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地球温暖化・電力システム改革に関する特別委員会 平成28年6月13日(月曜日)
1.開催日時 平成28年6月13日(月曜日)
10時00分開始 14時24分終了
2.開催場所
301委員会室
3.出席委員
委員長:新井雅博、副委員長:萩原渉
委員:腰塚誠、委員:久保田順一郎、委員:角倉邦良、委員:水野俊雄、委員:後藤克己、委員:酒井宏明、委員:原和隆、委員:金子渡、委員:金井秀樹、委員:川野辺達也
4.欠席委員
なし
5.主な質疑
(1)水素ステーションの建設について
腰塚委員
燃料電池自動車の普及促進について、水素ステーションがなければ車の普及はできないが、どう考えているのか。
中田環境エネルギー課長
燃料電池自動車の普及に向けて、水素エネルギー関係事業者や自動車メーカー等を構成員とする「群馬県燃料電池自動車普及促進協議会」を設置し、水素ステーションの建設誘致、燃料電池自動車の普及に向けて検討を始め、県内にも水素ステーション建設の動きがある。
腰塚委員
普及するために県や国などが水素ステーションに補助を出せば、推進できるかと思うが、どう考えているか。
中田環境エネルギー課長
国が3分の2を補助しているほか、他県では支援をしているところもあるので、本県でも今後検討していきたい。
腰塚委員
積極的に補助を出して促進を図らなくてはならないと思う。既存のガソリンスタンドが水素ステーションを建設する場合には、優先的に支援するのか。
中田環境エネルギー課長
今後、建設の動きが具体化する中で、そのような視点での支援も検討していきたい。
(2)売電契約について
腰塚委員
企業局は、今後の契約方法や売電方法を見直していくとのことだが、売電価格が高くても問題がある場合もあると思うが、どういったことを検討していくのか。
松田企業局技監(発電課長)
一般競争入札による価格競争でより有利な価格で売電できる一方で、売電先の経営不振による契約不履行などのリスクがあるため、経営状況も考慮して契約先を確保するとともに、少しでも多くの売電収入を確保していきたい。また、東京電力との長期の基本契約も含めて検討していきたい。
腰塚委員
前もって入札に参加する事業者の経営を審査しながら、対応していくことでよいか。
松田企業局技監(発電課長)
一般競争入札を実施する場合は、前もって経営状況を審査することも検討したい。今は東京電力との長期受給基本契約を結んでいるため、それも含め総合的に検討していきたい。
(3)渇水対策について
腰塚委員
渇水対策について、ダムの貯水量が減少しているが、取水制限の見通しはどうか。
船引地域政策課土地・水対策室長
利根川の取水制限は、平成24年、25年と連続して行われたが、当時は10%の取水制限で済んでいる。平成8年には最大30%の取水制限が行われた。現在1日あたり、ダムの水が約1,000万トン減少しているため、このままだと、取水制限を増やしていくことも想定される。
腰塚委員
取水制限の水力発電や農業用水への影響は、30%だとどうなるのか。
船引地域政策課土地・水対策室長
過去の状況では、10%の取水制限であれば、事業者の努力により、大きな影響は報告されていない。ただ、これから田植えが本格化してくるということから、影響を心配している。
腰塚委員
雨が降らなければどうにもならないということか。
船引地域政策課土地・水対策室長
各事業者は、予備水源を活用するなど、過去の例では、10%、20%の取水制限のときは影響は出なかったが、平成8年の30%の取水制限の時は、一部の世帯で水が出にくくなったり、一時的な断水が発生した。
腰塚委員
水力発電への影響はどうか。
松田企業局技監(発電課長)
ダムからの水で発電しているので、ダムの貯水量が減り、水が減れば発電に影響が出る。
腰塚委員
取水制限が30%を超える予想はあるか。
船引地域政策課土地・水対策室長
過去の取水制限は最大で30%であり、それ以上の取水制限が行われたことはない。
(4)省エネ対策に対する補助事業について
久保田委員
省エネ対策に対し、どれくらい補助金が期待できるのか。
中田環境エネルギー課長
県独自の制度である「環境GS認定制度」により、企業の環境配慮活動を支援している。その中の無料の省エネ診断を受けた企業には、どのように取り組めば省エネになるのか提案している。県独自の補助金はないが、COP21を踏まえ、国も省エネ補助金を充実しており、診断結果と合わせそれらの補助金を紹介している。
