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家庭教育の支援・こどもの未来に関する特別委員会(平成27年6月9日)
1.開催日時
平成27年6月9日(火曜日)10時59分開始 15時06分終了
2.開催場所
402委員会室
3.出席委員
委員長:星野寛、副委員長:須藤和臣、委員:中沢丈一、委員:伊藤祐司、委員:井下泰伸、委員:安孫子哲、委員:清水真人、委員:藥丸潔、委員:小川晶、委員:川野辺達也、委員:井田泰彦
4.欠席委員
なし
5.主な質疑
(1)家庭教育の支援について
中沢委員
群馬県における「家庭教育支援チーム」の現状認識と今後の取組はどうか。
下田生涯学習課長
家庭教育支援チームは、平成20年度から始まった文部科学省の事業である。現在、県内で家庭教育支援チームとして文部科学省に登録しているのは、榛東村の1チームのみであるが、実質的には家庭教育支援チームと同様の活動を実施している事例がある。登録することで全国的に発信できるので、登録制度を市町村に周知し、登録が進むようにしていきたい。
中沢委員
ぐんま家庭教育応援企業登録制度の実態と今後の対応はどうか。
下田生涯学習課長
「ぐんま家庭教育応援企業登録制度」は平成19年度から、家庭教育に関する講師の無料派遣については平成21年度から実施してきた。平成26年度末には405社が登録しており、企業等への講師派遣は、これまで7件実施してきた。今年度から本登録制度は産業経済部の「群馬県いきいきGカンパニー認証制度」に統合されたが、講師派遣は引き続き生涯学習課で実施する。新制度の周知普及と併せて講師派遣を推進していきたい。
伊藤(祐)委員
家庭の教育力が低下している要因は何か。
三好義務教育課長
生活に追われ、余裕をなくしている保護者がいるのは事実である。地域社会に助け合い相談できる人間関係があれば、家庭のゆとりのなさを克服できるが、その相談相手がいない。また、核家族化により子育てのモデルとなる先輩が身近にいないことも、過干渉や過保護の要因と考えている。学校では、保護者会などを通じ、家庭教育のあり方について助言や支援をしている。
野村児童福祉課長
ケースを見ていくと、親の養育力、育てようとする責任感が欠けている。親自身がそのような教育を受けてこなかったためと思われる。また、核家族化の進展により、徐々に養育力が衰えていくと感じている。
伊藤(祐)委員
親の貧困が家庭教育力の欠如の一因ではないかと思う。若い世代の雇用問題を議論の柱に据えなければならないと思うが、どうか。
田村教育次長(指導担当)
雇用の問題、経済的な問題は学校で全て解決できるわけではないが、非常に大きな問題である。また、子育てをどこに相談してよいか分からないという現状、核家族化、少子化、経済的貧困など、いろいろな要因がある。
井下委員
家庭教育支援については、これまで様々な部局で問題に対応してきた。家庭教育支援条例を制定することにより、重複を整理し、窓口を一本化して、家庭教育支援を直接的にできる体制をつくるという方向になるのか。執行部としての考えはどうか
下田生涯学習課長
家庭教育については、平成18年度に教育基本法が改正され、第一義的な家庭の責任、自治体の役割等の基本原則が定められた。家庭教育支援条例は、基本原則を法律から条例に落とし、再定義し、役割について再確認しているものである。家庭教育支援条例に限れば4県が制定しているが、もっと広い視点で別の条例を制定している県もある。家庭教育には、教育面と福祉面からの捉え方があり、両面から子どもに対する対応が求められている。
井下委員
行政の中でお互いに遠慮しているところがあれば、そこをつなぎ合わせていくことが、この委員会の目的だと思っている。委員会の方向性をはっきりさせたいが、どう考えているか。
星野委員長
議会が特別委員会を設置したので、執行部から回答は難しい。どのような方向を目指すのか、委員会の中で議論していくことになる。
安孫子委員
家庭教育について、どのようにしていくべきだと考えているか。
吉野教育長
親は子を養育する義務と責任があり、親としての役割を自覚することが重要である。貧困であっても、しっかり子育てをしている親もいる。学校から親を直接指導することは難しいが、PTAや民生・児童委員等と連携しながら、家庭に働きかけていく。また、中長期な展望になるが、越権行為にならない範囲で、学校の中で子どもに社会のルールを教え、間接的に親にも伝えていくことが必要と考えている。
小川委員
教育長から、貧困家庭であっても、親がしっかりしていれば、子どももしっかりするという発言があったが、これは全て親に責任があるということか。
吉野教育長
