本文
文教警察常任委員会(教育委員会関係) 平成26年12月5日(金曜日)
1.開催日時
平成26年12月5日(金曜日)11時35分開始 15時08分終了
2.開催場所
302委員会室
3.出席委員
委員長:星名建市、副委員長:安孫子哲
委員:中村紀雄、委員:岩井均、委員:塚原仁、委員:あべともよ、委員:岸善一郎、委員:吉山勇、委員:高橋正
4.欠席委員
なし
5.主な質疑
(1)第146号議案に係る給与改定について
あべ委員
今回の改定により平均7万4千円程度収入額になると聞くが、教育委員会でも同様か。
松本学校人事課長
教育委員会でも概ね同様の状況と認識している。
あべ委員
可処分所得の実質的増加という観点では、今回の改定効果は限定的と思われるがどうか。
松本学校人事課長
効果が十分かどうかはわからないが、県教委としてはこれまでも人事委員会勧告を尊重してきており、引き続き尊重していきたい。
(2)伊勢崎市で起きた小6児童の死亡事案について
中村委員
事後の対応が重要であると考えるが、県教育として本件の状況をどう捉えているのか。
野村義務教育課長
12月1日に一報が入り、義務教育課職員がすぐに学校に出向いて緊急対応についてのアドバイスを行った。現在、当該市教育委員会や学校において、教職員や児童等への聴き取りを行っており、今後、事実を明らかにしていく。また、スクールカウンセラースーパーバイザーを派遣し心のケアを実施している。
中村委員
今後どのように対応していくのか。
野村義務教育課長
児童生徒の死亡事故が発生した場合、自殺か自殺でないかが大切な判断材料になる。今回の事案はまだどちらかは分からないが、遺族のことを第一に考え丁寧、誠実、細心の注意を払って対応していきたい。
中村委員
児童の母親には接触したのか。
野村義務教育課長
県教委としては接触していない。校長や担任は母親に会って対応している。
(3)学力向上に係る読書の推進について
中村委員
読書活動は学力向上の大きな要素であるが、いかに読書の動機付けをしていくのか。
下田生涯学習課長
現在、9割以上の小中学校で朝読書を実施しており、今後は家庭や地域での読書時間を増やす必要があると考えている。読書の習慣付けのため親に対して読書の意義を伝えていくことが重要だと考えている。
中村委員
朗唱は学校教育において大切だと考えているが、教育委員長と教育長の考えはどうか。
坂本教育委員長
委員の話を聞き「上毛カルタ」を思い出した。小学生当時は意味が分からなかったが、カルタをする中で学び大人になって分かることがあった。前橋市立桃井小が行っている朗唱の価値について他の学校に伝えていきたい。
吉野教育長
朗唱等、意味が分からなくても音声に出すことが大事であり、意味が分かることで人間として成長する。学校ごとに発達段階に応じた素材を取り上げていくのがよい。全国的にも一斉に朗読したりなどの形で行っており、本県でも機会を捉え話題としてとりあげたい。
中村委員
時に応じたものを授業に結び付けていくことが大事だと思うがどうか。
吉野教育長
ほとんどの学校で話題性のある事柄を朝のホームルーム等で取り上げ、子どもたちに伝えている。教員の資質として、日常にあるものを吸収し子どもたちに伝えることが大切である。
(4)全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果について
岩井委員
調査の結果として体力が向上したようだが、どのように評価しているのか。
高橋健康体育課長
各学校が「体力向上プラン」を作成し組織的に取り組んだことや、全小・中学校の体育主任が参加した研修会を開催したこと、指導資料を作成し実施上の留意点を十分理解した上で調査が実施できたこと、モデル校においてトップアスリート等を活用しながら他の学校のモデルとなる取組を推進したことなどで良い結果につながったと評価している。
岩井委員
今後の取組についてどのように考えているか。
高橋健康体育課長
教員の資質向上や生活習慣の改善にも配慮しながら、今後も継続して体力向上に対する取組を推進していきたい。
岩井委員
調査の実施時期について工夫していくことも考えはどうか。
高橋健康体育課長
本年度は、実施月を6月や7月に設定している学校が増えたと承知している。今後も各学校が指導資料を活用しながら適切に調査が実施できるよう指導していきたい。
(5)新教育委員長としての抱負について
岩井委員
新しく教育委員長となった抱負はどうか。