久保田委員
国の動向はどうか。
中田環境エネルギー課長
政府の国際公約として26%の削減を公表しているため、経済産業省や環境省も補助事業を行ったり、新規事業を提案している。
(5)代替フロンに代わる冷却媒体について
久保田委員
代替フロンはオゾン層の破壊につながらないが、地球温暖化の効果は従来のものより高く、課題があると聞いている。技術的見地から見て、可能性はどうか。
中田環境エネルギー課長
技術的見地からの研究はしていない。
久保田委員
代替フロンも回収していかなくてはならないと思うがどうか。開発途上国でもエアコンを使っている中で、回収のシステムについての認識はいかがか。
中田環境エネルギー課長
代替フロンの放出についての危機感は国も持っていると思うので、回収への取組は進めていかなければならないと考える。
(6)木質バイオマスについて
久保田委員
木質バイオマスは林業の基幹政策だと思っているが、福島の原発事故以降、放射性物質が群馬の森林にも及んでおり、一部には、燃焼して放射性物質が拡散してしまうと心配している方もいる。それをフィルタリングで防いでいく効果について説明してほしい。
山崎林業振興課長
バグフィルターは、県内の一般廃棄物処理施設においても使われており、排気にこれまで放射性物質が観測されたことはない。また、国の研究でも99.9%除去可能との報告が出ている。
久保田委員
データとして結果を国も出しているので、木質バイオマス発電も含めて対応ができるという認識でよいか。
山崎林業振興課長
木質バイオマス発電の安全性については、福島県で2箇所稼働している状況を調査した。ともに未利用材を燃料としているが、いずれも事故の事例はない。
久保田委員
日本の最大の資源は森だという見解もある。群馬県でも特に重要施策であるので、モニタリングも含めて対応をお願いしたい。
(7)環境GS制度について
角倉委員
群馬県地球温暖化対策実行計画の中では、2030年度までに「環境GS認定等事業者」を2万まで増やすとあるが、どのように具体的に取り組むのか。
中田環境エネルギー課長
制度を普及する「環境GS推進員」の活動を活発化していきたい。また、商工会議所や商工会などの総会や研修会などを活用し、県が出向いて制度のPRをしていきたい。
角倉委員
制度を知らしめるために、研修会などの短い時間の中で、分かりやすい説明をしているか。
中田環境エネルギー課長
資料を配付して説明している。
角倉委員
裾野を広げる意味では素晴らしい取組なので、次回の特別委員会で、2万に向けてどういうふうに広げていくのか示してほしい。
中田環境エネルギー課長
2万に向けた方策を検討していきたい。
(8)水力発電の売電について
角倉委員
企業局では東京電力に売電しているとのことであるが、どれくらい水力発電の売電収入があるのか。
松田企業局技監(発電課長)
昨年度の水力発電の実績で7億kWh、約65億円の売電収入となっている。
角倉委員
平成35年度までの電力受給基本契約の取り扱いについて調査検討をしているとのことだが、契約の解除は可能か。
松田企業局技監(発電課長)
契約書に解約に関する取り決めはないが、民法上の契約なので契約解除の場合は違約金等が発生する可能性がある。
角倉委員
違約金以上の利益が出るのであれば、県民にとっても利益になるので、総合的に勘案して調査検討しているのか。
松田企業局技監(発電課長)
そういった状況も踏まえて、売電方法について検討している。
角倉委員
幅広く検討しているということでよいか。
松田企業局技監(発電課長)
電力市場や小売会社の状況も含め総合的に検討することも必要と考えている。違約金等のこともあり現状では東京電力との契約を継続せざるを得ないと考えている。
角倉委員
電力自由化を生かして、群馬県の資産をより高く県民に還元していくことが必要である。
電力受給基本契約に基づく今度の交渉はいつか。
松田企業局技監(発電課長)
現契約は、平成27・28年度のものであり、今年度は平成29・30年度の交渉をする。状況を見ながら東京電力とも協議しながら可能性を検討していきたい。
角倉委員
高く買ってくれるのであれば、積極的に対処していくことも県の責務である。これから交渉に入るとのことなので、電力自由化を背景に、東京電力と話合いを進めてほしいがどうか。
松田企業局技監(発電課長)
原価をベースにできるだけ有利な価格で契約できるよう交渉をしていきたい。
(9)「林業県ぐんま」について
水野委員