親にも原因の一部があるだろうということであり、ほとんどの親はしっかりやっていると理解している。
小川委員
家庭教育を進める上で、行政としての関わり方はどうか。
下田生涯学習課長
家庭教育は、家庭の主体性を尊重して、教育基本法の中においても「自治体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、学習の機会・情報を提供するなど家庭教育の支援に必要な施策を講じるよう努める」と規定されており、これが基本原則である。したがって、家庭教育を進める上では、家庭の主体性を尊重して支援するものであると考える。
小川委員
家庭教育に関して、これまで様々な取組を行っているが、今後、更なる支援の必要との認識があるか。家庭教育支援条例が策定された場合、いままで以上の取組を行うのか。
下田生涯学習課長
家庭教育の内容は、しつけ、食生活、礼儀等、さまざまであり、個別の部分での対応が必要であると考えている。条例の内容については、議会で議論してもらうことだと考えている。
小川委員
この問題が解決できれば家庭教育の支援がうまくいくということがあれば教えてほしい。
下田生涯学習課長
例えば、家庭教育に関する研修会等に参加してほしいと行政が考えるような親は参加してくれないなどの問題がある。
(2)スクールソーシャルワーカーについて
伊藤(祐)委員
現状でスクールソーシャルワーカーが大活躍している感じが見られない。スクールソーシャルワーカーの勤務形態はどうか。
三好義務教育課長
本年度は、県内の3つの教育事務所に5人のスクールソーシャルワーカーを配置している。平成26年度は、3人を配置し、年間30日の稼働であった。また、学校、市町村教育委員会からの要請を受け、105回訪問した。子どもの問題行動の背景には、家庭の問題があり、子どもの問題行動の解決に向けて、どのような支援が必要か精査し、福祉関係部局や警察など関係機関へつなぐ役割をしている。
伊藤(祐)委員
スクールソーシャルワーカーの訪問先はどこか。
三好義務教育課長
学校、市町村教育委員会、家庭への訪問である。
伊藤(祐)委員
家庭への訪問回数は、どの程度か。
三好義務教育課長
平成26年度は、10回程度である。スクールソーシャルワーカーを事務所に配置している目的は、学校や市町村教育委員会が把握している福祉的支援が必要な家庭に対して、ケースワークをし、どのような支援が必要なのかを判断するためである。したがって、学校や市町村教育委員会への訪問が多くなっている。
伊藤(祐)委員
学校が求めているのは、現場で一緒にがんばってくれるスクールソーシャルワーカーだと思う。スクールソーシャルワーカーの常勤化や増員の考えはあるのか。スクールソーシャルワーカーを常勤化し、子どもや家庭の手助けとなる方向に向けていくことが大切ではないのか。
三好義務教育課長
スクールソーシャルワーカーの3教育事務所への配置は、平成26年度から始めた事業である。スクールソーシャルワーカーは、学校の教員や全校配置されているスクールカウンセラーとともに、個々の難しい課題に対応してきている。また、スクールカウンセラーも、スクールソーシャルワーカーと同様に、福祉的な視点をもって適切に対応していることもある。子どもたちの問題の解決に当たっては、福祉の視点から、どのような配置が適切なのか、検討していきたい。
吉野教育長
スクールソーシャルワーカーの常勤化、増員ができれば良いと思うが、国において、スクールソーシャルワーカーの配置などについて検討を開始したところである。国の動向も確認しながら、今の体制でより適切に問題に対応できるよう、関係機関と連携しながら、問題の解決に当たることが必要である。
(3)児童虐待について
伊藤(祐)委員
児童虐待で児童を一時保護した場合に、親のケアも重要だと思うが、どのようにしているのか。
野村児童福祉課長
親の養育力に問題がある場合、親に意識を変えてもらうことと、具体的にどのように育てたらよいかを助言していくことが重要である。まずは、児童相談所と親の関係作りから始まり、CSP等の教育プログラムにより、親に子どもとの関わり方を学んでもらう。その状況を見ながら、親子再統合が可能と判断できたら、一時保護を解除している。
安孫子委員
児童虐待についての認識はどうか。
野村児童福祉課長
経済的要因はストレスの一部であるが、それが全てではない。親の養育能力にも問題があると考える。県内児童相談所への児童虐待通告件数は平成26年度958件で、前年度に比べ3割増となっている。これは虐待自体が増えているかどうかは分からない。県民の関心の高まりや、学校や警察の積極的な取組が要因と思われる。通告があると、児童相談所は24時間以内の安全確認を行っている。場合によっては警察に同行してもらい安全確認を行っている。
