長
警察庁では、平成26年5月からチェッカーの実証実験を全国規模で実施しており、本県でも同年10月から希望者に貸出し、現在は181世帯で実証実験中である。
角倉委員
チェッカーの効果はどうか。
金田生活安全部長
昨年8月実施のアンケート調査では、設置前は93%の方が不審な迷惑電話が架かってきたと回答していたが、設置後は迷惑電話が時々あったが66%から58%へ減少し、ほとんどないが6%から25%に増加した。設置者の感想として、「安心して電話に出られるようになった。」など好評とのことである。
角倉委員
今後の取組についてはどうか。
金田生活安全部長
今後ともチェッカーを始め、留守番電話機、自動録音機能等、迷惑電話防止に向けたサービスの周知に努めていきたい。
角倉委員
今後は広めていくということか。
金田生活安全部長
実証実験は29年9月までで、その後は未定となっているが、現在も希望者には有料でサービス実施していると承知している。
(11)GPS捜査について
角倉委員
現在、GPS捜査を実施しているのか。
高橋刑事部長
個別の捜査に係る具体的状況を明らかにすることは、今後の捜査に支障を及ぼすおそれがあるため回答は差し控えたい。
角倉委員
最高裁で令状が必要だと判断された場合、今後は令状を取得してから実施するのか。
高橋刑事部長
今後、最高裁判所で審理されている事案の判決も踏まえ、適切に対応していきたい。
(12)男女共同参画社会の実現に向けた取組状況について
加賀谷委員
女性警察官採用に向けた取組状況はどうか。
新倉警務部長
平成23年に「群馬県警察女性警察官採用・登用拡大計画」を策定し、33年4月までに女性警察官を総数の10%以上にすることを目標に掲げて推進してきた。また、女性を対象とした採用の取組として25年度から採用イベント「女子ラボ」を実施しているほか、昨年から県警察公式ツイッターで「女性職員の声」として女性警察官の活躍情報等を積極的に発信している。さらに、新たに作成した警察官募集パンフでは女性警察官が働きやすい職場環境もPRしている。
加賀谷委員
女性警察官の比率及び全国順位等はどうか。
新倉警務部長
女性警察官の比率は、23年度は258人、7.6%であったが、今年度は322人、9.3%にまで向上しており、全国平均8.4%を上回り、全国第4位となっている。また、29年度当初には、暫定値で349人と10%に届く見込みである。
加賀谷委員
女性警察官の幹部への登用状況はどうか。
新倉警務部長
警部補以上の者を「幹部」とすると、23年度は、警部5人、2.0%、警部補21人、2.5%であったが、来年度には、警部9人、3.5%、警部補は37人、3.9%となる見込みである。
加賀谷委員
女性の視点を反映した取組の状況はどうか。
新倉警務部長
仕事と子育ての両立支援への取組として、妊娠申告シートの作成、プレママ・プレパパ研修会の開催、育児休業中の職員への情報提供、育児休業復職時の配偶者職員を帯同しての教養、育児に伴う勤務制限者ポストの指定、小学校3年生までの子の養育を対象とした子育て部分休暇制度の運用等に取り組んだほか、女性警察官等を対象とした術科訓練や女性被疑者等を取り扱う際の実務教養等を実施し、対処能力の向上を図っている。
(13)改正道路交通法に係る高齢運転者対策について
井田(泉)委員
県内で高齢者が関係した交通事故発生状況はどうか。
上原交通部長
県内の交通事故発生件数は平成17年から連続して減少中であるが、65歳以上の高齢者の関係する交通事故発生件数は3千件前後で推移しており、高齢者の方が加害者となる比率は年々高まっている。
井田(泉)委員
道交法改正の概要はどうか。
上原交通部長
これまでとの違いは主に二点で、一点目は、専門医の受診対象の拡大である。75歳以上の方の更新時の認知機能検査は同じだが、第一分類と判定された方は、交通違反の有無に関係なく専門医診断が必要で、認知症と判明した場合は運転免許の取消し又は停止処分となる。また、二点目は、臨時認知機能検査と臨時高齢者講習の新設である。
井田(泉)委員
改正後、専門医の診断を受ける対象者の予測数はどうか。
上原交通部長
専門医の受診対象とされる方は最多で約2千人と予測しているが、中には公安委員会指定医でなく主治医の診断を受けたり、本人希望で再度検査を受けた結果、専門医の診断対象から外れる方もいるため、最少予測数は約400人前後と見込んでいるところである。
井田(泉)委員
専門医の確保状況はどうか。
上原交通部長
今回の法改正を見据え、一昨年来、県医師会や各医療機関に協力いただき、公安委員会指定医の増員に取り組み31名にまで増員できた。予測数からすると対応可能と考えているが、仮に対応困難な状況が生じれば、速やかに更なる増員に取り組むことにしている。
井田(泉)委員
診断結果で運転免許の取消しとなるため、医師の判断も難しいと思うがどうか。
上原交通部長
県警では、診断書様式を定めており、主治医の診断を受ける方には、この診断書を持参して記載していただいている。
井田(泉)委員
認知症ではないと診断した者が交通事故を起こした場合、医師に罰則等があるのか。
上原交通部長
認知症の判断は医師にしていただくが、取消しや停止の判断は警察で行っているため、医師に責任が及ぶことはない。