本文
厚生文化常任委員会(健康福祉部・病院局関係)(平成26年9月30日)
1.開催日時
平成26年9月30日(火曜日)10時00分開始 15時26分終了
2.開催場所
402委員会室
3.出席委員
委員長:舘野英一、副委員長:大手治之
委員:関根圀男、委員:塚越紀一、委員:新井雅博、委員:伊藤祐司、委員:金井康夫、委員:藥丸潔
4.欠席委員
委員:田所三千男
5.主な質疑
(1)抗インフルエンザウイルス薬リレンザの備蓄について
新井委員
リレンザの購入について、リレンザとタミフルは症状によって使い分けるのか。国はなぜタミフルとリレンザの割合を9対1から8対2に変更したのか。薬の有効期限はどうか。
津久井保健予防課長
2剤とも抗インフルエンザウイルス薬であるが、タミフルは内服、リレンザは粉で吸入式である。タミフルに耐性を示すウイルスが出てくるという問題に対応するために、リレンザの割合を増やすものと聞いている。有効期限は、国の方で徐々に延ばされてきており、現在は2剤とも10年となっている。
新井委員
県の備蓄目標量は416,600人分でよいか。現在の備蓄量は427,800人分で、国の指針に対する目標量は達成しているという理解でよいか。
津久井保健予防課長
416,600人分が目標となっている。リレンザの備蓄割合の変更に伴い、タミフルが目標量より少し多くなっている。
新井委員
現在の備蓄量は目標量を11,200人分上回っている。国の指針に合わせ備蓄量を増やすことについては、慎重に検討すべきではないか。
津久井保健予防課長
国は有効期限を徐々に延長しているが、期限切れとなる際には、目標量に合わせた更新をしたい。国に対しては地方の負担に配慮するよう機会を捉えて要望していきたい。
新井委員
目標数値に達していないなら別だが、どうしても国の指針に従わなければならないという姿勢はどうか。地方から国に意見を述べる必要があると思うがどうか。
片野健康福祉部長
有効期限が段階的に延長されているが、期限が切れる段階で国の指針通りになる。備蓄量は県民の45パーセント分であるので、発生時には全員に行き渡る状況ではなく、なるべく多く備蓄することにより県民の安全・安心につながるという考えもある。今後、地方における弾力的な対応を国に求めていきたい。
(2)幼保連携型認定こども園について
伊藤委員
幼保連携型認定こども園に係る今回の条例改正について、保育所では調理室が必置となっているが、規模の小さい幼保連携型認定こども園が必置となっていないのはなぜか。
吉田子育て支援課長
一定の要件を満たせば、現状、保育所でも調理室ではなく調理設備でよいとされている。国で議論されたところであるが、幼稚園では給食設備を設置するように努めることになっている。本条例でも調理室は原則設置であり、例外として調理設備でもよいとしている。県としては、食育の観点から、なるべく自園で調理していただくよう説明していきたい。調理室の施設整備についても、できるだけ支援していきたい。
伊藤委員
県は、国の基準に加え、「幼保連携型認定こども園は、児童が食の大切さを理解し、食を通して豊かな人間性を育むことができるよう児童の食育に努めなければならない。」と付記している。にもかかわらず、場合により調理室がなくてもよいというのはどうか。
吉田子育て支援課長
新たな幼保連携型認定こども園の導入を進めるにあたり、できるだけ多くの幼稚園、保育所に認定こども園へ移行してもらうため、調理室の義務づけがブレーキにならないよう配慮したものである。
伊藤委員
条例における学級編成について、3歳児の保育士配置基準を国基準と同じ20対1と規定しているが、県独自の保育所の配置基準の18対1にすべきではないか。
吉田子育て支援課長
現状、保育所の配置基準としては、20対1が基準となっている。その上で、18対1を上回る配置をしている保育所については、運営費とは別に補助している。多くの私立保育所が補助を受けているが、月によっては、子どもの増減により18対1を満たさない場合がある。配置基準を18対1にすると、受け入れられる子どもの数が減ってしまう可能性がある。条例基準を18対1にするのではなく、予算奨励上の措置として対応していきたい。
