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環境農林常任委員会(農政部関係)(平成26年12月5日)
1.開催日時
平成26年12月5日(金曜日)13時00分開始 14時08分終了
2.開催場所
403委員会室
3.出席議員
委員長:萩原渉、副委員長:井下泰伸
委員:中沢丈一、委員:黒沢孝行、委員:松本耕司、委員:織田沢俊幸、委員:福重隆浩、委員:酒井宏明、委員:清水真人、委員:小川晶
4.欠席委員
なし
5.主な質疑
(1)馬事公苑の指定管理者の指定について
黒沢委員
指定管理の関係で、馬事公苑の指定は4回目ということで指定管理制度そのものにちょっと疑問を持たざるを得ないような、つまりこの4回の中で応募は常に1団体のみなのか。
野呂畜産課長
3回目については現地での見学も含めて3者あったが、最終的には公益財団法人群馬県馬事公苑のみが応募した。
黒沢委員
素人目に考えても、施設の必要性は認めるが、指定管理というのは民間の活力を導入して、競争性を担保する趣旨で入れられたと思うが、過去の経緯からすると馬事公苑が指定管理になじむ施設なのかどうか、説明を受けて疑問に思わざるを得ない。だとするなら、例えば3年でやっているわけだから、5年にするとか、もっときちっとした長期ビジョンの中で馬事公苑を運営させるという目的ならば、指定管理制度はあまりなじまないと思うがどうか。
野呂畜産課長
委員ご指摘のところを踏まえ、今後3年間で検討していけたらと考えているし、県としても必要不可欠な施設と認識しているので、十分関係機関とともに議論を重ねていきたい。
井下副委員長
馬事公苑について、利用者を増加させるために、今年せっかく「ぐんまちゃん」がゆるキャラで1位をとり、日本全国ぐんまをPRできるので、県外者がぐんまに馬事公苑があるということを周知されるよう、観光とタイアップしていただきたいと思うがどうか。
宮崎農政部長
老朽化している部分もあるが、「ぐんま」の名前に関連する施設でもあるので、必要な整備をして可能な限り期待に応えられるような施設にしていきたい。
松本委員
馬事公苑について、指定管理料、団体の方から提案された51,756,000円、県の指定管理料上限予定額51,756,000円と記載があり、資料の下を読むと、提案額と上限予定額は必ずしも一致するとは限らないとある。これは団体が出してきた金額に対し、県が合わせたということでよいのか。
野呂畜産課長
合わせたのではなく、今までの指定管理料の中で団体側が提示した額である。なお、馬事公苑の募集要綱の中で指定管理料の額を3年間総額として示している。
松本委員
それが県の方の金額ということか。県の上限額に団体が合わせてきたということか。
野呂畜産課長
上限額としてこれ以上不可能ということで示したものである。
松本委員
そうすると黒沢委員の質問の中で、3団体見学があって結局2団体辞退したとあった。これ以上金額がかかるのでできないということで辞退したと考えられるか。
野呂畜産課長
3団体見学というのは、今回ではなく前回の指定管理者選定の時である。なお金額の問題というより、馬事公苑の性格上、公苑の管理だけでなく馬の管理もあるので、実施不可能と判断されたと思われる。
(2)「ぐんまのいちご」ぐんぐんアップ支援事業について
黒沢委員
「ぐんまのいちご」ぐんぐんアップ支援事業について、「やよいひめ」を群馬のブランドとして育てていこうという状況の中で、高設の栽培にしたいという農家が出てきている。この「ぐんぐんアップ支援」補助要綱を読むと、いくつか基準があるが、現行の人がもう少し使い勝手がよく、現場に寄り添えるシステムになっていかないのか。私の地元でも東部農業事務所と色々と相談しているが、どういう形でいくかその辺りのシステムについて伺いたい。
高橋蚕糸園芸課長
東部農業事務所で検討しているいちごの高設栽培のシステムについて、一般的に「るんるんベンチ」という名称で呼ばれている。一般の高設施設はしっかりとした作りであるが、「るんるんベンチ」は直管パイプやトタン等の材料を使って、農業者が簡単に作れるのが特徴である。他県では普及が進んでいるところもあるが、本県ではこれまで普及が進んでいない。