山づくり、林業県ぐんまづくりがCO2削減に資するように取り組んでほしいと思うが、その意気込みを伺いたい。
井田環境森林部長
昭和30年、40年代に木を植え、育ててきた先人の努力が実を結び、収穫時期になっている。外部環境を改善し、収穫をして森林の再生産ができるようにすることが、林業の振興になり、地域の活力になると考えている。樹木は成長することによりCO2を固定し、温暖化対策になっている。森林を再生産することにより、将来にわたり吸収源となるため、一本の木を丸ごと利用する施策を進めている。その一つとしてバイオマスの利用等があると考えている。
(10)群馬県地球温暖化対策実行計画について
水野委員
群馬県地球温暖化対策実行計画の削減目標で、森林吸収量は、対策込みでも、未対策でも変わらないのはなぜか。
金井田林政課長
群馬県地球温暖化対策実行計画での森林吸収量1,174千トン-CO2は、京都議定書第一約束期間の基準により算出している。
水野委員
対策をしなかったときに数字が変わらないということは、いまいちピンとこないが、どういう発想なのか。
土屋林政課森づくり主監
森林吸収量は、森林整備・保全に加え、木材の利用を考えるようになっていく。木材を利用することに政策転換してきている。森林を木材製品として利用することが重要となる。
水野委員
間伐して切りっぱなしにしたままでも京都議定書上ではカウントできるが、切った木についても利用に資するよう頑張っていく、そこに政策があるという意味でよいか。
土屋林政課森づくり主監
そのとおりである。今までは間伐して切り捨てでもよかったが、木材として活用していくことによって、長期間CO2が固定され続けるという考え方になっている。
水野委員
それは数字に反映されないのか。
土屋林政課森づくり主監
現在、京都議定書のルールにより計算している。今後、国において、木材利用の考え方も反映されたルールが示されると考えられる。
水野委員
今後反映されると聞いて安心した。これを機に、林業県ぐんまへの足がかりにして加速してほしい。温暖化対策として、林業振興対策を結びつけてほしい。
群馬県地球温暖化対策実行計画の中期目標として、2030年度に2007年度比で3割削減としているが、国の目標と同じ2013年を基準にした場合どうなるか。
中田環境エネルギー課長
基準年を国と同じ2013年に置き換えた場合は、25%削減となり、国の26%削減と同水準となる。
水野委員
国の計画が閣議決定されたのは今年の5月であるが、国が計画の中で示した施策については、県の計画に盛り込まれているか。
中田環境エネルギー課長
県計画を改定したのは昨年の3月であり、時期的に国の計画を反映したものとはなっていない。県計画は2020年度までであり、国の計画で示された施策については、国の計画期間と合わせ、2030年度までの県の次期計画に反映していきたい。
水野委員
その計画を作るのがいつか。国が方向性を示しているのだから、本来であれば来年度くらいには盛り込まれて、各部で考えていくことが求められると思うが、これを意識しているのが環境部門だけで、それ以外では反映しないという心配があるがどうか。
中田環境エネルギー課長
改訂作業は2019年度になると想定しているが、来年度には検討の準備に入るので、できるだけ早く、国の計画内容を反映していきたい。
水野委員
改訂を待たずに、必要な施策については、関係部局に取組を提案できないか。
井田環境森林部長
国と県の計画の整合性を持ちながら、施策を進めていく必要があるので、毎年の施策展開の中で、国の施策の要素も反映していきたい。
(11)群馬県地球温暖化防止活動について
水野委員
群馬県地球温暖化防止活動推進センターは、どのような活動をしているのか。
中田環境エネルギー課長
群馬県地球温暖化防止活動センターは、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき、県が指定している機関である。主に県民の温暖化問題への理解を深めるため、普及啓発活動に取り組んでいる。委嘱している地球温暖化防止活動推進員が連携しながら各地域で「省エネ・節電出前講座」の実施に取り組んでいるほか、推進員の育成・研修も実施している。
水野委員
地球温暖化防止活動は、県民の協力を得るといろいろなことができると思う。例えばゴミを減らすということも、皆が意識をして動き出さないと効果がなかなか上がらない。自転車推進や公共交通など、もっといろいろな事業に手を出していいのではないかと思うがどうか。
井田環境森林部長