安孫子委員
虐待と疑わしきものが事故死や自然死で処理されている問題があり、以前にチャイルドデスレビュー(子どもの死の検証)について提案した。虐待か否かの判断は、最終的には医師が行うべきと考えるが、どうか。
野村児童福祉課長
医師に虐待かどうかの医学的な判断をお願いすべきだと思うが、その判断ができ、保護者に伝えることができる医師が少ないと医療関係者から聞いている。県では、群大病院に委託して、地域の核となる病院に虐待対応力の強化や病院と地域の関係機関とのネットワーク化の推進を図る事業を今年度始めたところであり、医療機関の虐待対応力を充実させていきたいと考えている。
(4)3世代同居の促進について
安孫子委員
核家族の問題が言われているが、3世代同居の促進を考えている。3世代同居について、どう考えているか。補助金などで県として3世代同居を促進すべきではないか。
吉野教育長
3世代同居に意義はあると思うが、押しつけられるものでなく、個人の考えによるものであると思う。まずは、親が自らの生き様を見せることによって、親の面倒を見るような子どもに我が子を育てるということが大事ではないか。親の一人一人の意識を変えていくためには何をしていけばいいか、議論していくことが必要である。
(5)里親制度について
清水委員
里親制度の周知が進んでいないのではないか。民間団体との連携はどうなっているか。
野村児童福祉課長
里親の会があり、里親としての経験などを、これから里親になりたい人たちに語ることで、制度の普及を図っている。
清水委員
ロータリークラブなど、広域的に奉仕活動をしている団体に里親制度の情報を伝え、団体との連携を深めるべきと思うが、どうか。
野村児童福祉課長
里親制度の周知については、今年度、新聞等マスコミを利用して周知する。また、12市で説明会を開催し、そこに参加した民生委員等の方々に地域での周知を依頼する。
清水委員
ライオンズクラブは海外での取組を行っているが、日本でやれることがもっとあるのではないかとの思う。児童養護に力を入れるクラブなど可能性がある。奉仕をしたい団体と受ける団体を結びつけるよう働きかけをしてもらいたい。
野村児童福祉課長
ぜひ働きかけをしていきたい。
(6)寡婦控除のみなし適用について
藥丸委員
県内の市町村では、非婚のひとり親に対して、寡婦控除のみなし適用を始めているところがある。そのような市町村に対し、県として支援をすべきと思うがどうか。
野村児童福祉課長
ひとり親家庭の支援について、結婚歴の有無で差が出ないようにすることが望ましいと考える。しかし、寡婦控除のみなし適用の問題は、財政上の問題だけでなく、家庭のあり方という点で様々な議論がある。各市町村の意見をよく聞いた上で、制度を始めるかどうかも含め、検討していきたい。
(7)生活困窮家庭に対する学習支援について
藥丸委員
生活困窮家庭に対する学習支援については、任意事業ということもあり、進んでいない。また、各市町村における取組にも差がある。全市町村で実施できるような体制整備を図ってほしいと思うがどうか。
平井地域福祉推進室長
現在、生活困窮家庭の実態把握及び課題把握に努めている状況である。県が所管する町村部については、来年度の事業化に向けて検討を進めていきたい。また、各市については、先進事例の情報提供などを通じ、取組が促進されるよう支援していきたい。
(8)CSPについて
藥丸委員
県でCSPトレーナーを養成しているとのことであるが、親がCSPを受けやすい環境整備を含めた体制整備が必要である。目標や計画を立てて実施する必要があると思うがどうか。
野村児童福祉課長
CSPは虐待児童の親に対するプログラムであり、その考え方を多くの人に学んでもらいたいと考えている。幼少期からの親子関係作りが重要と考えており、まずはトレーナーを養成し、トレーナーに市町村等の地域で講座を開いてもらいたいと考えている。開催に当たっては、3歳児健診等の機会に講座を開催するなど、地域の母子保健事業とも連携していきたい。今年度、いくつかの地区で実施したいと考えている。
藥丸委員
親への教育について、CSPだけでなくさまざまに取り組まれているようだが、親が育児の講座を受けたいと思ったときに受けられるように、情報を分かりやすく伝える取組が必要と思うがどうか。
野村児童福祉課長
親自身の育児経験が少なく、子どもへの接し方が分からない場合が多いので、基本的な関わり方を広めていけるよう支援していきたい。
(9)自立援助ホームについて
小川委員
自立援助ホームの新たな開設について、具体的にどうなっているか。
野村児童福祉課長