「ぐんまのいちご」ぐんぐんあっぷ支援事業は高設栽培支援事業ということで助成対象になっているが、まだ問題になっているシステムが活用できるか、その辺が実証できていない。そういうことから現在導入を希望している農業者のところで、実証実験をしているところである。その結果、栽培に支障がなく利用継続ができるとなれば、支援していきたいと考えている。
(3)鳥獣被害対策について
黒沢委員
イノシシの問題について、農業共済新聞の10月1日版に「イノシシ箱罠用電殺器を開発、腕力いらずに簡単に」という見出しで、最後の止め刺しが銃を使わなくてもできるという記事が掲載されていた。猟友会も高齢化し、銃を使わないでできるこの機材が使えるのであれば負担が減ると思われるので、この辺の活用状況を含めてどうか。
須川鳥獣被害対策担当参事
イノシシ対策に係る止め刺しに変わる電殺器について、当方も是非使用してみたいと考えている。と言うのも猟友会も高齢化し、銃所持者もかなり少なくなっているし、今後都市部周辺で捕獲作業が増えてくると見込まれる。その際、電気ショックで殺処分する方法は大きな音も出ないし、血も流れないので衛生的でもあるし、感情的な部分でもメリットがある。また銃と違って常に携帯していられるので、対応が迅速にできるので、使用してみたい。県の補助事業でも止め刺し用具ということで4分の1の補助事業がある。ただかなりの高電圧で使っている事例も少ないこともあり、その辺の安全性や利便性を検証しながら慎重に進めていきたい。
(4)被災農業者向け経営体育成支援事業について
酒井委員
大雪被害対策について、自給的農家を除き販売農家に限定されている。特に、年間出荷額が50万円、作付け面積が30アール以上ということで、これにより兼業農家やこれから本格的に農業を始める意欲ある農家への支援がされていないという現場の声も聞いている。対象を限定せず、もっと緩和すべきと思うがいかがか。
石坂構造政策室長
被災農業者向け経営体育成支援事業について、国庫制度ということで委員から話があったとおり、国のほうから農業経営をおこなっている者で、今後も農業経営を継続する方の中に、自給的農家、家庭菜園は対象としないとなっている。今回の補助については産地の営農再開、食料の安定供給に万全を期すための特例的な措置ということで国も位置づけており、個人の資産としては異例の9割補助になっている。国の制度ということもあるので拡大はなかなか難しい。
酒井委員
国の制度というが、先日農林水産省に要請を行ってきたが、一律に駄目というのは国としても指導していないと話があった。もっと柔軟に対応できるのに、足切りで農家の方もあきらめているという声も聞いている。国ともう少しすり合わせをしたほうがよいと思うがどうか。
石坂構造政策室長
対象は販売農家であり50万円、30アールという要件があるが、出荷額として50万円なくてはいけないと言うことではなく、直売所等に出して食料共有の一端を担う方もいるので、その事実が確認できて事業主体である市町村が認めれば可能ということで、今までも運用はしている。
酒井委員
この経営体育成支援事業について再建が32.9パーセントということだが、現場にお金が下りていない状況で、半年以上業者への支払いを待ってもらっている声も聞いている。交付決定は事業費ベースで約44パーセントされ、概算払ができるはずだが、支払い状況はどうか。
石坂構造政策室長
市町村から農業者へ支払われるのは、施設の撤去、再建が完了して農業者から実績報告を提出いただいた後に支払うシステムになっている。現在、県から市町村への概算払は事業費ベースで約5億7,000万円となっている。なお市町村は県から概算払を受けなくても、竣工すれば支払いできるので、市町村によっては早めに支払うところがある。今後、なるべく早く県から市町村への概算払を進めていきたい。
酒井委員
再建完了後、実績報告書が請求書代わりになって、農業者にお金が入る。その実績報告書が出されないうちは、市町村も支払いできない。事務手続き上遅れて困っている話も聞く。実績報告書が出されなくても、概算払できないか。
石坂構造政策室長