坂本教育委員長
小・中・高等学校でそれぞれの子どもたちが自分の将来に夢を持ち、夢に向かって努力できるよう取り組んでほしいと思っている。子どもたちが学校が楽しい、学ぶことが楽しい、先生や仲間と過ごすことが楽しいと思える環境をつくっていきたい。また、より良い教育を行うためには資質向上も必要であり、指導力をしっかり高めていける環境づくりも行っていきたい。
岩井委員
人口減少社会にあって教育の中でも取り組めることがあると思うが、考えはどうか。
坂本教育委員長
子どもたちが、群馬県は良い、自分の住んでいる地域は良いと思っていれば、一時的に群馬を離れても戻ってくることもあると思う。そういう意味では、学校において郷土を愛する心を育てる教育を行うことは一つの方法ではないかと考えている。
岩井委員
小・中学生のうちから地方に住むことを前向きに考えてほしいと思うがどうか。
坂本教育委員長
学校にはそれぞれ独特の良さがあり、外から見て良い指導をしていると思ってもらえる学校をつくっていくことも学校ができる取組かと思う。地方に住んでもらえるような、地方を盛り上げる取組については、引き続き考えていきたい。
(6)群馬県子ども読書活動推進計画(第三次)について
塚原委員
計画書中で県内公共図書館の児童図書蔵書冊数が平成21から22年度にかけ約5万冊減っているが、その理由は何か。
下田生涯学習課長
減少は高崎市立図書館が新館開館に向けた移転のため約8万冊の大規模除籍をしたためであるが、県全体では約5万冊の減であったことから、全体としては約3万冊の増であったと言える。なお、県立図書館の蔵書冊数減は24年度に定期的な除籍を行ったためである。
(7)群馬県いじめ問題等対策委員会について
塚原委員
いじめ案件が重大事態に当たるかどうかの判断は誰が行うのか。
鵜生川高校教育課長
「群馬県いじめ防止基本方針」には重大事態への対処について「県教育委員会又は県立学校は、その事案が重大事態であると判断したときは速やかに、その下に組織を設け、当該重大事態に係る公平・中立な調査を行う。」とあり、県教育委員会又は県立学校が判断する。
塚原委員
これまでに、当該調査委員会で議論した事例はあるのか。
鵜生川高校教育課長
そうした事例はない。
塚原委員
調査委員会では平成22年の桐生市で発生した事案は取り上げたのか。
野村義務教育課長
当該事案は調査委員会設置前の事案であり、本調査委員会は活用していない。
塚原委員
伊勢崎市での転落の事案はどうは。
野村義務教育課長
当該委員会設置条例が施行される平成27年4月までに伊勢崎市から要望があれば、この委員会を活用できる。
塚原委員
設置目的にある、いじめ以外の生徒にかかる重大な事故とはどのようなものか。
関総務課長
現在の調査委員会においても、学校の管理下における死亡事故や重度の障害や後遺症が残った事故について調査対象としており、条例施行後も同様と考えている。
塚原委員
調査委員会が活用できることを各市町村に周知しているか。
野村義務教育課長
5月の市町村教育委員会学校教育主管課長会議で説明しており、各市町村教育委員会ではこの調査委員会が使えることを承知している。
塚原委員
条例設置の必要性について、各市町村への働きかけはどうか。
関総務課長
条例設置による調査機関の必要性について、5月の市町村教育委員会学校教育主管課長会議や10月の市町村教育長協議会、11月の指導主事会議などにおいて説明してきたところである。
塚原委員
事案発生時に迅速に対応できるよう市町村をフォローする必要があると思うがどうか。
関総務課長
県の条例案を参考に示してほしいという相談も受けているほか、委員選任では職能団体に依頼する際は県が窓口となることともしており、市町村への積極的な支援を行っていきたい。
あべ委員
委員は5名程度を想定しているとのことだが、現調査委員会メンバーと同じ者なのか。
関総務課長
新たに条例設置するもので委員も新任することとなるが、同じ者となるかどうかは現段階では未定である。
あべ委員
現調査委員会には女性は何人いるのか。
関総務課長
保護者代表として1人いる。
あべ委員
委員は中立・公正な判断ができる人としているがどのように考えているのか。
関総務課長
客観的な事実に基づいて中立・公正な調査を行える人と考えている。
あべ委員
保護者から学校側に立った委員会と見られる恐れもあり、配慮が必要だと思うがどうか。
関総務課長