伊藤委員
子育て支援事業に従事する職員を有資格者にするべきと考えるがどうか。
吉田子育て支援課長
子育て支援に係る職員については、必ずしも資格を要しない。現状、各保育所では年度当初に保育士が確保されていても年度途中の児童の受け入れに対し、保育士を雇用することは困難な状況である。保育士以外の職員の研修を実施し、子育て支援の相談業務等に当たれるよう努めていきたい。
伊藤委員
子育てをする施設において、有資格者を必要条件とすることは、子どもの安全を守る上で大切なことではないか。群馬の子育ての安心を作るという内容の条例にしていくべきと考えるがどうか。
吉田子育て支援課長
相談部門など直接子どもに関わらない仕事については、人材確保が困難なこともあり、有資格者でなくてもやむを得ないと考えている。各施設の保育レベルが下がらないように県として支援をしていきたい。
伊藤委員
屋上面積を園庭として算入することについて、どう考えているか。現在、屋上面積を園庭に算入しなければ認可が得られないような施設が県内にあるのか。ないのであれば、規定は不要である。
吉田子育て支援課長
安全対策等の要件が整えば、屋上の面積を園庭面積に算入することができる。本県では、そのような施設はないと考えている。
伊藤委員
これまでの議論を聞いて、部長の意見はどうか。
片野健康福祉部長
方向として、より高みを目指すことは望ましいと考えるが、基準条例として、スタンダードを押さえた上で、レベルとしてそれから上を構築をするための条例と考えている。様々な関係者の意見を聴取し、条例案をとりまとめた。委員の意見については、これから改善する機会も出てくると考えられる。現在のところは、これを条例案として提案している。
(3)高齢者保健福祉計画について
関根委員
今年度で終了する第5期高齢者保健福祉計画について、目標の達成状況はどうか。
渡辺介護高齢課長
介護サービス供給量や施設整備など概ね順調に推移している。特別養護老人ホームについては、本年8月1日現在の開所定員は9,740床であり、現在整備中等の分が完成すれば、目標の10,263床を達成する見込みである。老人保健施設については、8月1日現在6,116床であり目標の6,366床を達成見込みである。認知症サポーターは、計画期間中の養成目標3万人に対し25年度末で約4万5千人を養成した。ぐんま認定介護福祉士については、養成目標503人に対し25年度末で423人となり、今年度の受講者が修了すれば目標を達成できる見込みである。
関根委員
介護人材の確保が課題と思うが、県の取組状況はどうか。
星野介護人材確保対策室長
平成25年度介護労働実態調査では、介護職員の不足感を示す指標が42.1パーセントと非常に高く、慢性的な介護人材不足が続いている。本県の介護人材確保施策として、確保・養成、定着支援、イメージアップを3本柱として取り組んできた。具体的には、介護職員の意欲向上と職場定着等を図るため、本県独自に実施している「ぐんま認定介護福祉士制度」をはじめ、介護事業所で失業者を雇用する介護雇用プログラム、専門相談員による就業支援、イメージアップのための児童・生徒向けパンフレットの作成・配布などである。今年度は、これまでの取組に加え、介護事業所での勤務環境改善の取組を促進することを目的に、介護福祉士であるアドバイザーが介護事業所等を訪問し、課題解決の支援を行うとともに、必要に応じて社会保険労務士等を派遣する事業を実施している。今後も事業を総合的に実施し、介護人材確保対策に取り組んでいきたい。
関根委員
第5期計画と第6期計画の大きな違いはどのような点か。
渡辺介護高齢課長
第6期計画では、国が「地域包括ケアシステム」の構築をはっきりと打ち出したことである。第5期計画でも準備作業的な事業を進めてきたが、第6期計画では、できるだけ住み慣れた地域で暮らし続けられるようシステムの構築を進めることとなる。
関根委員
第6期計画の策定状況はどうか。