市町村は県から概算払を受けなくても、竣工が確認できれば農業者へ支払いできる。ただ、市町村によって色々と県から概算払をもらわないと農業者へ支払いできない面もあるかと思うので、県としては迅速な支払いを後押しする立場で概算払を進めていきたい。
井下副委員長
数字の確認になるが、経営体育成支援事業について、補助対象者5,385件に対して支援されたのは、354件でよいか。
宮崎農政部長
施設が再建できるまでの間、代替作物として露地栽培などを導入した件数が354件である。
井下副委員長
補助対象者に対して、支援がされた件数はどのくらいか。
石坂構造政策室長
補助事業については、交付決定されたものが対象者ベースで約46パーセント、今月中には申請されている方全てに対して交付決定されるよう事務を進めている。また県から市町村に概算払いされた実績は、農業者ベースでいくと285名分、事業費ベースで5億7,000万円である。ただ市町村が県から概算払を受けず、自分のところで支払いすることも可能なので、そういう面で進んでいるところもある。
(5)米価下落について
酒井委員
生産者米価の暴落について、規模拡大をして強い農業を目指してきた農家ほど打撃が大きくなってきていると聞いている。政府がナラシ対策ということで、これこそセーフティネットと言っているが、加入のハードルが非常に高く、加入者が一部の農家に限られている。その上、補償水準が非常に低い。加入率や実際にどのくらい補填がされているのか。
高橋蚕糸園芸課長
今年のナラシ対策は、本来のナラシ対策のほか、26年度限りのナラシ移行のための円滑化対策がある。本来のナラシ対策の加入については、県内の水田面積の約17パーセントと、ナラシ移行対策については約30パーセントということで併せて約47パーセントと、ほぼ県内水田の半分の面積が加入している状況である。
酒井委員
年を越す前になるべく早く支払いできるように対策して欲しいという要望もあるが、県独自で改善に向けてやっていることがあれば教示願いたい。
高橋蚕糸園芸課長
米価下落について、11月14日、国から対応が示され、ナラシ対策については最終的な米価が決まってからの精算になるので、どうしても早く支払うことは難しい。その代わり、直接支払い交付金、10アールあたり7,500円交付するものだが、12月15日までに支払えるようにすると話を聞いているので、県でも事務的なことは迅速にしていきたい。
(6)小麦「さとのそら」について
酒井委員
小麦、「さとのそら」の問題について、県が力を入れてやっている「農林61号」に代わる品種だが、販売面で振るわず、北海道産や九州産の小麦の半値近い価格になっている。生産者が希望を失っているという現状があるが、その原因はなにか。
高橋蚕糸園芸課長
「さとのそら」については「農林61号」に代わる品種として、数年前から埼玉県、栃木県等と協力しながら、品種転換ということで推進しているところである。値段について、平成27年産の価格は60キログラムあたり2,300円であり、確かに他の小麦に比べ安くなっている。「さとのそら」は汎用性の小麦なので、その辺りが価格に影響しているのではないかと思っている。また全農ぐんまと色々と意見交換をしながら、下落しないような対策を検討していきたい。
酒井委員
今の農業は米にしても小麦にしても、大変下がっている。とてもこれでは生活できない。生産費も上がり、更に消費税や所得税も値上げされて、農家は大赤字だと。その上、更に農政改革ということで、補助金が削減されたり、直接支払制度が半分もしくは全廃されると、まさに瀕死の状態である。農業は、食料の安定供給を担う大事なライフラインであるから、県としてどのように考えているのか。
宮崎農政部長
委員ご指摘のとおり、農業は多くの課題を抱えているが、食料のみならず様々な公益的機能を発揮している産業である。そうした点をしっかり踏まえた上で、様々な施策を展開していく必要があるので、今後とも色々な方々の意見を聞きながら、対応していきたい。
(7)免税軽油の利用推進について
松本委員
農業者支援の免税軽油について、一般質問の際、部長よりJAに申請窓口を開設する旨、答弁をいただいたが、いつ頃からやっていただけるのか。
宮崎農政部長
国のほうの税制改正の動向を踏まえながら、対応したい。