学校から独立した委員会として中立・公正な調査を行うが、いじめを受けた子どもにも十分な配慮を行っていきたい。
(8)県立高等学校における校舎施錠後のAED利用について
塚原委員
校舎が施錠されている夜間や休日に、学校のAEDは使用することができるのか。
高橋健康体育課長
特別支援学校を除く県立高校64校中、施錠後にAEDが使用できない学校は、本年9月現在で8校と把握している。
塚原委員
AED使用できない学校についての対応はどうか。
高橋健康体育課長
校長会等でも教職員のAED使用の研修実施をお願いしてきたが、今後は施錠後でも使用できるような設置についても指導していきたい。また、中学校では施錠後に部活動をすることはないと思われるが、念のため市町村教委にもお願いしたい。
塚原委員
中学校での現状について把握しているか。
高橋健康体育課長
中学校での校舎施錠後のAED使用は把握しておらず、今後、調査したい。
(9)「確かな学力」研究推進校の成果と今後の取組について
塚原委員
「確かな学力」研究推進校の15校をどのように指定したのか。
野村義務教育課長
教育事務所のバランスも考え、県内の小学校8校、中学校7校を指定した。
塚原委員
研究推進校の成果と今後の取組はどうか。
野村義務教育課長
各指定校では、学力向上に学校全体で組織的に取り組むため少人数指導の充実や指導体制の工夫、教員の指導力の向上、家庭との連携といった視点から研究を進めており、発表機会を設け公開授業や実践発表等を行っている。今後はこうした取組を県全体に広めていきたい。
(10)経済的困窮等の家庭の子どもの学習支援について
あべ委員
生活困窮者自立支援法に定める子どもの学習支援についてどのような検討をしているか。
関総務課長
本年1月施行の子どもの貧困対策の推進に関する法律で、地方自治体は貧困の状況にある子どもの教育に関する支援のために必要な施策を講ずるものとされ、文部科学省の来年度概算要求でも、スクールソーシャルワーカーの配置充実や放課後等での学習支援が要求されているが、これらを踏まえ、健康福祉部を中心に教育委員会や関連部局も参画し検討していく予定である。
野村義務教育課長
学習支援としては、多くの学校で放課後や長期休業を利用して補充学習を行っているが、生活困窮家庭の児童生徒に限って行っているものではない。子ども貧困対策法に基づく学習支援については福祉部局を中心に行っている。
鵜生川高校教育課長
経済的困窮世帯の子どもの中には、学力に課題のある者もいると認識しており、こうした生徒に対しては、経済的困窮世帯であるかどうかにかかわらず、昼休みや放課後、長期休業などを利用して各学校で様々な支援を行っている。
あべ委員
福祉部局に任せるのではなく、教育委員会も積極的に関わる必要があるのではないか。
関総務課長
今後、国の大綱を踏まえた県の総合的な取組を具体的に検討していくことになるので、教育委員会も関わった上で検討を進めていきたい。
あべ委員
経済的困難、DV、虐待などの課題を抱えた子どもたちの支援ついてどう考えているか。
野村義務教育課長
小中学校においてDV、虐待などの子どもへの指導には難しさがあり、児童の家庭状況が周りに分からないようプライバシーに配慮しながらきめ細かく指導している。
鵜生川高校教育課長
問題については、学級担任や生徒指導・教育相談の教職員が関わりながら、各生徒に一番適した支援を行っている。現在、健康福祉部で行っている事業についても、経済的困窮だけを理由に支援できるのかどうかを含めて検討が必要と考えている。
あべ委員
高校の先生は生徒の家庭の経済状況を把握しているのか。
鵜生川高校教育課長
中学校から生徒に関する情報提供がされることがあるほか、諸会費免除の申請などで経済的に家庭が困窮しているかどうかの情報が事務室に入るが、家庭の経済的事情を把握していても他の生徒と同じように接する配慮をしている。
あべ委員
民間の支援団体との連携についてはどうか。
野村義務教育課長
十分に連携を取り合っていく。福祉部局との仲立ちとなるスクールソーシャルワーカーなどの力も必要になる。
(11)性暴力被害やデートDVへの対応について
あべ委員
学校には性暴力被害やデートDVに特化した相談窓口はあるのか。
鵜生川高校教育課長
特化した相談窓口はないが、各学校にスクールカウンセラーを配置し、教育相談体制を整えているほか、各学期ごとの教育相談アンケートや約半数の学校で行っている教育相談週間などにより情報を得たり、養護教諭や女性教諭から情報を得ることもある。