渡辺介護高齢課長
福祉・介護・医療関係者や、NPO団体代表者らで構成する高齢介護施策推進協議会を設置するとともに、庁内の企画会議に高齢化に関する庁内連携部会を設置し作業を進めている。推進協議会は第2回を開催し、地域包括ケアシステムの構築について基本的な位置づけを了解いただいた。
関根委員
在宅での福祉、医療、介護には、難しい面があると思うがどうか。また、市町村の中には今後も施設整備を希望するところもあるようである。国の方向性と地域の要望が合わなくなるように思うがどうか。
渡辺介護高齢課長
様々な課題があるが、医療と介護の連携が大きなポイントと考えている。医療介護連携は、市町村の地域支援事業として実施することになるが、市町村ではこれから取り組み始めるものとなる。県では、健康福祉部として市町村の後方支援や広域調整などに取り組みたい。また、施設整備については、2025年を見据えてシステムを構築する中で、国の考えは全く整備しないということでなく、整備を抑えるとしているものである。市町村の取組状況や地域包括ケアシステム構築の進み具合、在宅サービスと施設サービスのバランスを見て、必要な施設整備は行っていきたい。
(4)がん対策について
関根委員
本年6月にオープンしたがんセンター緩和ケア病棟の運営状況はどうか。
猿木がんセンター院長
6月から3ヶ月間の運用状況だが、1日平均13名、多い日は18名の方が入院した。25床全室個室で、木のぬくもりを感じられる病棟である。実人員では64名の方が入院し、53名の方が退院した。そのうち死亡退院が38名で72パーセント、在宅が14名、転院が1名である。緩和ケア病棟の退院患者には、在宅へ戻る方も多く、その中には再入院する方もいる。なお、64名の入院患者のうち、35名は群馬大学附属病院や前橋日赤病院、太田記念病院など、他の医療機関からの紹介患者であった。
関根委員
終末期だけでなく、放射線の治療を受ける際の「痛み」を取るために入院できないのか。受け入れ可能であればそのことを周知し、施設の活用を図った方がよいと考えるがどうか。
猿木がんセンター院長
放射線治療を行う際の「痛み」については、本館で神経ブロックなどの疼痛緩和治療を行っている。また、緩和ケア病棟の入院患者に対しては、緩和的放射線治療を行う場合もある。依頼があれば対応していきたい。
藥丸委員
がん登録制度の意義はどうか。
猿木がんセンター院長
がん登録は、がんと診断された患者を登録することにより、罹患率や生存率を把握することができる。がん患者の状況は、死亡率、罹患率、生存率などの指標で表されるが、死亡率は厚生労働省の人口動態統計、罹患率は地域がん登録で把握ができる。地域がん登録には、現在、28道府県のデータがまとまっており、2010年は80万人のがん患者が確認できる。なお、5年後の生存率についても地域がん登録で把握できるが、全国がん登録制度の実施に伴い全ての病院で届出が義務化され、今後はがん患者の状況把握が一層進むものと考える。本県では、がん対策推進条例で地域がん登録の推進が明記され、住基ネットを活用した予後調査が可能となったため、生存率の把握が効率的にできるようになった。今までは死亡でがんを把握していたが、今後は、診断時に把握できるようになり、がん生存者の数も把握できるようになる。データを把握することにより、がん対策に貢献できる。さらには、県内で行われる重粒子線治療の成績もしっかり把握し、世界に発信していくことができるようになるため大変有効なものと考えている。
藥丸委員
がん登録推進の状況はどうか。
山崎がん対策推進室長
本県の地域がん登録は平成6年から開始されている。開始当初の平成6年の届出は2,648件であったが、直近の平成25年では19,213件と大きく増加し精度も向上している。また、登録に基づき、群馬県の5年生存率を平成24年3月から算出・公表しており、がんで闘病されている方を始め、がんの予防、早期発見にも役立てられるものと考えている。なお、全国がん登録に関する法律が平成25年12月に成立・公布され、平成28年1月から施行される見込である。詳細が盛り込まれる政令、厚生労働省令は今年の12月末に出される予定であり、内容を吟味し、関係市町村や医療機関に適切につなげていきたい。