温暖化対策は、自発的に取り組んでもらうことが大切である。どうすれば県民に自主的に参加してもらえるか検討していきたい。また、センターとの連携についても、併せて検討していきたい。
(12)小水力発電について
後藤委員
新規事業として小水力発電の有望地点調査が盛り込まれているので、その取組状況を伺いたい。また、地域の企業が地域貢献的な意味合いを持ちながら、赤字にならないような、地域振興と自立的に普及が進んでいくきっかけになる調査にしてほしいがどうか。
中田環境エネルギー課長
小水力発電の適地を探すことは大きな課題であるため、県では新規事業として有望地点調査を実施して、地域の企業や団体など多くの主体が取り組めるようにしたい。7月には調査を行う事業者を選定し、水利権が不要な減水区間が生じない案件を抽出していきたい。
(13)取水制限の水力発電への影響について
原委員
取水制限が出た場合、水力発電にどのような影響があるのか。
松田企業局技監(発電課長)
取水制限となってダムから流す水量が減れば、水力発電量にも影響が出てくる。ちなみに本年は雪解け水が少なく、4、5月の実績でも目標電力量に対して82~83%の供給実績となっている。
(14)省エネに対する県の取組について
原委員
国は長期エネルギー需給見通しの中で、2013年の3億6,100万klから2030年には3億2,600万klに13%減を目標としているが、県は省エネをどう取り組んでいくのか。
中田環境エネルギー課長
各部門の中で一番エネルギーを使うのは事業者である。県としては「環境GS認定制度」を推進する中で、省エネの技術的支援を行うセミナーを年3回、企業の省エネ責任者を対象とした研修会を年2回開催しているほか、無料の省エネ診断を実施している。
原委員
群馬県のエネルギー消費量では、産業部門が一番多く、そこを対処していくことに効果があるということで、いい試みだと思うが、2002年度と2007年度比では、産業部門において7%、業務部門で2%増加しているということで、あまり効果が無いのではないか。
中田環境エネルギー課長
製造業の省エネ対策は早くから取り組んでいるが、オフィス部門は対策が遅れているので、こうした状況を踏まえ取り組んでいかなければならない。
原委員
県では企業誘致をどんどん行っていて、誘致した企業は製造業が中心である。エネルギー消費の大きい企業が来るということだが、企業誘致をするけれども省エネもして、CO2も削減するという真逆のことをやっていくことについてどう考えるか。
中田環境エネルギー課長
新しい工場は、最新の省エネ機器を導入するので、エネルギー効率はよいと考える。課題は既存の工場の古い機器をいかに更新し、エネルギー効率を上げるかである。
原委員
群馬は製造品出荷額が高く、食品加工業も進出している。再生可能エネルギーで20~22%供給していくとのことだが、安定供給についての考え方を伺いたい。
井田環境森林部長
県のエネルギー消費の規模からも、国のエネルギーミックスを踏まえていく必要がある。その上で、地域の資源を活かす観点から、再生可能エネルギーの役割を考えていくことが重要である。
(15)木質バイオマス発電について
酒井委員
前橋市で計画されている木質バイオマス発電について、再生可能エネルギー推進計画では、地域の資源量に応じた小規模化などが求められると記載されているが、大規模な発電施設との整合性はどう考えるか。
中田環境エネルギー課長
木質バイオマス発電については、燃料である木材を安定的に供給していくことが重要である。その地域において燃料の供給が可能ということであれば、小規模でないからといって計画と矛盾するものではない。計画で小規模に限定したものではない。
酒井委員
このバイオマス発電施設について、入口対策として、木材の放射能測定をどうやっていくのか。空間線量ではなく、ベクレルを計るのが基本だと思うが、測定あるいは確認体制について伺いたい。
山崎林業振興課長
搬入される木材の測定について、事業者が自主管理基準を設けて受け入れ制限を行うことになっている。空間線量測定装置による異常値をチェックするものと、チップ自体を任意に抽出して検査する2重のチェック体制で対応することになっている。
酒井委員
チェックしたものは県が随時確認できるシステムになっているのか。
山崎林業振興課長
環境対策については、事業者が事業活動の中で責任を持って取り組まなければならないものと考えている。県としては、環境を所管する前橋市と連携して、事業者から環境対策に対する考え方等について聴取を行っている。
酒井委員
