本文
文教警察常任委員会(教育委員会関係:平成28年度)平成29年3月6日(月曜日)
1.開催日時
平成29年3月6日(月曜日)10時00分開始 11時10分終了
2.開催場所
302委員会室
3.出席委員
委員長:清水真人、副委員長:山崎俊之
委員:腰塚誠、委員:織田沢俊幸、委員:角倉邦良、委員:井田泉、委員:臂泰雄、委員:藥丸潔、委員:加賀谷富士子
4.欠席委員
なし
5.主な質疑
(1)第50号議案(一般会計補正予算)について
臂委員
就学支援金及び奨学のための給付金事業の内容はどうか。
田谷管理課長
就学支援金は、市町村民税所得割額が304,200円未満で夫婦の年収が910万円未満の場合、授業料相当額を国から給付されることで、実際には授業料が無償となるものである。一方、奨学のための給付金は、授業料以外の修学旅行費やPTA徴収金などに充てるため所得の低い家庭に対して定額を給付する制度である。
臂委員
両事業の実績はどうか。
田谷管理課長
就学支援金の平成27年度実績は、全体の対象生徒数27,699人中、給付者数が24,046人で、給付割合は86.8パーセントとなった。また、奨学のための給付金は、対象生徒数27,699人中、給付者数が3,571人で、給付割合は12.9%であった。
臂委員
事業の減額理由は何か。
田谷管理課長
いずれも当初予算の段階では26年度における1年生の実績と、27年度の1・2年生の実績見込から生徒数を見込んだが、年度途中に退学等があり必要額が少なくなったためである。また、奨学のための給付金は、第1子と第2子以降とでは給付額が大きく異なるが、本年度は第1子よりも給付額の多い第2子以降が見込みより少なかったため減額となった。
臂委員
子どもの貧困対策推進計画では、小中の要保護・準要保護就学援助率が全国平均に比べ上がっていかないが、高校生に対する援助率が違うのは、きちんと対応しているからなのか。
田谷管理課長
対象者の要件が異なることもあるが、高校生を対象とした両制度とも受給されない方が極力出ないよう学校現場で周知に努めてもらった。導入3年目となりノウハウが蓄積された結果、締め切り後に勘違いで申請しなかったという声はほとんど聞かれなくなった。
井田委員
尾瀬ハートフルホームシステム事業の概要はどうか。
山口高校教育課長
県立尾瀬高校の自然環境科では、自宅からの通学が困難な生徒は地域の一般家庭であるホストファミリーで受け入れてもらっており、県から宿舎借上料として生徒1人当たり、月に2万5千円を支払っている。生徒は食費のみ自己負担で、今年度の利用生徒は17名である。
井田委員
事業費を減額補正する理由は何か。
山口高校教育課長
入居者数が確定するのは3月の高校入学者選抜実施後であるため、予算では不足が生じないよう要求している状況であり、確定に伴い不要額を減額するものである。
(2)第80号議案(和解及び損害賠償の額を定めること)について
藥丸委員
賠償額194万円の算定方法についてはどうか。
田谷管理課長
当初から県教育委員会の顧問弁護士に関わってもらい、まずは、請求者から見積書を徴したうえで、庭木に関しては樹木医の鑑定を行うとともに、家屋については当課の建築技師による調査や確認を行った。それらを踏まえて顧問弁護士とも相談を重ねて算定した。
藥丸委員
再発を防止するための取組を徹底してほしいがどうか。
山口高校教育課長
火災後の高校の校長会議において、実験・実習を行う際には安全管理に配慮し、事故防止を徹底するよう指示した。また、工業高校では、溶接や旋盤等の危険を伴う実習が多く校長に安全管理徹底を再度指示するとともに、各校の具体的な取組について情報交換を行った。さらに、公立高等学校長あてに「実験・実習における安全指導及び事故防止の徹底について」の通知を出し指導の徹底を図った。
井田委員
賠償に要する経費の財源はどうなっているか。
田谷管理課長
保険の対象とはならず、一般財源の高等学校費中で「補償補填賠償金」として補正予算を計上している。
(3)外国人の児童生徒への学習支援に対する取組について
角倉委員
県教育委員会ではどのような支援を行っているか。
三好義務教育課長