(5)平成25年度群馬県立病院における医療安全の取組について
関根委員
医療安全の取組報告の中で報告があった死亡事例の2件について、どのような事例か。
青木病院局総務課長
病院とご遺族との話し合いの中で、現在、公表の同意が得られていない事案である。詳細なことは言えないが、1件は術後の合併症に伴う死亡事案で、もう1件は自殺事案である。家族を亡くされたご遺族の意向もあるので、これ以上の説明は差し控えさせていただくが、委員の皆様にはご理解をお願いしたい。
(6)高齢者の食育推進について
塚越委員
新聞記事に「高齢者の食育推進」を図るため、前橋市と中之条町でモデル事業を実施し、団塊の世代が高齢者となる「2025年問題」を見据えた対策を講じるとあったが、どのような事業か。
栗原食品安全課長
平成25年度から取り組んでいる事業で、昨年度は、高齢者を取り巻く健康課題やその要因の特定について整理・検討を行うとともに、事業を進めるための協力体制を整備した。今年度は、学識経験者及び高齢者を支援する関係機関の係長等で構成する「高齢者食育支援検討会議」を設置し、前橋市と中之条町をモデル地区として、高齢者の食生活の実態から課題を把握し、高齢者の身体及び生活機能の維持・低下防止や疾病の発症・重症化予防のための効果的な食育支援について検討している。この事業は3カ年の事業としており、来年度は、今年の検討結果を踏まえ、高齢者の食生活改善の場として、「地域の絆」を拠り所とした「共食」の場、コミュニティーの場を整備し、「食」の支援を推進する予定である。
(7)子どもの貧困対策について
塚越委員
子どもの貧困は大変な問題であり、特に我が国のひとり親世帯の貧困率は54.6パーセントとOECD加盟国の中で最も高くなっている。格差社会が広がり子どもにしわ寄せがきていると思われる。有識者の話では、貧困家庭に現金給付を増やし生活苦を和らげ、教育の実効をあげることも重要であるとの意見もある。この問題に対する県の認識はどうか。
川原健康福祉課長
先進国の中でも我が国の子どもの貧困率が高いことは大きな課題と認識している。子どもの高校進学率は全体が98パーセントに対し生活保護世帯では90パーセントと低いことや、生活保護受給家庭の4分の1が親の世代も受給しているなど、貧困の連鎖も課題となっている。昨年「子ども貧困対策の推進に関する法律」が成立し、今年8月には国において大綱が決定された。来月には具体的な内容がでてくる見込みである。大綱には、景気が上向きになっても貧困率は変わらないという状況を踏まえ、現金給付について「無利子の奨学金の拡充」、「母子福祉資金の父子家庭の拡充」、「生活保護世帯の子どもの大学進学時の支援」、「離婚した子どもの養育費の確保支援」などの内容が盛り込まれている。健康福祉部としては全庁の関係課と連携し、県としてしっかり対応していきたい。
(8)デング熱やセアカゴケグモへの対応について
新井委員
デング熱やセアカゴケグモへの対応について、子どもを持つ親は不安を募らせている。健康福祉部では、身の安全の確保や刺された場合の対処などの相談はどこが対応しているのか。
津久井保健予防課長
デング熱については、仮に県内の公園で感染が発生した場合には、国から示されたマニュアルを踏まえて、公園を管理する部局と連携して消毒等の対応をとることとしている。デング熱を疑う症例が出た場合には、感染症法に基づき、医療機関から保健所に連絡が入ることとなっている。また、セアカゴケグモについては、特定外来生物として駆除は環境部局であるが、刺された場合の相談は各保健所で対応している。治療に血清が必要な場合には、国が研究的に血清を持っているので対応できることとなっている。
新井委員
県民の生命、健康に関わる部分については、健康部門が積極的に取り組むべきと考えるが、部長の考えはどうか。
片野健康福祉部長