つまりチェック体制が無いということである。毎日県がチェックをするなど、規則を決めていく必要がある。このままでは県民の不安を解消できない。焼却灰は280倍くらいに濃度が高まるので、この処理についても確認体制を取る必要があると思うがどうか。
山崎林業振興課長
事業者は自主的な管理基準を設けた上で、バグフィルターの設置や焼却灰の産業廃棄物としての処分、及び、排気や灰の汚染物質濃度の観測などを行うこととなっている。
酒井委員
事業者任せはよくないので、管理体制をチェックしていく仕組みづくりが必要だと思うがどうか。
山崎林業振興課長
事業者の管理状況の確認については、前橋市と連携しながら方法を検討中である。
酒井委員
前橋市としっかりと取り組んでほしい。水質の問題について、生木を圧縮して絞られた廃液が、一日最大300トンになるということで、地下水汚染を心配する声が上がっているが、この処理についてのチェック体制はどのようになっているのか。
山崎林業振興課長
排水の処理についても、事業者が自主管理基準を設けた上で、浄化槽の設置など対応を行う計画であり、当然、排水の汚染物質濃度の計測も行うこととしている。
(16)太陽光発電について
酒井委員
太陽光発電の普及が進んだが、やはり自然エネルギーは地域分散型が基本だと思う。住宅用太陽光発電について、これまでの補助から融資に切り替えたが、地域分散型の点では逆行すると思う。これまでの補助の方がよかったという声も聞く。影響についてはどのように考えているか。
中田環境エネルギー課長
これまで太陽光パネルの設置価格が高かったため補助金を入れてきたが、今年度については補助金がなくても昨年度と同等の年数で設備費用の回収ができるとみられるため、補助を終了した。引き続き住宅用太陽光発電の普及を推進するため、設置費用の調達における支援を新たに行うこととした。
酒井委員
見込みとして、設置件数はどうなるのか。
中田環境エネルギー課長
売電価格の低下により収益性は落ちているが、今後は自立分散型電源として普及していく必要があると考えている。ゆるやかに増加していくものと考えている。
酒井委員
大規模太陽光発電で、急斜面に設置したりすることも見受けられる。土砂崩れを誘発するような所に作ったり、住民から危ないと聞いている。住環境や景観への配慮も必要かと思うが、規制についてはどう考えているか。
中田環境エネルギー課長
太陽光発電の設置による災害については、宅地造成等規制法や森林法などの規制の中で対応が可能であると考えている。また、景観については、太田市や高崎市で規制が行われているが、環境を所管する立場として、直ちに規制が必要という状況ではないと考えている。
(17)地熱発電について
酒井委員
地熱発電について、群馬県ではなかなか開発が行われてこなかった。これは天候に左右されないベースロード電源になると思うが、県の考えはどうか。
中田環境エネルギー課長
県の北西部には高い熱源があると知られているが、かつて地熱発電の開発にあたり、地元関係者の理解が得られずに問題となったこともあり、現段階では難しいと考えている。ただし、本県は温泉資源が豊富であり、100度に満たない熱源をバイナリー方式で活用できる可能性があるため、今後も検討していきたいと考えている。
酒井委員
バイナリー方式については、大分に視察に行ったが、初期投資もかからず、開発も長期化しないということを聞いてきて、さらに小型の湯けむり発電というものも開発が進み、大分県も補助を出しているということで、既存の温泉事業者、住民との共存を図りながら開発にも一歩踏み込むべきだと思うがどうか。
中田環境エネルギー課長
バイナリー方式は有効であると思っているので、理解が進むようにしていきたい。
(18)水力発電について
酒井委員
大規模水力発電所について、目標が31億kWで変わらないのは、もうこれ以上開発しないということでよいか。
松田企業局技監(発電課長)
現在、八ッ場発電所を建設中である。これに続くところは、採算面等条件的に厳しくなっているが、調査検討は続けている。
酒井委員
引き続き条件等を勘案して進めていただければと思う。八ッ場ダムができることによって、吾妻川を利用している東京電力の発電所の発電量が減ってしまうのではないか。
松田企業局技監(発電課長)
八ッ場ダムができることによる影響の対応については、国と東京電力で協議していると聞いている。
酒井委員
どれだけ影響があるのか県民に明らかにしていく必要があると思う。小水力発電については、ポテンシャルが高いと思う。有望地点調査を行うということだが、取組が遅いと思う。意気込みについてどうか。