自立援助ホームは、現在、県内では前橋市内に1箇所のみで、他県に比べ少ない状況である。県としては、運営を希望する事業者を調査し、今年度中に新たに1箇所の開設を目指していきたい。
(10)社会的養護について
小川委員
施設養護と家庭養護があるが、どちらがよいと考えているのか。
野村児童福祉課長
子どもはできるだけ家庭的な環境の中で養育されることが望ましいというのが、国の方針であり、県でも、家庭的養護推進計画を策定し、里親、ファミリーホームへの被措置児童の委託率を現在の15パーセントから15年間で30パーセントにすること目指している。
小川委員
家庭養護の中で特別養子縁組の制度があるが、県内の状況はどのようか。
野村児童福祉課長
平成26年度が6件、平成25年度が3件、平成24年度が2件となっている。
小川委員
小さい頃から親子関係が結べることが児童にとってよいことだと思うが、新生児の特別養子縁組はどうか。
野村児童福祉課長
データは手元にないが、個別の事例は把握している。生まれた後の障害があるかどうか、それを縁組希望者が受け入れられるかが問題となる。愛知県方式の話を聞いているが、慎重に対応していきたい。
(11)児童相談所における一時保護について
小川委員
児童相談所について、一時保護の児童が常に定員に近い状態になっていると聞いたが、現状はどうか。
野村児童福祉課長
一時保護件数の年間延べ人数については、平成24年度が283件、平成25年度が319件、平成26年度が372件となっており、一日あたりの平均入所数は、平成24年度が25.0人、平成25年度が24.9人、平成26年度が27.3人となっている。なお、保護所の定員は36人となっている。
小川委員
一時保護所は、件数が年々増えており、発達障害児もかなり含まれていると聞くが、状況はどうか。
野村児童福祉課長
一時保護の原因としては、虐待、育児放棄、非行などがある。診断まで受けたか分からないが、発達障害の傾向を持っている子はいると思う。
小川委員
保護している人数が増えている中で、発達障害等で個別の対応も増えていると思うが、職員の状況はどうか。
野村児童福祉課長
職員体制は35人体制となっており、正規職員19人のうち、次長1人、児童指導員15人、看護師1人、教諭2人であり、嘱託職員は16人のうち、児童心理司1人、保育士3人、児童指導員6人、調理員5人、小児科医1人となっている。個別の対応が増え大変な面があるが、現体制でしっかり対応したい。
(12)ぐんま学園について
小川委員
児童相談所の一時保護所で仲良くなった児童同士がぐんま学園で一緒になり、対応が大変になっているとの話を聞いているがどうか。
野村児童福祉課長
そのような問題は把握していない。
小川委員
ぐんま学園の指導員が発達障害児への対応等で非常に苦労していると聞いている。職員が1人退職したと聞いているがどうか。
野村児童福祉課長
育休短時間勤務職員が過員配置となっていたが、それがなくなり、嘱託職員を1人増員している。
(13)いじめ問題について
川野辺委員
直近のいじめの発生件数はどうか。
三好義務教育課長
平成26年の調査は、現在文部科学省で集計中であり公表に至っていないので、平成25年度の数値となるが、いじめの認知件数については、小学校461件、中学校413件である。
川野辺委員
水面下では、いじめはもう少しあると考えた方がよいのか。
三好義務教育課長
大人が発見できていないいじめが発生しているという認識のもと、常に危機感をもって早期発見に努めている。
川野辺委員
ネットいじめの現状はどうか。
三好義務教育課長
ネットを主たる手段とする件数は、小学校で14件、中学校で38件報告されている。これ以外にも、いじめに限らず、ラインを使ったトラブルが多発している状況が見られる。
川野辺委員
ネットやラインによるいじめをなくす対策はどうか。
三好義務教育課長
中学校においては、ネットいじめの具体的な事例を挙げながら、未然防止のための指導を学級活動等で行っている。その際、県教育委員会で作成した「非行防止プログラム」の中にある「携帯、スマホ等のトラブルについて考えよう」という題材を活用している。また、学校において、保護者向けのネットトラブルに関する講習会を行っているが、教員がその講習会の講師を務められるように、「携帯・インターネット問題講習会」を実施し、資質の向上を図っている。更に、県警本部サイバー犯罪対策室の協力により、「情報モラル講習会」として小中学校に出向いてもらい、具体的なネット問題や対処法について指導している。
川野辺委員
市町村教育委員会等との連携、協力はどうか。
三好義務教育課長