防除に関しては環境部門であるが、その後の健康被害への相談については健康部門で対応していくこととなる。県民に対して、安心安全の観点から、適切な情報を発信していきたい。
(9)B型・C型肝炎患者の検査費用補助について
伊藤委員
B型・C型肝炎患者の救済について、本県議会において昨年12月に全会一致で国への意見書を採択し、全国でも同様の意見書採択があり、今年4月から国がその対応を制度化したと聞いている。内容はどのようなものか。
津久井保健予防課長
肝炎ウイルス検査陽性者のフォローアップ事業が新たに制度化されたもので、内容は健康増進法に基づき市町村が実施する肝炎ウイルス検査や保健所が実施する肝炎ウイルス検査の結果、陽性となった者に対する初回精密検査費用の補助と、ウイルス性肝炎に罹った者のうち医療機関に受診しない者の重症化予防のための年1回の定期検査費用の補助である。
伊藤委員
この事業を県はどうして今年度から実施しないのか。
津久井保健予防課長
国が今年度事業化した制度であるが、事業の実施にあたっては、市町村や医療機関と連携し対象者をきちんと把握することが必要と考えており、来年度からの実施に向けて準備を進めている。
伊藤委員
私が調べたところでは、全国47都道府県中、21の都府県が今年度中の実施と聞いている。国が制度化し予算もすでについている。4月からの実施は難しいかもしれないが、9月補正で10月から実施できたのではないか。
津久井保健予防課長
市町村と連携して事業を進めた方が効果があると考えていることから、現在、来年度実施に向けて準備している。
伊藤委員
治療にはかなりのお金がかかる。県民の命を救うという点で待ったなしの政策なのではないか。初回精密検査費用の補助はできないにしても、年1回の定期検査費用の補助はできないことはないと思う。部長の考えはどうか。
片野健康福祉部長
事業実施がスピード感に欠けるという指摘は、重く受け止める。関係する市町村や医療機関との調整が必要であるが、市町村を絡まない事業があるかどうかも含めて、年度内に実施できるものがあるかどうか検討し、どのくらいの費用が必要になるかも含めて精査してしっかり取り組みたい。
(10)玉村町の児童死亡事案について
伊藤委員
玉村町の児童死亡事案について、現場や課内でどんな検討がされ、業務の改善はされたのか。また、第三者機関の検証がされると思うが、その目的や日程はどうか。
吉田子育て支援課長
事案発生後すぐに3児童相談所長、北部支所長を集め、各所でできること、やるべきことを検討した。緊急点検の実施、ハイリスクケースの把握など、具体的な内容は現時点で詳しく説明できないが、現場でできることは対応している。第三者委員会については、9月の準備会議を経て、10月3日に第一回会議を開催する。弁護士や小児科医、児童心理の専門家といったそれぞれの立場から検証し、二度と同じことが起きないようにしたいと考えている。
伊藤委員
県では昨年2月にも児童死亡事故が起きている。そのときも第三者委員会が作られ、今年3月に児童死亡事案検証報告書が出ている。この提言は今年度の児童相談所の事業展開の中でどのように生かされているのか。
吉田子育て支援課長
提言を受け、子育て支援課、児童相談所で対応できること、しなければならないことを整理し、進めている中で、今回の玉村町の事案が発生した。5月からワーキンググループを設置し、例えばリスクアセスメントについては、一時保護の解除や施設を退所して家庭復帰する児童が年間数百人単位でおり、すべてを児童相談所で扱うわけにはいかない中、どう対応するのか検討している。児童福祉司の増員については、52名のケースワーカーがおり、うち34名が児童福祉司発令をしている。その差は保健師や警察官のほか、行政職員で1年目配置の職員も9名ほどいる。今後、できる限り児童福祉司を配置していきたい。またマニュアルの見直しの必要もあると考えており、全般的な改定を進めていきたい。
伊藤委員
提言では児童福祉司の増員が別項目で掲げられているが、この2年で児童福祉司がむしろ1名減っており、提言がいかされていない。現状では職員体制が足りないと思うがどうか。