あべ委員
性に関する問題の早期支援体制の充実や他機関との連携についてはどうか。
鵜生川高校教育課長
平成23年度から、高校生に対し人権男女共同参画課がデートDVに関するリーフレットを作成・配付しているほか、DV防止講座講師派遣事業も行っており、これまでに30回実施されている。今年度は6校で実施し、来年度は人権擁護委員連合会が高校でデートDVの人権教室を実施する予定であり、様々な形で未然防止に努めながら相談体制を整備していきたい。
(12)教職員の長時間労働見直しについて
あべ委員
長時間労働の見直しについて、その後の取組はどうなっているのか。
松本学校人事課長
校務のIT化を進めたり、会議や調査等を見直すなどで負担軽減に取り組んできたが、昨年度は意識高揚を図るためリーフレットを作成した。今年度はリーフレットを活用した取組を進めており、今後、良い取組については各学校にフィードバックしていきたい。また、学校が、本来は家庭や地域が担うべき役割までも抱え込んでいる状況が見られるため、今後は検討組織を立ち上げ、保護者や地域の方々と連携してそれぞれの役割について整理していきたい。
(13)家庭教育電話相談「よい子のダイヤル」について
岸委員
相談件数はどの程度か。
下田生涯学習課長
平成25年度は1,319件、1日平均5.6件である。26年度は10月末現在で900件、昨年同月比で111パーセントである。
岸委員
相談員は何人いるのか。
下田生涯学習課長
相談員は26名であり、医師や大学の先生など特別相談員が4名いるほか、県総合教育センターの相談員や市町村の青少年育成担当相談員、元学校の先生などがいる。
岸委員
相談内容はどのようなものか。
下田生涯学習課長
子どもの世代によって違うが、乳児の場合は夜泣きをする、小学生の場合は子どもが発達障害の疑いがあるのではないか、中学生の場合は不登校やいじめ、反抗期の対応、高校生の場合は子どもへの対応の仕方などの相談が多い。高校生は本人からのいじめの相談もある。
岸委員
事業をどのように周知しているのか。
下田生涯学習課長
リーフレットや事例集を作成し、県関係機関及び市町村の保健所、図書館、公民館等へ配付している。また、ホームペ-ジへの掲載や、上毛新聞、FMぐんま等での周知、PTA研修会等でのリーフレット配付などを行っている。
(14)郷土の歴史の理解と関心の向上について
岸委員
史跡観音山古墳及び史跡上野国分寺跡の保護管理と活用状況はどうか。
洞口文化財保護課長
上野国分寺跡では3人、観音山古墳では2人の説明員を配置し、学校の校外学習や社会教育の団体見学などに対応している。また、チラシやパンフレットを配付しているほか、国分寺跡では古代史講座の開催や現地説明会の実施などで活用啓発に努めている。
岸委員
上野国分寺跡の出土遺物、調査資料等の管理状況はどうか。
洞口文化財保護課長
観音山古墳の出土品は重要文化財に指定され、県立歴史博物館で保管しており、リニューアルオープン後に東国文化の代表的資料として中心的な役割を担う。また、国分寺の出土遺物は発掘調査資料とともに県埋蔵文化財調査センターで保管し、主要な瓦などはガイダンス施設「国分寺館」で展示している。
岸委員
国分寺跡ではまだ発掘調査が行われるが、出土品を展示できる資料館を作ったらどうか。
洞口文化財保護課長
発掘調査において驚くほどの成果が上がっており、その成果を活かし国分寺全体の整備計画練り直しを行う中で、ガイダンス施設のリニューアル等も検討していく予定である。
岸委員
第5回国分寺まつりの衣装の保管等はどうなっているのか。
洞口文化財保護課長
衣装は群馬歴史文化遺産発掘・活用・発信実行委員会が文化庁の補助金で作製した絹製品で、生活文化スポーツ部文化振興課が所管しており、現在はぐんま男女共同参画センターで一括保管していると聞いている。
(15)部活動指導について
吉山委員
部活動指導について、職務上の位置づけはどうなっているか。
松本学校人事課長
部活動は教育活動として位置づけられており、教員の本来業務と考えている。正規の勤務時間外における教材研究や生徒指導等と同様、校長の職務命令ではなく教員の自発的な勤務に拠っている。
吉山委員
校務ならば手当額を見直した方がよいと思うがどうか。
松本学校人事課長
手当額に対する認識について調査したことはないが、教員の勤務時間には特殊性があり、児童生徒の健全育成には有効な教育活動として取り組んでもらっている。