「いじめ問題対策推進事業」の中で、5月と12月を「いじめ防止強化月間」として、子どもたちが自らいじめ問題に向き合い対応していく様々な行事を行っている。また、県内の12地区において小学生、中学生、高校生による「いじめ防止フォーラム」を開催している。更に、各市町村で「いじめ防止子ども会議」を開催して、子どもたちの取組を相互に情報交換することにより、自らいじめの問題に立ち向かう気運を全県的に醸成している。
西少子化対策・青少年課次長
インターネット上におけるいじめ防止のため、県、市町村、県教育委員会、県警察及び青少年育成推進員との協働により「おぜのかみさま県民運動」を展開している。
井田(泰)委員
いじめの認知件数はアンケートやチェックシート、先生の観察で把握しているとのことだが、アンケートは子どもたちにとっては勇気がいることである。アンケートを取る時にどのような工夫をしているのか。
三好義務教育課長
アンケートは、いじめを発見するための方法の1つである。アンケートを行う際の工夫として、無記名にするとか、机を離すとか可能な限り自分の思いが書けるような環境を整えている。アンケートはいじめを発見するための1つの方法であり、そのほか教員の観察、親保護者からの訴え等から、いじめの発見に努めている。
井田(泰)委員
いじめであるかどうか、どのように判断しているのか。
三好義務教育課長
いじめであるかどうかの判断は、言葉の定義はあるが、いじめられていると感じている子どもに寄り添うことが原則であり、子どもがいじめられていると訴えたときには、いじめとして認知すべきである。
井田(泰)委員
いじめがあった場合に、出席停止等の措置を行った事例はあったか。
三好義務教育課長
ない。
井田(泰)委員
いじめに関する学校評価を行っているとのことだが、評価を気にして、いじめを隠そうとする姿勢につながらないか。
三好義務教育課長
いじめの問題の解決は、教師一人一人の努力だけでは解決できない問題であり、学校が組織として、いじめの問題にどのように取り組んだかを学校自ら評価することが重要である。各学校では、学校全体で組織として対応することなどを示した学校いじめ基本方針を行動計画として定めており、これに沿っていじめ対策の取組ができているかを評価するものである。
井田(泰)委員
いじめへの対策をチームで対応してもらえるということか。
三好義務教育課長
チーム対応が原則である。担任、管理職、スクールカウンセラー等チームで対応していく。
井田(泰)委員
いじめについて、スクールカウンセラーなど、担任の他に相談できる窓口があることを周知してほしいがどうか。
三好義務教育課長
各学校で作成しているいじめ基本方針に相談方法を記載し、児童生徒、保護者、地域に示している。
井田(泰)委員
いじめは、進級時など環境が変わるときに起こりやすいと思っている。学級担任等の編成をどのように決めているのか。
三好義務教育課長
児童生徒の実態や教員の経験年数、学校の運営方針等を勘案して、校長が適切に編成している。
井田(泰)委員
いじめ対応に向けた教職員研修はどうか。
小笠原総合教育センター所長
総合教育センターでは、いじめは重要な教育課題であるとの認識の下、教員の資質向上のため、初任者、5年目、10年目等の経験に応じた研修や、希望者への研修を実施している。また、新任生徒指導主事、新任学年主任の研修では組織的な対応を重視している。更に、携帯・インターネットに係る研修ではネットいじめも取り上げている。
井田(泰)委員
いじめの現状をよく知っているのは子どもである。以前は、学級委員などが監視するなどしたこともあったかと思うが、現状はどうか。
三好義務教育課長
子どもに監視を依頼することは望ましくない。子どもたちがお互いの個性を認め合いながら良い学級づくりをすることが学級担任の務めである。さまざまなリーダーの活躍が、いじめを生まない学級の風土を作っていくことにつながると考える。
井田(泰)委員
学校を通さずスクールカウンセラーに相談したいなどのニーズに、相談窓口で受け付けてスクールカウンセラーに連絡するようなことはできないか。
小笠原総合教育センター所長
総合教育センターでは、児童生徒や保護者からのいじめの相談を受け付けている。必要に応じて市町村教育委員会や学校、スクールカウンセラー等と連携し、解決に向け対応しており、そうした機能も果たしている。
井田(泰)委員
いじめ相談窓口の周知と対応状況についてはどうか。
小笠原総合教育センター所長
子ども教育相談カードを34万枚作成し、県内全ての幼稚園等の保護者、小学校から高等学校までの子どもに配付し、相談窓口を周知している。現状では、子どもや保護者等からさまざまな相談があり、その内容により常勤の相談員の他、臨床心理士等の専門家も入り、総合的に対応している。