中田環境エネルギー課長
発電適地の選定に時間がかかることから、県が有望地点を調査することで、事業者に有益な情報を示すことが有効であり、小水力発電の推進に役立つと考えている。
酒井委員
目標を達成する意気込みでやってほしい。再生可能エネルギーをベースロード電源にする姿勢を持ってほしい。原発依存からの脱却、原発ゼロを目指してほしいし、県としてしっかり宣言していくべきだと思うがどうか。
井田環境森林部長
再生可能エネルギーをベースロード電源として使っていくには、一定の制約があるのも事実である。これを認識した上で、再生可能エネルギーの活用を進めていきたい。
(19)売電方法について
金子委員
売電方法の検討について、発電所の建設後20年まではFIT単価が適用されると聞いているが、FIT対象とそうでないものの比率はどれくらいか。
松田企業局技監(発電課長)
昨年度の水力発電の供給電力量全体で、FIT対象は約3.3%である。
金子委員
新電力と呼ばれる特定規模電気事業者のロジテックが破産した。売電先を選ぶ際は、金額だけでなく実績や安定性等を総合的に判断していくことが方針と思うが、判断基準や選定に当たっての考え方はどうか。
松田企業局技監(発電課長)
売電先については、実績、安定性等も充分考慮しながら検討していきたい。
(20)電力、エネルギーの地産地消について
金子委員
電力の地産地消については、中之条発電のように小売会社を設立して行うものや山梨県のように地域で消費している実例があると聞くが、群馬県の考え方を伺いたい。
松田企業局技監(発電課長)
電力システム改革が進めば、売電先や売電方法も選択肢が広がり、電力の地産地消も検討する必要があると考えている。中之条の例は固定価格買い取り制度の交付金を活用して、山梨県は東京電力との契約の中で、地域企業の競争力の確保や企業誘致を目的として実施していると聞いている。地産地消について、局内でもプロジェクトチームを立ち上げて検討を始めている。
萩原副委員長
本県独自の環境を生かしたエネルギーの地産地消を進めていくことが基本だと思うがどうか。
井田環境森林部長
本県には豊富な再生可能エネルギー資源が賦存しているため、これを地域のエネルギー源として活用していきたい。
萩原副委員長
群馬県は、25府県で行っている公営電気事業の中で一番の電力を供給している県である。その技術やノウハウを国際戦略の中で生かしていくべきだと思う。企業局には100名余の発電の技術者がおり、発電のノウハウも持っている。COP21は地球全体でみないと温暖化の問題は解決できないということでやるのだから、そういったことも国際戦略の中で活用したらどうか。
井田環境森林部長
企業局には、発電のノウハウ等があると認識しており、これを活用すべきであると考えている。
(21)CLT工場について
萩原副委員長
国内でCLT工場の取組が行われており、年間5万立方メートルから50万立方メートルの生産体制を目標としているが、大きな生産工場はいくつあるか。
井田環境森林部長
岡山県、島根県、鹿児島県の3箇所があり、今年4月に岡山県真庭市では、新工場も稼働を始めた。
萩原副委員長
群馬県内にCLT工場の誘致をすることによって、その過程でペレットができて発電ができると、1本の木を丸ごと使えることになる。出口戦略として、住宅団地を企業局で作ればいい。住宅政策は地域を活性化させる一番のもとになる。大きなお金が動いて、定住促進にも役立つ。こうしたことに群馬県が取り組んで行くという考えはどうか。
井田環境森林部長
CLTは新しい技術なので、技術的蓄積でハードルの高い部分がある。現在、県内の業者で対応できるのはラミナ生産までで、集成加工まで到達していない。今後、県内の業者で対応できるのか、他県から工場誘致を行うのかなど、調査、研究をして検討していきたい。
(22)電力システム改革について
萩原副委員長
電力システム改革について、電力の地産地消については、今年の4月から電力の小売自由化となったが、企業局が小売電気事業者となって、いかに県民に電気を安く供給できるかが目的だと思うがどうか。
松田企業局技監(発電課長)
小売電気事業者になることは可能となったが、企業局が発電している電力量では県内の家庭消費電力の約18%しか賄えない。また小売り事業を営むには需給バランスをとる必要があるが、水力発電の場合は需給バランスをとるのが難しく何らかの手当が必要なことや小売業のノウハウがないことなど課題があるが、可能性のひとつとして研究していきたい。