片野健康福祉部長
リスクアセスメントについては全てを児童相談所職員がフォローするわけにはいかない。職員も一人ひとり一生懸命やって、地域や関係機関の力を借りて全体として地域で子どもたちをフォローする体制を仕組んできた。ハイリスクの家庭に対する取組には欠けるところがあったと反省し、今後の対応を検討していきたい。そのためにも職員の資質の向上、増員について考える余地はあるかと思うが、組織として対応、職員から始まって地域機関では所長まで、そして県庁では課長、部長、全体としての組織対応の中でフォローする部分もあるのではないかという観点で、取り組みたいと考えている。
伊藤委員
組織としての対応を最も見直すべきと考えている。児童相談所においては職場の意思疎通と団結、互いに励まし合い助け合うという人間関係が重要な職場ではないかと思う。成果主義に基づく人事管理は止めるべきと思うが、部長の考えはどうか。
片野健康福祉部長
成果主義を少し誤解されているかもしれない。職員と管理職の立場にある者とが意思疎通を図るよい機会として活用されているという面もある。組織全体として意思疎通をしっかりとして団結してやっていくのはそのとおりだと思っている。そういう方向で取り組みたい。
(11)県立病院改革プランについて
金井委員
第二次改革プランの達成見込みはどうか。
長尾病院局長
第二次プランの達成状況としては、医療面では心臓血管センターのハイブリッド手術室の整備、植込型補助人工心臓手術の実施、がんセンターの緩和ケア病棟の整備や精神医療センターの医療観察法病棟の整備など、プランで掲げていた主な取組については、実施済又は稼働見込みであり、サービス面での充実は図れたと考える。また、経営面では、第二次プラン策定時の平成23年度には6億3千万円の赤字であったものが、24、25年度とプランの目標を達成し、赤字額を2億円まで圧縮し、一定の成果は出たと考えている。なお、今年度の8月までの経営状況を分析すると、患者数は入院・外来ともに昨年度の同時期に比べて増加しているものの、医業収支は約1億円悪化している。内容を分析すると、材料費や経費などが消費税増税の影響などで1億円ほど増加しており、これを収入増で埋められない状況である。大変厳しい状況であるが、目標を達成できるよう下半期頑張っていきたい。
金井委員
診療報酬をDPC制度へ移行したことも収支改善の一因かと思うが、DPCの現状はどうか。
青木病院局総務課長
県立4病院の中で、心臓血管センターが平成23年度からDPC対象病院となっており、小児医療センターが今年度から対象病院となったところである。
金井委員
第三次プランの重点事項はどうか。
長尾病院局長
県立病院にとって一番重要な使命は、県民に安全、安心で質の高い医療を提供し、県民の命を守ることである。第三次群馬県県立病院改革プランでは、引き続き経営改善にしっかりと取り組みながら、今後の県立病院のあり方なども含めて検討し、県立病院の役割や特徴を明確にした上で、県民のニーズに対応した高度専門医療の更なる向上を図りたい。また、医療安全の徹底や地域医療連携をより一層推進するなど、県民や地域に頼りにされる病院づくりに取り組んで行きたい。
(12)臨時福祉給付金及び子育て世帯臨時特例給付金について
金井委員
臨時福祉給付金と子育て世帯臨時特例給付金について、県内の申請状況はどうか。
川原健康福祉課長
臨時福祉給付金については、7月から申請の受付を開始したのは3市町、8月からは30市町村、9月からは2町村となっており、8月末現在、支給対象者と思われる者のうち50.8パーセントが申請をしている状況である。多くの市町村が8月から受付を開始しており、ほぼ1ヶ月の申請状況としては、順調であると考えている。なお、35市町村うち34市町村は支給対象と思われる住民にチラシや申請書を送付している。また、未申請者に対して、再度通知している市町村もある。今後も、市町村には、未申請者への個別対応をお願いするなど申告漏れのないよう指導していきたい。
吉田子育て支援課長