県で配置している日本語指導教員と市町村が採用している支援員を対象に、指導の質を高めるための研究協議会を開催し、外国人支援に取り組むNPO関係者も招いて意見交換なども行っている。また、総合教育センターでも日本語指導研修講座を開設し、教員の指導力向上を図っている。
角倉委員
日本語習得が支援の基本であると考えるが、どのような取組を行っているか。
三好義務教育課長
県では日本語指導ができる教員の養成に力を入れており、外国人児童生徒が多い学校を対象に特別に日本語指導教員66名を配置している。その教員の指導力向上を図るとともに、市町村の支援員と情報交換しながら支援向上に努めている。
角倉委員
外国人児童生徒の不登校者数は、本年度、中学生33名、小学生11名と聞いているが近年の状況はどうか。
三好義務教育課長
ここ数年は、ほぼ同様の人数となっている。
角倉委員
外国人児童生徒の不登校の原因は主に言葉の問題によるものなのか。
三好義務教育課長
言葉の問題も原因の一つであるが、子どもを学校に通わせることに対する意識が低い保護者がいることが原因となっている事例もある。
角倉委員
不登校などの問題が深刻にならないよう対応することが重要だと考えるが認識はどうか。
三好義務教育課長
本県に定住し活躍したいと考える子どもたちも少なからずおり、市町村教育委員会やNPOとも連携しながら学習支援の充実に取り組んでいきたい。
(4)貧困家庭の児童生徒への学習支援の取組等について
角倉委員
学習支援の取組状況はどうか。また、学校は家庭の貧困状況をどう掌握しているのか。
三好義務教育課長
生活保護や就学援助を受けている家庭については、学校で把握している。貧困の家庭に特化した学習支援は健康福祉部や市町村で実施しており、学校では放課後や長期休業中における補習などの支援を、貧困であるかないか区別することなく行っている。
角倉委員
就学支援を受けている子どもたちの状況はどうか。
田谷管理課長
要保護及び準要保護児童生徒就学援助という制度があり、経済的理由で就学が困難と認められる児童生徒の保護者に対し、市町村が必要な援助を与えるものである。要保護とは生活保護受給世帯であり、援助対象は修学旅行費がメインとなる。25年度の実績で、実際にこの制度で援助を受けたのは138人であった。準要保護は生活保護受給者に次いで所得が低い世帯に対し、学用品費等の援助を行うもので、対象人数は10,222人であった。
角倉委員
子供の貧困対策に関する大綱により学校現場では対応が進んだのか。
三好義務教育課長
大綱に示されたことで、県や市町村で教育委員会と福祉部局の連携が進んできた。例えば貧困が理由で学校に来られなくなってしまった児童生徒に対し、速やかにケース会議を実施するなどの事例が増えている。
角倉委員
教育と福祉の連携においてスクールソーシャルワーカーが重要な役割を担うことになると思うがどうか。
三好義務教育課長
教育と福祉の連携はますます重要となっており、各地域の援助制度にいち早くつなぐことが大切なため、スクールソーシャルワーカーに限らず、市町村に教育と福祉をつなぐ役割を担う人材を配置し、学校を支援してもらえるよう配慮を依頼している。
(5)スクールソーシャルワーカーの配置状況と取組の成果について
加賀谷委員
今年度の配置状況と取組の成果はどうか。
三好義務教育課長
県内3つの教育事務所に、社会福祉士及び精神保健福祉士の有資格者を2名ずつ配置し、各年間180時間勤務できるようにしており、今年度は4月から1月までに子供達の支援方法に関するケース会議を開催するなど、83ケースの支援を行った。
加賀谷委員
スクールソーシャルワーカーはどのように派遣しているのか。
三好義務教育課長
原則として、学校から市町村教育委員会を通して要請があった場合に派遣することになっている。
加賀谷委員
派遣型より拠点型の配置の方が有効と考えるがどうか。
笠原教育長
市町村からスクールソーシャルワーカー増員要望もあり、別の観点も重要と考えている。貧困問題等は、最終的に福祉制度にいかに早く的確につなげられるかがポイントであるが、福祉制度は基本的に市町村が担っており、学校と市町村福祉部門との連携強化が重要である。市町村教育委員会内に福祉制度を十分理解した人材を配置する仕組みづくりが必要と考えており、首長や教育長と議論しながら、貧困対策が進められるような体制づくりを一緒に考えていきたい。