子育て世帯臨時特例給付金については、8月末現在、支給対象見込み数約22万人に対して61.5パーセントの申請状況である。
金井委員
臨時福祉給付金は申請書が複雑すぎる。また、早いところでは申請期限が9月末のところもあるようである。申請率が低い場合は、申請期間の延長も検討するよう市町村に働きかけをする必要があると思うがどうか。
川原健康福祉課長
市町村によっては、専用の窓口やコールセンターを設置し、親身に相談等を行って対応しているところもある。申請率の低い市町村については、そういった方法についても指導していきたい。また、申請期間については3ヶ月延長もできることから、申請率が低いようであれば延長をしてもらうなど申請漏れのないように市町村を指導していきたい。
(13)不妊症治療について
藥丸委員
不妊症の中に不育症という症状があるが、今後、県で補助する考えはあるか。
津久井保健予防課長
不育症治療への助成については、和歌山県では市町村が実施する不妊治療助成について補助していると聞いている。不育症は原因が不明で、治療方法として一部を除いて確立したものが少ないことから、何に対して補助するかが難しいため、慎重な対応が必要と考えている。
藥丸委員
男性の不妊治療は特定不妊治療の対象になっているか。
津久井保健予防課長
特定不妊治療の対象となっているのは、現状では体外受精や顕微授精などに限定されている。どちらに原因があるかなど、不妊に悩む心の問題もあることから、相談体制が重要であると考えている。男性不妊についても県民の声を聞きながら検討していきたい。
(14)群馬県食品衛生法施行条例の一部改正(予定)について
藥丸委員
食品の衛生管理にHACCPの導入を推進することについて、現行の自主衛生管理認証制度との関係性はどうなるのか。
下田衛生食品課長
本県で実施している自主衛生管理認証制度は地域独自の認証制度で、同様な形で実施している自治体が全国で90自治体ある。本県の制度はHACCPそのものではなく、HACCPの考え方に基づいた衛生管理に対する認証制度である。事業者の方には、今回条例化するHACCP導入型基準へのステップとして、自主衛生管理認証制度を活用し、HACCP導入に取り組んでもらいたいと考えている。
(15)国民健康保険税について
伊藤委員
国民健康保険税について、群馬県は、国民健康保険に加入する世帯の平均所得は全国で多い方から12位、平均課税標準額は全国で高い方から13位であるが、一世帯当たり調定額は161,424円で全国で高い方から3位である。調定額が高いのはなぜか。
相澤国保援護課長
本来、保険制度は、保険料で賄うのが基本であり、その他、公費等で賄っている。本県は、年齢階層別に見ると、60歳以上の被保険者の医療費が比較的高いのが原因と考えている。
伊藤委員
平成25年6月1日現在の都道府県別滞納世帯数に係る国の資料によると、国保世帯数に対する滞納世帯数の割合は、群馬県は13.9パーセントと比較的低く、埼玉、東京、千葉は20%を超えている。これに対し、短期被保険者証の発行は、国保世帯数に対する割合が、群馬県は6.4パーセント、埼玉県は3.4パーセント、また、資格証明書の発行は、群馬県は2.2パーセントで、埼玉県は0.2パーセントとなっている。滞納世帯は全国的に少ない方なのにペナルティを課されている世帯が多く、また、資格証明書の発行割合が、本県は全国4位の状況であるが、どのように考えるか。
相澤国保援護課長
一定期間納税しない人に対して、資格証明書の交付が法律で義務づけられている。県としては、一定期間納税しない事実だけで、機械的一律的な対応をとらず、滞納者の個々の状況、特別な事情をよく精査した上で、資格証明書を交付している結果であるという認識である。
伊藤委員
全体として市町村の納税相談が不十分なのではないか。国保税の調定額が高いということも勘案し、市町村国保へ働きかけるべきと思うがどうか。
相澤国保援護課長
滞納世帯に対して、納税相談や、医療保険制度をよく理解してもらう意味でも接触の機会を多くもつよう市町村に助言しているところである。今後さらにしっかりと対応していきたい。